首都に向かうで!
「よーっし!首都に向かうで!」
「「「「はい!!」」」」
宿を出て、そう大声を張り上げる。気合が大事なのだ。というかノリ?
「首都に行くのはいいんだけど・・・今後同じような事が起こらないとは限らないわよね?」
アリスがそう言うが、今回の件はちょっと特殊やし、もとはと言えば、ワイが悪い。
「冒険者と関わらんかったらエエだけやねん。それにちゃんといろいろ考えてはおるよ」
「ふーん・・・ならいいんだけど・・・」
今回の件は、奴隷商が発行した裏クエストとかいう冒険者での依頼だった。
クエスト内容はこうだ。
『ハイエルフの捕獲。なるべく傷がないよう、欠損は論外。報酬は金貨150枚。その他詳細は奴隷商店長迄』
ミナに裏を確認させたので間違いない。
冒険者ギルドに行ったときに見た顔がいたので少し調べさせた。なんせ美形なハイエルフと言うだけで襲われたら、たまったもんやないからな。
本来そんな胡散臭いクエスト受ける奴は居らんやろうけど、私はいらん恨みを買ってた訳やし、それで受注されたって感じか。
「まぁ首都に行くと言っても、寄り道はするけどな。4人にはこの世界の初心者ごときは、片手であしらえるくらいになって貰わなあかんしな」
「え?」「ん?」「はい?」
ラクも首を傾げているけど・・・。
「ん?生産職は戦えんわけやないで?ただどうしても対人の方に寄ってまうけどな」
「いや・・・そんな話聞いたことないけど・・・」
アリスが怪訝な顔でそう言う。
「いやいや。生産職が対人で戦えへんかったらどうやっていろいろ守るねん。略奪され放題やんけ」
「どんなひどい世界なんですか・・・マスターはそんな世界から?」
「まぁ・・・特に貿易で馬車とか走らせとったら、大体襲われるしな。町中ではさすがになかったで?」
「普通は護衛とかを雇うのが普通っすよね?」
「無駄に金かかるやんけ。そんなんで儲け出えへんで?」
「削れるところは削る。勉強になります」
ミナが用意していた馬車に乗る。御者はミナとジーナがやるらしい。私も出来んことはないけど・・・ゲームの中ではできたけど・・・。
「で?ジュン。今後の予定を軽く聞いても?」
「ん?そやなー。途中にあるダンジョンには寄るかな」
「リビングデット屋敷とか?」
「んや。あそこはええわ。めんどい。次によるのは亡霊の館やな」
「え・・・あそこはレベル40代の・・・」
「そうやなー・・・物理が効かんわけやないし、死霊達の墓場はパスやけどな・・・あそこは魔法職やないと厳しいし・・・」
「いえ、そう言う事を言ってるんじゃなくって・・・レベルが・・・」
「あの・・・マスター?」
「なんやジーナ」
恐る恐る手をあげるジーナ。
「そのダンジョンってもしかしなくても、自分たちも一緒に行くんっすかね・・・?」
「もちろんやでー。そこがワイがパワーレベリングしてあげられる最後のダンジョンや」
「ひぇ・・・自分その・・・アンデット系って怖くて・・・」
「アンデットって言っても、亡霊はアーマー系やで。中身のない甲冑が動いてるだけや」
「ええぇぇぇ・・・いや、十分怖いんっすけど・・・ほら!ラクも怖いっすよね?ツァリーも!」
ラクは横に首を振り、ツァリーはにっこりと笑う。
「ミナは!?ミナも怖いっすよね幽霊!っていうかなんでアンデット系のダンジョンばっかなんっすか!?ゾンビに亡霊に死霊って!?」
「私は生きてる人間の方が怖いですよ。アンデット系が多いのは、人族の多い地域だからですよ。やっかみが多い種族ですからね。恨み妬み嫉妬を抱きながら死ぬことが多いんでしょう」
「そうなんか?あんま考えたことなかったわ」
そう言われてみれば、サンライド連邦国はアンデット系多いな。
「ええ。代表的な種族で言いますと、エルフは長命の為か達観した思考を持ってますし、ドワーフは短絡的で、考えるより行動で示します。龍族は力が全てですから、死んでも自分が弱かったと納得します」
あぁ~確かにそんな設定あったな・・・。
「うぅ~・・・ど・・どうすれば・・・」
「それやったらジーナ。武器強化でレベルあげるか?ダンジョンに一緒に入るのは変わらんが、回る回数は減るで?」
「上げます!!モリモリ上げます!素材!強化素材!!ミナ!強化用の武器!!早く!!」
「どんだけ嫌やねん・・・。生産、加工でも経験値は入るからな、ミナは業者してるだけでも経験値が入る。敵を倒すだけやないからな。ラクとツァリーも、暇やったら生産しとき」
「はい」
「あの~?私は?」
「あ?アリスは敵を倒し続けるだけや。休憩時間はフィールドの敵倒しに行くからな。野営はワイとアリス、半々で見張りや」
「ひぇ・・・」
「当たり前やで。ワイらは戦闘、ミナたちは生産や、役割分担。まあ戦闘職の仲間が増えれば少しは楽になるやろうけどな・・・」
「ふ・・増やしましょう!!奴隷を買いましょう!!」
「買わんて・・・」
「なら募集しましょう!!」
「んー・・・保留。とりあえずワイは困らんし」
「私が困りますよー!!」
「うっさい。苦労は買ってでもしろっていうやろ?ワイは最強を目指してるんや。そのギルドメンバーが弱かったらあかんやろ」
「むぅ・・・。分かりました・・・。ジュンの隣に立っていられるように頑張ります!」
「おう!その意気やで!」
馬車の中から、流れていく景色を見る。
最強か・・・初心者だらけのこの世界で、果たしてそこに魅力を感じるのか。この目標がつまらない物やったら、私はどうすればええんやろうな。
終焉のダンジョンをソロで攻略は無理や。仲間は必要やけど・・・。一回も死なずにそこまでレベルをあげれるのか、LWの知識が通じなくなったら?
敵は魔物だけやない、今回の件で分かった通り、人も敵たりえる。
奴隷なんているくらいだ、人の命の軽いこの世界で、自分は楽しくゲーム気分で生きていけるのだろうか。
はぁ・・・。頭のいいセイなら、どうやって生きていくんだろうか。戦闘しか能のない私が・・・守れるのだろうか、自分の身内を・・・。
ワイワイと騒ぐギルドメンバーたちを尻目に、先の事を考え、少し憂鬱になってしまっていた。




