死の噂
まるでゾンビのように森を歩いていく。きっと誰かが俺を殺してくれることを願って。
フラフラと死んだ目で歩き続ける。
一応目的地は決まっている、首都だ。大体2か月ほど歩いているのでそろそろつく頃だろう。
首都で情報収集して、死にまつわる話を聞いて、特に何もなかったら…
俺はいろいろ試した。途中触ると爆発するスライムがいて、爆散してみたが、すぐ視界が回復して元に戻っていた。
カマキリのような魔物もいて、首を刎ねられたが、首はすぐ消え元の位置に生えた。
途中の村で回復魔法をかけてもらった。俺はアンデットでもないらしい。
水中で溺死しようとした。普通に二日ほど水中で生きてた。
あとはもう…即死魔法みたいなものがないかと…獣人の国にそれらしい情報がなければ…次は魔法の国、魔人種族の町に行ってっ見ようかな?とか考えていた。
それすらダメなら…
そして獣人国の首都が見えてくる。
さすが首都というだけあって。5mほどの外壁があり、門も馬車が3台くらいなら通れるんじゃないかと思うくらい広かった。
ひとまず冒険者ギルドに行きたかったが…ちょっと広すぎてどこにあるんだこれ…
「そこの人族のお兄さん。案内役はいらない?」
猫耳の獣人が声をかけてくる。
「わるい。金がないんだ、冒険者ギルドに行ければ、この素材をうるんだが…」
そう実は無一文である。ココの集落に金は全部おいてきた。金はあっても困らないだろうと思って。
なので来る途中に狩っていた、カマキリの素材や、スライムの体液、でっかいトカゲの爪など素材は皮袋に入れて持ち歩いていた。
「どれどれ?みせて?」
そういって革袋の中をのぞき込む。
「冒険者ギルドだね!そこまで案内するよ。銀貨1枚でどう?」
「いいぞ。たのむ」
「え!?いいの?」
「構わん…さっさと連れて行ってくれ」
案内人の猫族の紹介で20分ほど歩いたらギルドについた。
2階建ての大きい建物だった。レンガ造りで、出入り口も広く、どうやら武器屋と防具屋も中にあるようだ。
首都には人族の姿も、ちらほら見て取れる。魔人種と人種は見分けがつかないので両方の意味を込めて人族という。
受付に行くと、狐耳を生やした獣人の女性が対応してくれた。
「どのようなご用件ですか?」
苦手なんだよな…三手、四手先どころか百手くらい先を読んでくるこの種族が…
「とりあえず素材を売りたい。あとどっかに情報屋か、情報を収集できるところを教えてほしい」
「かしこまりました。身分証をお借りしても?」
「もちろん」
そう言って銀のタグを首から外し、渡す。
「少々お待ちを…」
素材も一緒にもって奥に消えていく。
しかし首都というだけあってギルドもにぎわっている。獣人と人族がパーティーを組み。一緒に笑いあったり喧嘩したりしている。
こういう光景を見ると、いいなぁと思う。差別のあった村を見てるからだろうか。なんで意識を統一できないんだろうな…国の国土が広すぎるからか?…旅をしていて分かったが…生涯首都なんていくことがない人が多数だろう。ここまで来るのにどれだけかかるか…そりゃ管理しきれないよな…
そんな的外れなことを考えていると狐耳の女性が返ってくる。
なぜかとっても蠱惑的な笑みを浮かべて。嫌な予感しかしないが?
「おっと…つい…楽しそうな謀を見て心が躍ってしまいまして…お目汚し失礼いたしました」
「いや…構わない。ついつい見惚れてしまうとこだったよ」と冗談交じりに言う。
「それはそれは…素材の方の買取は金貨1枚と銀貨50枚になります。よろしいですか?」
狐耳の女性は銀のタグを俺に返してくれる
「構わない。んで?情報の方は?」
俺はそれを受け取り聞く、今日中に聞けるなら宿をとる必要もないからな。
「大体の情報はこの酒場で亭主に聞けば分かると思います」
そう言ってお金を載せたお盆に四つ折りにした紙も載せる。
「助かった。ありがとう」
お金と紙を受け取り受付を後にする。
「いえ、またいつでもお越しください」
ギルドの外で待たせていた案内役に銀貨2枚手渡す
「あれ?おおいよ!?」
「この酒場に案内してくれ。それでもう用はない」
「一日じゃなくて、一件銀貨一枚と思ってるんだ…まあ私は助かるけど…」
「どうでもいいからサッサとしてくれ」
「はーい。こっち!」
その酒場はなんというか…とてもさびれていた、ボロボロの石壁に、看板は傾き、入り口の木のドアもボロボロだ。大丈夫か?
「ほんとにここでいいの?」と案内役。
「ああ。もういいぞ、助かった」
「また何かあったら呼んでね!お兄さんならサービスしてあげる!」
猫人の言葉を無視し酒場に入る。
カウンターの前に座り、四つ折りした紙をカウンターに乗せて、銀貨を置く。そうしろと書いてあったからだ。
「…お客さんここは酒場だ。なんか頼んでくれ」
「じゃあ適当になんか出してくれ」ともう一枚銀貨1枚を置く
ロックグラスに氷と酒が入れられ目の前に置かれた。
銀貨一枚を回収され銅貨80枚を返される…だから小銭邪魔なんだって…
仕方ないので酒を飲み干し、お代わりを4回。銅貨が消える。ちなみに酔わなかった。
「で?どんな情報がほしい?姉さんの頼みだ何でも聞いてくれ」
姉さん?気になる一言があったがまあどうでもいい
「死に関する情報をくれ。呪いでもいい、そういう魔法とか、神話でもいい、とにかく情報がほしい」
「死に関する情報か…いろいろあるが…俺が精査した情報だと一つだけ確かなものがある」
「…教えてくれ」
「首都から北に馬車で15日ほど行ったところに、町があるんだが、そこの住民がとある日…全滅した」
「全滅?魔物か?」
「いや…そうじゃない…魔物の襲撃もなく、外傷もない、ただ村の住民は眠るように死んでいた。そしてその原因だが」
これは期待できるのでは?食い気味に話を聞く。
「原因はまだ分かってない。しかし…そこから東に外れた森で、異変が起こっている」
「異変?」
「あぁ…その森の周辺一帯、木がすべて枯れている。調査に入ろうとした冒険者も、足を踏み入れただけで10日ほど寝込んだそうだ」
「当たりだな…行く価値はある」
そうポツリとつぶやく
「しかし今はギルドが周辺を封鎖しているから、クエストを受けないと入れないから、首都で受けていくといい」
「わかった。ありがとう」
残った酒を飲み干し酒場を後にする。冒険者ギルドに戻らなければ…
「しかし姉さんはどうしてこんな情報をわざわざ俺に喋らせたんだ?」
四つ折りにしている紙を開きその下に重なっていた二枚目の紙を見ながら亭主は呟く。
そこには
『あの死病クエストを首都の冒険者ギルドで受けるように誘導しといてね』と
ギルドに立ち寄りクエストを受注しておく。
まるでもう用意していたかのように狐耳の女性が手続してくれた。
「この書状を見せれば中に入れますので」
「わかった」
「クエスト依頼は調査とできれば解決です。終わりましたら書状を、こちらのギルドにお返しください」
「ほかのところじゃダメなのか?」
「その書状はギルドマスターの書いた特別なものですので…返してもらわないといけません…悪用されないためにも」
確かに…人族のあのギルドを見ているのだ…一枚岩ではないのだろう…
「必ず返すよ」
「ええ…約束ですよ?」
俺はすぐに首都を離れ、北に向かって歩いていく。やっと死ねそうなので…ちょっとワクワクしながら
いつもお読みいただきありがとうございます。




