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私の世界にようこそ  作者: てけと
第二幕 『イレギュラーは獣人に愛される』 
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獣人の町

 獣人国最初の町が見えてきた。町というか…あれは村だな。

 横には不機嫌そうにしているココが座っている。馬車の中にいればいいのに…

 御者をやりたがり、手綱を渡した瞬間に馬が止まり、何しても動かなくなったのだ。俺が手綱を握るとまた進んでくれた。なんでだろうな…


 村の前には丸い耳を付けた獣人が立っていた。 

 俺を見るなり。


「人種族の分際で何しにやってきた!」と武器を構える。


 なるほど、レイルの町とは逆なわけだ。人種族が差別される村なのか?まあ別に構わないが…


「あ~っと…俺は冒険者のシン、関所の獣人から書状ももらっている」と書状を取り出し、そいつに渡す。


 それを見るなり無理やり納得したのか。


「すまない…歓迎しよう。はいってくれ」と言って通してくれた。


 尖らせた木を斜めにして村の周りを囲って柵にしてある。家は丸太で作った簡素なものしかない。


 とりあえず宿を探したいな…と周りを見ると、俺を見るや否や、隠れたり、ひそひそ話したり、明らかに睨んでくるものもいた。相当嫌われてるようだな…これは…



 まず冒険者ギルドに向かうことにした。人の定住しているところには必ずあるのだ。

 冒険者ギルドだけは、ちょっと大きめに作られ、丸太ではなく、ちゃんと加工された木材で建てられていた。

 ギルドに入ると、中にいるのはすべて獣人だった。受付も獣人であった。


「おう?非力な人種族がなぜこんなとこにいるんだ?」


 犬の耳を付けた2メートルくらいの大きさのごっつい男が絡んでくる。


「絡んでくんじゃねえよ…めんどくせぇ…」と無視して受付に向かう。


「おぉ!可愛いお嬢さん…こちらでご飯でもどうですか?」


 矛先を変えココがナンパされてるが無視する。


「できれば俺でも泊まれる宿を融通してほしいんだが…」と受付の猫耳の獣人に聞く。

「そうですね…人種族が泊まれるようなところとなりますと…ここより北側の端に、私と同じ猫族の経営している宿がございます。そこに連絡しておきますので、日が暮れたころに訪ねてください」

「助かる…あとこの町のクエストを受けたい、宿のお礼に困ってる塩漬け案件とかでもいいぞ?」

「それはこちらも助かりますが…お連れさんがナンパされてますよ?」

「ここはあいつの国だ…惹かれ合ったのなら止める義理は俺にはない。で?クエストを頼む」

「では…この町はいま食糧難にあります、それはこの村の北側にある湿地帯からリザードが大量発生し、畑を荒らしまわってるのです」

「食糧難が塩漬けってやばくないか?」

「これはもともとこの町の衛兵の仕事ですが…手に負えなくてですね…それに村もそれほど報酬を出せないので…」

「リザードの素材は買い取ってくれるのか?」

「もちろん。それはギルドが買い取らせていただきます」

「んじゃあ受ける。達成条件は?」

「リザードの大量討伐です。夜に畑を荒らされるので、夜に畑を荒らされた形跡が無くなれば達成となります」

「んじゃあすぐ出る。宿の方よろしく頼んだ」

「はい、お任せください」


 そして踵を返し冒険者ギルドを出ようとするが…そういえば


「ココ俺はいくけど、どうする?ここでのんびりしと‥」

「いきます!」

「んじゃあいくぞ」


 あっ…とでっかい獣人がかなしそうにココを見ていた。










 大きな池のようなところに、でっかいワニのような魔物がいた。尻尾は短く、二足歩行でも歩けるようだ。


「しっかしコレどーすっかな…」


 沼地というか池だこれ…手で地面を触れてみるとズブズブっっと深みにはまっていく。


「さすがに戦えないよな…」


 遠距離から?弓なんて使えないし…槍を投げる?んー?槍を落とすか


 俺は手をかざし


「ココ離れてろ…必殺スピアレイン」とやる気なさげに声を出す


 空中に数十本の槍を具現化し、空から落とす。


 ズドドドドッとと槍の雨が降り…


「ガアアアアァ!」


 と当たりそこなった数体のリザードが二足歩行でこちらに走ってくる。


「柔らかい腹をさらして走ってくるとか…殺してくれって言ってるようなもんだよな…」


 柔らかい腹に、槍を突き刺す。槍はしっかりと刺さるが…


「捨て身かよ…」


 腹に槍を刺されても、そのまま大きな口を開きガブっ!っとくらいついてくる。


 鎖骨あたりをバキバキっと骨をかみ砕きながら噛みついてくる、そしてそれに続いて数体も俺の方に噛みつき…


 一斉に食われたら俺死ねるんじゃね?とおもうが…


「シン様っ!」


 とココが俺に噛みついてるリザードを一匹づつ切り伏せている。


 最初に噛みついてきたリザードから、バキバキと鎖骨を折る音が何度もしている。つまり噛まれながらも治ってるのだ…治ってかみ砕かれまた治るのループである。


「はぁ…」ため息をつき刀で頭を突き刺して殺す。



 一通り討伐すると、素材をはいでいく。鱗の付いた皮、肉 爪 牙 をばらして大きな布袋に入れる。

 沼の中で死んでるのは無視する。


「シン様はもうちょっとご自分を大切にできないのでしょうか…?」

「無理だなぁ…隙あらば死のうとするぞ?」

「私を送り届けてくれるのでは?」

「そうだなぁ…なんか聞くところによると、ココって可愛いとは思ってたけどさ」

「可愛いっ!?」

「でもそれは獣人の感覚でも可愛いらしいからな~ならもしどっかの町でココとほかの獣人が惹かれ合って、愛し合うなら、もう首都行かなくてもいいんじゃないか?とか思ってさ」

「それはないですね」

「は?でも本能で感じるもんなんだろ?獣人って、断言はできないだろ?」

「断言できますね。なのでちゃんと送り届けてください…」

「ココがそういうなら…わかった…」



 なんか釈然としない気持ちでギルドに帰るのだった…






「とりあえず一通りは倒しておいたからまた明日の朝確認してくれ」


 受付の獣人に報告しておく


「俄かに信じられませんが…わかりました。明日確認のため人員を派遣します」

「頼む。そんでこれを買い取ってくれ」とリザードの素材が入った皮袋を渡す。

「これは…少々お待ちください」そう言って革袋を奥にもっていく猫耳


 因みに後ろでまたココはナンパされている。しつこく好意を示されると好きになったりするらしいからな。スト-カーと結婚する女性もいるくらいだし。それくらい人の心はコロコロと変わる。気持ち悪い、から大しゅき!になるくらいに。コロコロかわるからココロというんじゃないか?というのは俺の持論である。


 そんなどうでもいいことを考えてると受付の獣人が返ってくる。


「素材の買取金額は金貨2枚になります。それでよろしいですか?」

「ああ‥いいよ」


 宿を借りる金とちょっと買い物できる程度でいい。


「ではこちらで…宿の方は言ってありますのでご安心ください」

「助かる。世話になった」


 そして宿に向かうことにする。ココも後ろからついてきていて、その後ろで俺を睨む獣人の男が気になった。



 宿の馬小屋にミーとカンジを預けて、宿に部屋を取りに行く。ちなみに馬車は消してある。


「部屋を2部屋2泊だけ頼む」

「1部屋で大丈夫です」とココ

「…2部屋で2泊」

「1部屋」

「…ココ…この町であの獣人と一生を過ごすか?」

「2部屋で2泊お願いします…」

「か…かしこまりました…2部屋で2泊ですと銀貨4枚になります」


 高い気もするが問題ない。


 まだレイルの村の小銭が残っていたのでそれで払う。


 宿の食堂で夕食を食べ、ココと別れて部屋に戻る。


 宿の固めのベットで寝ころび、今後の方針について考える。


「もしココが実際どっかの町でいい感じに恋に落ちたとして、一応あいつの住んでたとこには行って、娘さんは幸せに暮らしてますよって知らせるか。その時は一筆書いてもらおう。あとは…面倒ごとだな…」


 睨んでた獣人を思い出す。はぁ…めんどくせぇ…


 若干憂鬱になりながら眠りについた。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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