町の発展のために?
「おかえりなさいませ。マオ様ルル様」
屋敷に帰ると、執事服を着た40代くらいの細身のおじさんがお辞儀して迎えてくれる。
「ただいま!カインさん。早速だけどお仕事頼んでいいかな?」
「じゃあ私はちょっと離れるね!」とルルさんがどこかに行ってしまう。
カインさんは人種族の男性だ。採用された12人のうち唯一の男性、主に事務仕事をしてくれる。
「ええ、もちろんでございます」
私はカインさんに今回の獣人の件を手回ししてもらうように頼んだ。
「こちらから売り込むなら、果物の類がよろしいかと、山の斜面の畑を拡大し、果物類を育てるのもいいかもしれません。手間がかかるので、獣人種族ではあまり作られませんので」
「ふむふむ…畑の拡大をするには人材は足りてる?」
「規模によりますが…冒険者ギルドと相談してみないことには…」
「そっか、村の開拓には冒険者が必要だもんね…わかった。その辺も考えてみるよ」
「大まかな話が付きましたら、あとは私が細かく詳細を詰めておきますので」
「お願いします!」
「もったいなきお言葉でございます」
魔道具の件でルイさんに相談があるので呼んでおく。
「お呼びですか?マオ様」
呼んでから数分でルイさんが私の執務室にはいってくる。
「ちょっと今から作ろうと思ってる、魔法陣についていろいろ教えてほしくて」
「なるほど…ではもう一人お呼びしますね。適任がおりますので」
「ほほう!お願いします!」
魔法陣はこの世界の文字を魔力を使って書き、流した魔力をその書いたとおりに実践するものだ。
この世界の文字は読めるけど、書いたりするのは大変だった。なんていうか…ミミズが這ったような…そんな文字形式だから…
「マオ様…失礼いたします…」
と入ってきたのは13歳のオッドアイの少女だ。確か名前は…フーコだったかな?
「フーコちゃん、いらっしゃい!で?ルイさんこの子が適任?」
「はい。彼女は以前、魔道具の制作を行っていたので…変わった魔道具ばっかり作っていたため、干されていましたが…実力は確かです」
「そっか…とりあえず私が作りたい魔法陣と魔道具の制作を手伝ってもらうね」
「マオ様の…御心ままに」とお辞儀をする。
私は自分の案をまず伝え、アドバイスをもらう。
「三属性も付与するんですか…!?」とフーコちゃん
「水、温める火、そして乾かす風この三つだね!」と私
「普通は精々2属性が限界ですけどね…」とルイさん
「回転、反転の動きは魔法陣の中心に入れて、その外側に~」
と洗濯機の動きを思い出しながら、イメージして魔法陣を書いていく。
「こんな感じ!あとは外側を作るんだけど~」
と三人で魔法を使った洗濯乾燥機をいろいろ意見を出し合っていく
「マオ様は…すごいです…こんな発想なかった」
「これをベースに試作してくれるかな?フーコちゃん」
「お任せください」と好奇心に目が躍るフーコちゃんはスキップしながら外に出て行った。
獣人さんでも使える調理用火魔法とか保存用氷魔法とかはルイさんと相談して作った。これはそんなに難しくなく。単属性しか付与しないからだ。
これで大まか生活はマシになるだろう、あとは冒険者ギルドだ…荒くれ物のイメージがあるから苦手なんだよね…
とりあえず今日はルイさんのベットに潜り込んで寝る。町の発展のために私は頑張るよ!
…なんか目的が変わってる気がする…
私はルイさんとルルさんに付き添ってもらって冒険者ギルドにはいる。
「なんだ?女が…ひぃっ!?」
まだほぼ何も言ってない筋肉質のおっちゃんにルイさんが剣を首筋に当て睨んでいる。
「なんでしょうか?」
「な‥なんでもねえ‥」
冷や汗をかきながら黙るおっちゃん。ルイさんが好戦的すぎるよ!?
(お前知らねえのか…あれは魔女王様だ…この町の町長だ…)
(なっ!?じゃあ、あの横にいる二人は…氷炎と光獣?)
(そうだろうな…下手に手を出すと死より恐ろしい恐怖が待ってるって聞いたぞ…)
(あの金の話か…触らぬ神になんとやらだな…)
なんかぼそぼそ言ってるが下っ端に用事はないので…
「ギルド長さんいますか~?挨拶に来ました!」
私は受付のお姉さんに聞く
「これはこれはマオ様。少々お待ちください」
なんで様付けで…?まあ会社とかだと形式でそう呼ぶんだっけ?
応接間に案内される。
すると白髪で老人に見える…細身なのに変に威圧感のある人物がいた。これがギルド長?
「「師匠?」」
とルイさんとルルさんが声を合わせる。
「いい主人に巡り合えたようで何よりだな。そして町長殿、俺がここのギルド長のガルドだ」
「町長のマオです。以後お見知りおきを」
「師匠はなんでここに?闘技場にいましたよね?」とルイさんが聞く
「主人は~?なんでギルド長なんか?師匠なら国の魔法騎士団の団長にも勝てるよね?」とルルさんが疑問を投げかける。
「まあいろいろあってな…俺もいい主人を得たという事さ。それより挨拶なんて言ってたけど町長殿はなんか俺に話があったんだろ?」
「はい。この町の発展のために畑の拡大を行いたいんです」
「ふむ…どのくらいだ?」とあごに手を置いて考えるように聞いてくる。
「そうですね~現状の2倍~3倍程度ですかね」
「……それは難しいな…」
「理由は?」
「範囲が広すぎる、そこまでの範囲に広げるなら魔物どもを山から駆逐しないといけない。そこまでの人手は到底集まらん」
「そうですか…じゃあ逆にどの程度なら?」
「そうだな…畑の2個分程度ならいけるな」
「冒険者って大したことないんですね…その程度なら自力でいけます…」
「言ってくれるじゃねえか…」と殺気を放つガイルさん。
ルイさんとルルさんが私の前にさっと立つ。
私は出されたお茶を一口すすり
「別に山じゃなくても、川の向こうでもいいです。いずれ川も町の内部に組み込む予定です」
「ほほう?そんなにこの町に人が集まるのか?」
「もちろん、当てはあります」
「じゃあまず人員をそろえろ。話はそれからだ」
「分かりました、あとで泣いて謝っても許しませんからね」
「ふっ‥言ってろ」
帰ろ。と戦闘態勢に入ってるルイさんとルルさんにいって踵を返す。二人は冷や汗を手で拭い、私についてきてくれた
「マオ様…度胸があるというか無謀というのか…私たち二人でも抑えるのがやっとですよ?あの人は」
「そういえば師匠とか言ってたね。どういう経緯で?」
「闘技場で私たちを指導してくれてた人だよ~魔力量も多いし、近接戦しながら魔法を飛ばしてくるような化け物だよ?」
魔法ってのはどうしても集中力がいる、それを近接戦で斬り受けしながら発動するのだ。どういう頭をしてるんだろう。
「それでも、暴力に怯えて引いてたら、交渉にならないよ?それにルイさんとルルさんが抑えられるなら、私も加われば負けることないじゃない?」
「まあそうだけど…で?人手はどうするの~?」
「そこはあれだよ…奴隷さんを使おうかと思ってね」
「奴隷ですか…」
「奴隷館に付き合ってくれる?」
「マオ様がおっしゃるなら」「マオ様が言うなら行くよ~」
~~ギルド応接間~~
「ったく…あれが俺たちの主人マオ神か…正直鳥肌が止まらねえよ…」
「しかしマオ神様の魔力はとても綺麗だと思いましたよ?」
「それだけじゃねえよ…でかすぎて見えねえとか…ルイとルルは気づいてないのか?あの異質さを…息苦しいっちゃないぜ…逆らいたくねえけど…現実を見せるのが俺の仕事だ…そして…あのお方はきっと人員を確保してくる。わかってるな?」
「ええ。冒険者を集める手続きをしておきます。あらゆる手を使って」
「頼むぜ…死ぬのは怖くないが…あれはそれ以上だ…」
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