邪魔なメインヒロイン
心が痛い
俺はココのいるであろう場所に向かって歩く。町の端の方にいるようだ。
しばらく歩いていると一つ大きい家についた。ほかの家に比べて2倍くらいある。
中は明るく、男の声が複数聞こえる。
「別に逆ハーレムを楽しんでるならいいんだが…一目だけ見て大丈夫そうなら帰って寝よう…」
もし攫われているとしたら…やっぱりココとは狐族の集落でお別れだな。
俺にメインヒロインみたいな存在はいらないのだ…むしろ邪魔だ…
「あのー?すいませーん!」と大きな声で呼びかけ、ドアをノックする。
バァン!ドアが乱暴に開き
「なんだ?これから楽しい時間なのに…あ?人族が何の用だ?」
と睨んでくる
「ココという狐族の女の子を探しているんです。こちらにいると聞きましたので」もちろん聞いたというのは嘘だが。
「いや?いないぞ?誰から聞いたんだ?」
ギルティ―である…めんどくせぇ…
「いやーいると思うんでちょっと上がらせてもらいますね?ココが楽しんでいるなら文句は言いません」
そう言って俺は剣に手をかけ、押し入る。
「おい!待て!」と手を肩にかけられるが、
すぐにその手を突き刺す。ギャァァと悲鳴を上げるが、無視して進む。
リビングに入ると、服をはぎ取られ、下着だけになったココが縄でくくられていて。口轡をはめられ涙を流しながらうぅー!うー!と言っていた。
ため息がついてしまう…
「はぁ…そういうプレイなのか?できればイチャラブしてほしいとこだが…」
複数人の男で縄に縛られて楽しむとか重度の変態である…
「なんだお前は!」とココの足に手をかけようとしていた男が立ち上がり俺の方を見る。
「こいつを殺せ!!見られたら帰すわけにはいかん!」とさっき手を差した獣人が後ろから叫ぶ。
め ん ど く せ え
後ろから迫ってくる獣人を半回転し首を刎ねる。
前から突っ込んでくる獣人を、反転したまま後ろ蹴りで蹴り飛ばし、横からナイフをもってくる獣人を無視、ナイフが腹部に刺さるが、蹴り飛ばした獣人に向かって走り、袈裟切りで切り飛ばす。
ナイフを刺して呆然としてる獣人の胸を突き殺し…俺の横から逃げようとした獣人も背中から突き刺して殺す。
「お前はどこのメインヒロインだよ…すぐ攫われんな…」
そういって布をかぶせ肩に担いで家を出ていく。
うーうーと何か言ってるが、俺は怒っているのでそのままにしておいた。
「狐族の集落が見つかった。明日からそこに向かって旅立つ。そこでお別れだ」
そう俺が言うと、ココはしゃべらなくなった。
宿に帰り、ココを部屋のベットに寝かせ拘束を解いて、俺は自分の部屋に帰り寝る。
狐族の集落までは2日ほどだ。そこからまた俺は俺の旅をするのだ。
若干気がたっていたが…ベットに入るとすぐ眠ってしまった。
朝のいつものトレーニングをする。もうすぐ1つ目標が達成されるので色々考えてしまう。
俺は人種族が差別によって、ココを虐げる事に関しては、俺が守ってやらないといけない。そう思っていた。それはココにはどうしようもないことだ。しかし
おんなじ種族である獣人種がココを虐げる、ならそれはもう俺の管轄ではない。可愛さ余って?単純に可愛いから?もしこの国でもそうなるなら、ココは自分で自分を守らなければいけない。
守れないなら…俺がしたことも、彼女に見た生きる強さも、結局幻想だ。意味のない事だったのだろう。どうせまた同じ末路を辿るからだ。
この国に来ればココは守られ、彼女は前を向いて幸せに生きていけるだろうと。そんな考えは甘かった。
俺は死という闇に向かって旅をする。生きるという光を持った彼女を連れてはいけない。
ただ…邪魔にならないのならいいかな?とは思ったが…今回の件で分かった。邪魔である。
そんなことをもやもや考えてた所為で、ミスって足を切ってしまう…
「はぁ…この辺にしとくか…」
そうして俺は馬車の準備をすることにした。
宿にココを呼びに行く、彼女も昨日のことが残っているのか黙ってついてくる。
そして孤児院に寄り、ミーコを迎えに行く。
「先生!」と走ってくる
そのまま抱き上げて上げ、馬車に乗せてあげる。
「ミーコを頼むよ」
「ええ、必ず故郷に連れて帰りますよ」
そして馬車の中で「おねえちゃんだれー?」と声がするが…まあ同じ狐族だ仲良くやるだろう。
「先生またねー!」とお世話した子供たちに見送られ、馬車を進め、町を出る。
町を出てしばらくすると俺の膝の上にミーコが座ってくる。
「私もやりたいです!」と
手綱を握らせその上から俺が握ってやる。するとちゃんとミーとカンジは従って動いてくれる。
「ねえねえ先生!」とミーコが尋ねてくる。
「ん?どうした?」
「私が強くなったらちゃんと先生が連れてってくれる?」
「もちろん。ミーコが俺を守れるくらい強くなったらいいよ」
どうせ無理だからな。俺ですら、他人をちゃんと守れるほど強くない。
「私…頑張るよ!」
「あぁ…がんばれよー」と頭を撫でてやる。
ひとしきり満足したら馬車の中に戻っていった。
それからしばらくすると次はココが俺の横にやってくる。
「シン…その…」
「ん?どうした?」
「昨日はありがとうございました…そしてすいませんでした…ご迷惑おかけしました」
「あぁ…まあいいさ。俺はただいちゃついてるだけだと思ったしな」
ココが意を決したように…
「…私はシンが好きです」
「そっか俺もココは嫌いじゃないぞ?」とはぐらかす。
「いえ…そうでなく…私はシンが好きです。異性として、愛してます…」
「悪いが応えてやれない。俺の目的は知ってるだろ」
即答する。希望は持たせてはいけない。
「はい…でも…私は死に向かうシンを…見てると…とて‥も‥つらいのです」
涙を流しながら言葉を紡ぐココ
「そっか…出会ったのが間違いだったのかもな」
辛い思いをさせてごめんなと頭を撫でてやる。
「出会ったことが間違いだとは思いません!!私はシンに会えてよかった…もし同じ境遇になってもきっともう一回シンに出会います。その為なら何度でも一人で夜、魔物と戦ってもいいっ!」
そういうとココの頭に置いていた俺の手を取るココ
「私の辛さなんて、シンの辛さに比べると小さいものです…死に淡々と向かうなんて…何があったらそうなるのでしょうか…私は怖いです。死ぬことが…そしてシンが死ぬことが…」
ココは俺の手を自分の頬に当て…
「シンがもし生きると言ってくれたら…この暖かさが…自分の近くにずっとあるなら…私は…」
「俺もココなら隣にいてもいいんじゃないかと思った」と俺の本音を語る
「ならっ!」
「昨日の件で分かった。ココお前は世界に出るべきではない。ひっそりと集落で家族と暮せ」
「……」
「お前は魅了が過ぎる。いちいち構ってられないんだよ…集落で家族とそして恋人を見つけて幸せに生きていけ」
「もう私はシン以外は…考えられません…」
「集落についたら忘れろ…」
「いやです」
「忘れろ」
「嫌です」
まあほっといたら時間が解決してくれるだろう。そう思って黙っておいた。
俺の手はココがずっと握っていた。
街道を一日走らせ、そこからは徒歩だ。馬車を消し、ミーとカンジを離してやる。
「ミー、カンジ今までありがとう…あとは好きに生きろよ」
そう言って黒砂糖を食べさせ、撫でてやり、手を離す。
ミーとカンジは2頭並んでどこかへ走って行った。
「お馬さん逃がしちゃうんですか?先生」とミーコが言う
「もう役目は終えたからな…んじゃあ行くぞ」
「「はい!」」
山に入るとそこら中に罠があった。踏んだら木につるされる。紐に引っかかったら先の尖った丸太が横から飛んでくる。落とし穴に落ちたら、尖った木にぶっ刺さる。吊るしてある木に触れれば岩が落ちてき、地雷のようなものを踏めば火で焼かれる。
俺がトラップを踏み荒らしていると。
「あの…シン?」
「先生?トラップの場所、私たちが教えてますよね?」
「いや…ついでに死ねないかとおもって?」
「「やめてください!」」と二人に怒られた。
だってもう正直ここまで来たらもう俺が付き添う意味ないし?積極的に死ねるのだ。
何やかんやで目的地の集落が見えてきた。
トラップでは死ねなかった…いよいよ考える必要があるな…
大きな木が何本もそびえたち、その木に家がくっついてる?なんというか謎な光景だ…
木に階段が撃ち込まれており、これで上に上がるようだ。
そして上を見ると木と木の間に橋みたいなのがかかっており、木を利用して地上5mくらいの位置で生活しているようだ。
俺は淡々と階段を上り、ココは震えながら、ミーコは俺が抱っこしている。
階段を上り切るとそこには狐耳の女性がいて。
「ココ…?まさか…そんなっ!」
「おか‥さ‥ん…お母さんっ!」
そうして抱き合ってお互い涙を流しあうのだった。
どうやら誰かがトラップに引っかかりながら進んでる。というので何事かと警戒していたそうだ。
誰かと思ったら、狐族の子供を抱きかかえながら登ってくる人族で、興味本位で集落の人間全員で見ていたそうだ。
そしたら後ろには、もう会えないと思っていた娘がいて、幻覚か?と思いつつもついつい迎えてしまったんだとか。
しかしこれで肩の荷が下りたな…
んじゃあ俺はこれでっと踵を返そうとしたが、一晩だけでも…と離してくれなかった…
ココは俺との出会いとかいろいろ話していたが、出会った日のことは話していなかった。そりゃそうか…普通なら死んでたもんなあれ…
ミーコの両親はどうやら集落にいないようなのでココの家族に迎え入れてもうことになった。
そして夜寝る前に…
「ココ。これは餞別だ。俺が死んだら消えるかもしれないが…」
ココ用に、刃の長さを調整した薄紅色の鞘の刀だ。波紋が美しく波打っており、鏡のように美しい刃、これに強度と切れ味をイメージして作ってある。それとルービックキューブだ。
「ミーコにも短刀を」
ココに渡した刀より短くした短刀だ。いい姉妹になれるようにと願いを込めて外見はほぼ一緒だ。
「仲良く幸せに暮らせよ?」
「はい…ありがとうございます」
刀を抱きしめるように持つココ
「すぐ追いかけるますからね!」
短刀を掲げるミーコ
そして俺は用意された部屋で眠る。朝すぐに出かける予定だ。誰にも見られないように…
ベットに1つ仕掛けをしておいて…
お読みいただきありがとうございます。
書いてて辛いお話でした。




