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私の世界にようこそ  作者: てけと
第一幕『魔女王』
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私たちの変なご主人様

ルイ視点です。

主人公視点ばかりではいろいろ見えないものもあると思います。

 私たちは戦闘奴隷だ。魔人国では魔力量が低いものは虐げられる、特に双子は生まれてくる際、魔力を分け合ってしまうので、双子で生まれてくると魔力がどうしても低くなってしまう。


 そして魔力が低く、食い扶持が2倍になる双子はあまり家庭に歓迎されず、貧しい村で生まれた私とルルは10歳で奴隷として売られることになった。


 そして運が悪かった私たちはとある貴族に見初められてしまう。その貴族は女性が戦いの中で死んでいくことに、性的興奮を覚える変態だった…。


 しかし奴隷である私たちに拒否権はない。最初は子鬼(ゴブリン)のような魔物と戦わされた。

 正直ボロボロになるまで性奴隷として扱われるよりは、戦いの中で死んだ方がマシだったのかもしれない。


 私は、そんなふうにあきらめた思考で呆然としていると…妹のルルはそうではなかったようで…


「私は…命を懸けてもお姉ちゃんを守るよ…私のせいでお姉ちゃんがこんな目にあってるんだから…」


 妹のルルは、そんなふうに考えてるのでした…さすが姉妹ですね…おんなじことを考えてるとは思いませんでした…


 生まれたことに、負い目を感じてしまう…私が生まれなければ、ルルを不自由させなかったと思う…


「それは私のセリフよ?ルルは命を懸けても守るわ」


 お互いに笑いあい、覚悟を決める。


 私は剣で、妹は盾を持つ。


「ギャハハァ!」


 女の獲物に喜ぶ子鬼。しかし…


「ルル!」

「ルイ姉!」


 双子ゆえに…一つの魔力を分かち合ったゆえに、お互いの考えは手に取るようにわかる。


 ルルが盾で子鬼の攻撃をはじき、すぐさま身を低くしゃがむ。


 そして私はルルの後ろから、剣を横一線に振りぬく。

 その剣は子鬼ののど元を掻っ切り…わたしは子鬼にとどめを刺し、返り血で血まみれになった私たちは、瞳に涙を浮かべ、腰を抜かしてへたり込むのだった。


 そうして初日を乗り切り…私たちはこの環境で生き抜くために、いろいろ試行錯誤することに決めた。


 ルルは光魔法が得意で、私は火魔法と水魔法が得意だとわかりました。得意というのは、自分にとってイメージを明確にしやすいという感じだ。


 魔力が少ない私たちは、必死で魔力操作を練習する…無駄がないように精密に…

 

 最初私たちを買った貴族は、なかなか死なない私たちに、苛立ちを感じていたが…3年ほどたったある日私たちを売ることにした…


 闘技場の戦闘奴隷として…


 貴族たちの娯楽施設である、闘技場の戦闘奴隷は、死ぬまで戦い続ける。どちらが勝つか賭けたり、ただ観戦したりと、いろいろな人がいるようだが…そんなことは私達には関係なかった。


 私たちはあきらめるわけにはいかない。闘技場の戦闘奴隷は多少扱いが良くなる。

 特に食事はだいぶ改善され、空腹で一夜を過ごすという事はなくなった。

 そして唯一の特典は闘技場の戦闘奴隷は主人を選べる。

 選べるというよりは断る権利があるだけだ。闘技場で戦い2年ほどすると、いろんな主人候補が私たちを勧誘しに来たが…どう見ても、ゲスな人しかいなかった。

 


 正直このまま闘技場で人生を終えてもいい、そう私たち双子は思っていた。


 しかしそれから1年後…馬鹿みたいに、膨大な魔力をもった女の子が訪ねてくる。


「すごくきれいな戦闘でした!」

 

 奴隷に敬語?なんだこの人は…魔力の機微を見るために、私は値定めするように見る。私はともかく、妹に嫌な思いはさせたくない。

しかし…魔力が大きすぎて私には細かく感情が読み取れない……


「ルイさん!ルルさん!私を助けてくれないかな?」


 ルルの方を見ると、首を傾げていた。ルルは私ほど魔力感知に長けていない。まったく感情が見えないのかもしれない…


「私はルイ姉に任せるよ~」

「マオ様に頼まれて拒否権は…」


 横にいた魔法騎士団の男がしゃべる。


「アミルさん…黙っててくれないかな?」と笑顔で魔法騎士の男に言う女の子。


 しかしその目は全然笑っていなかった。その表情を見て、背筋が凍る。 


「す…すいませんっ!」


 そういって後ろに下がり跪く。何者なんだこの人は…


「無理にとは言わないけど…でもルイさんとルルが、決断してくれるまで通っちゃうからね!私には二人が必要です。私の心がそう思ったから…譲らないよ…?」


 なんというわがままな人だ…しかし…この人の魔力はとてもきれいなのだ…純粋?とくに悪い感じはしない…なら私は私の長年培った勘を信じてみようと…


「分かりました…では不肖ながら私ルイとルル、マオ様にお供させていただきます」

 

 そういい跪くと、横でルルも跪く。


「そういうのはいいから、立って立って!契約成立!契約書持ってきて~」


 そして後ろにいた奴隷商が私たちの契約書を持ってくる。


「ありがとう。そしてさようなら~」


 そういって私たちの契約書を破り捨てる…


 は…!?


 私たちを長年縛っていた首輪が外れる…


「マ…オ…様?」

「ええ!?」

「どこのだれだか知らない人の契約なんて、破棄します!私は、私とルイさんルルさんで、ちゃんとした契約をします!」


 どういうことなのだろうか?奴隷など、生殺与奪権を握って当たり前だ。いわば物のようなものなのだ。

 契約?


「さっき作った魔法なんだけど…私のお願いを、魔法で紡ぐから嫌だったら拒否して?よければ受け入れてね」


 そういい両手を私とルルの胸に当て…


「マオの名において…世界の理を破り…彼の者と契約を交わさん…」


 そしてマオ様のイメージや思考、情報が流れてくる。つまりマオ様は自分の生活が整うまで助けてほしいと…それが終われば後は自由にどうぞと…


 あとそれまでに私たちの心を手に入れてやると…


 純粋で真っすぐなその思いに、ついつい笑みがこぼれてしまいます。これだけ想われて…誰が断れるでしょうか…

 時間にして数秒そして、ルルの方を見ると彼女も首を縦に振りうなずいてました。そして…


「≪契約(コネクト・リンク)≫」


 光が収まり…マオ様は額に汗をかきとびっきりの笑顔で…


「これからよろしくね!」





 下町を観光しながらマオ様に質問する。

「そういえばマオ様。契約の魔法は結局、どのような魔法なのですか?」

「んー契約が終わるまで、離れなくなる感じの魔法かな?」

「もし私たちが、契約を守らず逃げちゃったら、どうなるの~?死ぬの?」

「まさか~私の大好きな、ルイさんとルルさんを、死なせるわけないじゃん!」


 なぜこんなに私たちに、好意を寄せてくれているのかはわからないけど…


「じゃあどうなるのでしょうか?」

「ふふふ~そうだねー簡単に言うなら…離れれば離れるほど不安になるよ?それはもうほかの国まで逃げちゃった日には、私なしでは生きられなくなるくらいにね!」

「……それはある意味、死ぬより怖いことなのかもしれませんね…」


 しかしすでに私たちは、このご主人様に惚れてしまっているのだ。まったくなんて性質が悪い…


「でも魔法の力で骨抜きにするのは、私の望むところではないからね!だから契約が終わるまではおとなしくしててね!」


 人の心を掌握するなんて…まさに魔女王たる所以なのかもしれませんね…


「もちろん。それまで私たちは、マオ様から離れることはございませんよ」

「うん!頼りにしてるよ!」

「おまかせください」 

「まかせて!」


 



 そして王都を出発し、マオ様が下賜されたという拠点に向かって、馬車の旅が始まる。

 途中町を経由し、10日ほどかけて向かう予定だ。特に何事もなければいいのだが…。


 マオ様に、護衛を雇ったほうがいいと、具申したが…マオ様はどうやら、自分の信頼のおけない人を雇いたくないそうだ。しかしそれは正解なのかもしれない。正直マオ様は、貴族にあまりよく思われてない。

 突如現れて、何の功績もなく、貴族以上の権限を持った人を、良く思う方が難しい。護衛がその手の者の可能性が高いので、雇わないほうが正解なのかもしれない。


 マオ様は馬車の中で、何か楽しそうに作っている。糸に魔力を通すとは…水のような液体は魔力を溶かしやすいけど…糸とはいえ固体に魔力を通すのは難しいというか…相当の魔力が必要となる。マオ様の膨大な魔力あっての芸当だろう…

 

「マオ様。少々止まりますね」

「どうしたの?何かあった?」

「道が倒木でふさがれているので…少々お待ちください。ルル」


 ルルに目配せする。すると彼女はこっちの意をくんでくれたように…


「は~い。ちょっと見てくる!」

「この周辺で、魔物が暴れたという情報はないので、意図的なものかもしれません」 

「意図的?それってもしかして?」


 私は魔力を薄く広げ、魔力感知を発動する。


「……周辺に気配を感じますね。マオ様は少々馬車でお隠れになっておいてください」

「ルイさん気を付けてね…」

「ご安心ください」


 すると盗賊の男が現れる。

 森に8人 街道に出てきたのが8人 戦力を半分づつ分担しているようだ。


「久々の獲物だなぁ~こんな田舎に何の用かな?」

「……」

「ダンマリってか!しかも女3人!これはついてるぜぇ~お前らひっ捕らえろ!あんまり傷はつけんなよ!」

「へい!」


 横目で見るとマオ様が膝を抱えて震えていた…彼女は優しい…今までこういう経験はしたことがなかったのだろう…与えることは無意識にやってしまう彼女も、奪ったり、奪われるというのは、多分苦手なのだろう…それならこれは私たちの仕事である。


 彼女を安心させるようになるべく優しい声で…


「ご安心くださいマオ様。あなたには指一本触れさせませんから…」


 そして私は集中する。マオ様を怖がらせたこいつらに慈悲はないのだ…





 戦闘が終了し、倒木もルルにどけてもらい出発する。


「では行きましょうか。マオ様出発します」

「ルイさんルルさん!」

「はい?」

「なになに?」


「守ってくれてありがとう!」


 そう言う…とびっきりの笑顔で…ほんとこのご主人様はずるいと思う…


「「どういたしまして(だよ!)」」

いつもお読みありがとうございます。

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