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私の世界にようこそ  作者: てけと
第一幕『レギュラー』
30/189

ココロの弱さ

 朝日が窓から差し込み。目が覚める


 ふと机から顔を上げると、獣人の女の子と目が合う。黒いワンピースを着た、小麦色の肌の可愛い少女が朝日を受けてキラキラしているように見えて…

 まだ夢を見て得るのだろうか…夢ならちょっとモフモフしてもいいだろうか…そうしてその少女の頭に手を伸ばすが…よけられてしまい…手が空を切る…


「ツバサ―!おっはよー!」


 とシャルが部屋に入ってくる…


「…ツバサ…誰この子?」


 あっそういえば奴隷買ったんだった…


「シャル…ちょっと水もらってきてくれるかな…」


 寝起きで意識が覚醒していない…思考がまとまらないのだ…


「ツバサ。おはよ…って奴隷?」


 ミーシャも部屋に入ってきて…









 ベットにシャル サーニャ ミーシャの順番に座り、そして地面に僕は正座する。


「そりゃ…ツバサも男なんだから…でもシャルちゃんの気持ちを断ってるわけでしょ?それで性奴隷ってどうなの?」

「ツバサ…シャルじゃダメなの…?」

「……」

「そりゃ僕もシャルに迫られてムラっとくることもあります。男なんですから…でもサーニャはそういうのじゃないんです…」

「でもやったんでしょ?さぞかし昨日の晩は楽しかったんでしょうね」

「むぅー!」

「……」

「やってないです僕はまだ童貞で経験がありませんごめんなさい許してください勘弁してください」


 早口で謝罪の言葉を口にし、正座のまま土下座する


「というかサーニャ!弁解してよ!」

「奴隷は主人に逆らえないの。無言は肯定と取るわ」と睨まれる

「ツバサは…シャルを…捨てるつもりだった?」とぐすっと嗚咽が聞こえてきて。

「……」サーニャはぼーっとしてベットに座っている


 とりあえず僕は立ち上がりシャルを抱きしめる。


「シャル…そんな訳ない…僕はこの世界で一番シャルが好きだし…シャルには救われてるしね…」


 この世界でもし一人で旅を始めてたら、さみしくて暴走してたかもしれない…それにシャルを不自由させないように、必死だったから、普通に人と喋れて、冒険者ギルドに登録するまで至ってるとおもう。

 シャルは僕のせなかに手を回す…そのまま僕は回ってベットに座る。

 シャルを膝の上に置いて、後ろから抱きしめてあげる。


「昨日説明しなかったのはみんな疲れてるから、サーニャも一日置いて落ち着けるように、後回しにしたんだ。軽く説明しとけばよかったね」

「まったく…朝からお熱いことで…」

「…ツバサ…」

「……」

「まず自己紹介がいるよね。サーニャ自己紹介。命令はしないけど…食事がほしかったらみんなに挨拶して」

「サーニャ 16歳 獣人種狼族。昨日ご主人様に買ってもらった。奴隷になったきっかけは私の村で重大な掟を破ってしまったから、村を上げて私を奴隷として売ることがきまった。まだ性経験はない。昨日私はご主人様にご飯をもらってそのまま寝た。起きたらベットで寝ていて、ご主人様が起きるのを待ってた」


 めっちゃ喋るね…餌付けが一番効果あるのか?


「というわけなんだ…前衛としてパーティーに入れようと思う」

「性奴隷として買ったんじゃないっての信じることにするけど…我慢できなくなったらシャルちゃんを最初にしてあげてよ…」

「いや…そういうのは自分の家をもってから…ってそんな話じゃなくて!」

「シャルだよ!よろしくねサーニャ!」とサーニャの前に行き手を握るシャル

「…私奴隷…手が汚れるよ?」

「ん~?きれいですべすべだよ?」

「そうじゃなくて…」となぜか恥ずかしそうに横を向く

「ミーシャ。奴隷ってそういう扱いなの?」

「まあそうねー。常識ない二人には特になんも感じないか…奴隷っていうのはね…」と説明してもらう

「そっか…それはつらかったんだね…サーニャ」


 頭を撫でてあげようかと思うが避けられる。そしてなぜかシャルが頭を差し出す。シャルを撫でてあげる。


「へへへ~」ホント可愛いな…

「んー奴隷から解放してあげてもいいけど…」

「それはやめといた方がいいわね…逃げられるだけならいいけど…暴れられたらたまったもんじゃないし。辛辣かもしれないけど、あんまりそう簡単に何でも信じちゃだめよ?」

「そうだね…とりあえず軽くご飯を食べて冒険者ギルドに行こうか」


 装備を整えてギルドに向かうことにした。





 いつもの軽食屋さんでサンドイッチを買う、今日は魚のフライだったこれまたおいしい。サーニャには2個買ってあげた。


 冒険者ギルドに入り、受付に向かう。前のギルド職員のお兄さんがいた。


「ギルドの試験の合否を聞きに来ました」

「お待ちしておりました。お二方合格になっております」

「よかったです」

「ではギルド身分書を登録いたしますのでお名前をお聞きしてもいいですか?」

「僕がツバサで彼女がシャルです」

「はい。…ではツバサ様、シャル様。こちらが身分証になります。ランク銅からスタートになります」


 銅でできたドックタグのようなものを渡される


「ありがとうございます。ランクはどうやったら上がるんでしょうか?」

「銀まででしたらクエストを数こなしていただければ、こちらで自動的にランクアップさせていただきます」

「もし途中で別の町に移動したら?」

「そのプレートは中に認識の魔法陣が引いてあります。それによりその証明書を渡せばどのギルドでもその冒険者の素行や、クエスト状況、履歴が閲覧できるようになってます」

「なるほど…」

「クエストはギルドの依頼掲示板に張ってあります、ランクに応じて受けられるクエストは限られますが、基本銅だとそこまで難しいクエストはないですね。採取関連やスライム等がメインです。なお町の何でも屋のようなクエストも発行しております。これは衛兵の仕事ではありますが、人手はいくらあっても困らないため、こずかい稼ぎ程度に参加してもらって構わないかと」

「大体わかりました」


「いえ、がんばってください」


 受付のお兄さんにお礼を言い、掲示板とにらめっこしているミーシャのもとに向かう。


「なんか目ぼしいクエストはあった?」

「ん~…草原の調査クエストとかがいいかな…」

「どれどれ…」


 町の東に広がる草原に、ワームが出現したと報告があった。

 至急調査をされたし。ワームの痕跡を発見し報告願う。

 討伐した場合、報酬上乗せ有

             

「いいんじゃない?痕跡発見で銀貨10枚、やってみようか」

「んじゃ受けちゃいましょ」


 受付に僕、ミーシャ、シャルで行き、身分証を渡してクエストを受ける。


「まず先に武器屋と防具屋に行ってサーニャの装備を買おう」

「そうね…防具は買ってきてあげるから、武器のほう任せていい?」

「んじゃあ任せた。どれくらいお金いる?」

「んじゃあ…銀貨一枚でいいわ」


 銀貨一枚ミーシャに手渡す


「東門に集合でいい?」

「了解!」




 そうして武器屋にやってくるが…その前に…


「サーニャ『命令』だ。シャルとミーシャに危害は加えるな」

「わかったよ、ご主人様」

「んじゃあどの武器が使いやすい?えらんでいいよ?」

「んー…この短めのタガーがいい、できれば2本」

「んじゃあそれください」

「あっさり、奴隷に武器、買うんだ、ご主人様」

「実は僕はサーニャを見込んでるんだよ。サーニャには底知れない力が宿ってるからね」


 神獣化とかね


「…期待に沿えるよう努力する」

「もちろん期待してるさ」

「ツバサ~」

「どうしたのシャル?」

「シャルこれ欲しい!」


 どれどれ…とみると水晶がついた指輪みたいなものだった


「これはなんですか?」

「ああそれは魔法を補助するアイテムさ、俺は魔法を使えねえからよくわかんないが、イメージを補助する?イメージに沿って魔力が動きやすくなるってやつらしいぜ」

「へーこれだけしかないんですか?」そんなの僕もほしい

「あぁ…それしかないし…お値段も銀貨50枚だ」


 じゃあ仕方ないか…


「じゃあそれとタガー2本で」

「タガーの代金は負けといてやるよ…売れない魔法アイテム買ってくれるならな」


 お礼を言って武器屋のおっさんに銀貨50枚手渡す


「ツバサ!ありがとう!」


 そう言って指輪を左手の人差し指にさそうとするが、サイズが合わないのか薬指にさす。

 この世界ではそう意味はないのだろうか?まあシャルなら別にいいけど

 タガーをサーニャに渡してやる


「んじゃあ東門に行こう」



 


 皮の胸当てなどの一式をサーニャに装備させて町を出る。


「しかし…僕たちはあの草原から歩いてきたんだけど…ワームなんていなかったけどな~」

「なつかしい!ツバサと初めて会ったばしょ~」

「草原を縄張りにしてるけど、基本地中にいるし、あまり地上に出ることのはい魔物なのよね…」


 地中にある微生物を食して生きてる魔物で雑食ではあるが、気性は荒くなく、ワームがいることでその土壌は良質なものになるらしい…がさすがに魔物のいるところに畑を耕すわけにもいかないらしい。


「ミミズみたいなもんか…」

「そんな可愛いものじゃないわよ…大きいのだと6~10mくらいあって牛とか一飲みらしいわよ…」


 うへぇ…しかも地中にいるから真眼でみえないし…


「サーニャの策敵頼りだ…まかせたよ」

「わかった」


 草原を適当に歩きなんとなく僕とシャルの出会った場所に向かう。




 そこにはちょっと大きめのクレーターがあった。僕の始まりの場所だ。しかし…


「こんなに穴開いてたっけ…?」


 そのクレーターに5個から10個ほどの直系2メートルほどの穴が開いていた。


「何ここ…大魔法でもだれか使ったのかしら…」

「シャルとツバサが出会ったばしょ―!」

「は?」

「やらかしたよねー…まあ僕はシャルに出会えて良かったけど…」

「シャルもツバサにあえてよかった!」と後ろから抱き着かれる

「隙があったらイチャイチャするのやめなさい…」


 しかしこの穴は…とミーシャがしゃべろうとした瞬間


「ご主人様…くる」


 ドドドーンっ!と3体のワームが飛びでてくる。


「うへぇ…きもちわるい…」


 ギラギラ光るピンク色のヌメヌメした体表、口についたギザギザの無数の牙、うねうねしてる長い体…


「ツバサ!どうする!?」


 もちろん


「撤退!触りたくない!」


 一目散に逃げる。あれは無理だ…倒せるだろうけど…生理的にキッツい…


「なんかおってくるよ~?」

「げぇ!?」

「ツバサ!ひとつ言っとくけど!あの程度で気持ち悪くて!逃げてたら!この先冒険者として!いきていけないとおもうよ!」と走りながらミーシャ僕に叫ぶ。


 そうだ…ここは異世界だもんね…でも今回は…()()()皆を守り切れないだから…


「シャル!ミーシャを抱えて飛行して撤退!」

「はーい」羽を出すシャル

「サーニャ!こい!」

「んっ」


 サーニャをおぶって、速度に気をつけながらダッシュする。


 そして振り切るともう追ってこなくなったのだった…





「ふぅ…しかしこれで依頼は達成できそうだね」

「いらいたっせい~」

「ツバサ…あなたなら…」

「うん…言いたいことはわかるけど…みんなを守れないと判断したら撤退するよ…」


 わかっている…これは言い訳だ…僕はまだこの世界をゲームみたいなものだと思っていたのだろう…実際ちがう。スライムを倒すことに抵抗はなかった…しかし明らかな生物、あんな大きい生きているものを…対峙するだけでも…正直とても怖い…



 僕は覚悟もないのに…冒険者になっただけなのだ…チートに頼って…そんなのは…


「とりあえず帰りましょうか。調査結果をギルドに知らせないと」

「かえろー!」

「そうだね。もどろう」


 苦笑いでそう答えるのが精いっぱいだった…








 冒険者ギルドにワームの出現地域を知らせて依頼を完了する。

 近々討伐隊が結成されて、ワーム討伐に赴くそうだ。

 ワーム討伐は20人くらいの編成でいくらしい、それでも数名は犠牲になるかもしれないとか。それくらい厄介な魔物なのだ。




 宿に戻り部屋に帰ってきた。報酬の銀貨10枚はシャルとミーシャに半分ずつ渡してある。


「僕のせいなのかなぁ…」

 

 そうポツリとつぶやいてしまう…


「ご主人様はなにもの?」

「ん?」

「あんなに速く走れるのは獣人でもそういない」

「あぁ…」


 自由行動という事で僕は部屋に帰ってきた。命令権がある僕からあんまり離したらまずい、という事でサーニャも一緒だ。


「力はあるんだよ…多分この世界のだれより…僕は力だけはある、でもね…この世界の誰より…ココロが弱いんだよ…」

「ココロがよわいの?」

「ずっと逃げてばっかりだったからね…」


 僕はずっと逃げてた、トラブルが起こると周りに迷惑がかかるから、そう言い訳して。僕は今まで自分に起きる不幸に立ち向かったことはない。しかたないだろ?目に見えないものとどうやって戦うんだよ。

 そうして僕は引きこもった…ココロも、思考もすべて閉ざして。世界から隠れた…


「…私も…ずっと逃げてた…」

「え?」

「私の家族は各地を放浪しながら生きる種族、定住しない、でも私は、はぐれた、必死で探して、見つけたと思ったら魔物に…」

「……」

「私はその魔物が怖くて…必死で逃げて逃げて…定住する獣人に保護された、魔物が怖かった、憎いより恐怖が勝ってしまった…」


 そりゃそうだ…『恐怖』に勝つには『勇気』がいる。『勇気』をふり絞るには強い『ココロ』がいるのだ…


「私は、魔物が怖くて、怯えて、でもそんな私を優しく迎え入れてくれた村、それに、年下の女の子に励まされて、私はちょっとはマシになった…」

「でもそんなある日、わたしを、励ましてくれた子が、人種族の人に、捕まったって聞いた、私はすぐナイフをもって、村を出た…助けなきゃ…私のココロを救ってくれたあの子を…私は匂いをたどって追いかけた…」

「途中魔物に遭遇したけど、もう怖くなかった、今まで怖かった、恐怖していたものが、怖くなくなってて…」

「必死だったんだね…」

「うん、人種族に追いついて…数人殺した…でももう間に合わなかった…」


 なるほど…だからか


「人族同士で争っちゃいけない、そういう掟破っちゃって、私は人族に売られることになった。でもいいかなって…奴隷になったら、もしかしたら、あの子に会えるかもしれない、だからね」

「そっか…」

「だから、ココロっていうのは…自分で強くするものじゃない、誰かを想って、だれかに想われて、強く()()()()()ものだと思う。ご主人様は…今までそういう人がいなかった…でも今は違う、シャル様もミーシャ様もあなたを想ってるし、とてもいい人」

「そうだね…」


 僕にはもったいない仲間たちだ。



 

「……サーニャ頭撫でさせてもらってもいいかな?さみしくなっちゃって…」


 僕は、泣いてる顔を見せたくなくてお願いする。


「特別」


 そう言って頭を出してくれる。


「ありがとう…」


 サーニャの頭を撫でてると少し落ち着いた気がした。





 落ち着いたところで、サーニャに質問する。


「サーニャを救ってくれたっていう子、僕も会ってみたいな~」

「ん…私も会いたい…ホントは、会えるまで誰にも、買われたくなかった」

「そっか…ごめん…そうだ!その子の特徴を教えてくれる?探してみるよ」

「…会えるかな…」

 「約束はできないけど…僕にできる範囲なら何でもするよ」

「私を救ってくれた子は、まるでお日様のように、優しくて、眩しくて、そんな彼女が…私を闇の中から連れ出してくれた、お日様のように輝く、金色の髪の毛の…名前はココっていう狐族の女の子」

「狐族のココちゃんだね…歳はどれくらい?年下だって言ってよね?」

「私より4歳下…奴隷になって何年たったか覚えてない…ココを取り戻す以外は、どうでもよかった」

「そっか…これから町をいろいろ旅するからそのたびにその町の奴隷商に聞いてみよう…」

「ご主人様…ありがとう」

「僕が会ってみたいだけだよ…そういえばサーニャは聞いていいのかわかんないけど…」


 そう言って僕はサーニャの腰のあたりを見る…獣人を見るのは初めてだが…


「尻尾は人種族に奴隷受け渡されてから切られた。耳は許してくれた」


 そう尻尾がないのだ…尻尾を切り落とすとは…むしろ魅力の一つだろっ!?


「…サーニャのしっぽ見てみたいし…あとでシャルにお願いしてみるか…」

「尻尾は…もう生えない…いいの…諦めてるから」

「まあ…やってみるだけならタダだし…」


 正直、シャルの回復能力がどの程度なのか僕はまだ知らない。帰ってきたら試してもらおう。


 


 その後とりとめのない話をしつつ時間を潰していく、ココちゃんの話を聞くと、めっちゃ饒舌に話してくれた。どんだけ好きなんだろう…会わせてあげたいな…


 日も暮れて、そろそろ夕食の時間になったので、食堂におりていく。

 二人分頼んで部屋で食べる旨を説明し、一人分は代金を払う。

 食事ができるのを待ってると…


 バンッ!っと宿のドアが開かれ慌ただしくだれかが入ってくる。

 ギルドの受付のお兄さんだった。

 僕を見つけるなり駆け寄ってきて


「ツバサさん!シャルさんとミーシャさんが誘拐されたかもしれない!」と…





「はっ…?」


 僕は思考が停止した。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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