マオを中心に回る
いろんな人の視点です。
~~屋敷メイド、アリサ~~
私は村の口減らしとして売られた奴隷だ。運が悪かった。そうとしか言えないが、村のためにならと私は納得した。
奴隷としての生活はどんどん私を殺していった、娼婦として毎日買われる、ものとして。それはもう心を殺さないと生きていけない。
心を殺せば何も感じない、私はただ息をしているだけの人形だ。ただ壊れるのを待つだけでいい。とてもらくだ。
しかしある日、私は買い取られた。ああ‥とうとう壊される日が来たのだろうか?こんな私を買う人なんて、悪趣味なお金持ちしかいない。
静かに待っていると一人の男性が、声を大にして叫ぶ。
「いいかお前ら!お前らを奴隷から救うのはマオ神様のお導きである!」
マオ神様?初めて聞く名前だ。神様は神様としか言われない。新たな神だろうか?
そんなことを思ってると、食事が運ばれる。とても美味しい食事だった。久々に人間に戻った気がした。
おふろ?に入れという。暖かいお風呂に入り、何かいろんなものが緩んだ気がした。
それから勉強が始まる。字の勉強や計算を教わる。何が起きてるんだろう?私はよくわからなかった。
そしてほどなくして、私たちを買ったという男に呼ばれる。夜伽だろうか?
「夜伽?私はマオ神様にこの魂までささげている。どうでもいい問答はやめろ。質問を始める」
私はただの村娘だ。家事は一応できるが…質問されたことに淡々と答える。
「いいか?マオ神様は私たちが間違って呼んでしまった現人神様だ。とても優しく我々に手を差し伸べてくださる。お前もその救われた一人だ」
救われた…?心を殺した人形を?なぜ?
わからない…私はとりあえず流されるままに侍女としての訓練を受ける。
戦闘訓練は苦手だったが、いろんな料理を覚えるのはとても楽しかった。楽しい…またこんな気持ちになれるのですね。
侍女としてマオの町に配属されることになったが、マオ神様のお眼鏡に適わないとそこでは働けない。
この町に送られた奴隷は、すべて奴隷としての契約を解除されている。信用されていない奴隷はアミルさんのところで働いているそうだ。
マオ神様がどんな人なのか一目見たくて…マオ神様がお住まいになる、屋敷の前の庭をついついピカピカにしてしまう。これは癖だ…汚れを見ると落としたくなる…
そしてマオ神様に選ばれたルル様が屋敷から出てきて…私はマオ神様を初めて見る。
私も魔人種族だ。魔力は見える…マオ神様を一目見た瞬間、なるほど…これは神だ。とても綺麗で大きい魔力。跪きそうになるが…堪える。
「そうなんですね!頼りない町長ですが、よろしくお願いします!」
あぁ…なるほど…これは恐れ多いながらも…その笑顔に一目ぼれしてしまうのだった。
ルイ様の戦闘試験はとても厳しかった…私なんかが通るはずもなかった。でも…私はマオ神様の元で働きたいのだ。
諦めない。人形だった私に、命を吹き込んでくれた彼女の元に行きたい。
数時間ほどたったでしょうか?ドロドロになりながらもひたすら攻撃を続け…ついにルイ様に攻撃を当てる…
「あなたが何を想って、そこまで頑張れるのかはわかりませんが…及第点です。これから精進してください」
ルイ様が苦笑いで合格をくれたのでした。
私は今幸せだ。全力で人生を全うしてる。マオ神様に献上するお食事を毎日必死で考えている。
これがとても楽しい。
「アリサさんの作る料理はおいしいね!デザートも好きだし…今度私も一緒にデザート考えてい?」
はぁ…私は今幸せです!!
~~貴族アミル・マオシン~~
「かいら…国王に預けられてる案件はこれだけか?」
「はい。まだお若いという事で国の案件はあまり回されないようですね」
執務室にて王都の情報を聞く。王都には影を忍ばしている。何があってもすぐ動けるようにだ。
「ふむ…裏でゴミ…王の側近がマオ神様の害になるようなことはしてないか?」
「今のところ確認されておりません」
「わかった。下がっていい」
そういうと踵を返し帰って行く白髪の老人。
彼は犯罪奴隷だ、せんの‥ゴホンッ…俺の説得により裏の仕事に従事させている。
さて、俺は今住んでる町に立てた、とある教会の運営に忙しい。
ここから孤児院を寄付によって運営したり、貧困に苦しむ村に炊き出しをしたりする。
孤児院はまだ時間がかかるだろう。炊き出しは貧困の村を絞りすでに向かわせた。そこで養いきれない子供を引き取る。
教会の中心にそびえたつ様に、銅像を建てる予定だ。もちろん一切の妥協は許されない。
金は潤沢にある。国家予算を好き勝手できるのだ。マオ神様に捧げられるなら、喜んで金を出すだろう。
マオ神様も町を順調に大きくしているようだ。俺の計画では数十年後あそこを神都にする予定だ。
神の町。
マオ神様の案件はすべて受領し裏から手を回す。すべては神の掌の上である。
~~屋敷メイド、フーコの試作~~
まだ見ぬ魔法の可能性を信じて、私はいろんな魔法道具を開発していた。
火魔法と風魔法を合わせ、敵を薙ぎ払う熱風魔法。
これは上昇気流によって敵味方吹き飛ばしてしまうので失敗した。
水魔法と雷魔法を合わせて範囲を拡大させた魔法。
これも敵味方関係なく、感電させてしまった。
こうじゃない…私の思う魔法の可能性ってこうじゃない。とは思うが…
その後、借金で奴隷に落ち、いろいろあったがマオ神様のお屋敷にお邪魔になっている。
マオ神様考案のセンタクカンソウキとやらを作成中だ。三属性も付与して…しかも、これが生活魔法の一種だという。
そうか…魔法は攻撃で使うのが一番可能性が有る、と思っていたけど…生活にこそ、いろんな余地があるのではないか?
魔法陣の構築は終わった。あとは外角となる部分だ。ただ魔石みたいな、魔力を溜めておける物がないと、獣人の魔力だけでは起動できないだろう。人種族の国から取り寄せないといけない。そこはマオ神様と相談しよう。
魔石の元となるミスリルがあれば…自作できないこともないが…
~~奴隷たちの労働~~
「そこの外壁は残せ!そこからこっちに繋げるからな。橋は現状の規模だと3本でいい」
「道はどうする?」
「マオ様の屋敷を中心にクモの巣のように。ただ街道につながる道は今の2倍は広げろ。邪魔な家は潰せ」
奴隷たちがガヤガヤと仕事に精を出す。町の大工事という事で仮の住居を作り、そこに住んでもらい、道を広げたり、道を細かく作ることで人の行き来を円滑にする予定だ。
もうすでに奴隷から解放された元奴隷もいるが、ほとんどがこの町で生きていくことにしている。
家族が故郷にいる人などは、ここで金を稼ぎ、村に帰るそうだ。
女性は畑を広げるために石をどけ、畑になるように耕したり。
手先が器用な人は服や工芸品を作る。それを獣人の経営する商人ギルドに売りに行く。
「奴隷如きの俺たちにお願いしてくれた町長に報いろ。彼女を助け。俺たちはこの町で生きる」
そうして町は急速に発展していく。
~~ルイとルルの特訓~~
とある日の午前
冒険者ギルドにルイとルルの姿があった。
「久々に稽古をつけてくれって…俺は忙しいんだが…」とガイルが頭をかきながら困った顔でいう。
(マオ神の手腕が俺の予想を上回りすぎて、冒険者の数が足らん…マズイ)
「稽古なんて…マオ様に殺気を向けた師匠をボコボコにしに来ただけですよ?」
「師匠なんてもう敵じゃないしね~?躾に来ただけだよ?」
「言うじゃねえかっ!たかがひよっこが…付き合ってやるよ…」
訓練所にて相対する三人
「二人同時じゃなくていいのか?」
「笑わせないでください」とルイが前にでる
「お姉ちゃん私にも残しといてよね」
「ホント…生意気になったな…主人の影響か?」
「さあどうでしょうね?ただマオ様を守るためにも今のままじゃ駄目なのはわかっています」
「んじゃこいよ、成長してるか見てやる」
ルイは木剣を片手に突っ込む。それを切り払うようにガルドが木剣を振るが、ルイは滑るように横移動し、そのまま後ろをとる。
後ろから木剣を首筋に向かって振るが、まるでガルドを避けるように木剣が上に弾かれる。ガルドはすぐ体を反転させながら。「バースト」と呟き、小さな爆発が起き、剣が加速し、ルイの腹に向けて剣をふるう。
ルイはバックステップで避ける。
「ほう?風を無詠唱か。しかし移動補助程度でしか使えんみたいだな」
「まだ師匠のように剣をそらすほどの技術はないですね…」
ガルドの強みは精密すぎる魔力操作で大きさや向きを完全に制御された魔法を使う。
それを補助に近接戦を行う。対人戦なら魔人国最強の強者だ。
「私もやるよー!」
「俺をぼこぼこにするんじゃねえのか?」
「挑発しないと戦ってくれないじゃないですか…昔から」
「まあな…」と笑うガルド
そうして彼女たちは特訓する。愛しのご主人様を守る為に…
~~獣人の商人ギルド~~
私たちはマオ神様に忠誠を誓った。
奴隷から解放されてこの町に住めとの指示でした。
もちろんこの町になじむためにいろいろ勉強はしましたが…
獣人族の奴隷が人族の町で売れる為に、耳としっぽを切られているものも多いです。
しかしマオ神様はそんな子たちを見るたびに奇跡の魔法を使ってくれます。
「ケモ耳と尻尾を切るなんて…」と青い顔をして、手を翳し、必死で何か魔法を紡いでました。
魔法を使い、耳と尻尾が治り、そして汗だくになったマオ神様が笑顔で
「ふふふ~これでモフモフできるね!」
私たちの為ではなく、自分の為に治したとおっしゃいます。
ならばその耳と尻尾はマオ神様の物でしょう。
「工芸品や服は首都まで行って売ったほうが良さそうですね。果物等は状態を見ながら、最悪向こうで加工してもらってもいいかもしれません」
作戦会議だ。すでに少量の物資を積んだ馬車は獣人国に向かわせ、需要と供給を調べ、どうすれば利益が最大限になるか会議する。
「確かに砂糖なら向こうのほうが安い…砂糖を買い込んでそこにつけて置くのもいいかもしれませんね。マオ神様ご所望の甘味の確保は?」
「もちろん抜かりなく、首都に数台馬車を確保してあります。売り上げの一部でなるべく種類を買い込みこちらに輸送中です」
ふむ…しかしいくら氷の保存魔法があるとはいえ、日の経った物を献上するのも…
「買い込むのは出来上がったものではなく、素材にしましょう。マオ神様の屋敷には優秀な料理メイドがいます。なら素材とレシピを買い取る方針でいきましょう。すでに買い込んだ甘味については毒見次第、店頭に並べることにします」
マオ神様は喜んでくれるでしょうか…できればまたモフモフして頂きたいものです…
ニーアが羨ましい…
~~カインの激務~~
「奴隷の件はすぐ通していい。まだまだ人手は欲しい…マオ神様のお言葉をしっかり伝えておくように」
奴隷の数も解放された者も合わせると、もうすぐ400を超える。一応殺人などの罪状のひどい犯罪奴隷はアミル殿の方に案件を回している。
「町の税率?とりあえず最低限、衛兵を雇える程度にとどめろ。最初の赤字は計算通りだ。十数年単位で取り戻せ」
町が出来上がって、人々の生活が安定したら税率を上げればいい。それまでは仕方ない。これは神都を作る計画の一端なのだ。
「行商の件?一通り手はずを整えたら、あとは獣人たちに任せろ。あそこはマオ神様ご用達だ。関与しようとしてる者の情報をこちらに回せ。確認次第、悪意があった際にすぐ潰す」
あの獣人たちも同士だ。十分信用できる。
コンコン
「カインさん?入ってもいい~?」
「もちろんです。どうぞお入りください」と言いながら部下に目配せすると、音もなく窓から消えていった。
「失礼しまーす!」そう言って我らがマオ神様が入ってきてくださる。
「何か緊急の案件ですか?」
「んっとまずマオ祭り?の件はカインさんのところで弾いてくれないかな…?」
なっ!?一番通したい案件なのに…あの手この手で策を講じるが、マオ神様はすべてお見通しのようなのだ…
「…かしこまりました…まずといいましたが他には?」
「人種族の国から魔石を手に入れてほしいんだ。もしくはこの辺にミスリルの採れる鉱山とかない?」
鉱山か…アミル殿に聞いてみよう。
「魔石は魔人国では流通しません。ですがミスリルは流通しております。お急ぎでしたら先にミスリルを仕入れますが…」
「んじゃあどっちもお願いします!」
「有り難きお言葉…では数日中にミスリルは仕入れます。魔石は人種族でしか使われないものなので100日ほどかかるかもしれません」
「わかりました!ミスリルはフーコちゃんのところに届けてください!」そう言ってマオ神様は部屋を出て行かれた。
忙し過ぎて大変だが、マオ神様の笑顔を守るためなら、このカイン不可能をも可能にして見せましょう。
いつもお読みいただきありがとうございます。




