僕はこの世界で恋をする
ちょっと視点がうろうろします…話を割ってもよかったのですが…
僕は眠るシャルをじーっと見ていた…もうすぐ日が昇るだろうか…
この夜ずっとシャルの事を考えていた…
この世界にきてまだ一週間ほどなのに…元の世界の16年より充実していると、断言できる。
最初は、罪悪感だった。僕の何も考えない行動が、シャルを巻き込んじゃって…申し訳なさから、シャルを連れて歩いていた。
シャルは僕のことを好きと言ってくれる。眩しいほどの好意を示してくれる。これを僕はひよこの刷り込みだと思った…初めてあった僕を比べる対象がないから、好きだと。
だから僕は…もしシャルがほかの人を好きになっても身を引けるように…心のどこかで壁を作ってたんだろう…
でも一緒に過ごしてるうちに、僕もシャルが好きになってしまっていた…ずるいよね…こんな純粋な好意を見せられて…多分僕は初めて恋をしたんだと思う。
肌に触れたい、好きって言ってほしい、体温を感じていたい、つながりたい、混ざり合って一つになりたい…そうやって僕は感情の抑えがきかなくなっていくほどに…
だから僕は…シャルがもし…僕よりほかの人が好きと…そういう時が来たら…いや…来ないように…誰よりもシャルに愛してもらえるように…誰にも負けないように…努力しよう。
僕はシャルが好きだ。愛している。そしてシャルを守るためなら。この世界のすべてを敵に回しても、立ち回ってやろう。
シャル…目を覚ましてよ…シャルがいない世界なんて…そんな世界なんて…ぼくはいらない。
そして朝日が昇り……
「ん…っ」
「シャルッ!?」
「あれ…ツバサ…?」と体を起こすシャル
「シャル!」
ツバサはシャルを抱きしめる…優しく…もう離さないという意志を込めるかのように強く。
「ツバサ…へへへ~」
嬉しそうにシャルもツバサの背中に手をまわす。
シャル…シャル…そうツバサが呟く
しばらく抱きしめあい、お互い体を離す。
「ツバサないてるの…?かなしい?」
シャルはツバサの頬を撫でながら聞く。
「ううん…かなしくないよ…」
ツバサは頬を撫でるシャルの手にそっと手を重ねる。
「そうだ!ツバサにプレゼントがあるんだ~!」
シャルはポケットから布を取り出す。
布に包まれていたのは、羽の刻印がされた銀色の指輪であった。
「シャルはツバサにいっぱい、いーっぱい大切なものもらってるの!だから…この羽はシャルなんだよ!ずっとツバサと一緒にいれますよーにって魔法で書いたの!」
思わず涙がこぼれてしまう…まったく…ずるいよ…惚れないほうがおかしいよね…
「ツバサないてる…かなしい?シャルはいないほうがいい?」
不安そうな顔になるシャル。
「はは…嬉しくて泣いてるんだよ…ありがとうシャル…」
「嬉しくてもなみだ出る!シャル知ってるよ!」
「そっか…シャル僕の指につけてもらってもいい?」
そう言ってツバサは左手の薬指を出す。
「ツバサ…いいの?」
「え?」
「左手のくすりゆびにあいてからつけてもらうのは、いっしょうを共に過ごすちかいなんだよ…?」
そういう風習があるのか…とツバサは驚くが…そんなのは…
「…もちろん…僕はシャルと一生を、いやもし生まれ変わっても、共に過ごすと誓います」
するとシャルの目からも涙があふれ…
「ツバサ…シャル…も…ずっと…ツバサと…いることを…ちかいま…すっ!」
シャルは温かい気持ちになる涙を流しながら、ツバサに指輪を付ける。
そしてシャルも、自分の薬指についた指輪をツバサに渡して、ツバサもそれを受け取り。
「僕はシャルを絶対離さない。だから…僕と一緒に命ある限り…ともに歩いてください」
「は…い…っ!」
そしてツバサもシャルの左手の薬指に指輪を通す。
「シャル…キスしてもいい?」
「シャルは…ツバサになら…何されてもいいよ?」
そうして二人で貪りあうようにキスをする。
落ち着いたところで…無理やり落ち着いた…まだ朝だしね…いや…夜になってもまだやる気はない。それは当初決めた通りだ。
シャルの手を取って歩きながら、ミーシャの部屋に行く。
ミーシャはまだ寝てるようで、その横にサーニャがミーシャに抱き着くように寝ている。
起こすのも悪い気がするが…起きてもらおう…
「ミーシャ、サーニャ、起きて…」
「ツバサ…?シャル…シャル!?」
ミーシャはガバッと起き上がり、シャルに抱き着く。
「良かった…」
抱き枕を失ったサーニャも起きる。
「寝起きで悪いけど…昨日のことを色々情報を共有しときたいなって思って」
「そうね…二度とあんなことはあっちゃいけないもんね」
そしてミーシャ達は薬を盛られて、運ばれたこと、攫った二人の会話。
僕はギルド職員から聞いた話を伝える。
「食堂のおじさん…そっか…もういつもの定食は食べられなくなっちゃったね…」
と悲しそうにミーシャが言う。
「ごめん…僕のせいだ…その…僕に関わると…巻き込まれると思うんだ…だから…」
ミーシャが僕の唇に人差し指をおく。
「ツバサの所為じゃないでしょ…あの男が悪いんだから…それに」
ミーシャは僕の目を見て
「ツバサは私をもらってくれるんでしょ?言質はとってあるわよ」
と楽しそうに笑う。
「一夫多妻っていいの?」
「この世界の男性は寿命が短いのよ…魔物討伐とかに駆り出されるからね…だからもちろん認められてるし。私はシャルを出し抜く気もないし…」
「そっか…ミーシャがそれでいいなら僕はそれでいいよ…」と微笑む
「いつか骨抜きにして、ミーシャなしじゃ生きられない!って言わせて見せるからね」
「楽しみにしてるよ」
この世界の女性は強いなぁ…とても敵いそうにないや…
「シャル」
「はーい!」
「自分の怪我と、ミーシャの傷治せる?」
「シャルは別にけがしてないよ?ミーシャ怪我したの!?みせて!」
シャルの額に巻いていた布をとると傷が無くなっていた。なんでだろ…?
「シャル…そんな大きな傷じゃないから…」
「だめだよ!」
そしてシャルはミーシャの傷に手を当てて、シャル自身が光り出す。
「ひーる!」
するとミーシャの傷が一瞬で消えてなくなる。
「すごい…普通だと徐々に光が集まってこのくらいの傷でも5分くらいかかるはずなのに…」
冒険者見習いをしていた時の光魔法使いはそのくらいかかってたよ?と
「あと…そうだ。サーニャの斬られた尻尾とか治せる?」とシャルに聞く
「サーニャ!?しっぽ隠してるんじゃなくて、きられたの!?」みせて!と下着ごとズボンをずり降ろす。
「え…っ!?」
まだ寝起きでボーとしてたサーニャが完全に目を覚ます。
俺はそっと背を向けて
「ベットにねて!せなかをうえにむけて!」
「とりあえず任せるね…みんな夕食食べてないだろうし、ご飯買ってくるよ」
そうして僕は朝食を買いに出かける。いつものところでなく、ちょっと遠くのお店まで。
良さげなお店がなかったので、市場で食材を味見しながら買い、宿の食堂を借りて、みんなのご飯を作ることにした。
簡単なものだ、スクランブルエッグとパンと燻製肉。ちょっと多めに作ってミーシャの部屋に向かう。
部屋の前でノックする。ドアが開き、ミーシャが招き入れてくれる。
「ご飯持ってきたよ~みんなで食べよ」
するとなぜか顔を真っ赤にして涙目になってるサーニャがいた。
そしてその腰にはフサフサの灰色の尻尾がついておりフラフラと揺れている。
「おぉ!治ったんだ!よかった~」
「えっへん!」と胸を張るシャルがいた。
もちろん頭を撫でてほめてあげた。
みんなでご飯を食べながら、おしゃべりする。
「何でサーニャそんな顔真っ赤なの?」
「…シャル様に…穢された…」
「シャル…なにしたの…?」百合なのか?
「ん~?無くなった体をもとにもどすのはね~一回まりょくをあいての中に入れないといけないの~」
「ほー魔力をを相手に通すのか」
「それでね~自分の元々あった体をかんかくで動かしたり、いめーじしてもらって、それに沿って、シャルが魔力で形成していくの」
「なるほど…それであれか、シャルの魔力が気持ちよかったのか?」
「……」キッ!と睨まれる。
図星か…食べる手は止めないから全然怖くない。
「でも正直、規格外の魔法よ、欠損した体を戻せるとか神の偉業のようなものだからね。ツバサはその辺、分かっておいてね」
「そうだよね~うん、シャル、その魔法は僕が許可した人だけに使ってね」
なりふり構わず使っていいものではないな。
「ツバサがそういうなら!」
「今日はみんな好きに過ごしてよ。でも3人は一緒に行動しといて、僕はちょっとギルドに用事があるから」
そういうと金貨2枚ミーシャに渡す。
「昨日の報酬で今資金はあるから好きに使って、余ったら分配してもいいよ」
「だからほいほいと…まあいいわ…いきたいところもあるし…」
そして食事を済ませ、3人と別れる。
冒険者ギルドに入り、受付に向かう。するとギルド職員のお兄さんに、こちらへと案内される
「この度は大変ご迷惑おかけしました!」
「悪いのはあいつらなので…お気になさらず…」
「…私共がすぐに冒険者資格を剥奪して、牢屋にぶち込んでいれば…」
「今後気を付けてもらえれば…済んだことですし…」
「そう言っていただけるとありがたいです…」
「それで僕を呼び出した理由はなんですか?」
「そうですね。まず今回誘拐を実行した元冒険者の処遇ですが。奴隷に落とし、とある鉱山に送ります」
「鉱山で労働奴隷ですか?」
「ええ、その鉱山には神鉄が採掘されたことがあるんですよ。1500年前にですが」
「ほほう…だいぶ昔ですね…」
「もうすでに捨てられた鉱山ですが、ギルドとしては調査してほしい鉱山です。魔物も出ますし、なので今回ちょうど元鉄の冒険者の奴隷が手に入ったので調査をお願いしたわけです」
「なるほど」
「彼にはもし神鉄が発掘されれば、奴隷を解除し、銀の冒険者になれると言っております」
「発掘される可能性もあるのでは?」
「しかし、残念なことに…その鉱山から魔物がたまに出てくるので、入口を封鎖してほしいとの住民からの依頼がありまして…そうですね…具体的には、依頼をお願いした元冒険者が坑道の最奥に入ったころに入り口を封鎖することになりそうです」
「…なかなか腹黒い人ですね…」
希望を見せておいて、実はもう逃げ道がない。恐ろしいな…
「ギルドとしては一石三鳥ですよ。これがあの男の結末です」
「まだほかにも?」
「はい。もう一人の男ですが、この町に入り込んでた裏組織の情報屋でして、今回尋問の甲斐あって情報をすべて吐き出してくれました」
それはもう大変でしたよ…と悪い笑顔をするお兄さん。
「その情報をもとに現在町では大規模作戦が展開しております。もちろん秘密裏に…ですが…そういう専門の冒険者もいるので、これで一網打尽にできると思います。そして今回の功績についてですが…」
「報酬はもうもらってますよ?」
「いえ…もう一つツバサさんは冒険者ランクが上がります」
「僕だけですか?」
「もちろんミーシャさんとシャルさんも鉄の冒険者になります。暇なときにギルドに顔を出すようにお伝えください」
「ええ、伝えておきます。という事は僕も上がるんですね」と冒険者の身分証であるタグをお兄さんに渡す。
「今回、ギルドの失態である元冒険者の悪行を阻止し、裏組織の壊滅に決定的な打撃を与え、さらにワームを3体少数で討伐した。ホントは金でもいいのですが…ツバサさんには銀を与えます」
「僕だけ銀…ですか」
「ええ、金等級になるには、いろんな町での活動が必要になります。ですので、ツバサさんならすぐに金になるとは思いますが…銀等級になるとはいろんな勧誘が入ったりします。ですので…」
「ミーシャとシャルに気を使ってくれたんですね」
「町でいろいろ声をかけられるのはまずいと思いまして…特にかわいい女性だと…ね…」
「お気遣いありがとうございます…」
「ミーシャさんとシャルさんにつきましても、ツバサさんの一存で銀にあげられるようにはしてありますので、そこは好きにしてください」
「何から何までありがとうございます…」
「ではこちらが銀の身分証になります。銀になりますと町の宿や武器屋、防具屋などで優遇されるようになりますので、できればその町のクエストを受けてあげてください」
「わかりました…まだ少しこの町に滞在するので、その時はよろしくお願いします」
「ええ、もちろん!こちらこそよろしくお願いします」
そして僕はギルドをでて今後のことを考えながらブラブラ町を探索する。
~~ミーシャ視点~~
私がまだ冒険者見習いだったころ、お金がなくて…それを見かねたおじさんが良くご飯を恵んでくれた。
ちょっと味が濃いけど…私はおなかがすいてたからそれがおいしくて…
冒険者になってからも、少ないお金を握りしめて何度も通った。
「でももうおじさんはいないんだね…もういつもの定食は…」
ツバサの前ではいつも通りふるまっていたけど…やはり悲しい…
私はシャルとサーニャを連れて食事屋に来ていた、そういつものところだ…
お店は開いていた。しかし不思議に思うこともなく…
泣きそうになりながら店に入る…席に座り…いないとわかっていても…いつも通り注文してしまう。
「いつもの…やつください…」
「はいよおお!!」
「!?」
おじさん!?いや…明らかに声が若い。新しく入った人だろうか?
ほどなくして、出来上がった3人分の食事
「あがりぃ!」
そして私はそれを席にもっていき、3人で食べる。
「おいしーー!」
「ガッガッ!もぐもぐ」
と食べ始める二人。するとさっきの亭主だろうか?厨房から出てきて私の前にくる
「オヤジとは話したことないだろうけどさ、ずいぶん気にしてたぜ?嬢ちゃんはちゃんと飯食ってんのか?とかうちみたいな場末の食堂に来てお金がないのか?とかな」
「…っ!」
つい涙があふれる…
「オヤジは十分生きたさ、確かに人に殺されたのは納得できないが…でも人生を全うしたさ!そしてオヤジなら俺にこういうのさ」
『俺の料理を待ってくれる人がいるんだ!悲しんでる場合じゃねえ!さっと厨房に立て!立ち止まんじゃねえ!』
「話したことはないけど…言いそうだね…おじさんなら…」
そして私はいつものを食べる…
「どうよ!オヤジのよりうめえだろ!」と胸を張る若亭主。
「ちょっと味が濃いわよ…」
涙でしょっぱかったのかもしれない…
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その後、僕たちはギルドに寄ってミーシャとシャルの身分証を更新したり、次の町に向かう準備をしたり、町をブラブラしたり、取り止めのない日々を過ごした。
奴隷館でココという狐族の獣人の少女の話は特に情報はなかった。
そして次に向かうのは、ミーシャの育った孤児院がある町である。
実はこの話で13万文字くらいで、ラノベ一冊分くらいです。読み進めていただきありがとうございます。
気に入ってくれたのなら今後もどうかお付き合いください。




