さよならガルス山脈また帰ってくる日まで
大筋のストーリーは最後まで出来ているのですが、如何せん細かいところが詰め切れなくて難儀しています・・・。
頭悪いのに変に設定を作りすぎたせいでもあります・・・。
出発当日、必要なものを全てイベントリにしまい込み、シンさんを待つ。
朝のピークをいつものように越えた後に出発することになった。シンさんは今うちの店の厨房の清掃をしている。真面目か!
レイネちゃんとクルルはずっとそわそわしている。クルルは街を出るのは初めてだし、レイネちゃんは帝都に行くのは初めて、不安より好奇心がかなり勝っているようだ。
俺はゲームの中の帝都はよく行ってたから特に新鮮な感じはないけどな~。
少しするとシンさんが厨房から出てくる。それと同時にクルルの両親も出てきて、レイネちゃんの両親もやってくる。
「それじゃあセイ君。娘をくれぐれも頼むよ」
「はい。おじさんもお店の事よろしくお願いします」
「うちのレイネの事もよろしくね?この子は純粋すぎていろいろ危ないから・・・注意してあげてね?」
「はい。目を離さないように見ておきます」
「クルル。たまには帰ってきて、元気な顔を見せてね?」
「うん。お母さんも体調崩さないようにね!」
「うおおおお。レイネ・・・辛かったらすぐ帰ってくるんだぞ・・・」
「はーい!」
レイネちゃんとクルルがお互い両親と抱き合う。なんせ帝都はここからかなり遠い。気軽に帰れる距離ではないからな・・・最悪今生の別れになるかもしれない。
まあそうはさせないが・・・。
店の奥からジェシーが出てくる。
「行ってらっしゃいませご主人様。くれぐれもお気をつけて」
「この店の事、頼んだぞ」
「仰せのままに」
別れの挨拶が済んだところで出発である。
しかし・・・シンさんは首をかしげてこう言った。
「あれ?お前ポータル開いてねぇの?商人持ってるよな?」
「・・・。え?」
「え?じゃねえよ。商人スキルの転送だよ。地点登録してねぇの?」
いやまぁ、俺のスキルについてはシンさんに話してるし、商人スキルもレベルアップして、そのスキルは習得している。でも・・・。
「素材がないんですよ。ポータルは地点登録する場所に魔法陣を刻むんですが・・・その素材がなかなかレアでして・・・」
「これが?」
そう言ってシンさんは大きな瓶を取り出す。透明な瓶の中には、青黒い液体が入っている。
解析を使用すると、確かに・・・転移スライムの粘液だった。
転移スライム、通称テンスラはとにかく逃げ足が速く硬い。なにせ転移で逃げるから、なかなか倒せないし、なまじ攻撃を当てたところでほぼダメージが通らない。
そもそも存在が貴重であるし、倒したからと言っても、経験値が大量にもらえるわけでもなく、ドロップも普通のスライムと変わらない。
しかし・・・こいつにはレアドロップがあるのだ。それがこの粘液。商人なら喉から手が出るほどほしがる代物だ。
ゲーム時代にこいつを使って金策する人もいたくらいだ。一つで10000金・・・つまりは金貨1万枚で売れるからだ。
それを当たり前のように持ち、こちらにポイッと投げる。
「あ・・・危ない!?・・・・ふぅ・・・投げないでくださいよこんな希少品!?」
「希少っつっても、俺には使えないからガラクタ同然だ。それに・・・精霊魔導士ならいくらでも手に入るぞそれ」
イベントリからさらに10個取り出すシンさん。
「なにこれ・・・スライムの粘液?」
瓶を手に取りまじまじと見るクルル。
「落とすなよクルル・・・それ一個金貨1万枚はするからな・・・」
「一万枚!?」
震える手でそおっと瓶を机の上に置くクルル。気持ちはわかる、ゲーム時代なら金貨一万枚くらいちょっとダンジョンでも行けば稼げたが、今となっては大金だ。
ポータルによる地点登録に一瓶使う。つまり最低二瓶はないと意味をなさない・・・というか。
「精霊魔導士なら簡単に取れるんです?」
「ん?あのスライムはプレイヤーからは逃げるが、精霊からは逃げないからな。精霊を好きにさせてたら勝手にとって来たんだよ。そんな貴重だったんだな」
そ・・そんな裏技が!?
「さっさと店のどこかに地点登録して来い。日が暮れるまでには次の町に入れなかったら野宿だぞ」
「行ってきます!!」
二階の開いている適当なスペースに魔法陣を刻む。これでもう一つどこかに魔法陣を刻めば、いつでもここに帰ってこれるというわけだ。
「終わりました!」
「そんじゃあ出発だな」
そう言ってシンさんは歩き出す。
「それじゃあ帝都で拠点を構えたら一回返ってきますね」
「お・・おう」「さっきの今生の別れ感はなんだったのか・・・」
「お帰りお待ちしております。ご主人様」
「「行ってきまーす!」」
そうして俺たちは、シンさんの後について、ついにこの町から出ることになった。
道中?
「あれは!ロックドラゴン!?なんでこんな所に・・・レベル40帯なのにたまにポップするボス級モンスター。確かレベルは・・・90前後・・・」
「「ひぃ・・・」」
スンという気の抜けた音がしたかと思うと、ロックドラゴンは唐竹割よろしく、頭から胴体までは左右に分かれ、一刀両断されていた。
刀を鞘に戻すシンさん。
「ん?さっさと行くぞ。出来れば野宿はさせたくないしな」
「あ、はい」
「ええ・・・」「かっこいー」
だいたいこんな感じだった。精霊魔導士?どう見ても侍・・・。精霊さんはずっとシンさんの周りをふらふら飛んでるだけだし・・・。
ちょくちょく寄生レベリングをさせてもらい、俺とレイネちゃんとクルルも少しだけレベルをあげつつ、帝都に向かって旅をするのだった。




