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私の世界にようこそ  作者: てけと
最強ちゃんのパワーレベリング
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ダンジョン

アリスさんの視点で続きます。

「私をあなたの弟子にして下さい!!」


 まだ人の賑わう夜のレストラン。そこで食事をしていた彼女に頭を下げ、そう叫んだ。

 食事を楽しむ周りの人の視線が痛い。が、それも作戦の内だ。これだけの人の前で、私の頼みを無下には――。


「嫌や。つーか誰やお前。ワイはめんどくさいの事が死ぬほど嫌いやねん」


 即答される。しかし引き下がれない。


「そこをなんとか・・・」


 顔をあげ、彼女を見ると、こちらへの興味を完全に失っており、食事を楽しみだした。無視である。

 

 私は彼女の前に座り、ウエイターに食事を頼む。ここで弱気になるわけにはいかない・・・。私の求めるものを、この人が持っている可能性が高いのだ。


「今日のあなたの戦闘を見させていただきました。正直言います。異常です。そんな低レベルで、あれだけの強さはおかしいです」


 何の反応もなく食事を勧める彼女。何か秘密があるはずなのだ。


「何か秘密があるはず・・・。何を隠しているんですか?どのみちそれほどの強さを持ったあなたは、何処かで目を付けられます。私ならば力に成れ――」

「ごっそさんでした。異世界言うから飯は期待して無かったけど、金出せばうまいもんはあるねんなぁ~」


 そういうと彼女は席を立ち、颯爽と会計に向かった。それと同時に私に料理が運ばれてくる。


 私は諦めませんからね!と自分の所持金がほぼ消えるほどの夕食を、モキュモキュと半分泣きながら食べることにした・・・。










 翌日、日が昇る前に目が覚める。これは長年の癖みたいなものだ。どんな時間に寝ても、この時間に起きてしまう。そして木剣を振る。走るという訓練の様なものは、惰性でやってしまっている。ここまで来たらルーティーンと言ってもいいのかもしれない。

 お金の残金が心もとないため、宿屋のおばちゃんに頼み込んで、馬小屋の井草に包まれて寝た・・・冒険者を始めた当時の事を、少し懐かしんでみたものの、やはりいいものではなかった・・・。



 日課を終え、少しすると彼女が宿から出てくるのが見える。もちろん後を追う(ストーキングする)

 

 北門を越え、また昨日と同じ?と思っていたが違う。ここは・・・・。



 子鬼の洞窟。ダンジョンだった。


 ダンジョンはパーティー3人以上での攻略を冒険者ギルドから推奨されている。それをソロで?ダンジョンボスは五人がかりでも2~3時間はかかる。丸一日かけて攻略して、ようやく脱初心者を名乗れる。冒険者にとって最初の難関だ。


 何のためらいもなく、ダンジョンに入る彼女。私はそれを追って急いでダンジョンに入る。

 ぎりぎり間に合ったようで、数秒後にダンジョンの入り口が塞がる。


 伝承によると、ダンジョンは異空間にあるそうだ。一つのパーティーが入ると入り口が閉まる。こうなってしまうと、転移石という少しお値段の張る脱出用アイテムを使うか、ダンジョンボスを倒さないと出れない。

 そしてこちら側では閉じたダンジョンだが、向こう側ではそんなことはない。同じダンジョンではあるが、別の異空間にある為、他のパーティーに会うことはない。正直理外の外ではあるが、そういう仕様だということだ。


 辺りを見回しても彼女はいなかった。もうすでに先に?

 洞窟の先を見ると、子鬼が走っているのがちらりと見えた。私は慎重に近づく。


 ダンジョンの魔物は外の魔物に比べてかなり強い。同じレベルで比べても、耐久度、攻撃力が2倍ほど強い。だからダンジョンでは、パーティーを組むことが推奨されているのだ。そうでないとボスどころか、ダンジョンを徘徊する多数の魔物に蹂躙されて終わるからだ。


 走っている子鬼はこちらの事など意に介さず、何かを追っているようだった。なにか・・・?


 ・・・彼女以外にはいないだろう・・・。


 いやいやいや・・・自殺志願者なのか?ダンジョン内の魔物は死ぬまで追いかけてくる。なにせ逃げ道がないことは明白。逃げれるのは外の魔物だけだ。外の魔物は領域外に出れば、そこから追ってくることはないからだ。


 最後尾の子鬼から少し距離をとったまま、その後を追う。


 

 少し開けた場所で、ゴブリンが切り刻まれ、吹き飛んでいく様を目にする。

 どんどん減っていく子鬼。そしてついでのように吹き飛ばされた大きなゴブリン。このダンジョンの中間ボスだ。こいつを倒さないとこの先の扉が開かないのだ。ついでに倒せるような強さでは・・・。


 すべての子鬼が死に絶え、その大量の死骸の中心に、返り血を浴びて、血まみれになった彼女が立っていた。

 目茶目茶嫌そうな顔をした状態で・・・・。こちらを見つめていた・・・。



 バレタ!?



「おいおいおいおいおい!取得経験値がしょっぱいなぁ~と思ってたら・・・なんや?寄生か?殺されても文句は言えんで自分」


 鬼気迫る顔でこちらに歩いて来る彼女。ひぇ・・・。


 腰を抜かし、何とか距離を取ろうと後ずさる。


「んー・・・?確か自分は・・・残念聖騎士やないか・・・」

「あれ?覚えて・・・?でも昨日は・・・」

「ん?宿屋以降で会った覚えないけど・・・?あ・・・もしかして昨日レストランで、ワンピース着てワイに絡んできたヤツ・・・?」

「はい・・・」

「あぁ~・・・めーいっぱいおめかししてたんやな。別人やん。んで?なんでここにいるんや?レベル43やったらこんなダンジョンに来る意味ないやろ?」

「ええ・・・昨日私が言った事・・・覚えてません?」

「弟子にして?おかしいやろ。なんで自分よりレベルの低いワイに頼むねん。レベルの高い聖騎士に頼めや」


 腕を組んで、仁王立ち。こちらを見下したままそういう。もちろん血まみれのままで・・・。正直怖い・・・。


「高レベルの聖騎士様なんて、私が行けるようなところに居ません・・・。それに、あなたはいろいろ知っているのでは?」

「むぅ~・・・そうか・・・掲示板もなければ、ギルド募集も気軽には出来んか。遠くにいる人に通信する手段がないわけか・・・」

 

 うーん・・と唸りつつ考える彼女。ひとまず血をどうにかしてほしい・・・。

 イベントリから桶、水、布を取り出す。それを彼女に差し出す。


「ん?ありがとう」


 顔をがしがしと拭く彼女。ふぅ・・・。と息を吐く。


「わかった。話は聞いたる。そんでワイからも条件をつける。とりあえず宿で待っとき」

「実はもうお金が・・・」

「ワイの泊まってる部屋で待っとき・・・これ鍵や。あと転移石な。」


 ポイっと鍵と転移石を投げられる。

 

「え?・・・この転移石はあなたのでは・・・?」

「別にいらんのに、ギルドのお姉ちゃんに押し付けられてん。はい!さっさとダンジョンから出る!邪魔や!」


 半ば無理やりダンジョンから脱出させられる。辺りが光り、その光が収まると、ダンジョンの入り口に転移していた。


「・・・とりあえず宿に帰りますか・・・」


 そうして私は、日が昇り始めて間もなくというのに、宿に引きこもった。というか、ベットに入ると眠気が襲ってきたので、その誘惑に負け、眠りに落ちた。

 

お読みいただきありがとうございます。

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