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私の世界にようこそ  作者: てけと
いつか最大の商店社長
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出る杭は打たれる、しかして打たれた杭は・・・

サブタイトルが適当になってきた今日この頃。

 深い眠りから目を覚ますと、牢屋にいた。

 何を言ってるかわからないと思うが、俺自身何が起きているのか理解できなかった。


「あの・・・なんで俺こんなところにいるんでしょうか?」


 牢屋の前にいた見張り番に声をかける。


「商業ギルドを介せず、勝手に商売をした罪だ」

「へ?俺が店を開いてたのは自由市だし、入場料も払ったぞ!」

「そんなことは知らん」

「俺はどうなるんだ・・・?」

「お前は奴隷になる。それが今回の判決だ」


 は?わけがわからん。ちゃんと確認したぞ?確かに商業ギルドの承認があれば、どこでも店は開けるが、売り上げの20パーセントを持っていかれる。

 それが嫌だったから、自由市場に銀貨50枚支払って店を開いたんだ。

 自由市場の手数料だって商業ギルドの懐に入ってるはずなのに・・・。


「奴隷の手続きができるものが、数日で町に着く。それまでおとなしくしているんだな」


 はぁ・・・戦闘能力もないし、なんだよこれ、ハードモードすぎんだろ・・・。

 ひとまずこの状況を打開するために頭を回すことにしよう・・・。


「うぅ・・・」


 牢屋の隅で誰かがすすり泣く声が聞こえる。


 え?幽霊?普通に怖いんだが・・・。


 しかしよく見て見ると、部屋の隅に蹲っている小さな子がいた。確かこの子は・・・。


「あれ?工房を貸してくれた親方の所の・・・たしかレイネちゃんだっけ?」

「はぃ・・・」


 彼女は珍しいドワーフとビーストのハーフ。小さな体、短くそろえられた白い髪に白い犬のような耳。

 見た目は小学生1年生くらいだが、これで年齢は同い年くらいだそうだ。


「どうしてここに?家族仲睦まじかったじゃないか」


 奴隷(予定)の俺と一緒に入れられているという事は、彼女も奴隷になる(そうなる)という事だろう。


「いきなり商業ギルドの長さんが来て・・・手数料が足りないって・・・ちゃんと払ってたのに、売り上げをごまかしてるだろって・・・それで担保に私が・・・」

「やりたい放題かよ・・・」


 レイネちゃんは確かに可愛い。この町で一番かわいいかもしれない。まあ幼く見えすぎて、一緒に歩いてるだけで警察のお世話になりそうだが・・・。


「うぅ・・・お母さん・・・お父さん・・・」

「あぁ・・・俺が何とかするから・・・泣かないでくれ・・・」

「えっ・・・何とかなるの?」

「うーん・・・(多分)何とかするから、少しおとなしくしておいてくれないか」


 弱弱しく泣きじゃくられたら、集中して思考ができないし・・・。


「わかった・・・静かにしてるね・・・」


 レイネちゃんは三角座りをし、顔をうずめる。

 物音ひとつしない空間で、俺はひたすら打開策にの為に熟考した。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。








「だとしたら・・・物は試しか」

「何か思いついた?」

「『光よ。この星を照らす光よ。我が魔力を食らい、かの闇を打ち消せ。ライト』」


 LW時代に何度も唱えた呪文。魔法職専用スキル、魔法適性がないと発動しないはずの魔法。しかし俺の指先に、ほんの小さな光が灯る。

 魔力を絞って消費をほぼ0にしているからこの程度しか灯らないが、魔力を込めればしっかりとこの光の玉は輝くだろう。


「え?お兄ちゃん魔術師なの・・・?」

「えーっと・・・まあそんな感じかな?」


 ステータスを見ると、【魔術師】が追加されていた。

 つまり、剣を振ってスキルを模倣すれば剣士にもなれる。つまりはなんにでもなれる才能。

 それが【多芸多才】。その代わり、CPによるスキル取得は出来ない。自分自身が鍛錬しない限り、技術は上がらない。


 魔法が使えるなら、楽勝だな。呪文は全て頭の中に入っている。なけなしのCPを全てMPに割り振り、魔力が全回復するまでじっとしておこう。

 勘違いしがちだが、INT(知力)の値が高いからと言って、魔法攻撃力が上がるわけではない。知力が上がると、記憶力が上がる。LWでは、簡易メモ帳の様なものが頭の中にあり、ここに呪文をコピペして、それを読み上げるわけだ。

 つまりINTをあげれば、メモ帳に記入できる容量が増える。たくさんの魔法を覚えることが出来るという事だった。

 威力をあげるには、魔力制御を覚え、込めた魔力によって威力が上がったり下がったりするわけだ。


 大まかな魔法の呪文なら空でも言える。ならば魔力極振りで問題ない。


 床に寝そべり、脱出計画を考える。と言ってもまぁ、魔法が使えるならどうやっても脱出できるし、問題はどうやって丸く収めるかだよな・・・。


「あれ?お兄ちゃん寝ちゃうの?」

「ん?ちょっと休憩かな。時間はあるし。大丈夫だよ、レイネちゃんもちゃんと助けるからさ」

「ほんと?私お家に帰れる?」

「お任せあれ。親方さん達には大事な工房貸して貰ったしな」

「ありがとう・・・お兄ちゃん・・・うぅ・・・帰れる・・・」


 怖かったんだろうな・・・。俺もこのチートスキルがなければ、縮こまって震えていただろう。


「お兄ちゃん・・・隣行ってもいい?」

「ん?いいよ」


 レイネちゃんは俺の隣に寝ころび、ギュッと服を掴んでいる。

 可愛い妹が出来たみたいで、つい頭を撫でてしまう。

 レイネちゃんは頭を撫でられると、目を細め、しばらくすると寝入ってしまった。


 さて・・・どうすれば丸く収まるんだろうな・・・。しかるべき裁きは受けてもらうぞ?





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 商業ギルドの長であるデネブは、その大きな体を特注の椅子に沈ませ、笑みを浮かべていた。

 でっぷりと太った体に、各指には大きな宝石のついた指輪を付けており、来ている服も最上級の物ばかりだ。


「奴隷商人はいつ来る?」

「明日の午後には到着するそうです」


 秘書のジェシーが答える。ぴっちりしたスーツを着たグラマーな女性。綺麗な顔立ちをしており、金色の髪を腰まで伸ばしている。

 

「それで?奴隷商人なんて呼んでどうするつもりなのですか?」


 つけているメガネをくいっと上げ、質問する。


「お主には関係ない。いつも通り雑務をこなしておけ」

「はい。それでは失礼します」


 ジェシーは軽くお辞儀をし、部屋を後にする。


「金の生る木の小僧に、前から目を付けていたレイネ。ついでにあのジェシーを奴隷にして・・・グヘヘ。こんな辺境の町なら目を付けられることもない。笑いが止まらんわ」


 大きな腹をさすりながら大声で笑うデネブ。

 彼の悪事はこれだけではない。裏で担保と称して少女や少年を集め、奴隷として売る。設けている店には法外な商業税を課す。

 普通の商業ギルドなら、徴収した税を町の発展に使ったり、孤児院を経営したり、街道を整備したりもするのだが、デネブは何もしない。

 ただただ搾取し続けるだけなのだ。



 そしてそんな悪行を見逃すわけもなく、ジンスピット帝国の帝都から監視役として派遣されたのが、ジェシーである。

 しかし、帝都は人選を間違えてしまった。ジェシーはデネブに多大な金をもらい、本部に噓の報告書を送っているのだった。


 そして、ジェシーを奴隷にすることで、今後この生活を死ぬまで続けていると思っているのだ。


 そう、彼を標的にしなければ、この贅沢な生活を続けていられたかもしれなかったのに・・・。


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