想い人の元へ
5話連続投稿しているので注意してください
久々のLWからログアウトし、現実世界に戻る。ツゥーと頬に涙が伝う。
もうあの親友とは会えないのだ。ネットが届かない・・・相当な山奥か、どこかの隔離施設か・・・。山奥ならば、職人修行をするときにでも会えるだろか・・・。
部屋で追い込んでいると、ドアがノックされる。
「よー!聖!朗報だ!って・・・泣いてんのか?」
「んや・・・。何でもないよ父さん。朗報って何?」
袖で涙を拭って父さんを見る。ほらっとメモ用紙を俺に渡す。
「住所・・?またどっかの職人さん?」
「違うぞ~。行ってみればわかると言いたいところだが・・・。碓氷家。凜ちゃんの現住所だ!」
「!?」
ドクンッと心臓が跳ねる。
「お前ももうだいぶ立ち直って来ただろ?ここで一度向き合っておけ・・・。どっちに転んでも、今のお前ならもう前に進めるはずだ」
「・・・。ありがとう父さん・・・」
最初に俺に生きる意味をくれた彼女。もしそれを否定されても・・・。俺にはもう一つやりたいことが出来た。だから・・・。
「逃げずに・・・。立ち向かってみるよ」
うむ!と満足げに父さんは笑いかけてくれた。
次の日、俺は木々生い茂る山道を歩いていた。都心を離れ、バスも電車もない田舎道を、仕方なく徒歩で目的地まで歩く。
「本当にこんなところにあるのかよ・・・」
そうボソッと愚痴を吐く。
最後のバス停からおよそ1時間。ようやく目的地に到着する。少し大きめの一軒家。たしかに表札は碓氷になっていた。
数分深呼吸してからカメラのついたチャイムを鳴らす覚悟を決める。会って一言二言はなせれば自分としては十分なのだ。それだけで俺は・・・。
ピーンポーンとチャイムの音が響き渡る。30秒ほどすると、女性の声が答えてくれた。
「はい?どちら様でしょう・・・か・・・」
「どうも。ご無沙汰しております星野です。あの・・・凛さんはいらっしゃいますか?」
応答がない。なのでこちらからまた話始める。
「あの・・・。昔お世話になった星野聖です。碓氷凛さんと少しだけお話をしたくて・・・。別にインターフォン越しでもかまいません。すぐ帰りますんで・・・」
「・・・。凜は家に居ません。お帰り下さい」
それだけ言ってガチャンと通話が切れる音がした。
なので俺は大きな声で家の人に・・・凛のお母さんに聞こえるように言った。
「では!凜さんが返ってくるまでここで待たせていただきますねー!」
ここまで来て帰るわけにはいかないのだ。一度帰ってしまうともう俺はこの場所には来なくなってしまう。
忘れて生きていくのは簡単だろう。しかし、俺は後悔はしたくない。この件は・・・俺にとって人生の分岐点だと。なぜかそういう確信があった。
昼頃に着いた俺は居座りを決め、のどかな田舎の風景に目を移す。いい場所だ・・・。素直にそう思う。
空気を吸えば心が落ち着く。木の匂いがし、吹き抜ける風が気持ちいい。ここなら、夜になれば満天の星空が見える事だろう。
「こんな自然の中で生きていくのも悪くはないよな・・・」
来る時に感じた焦燥感や、緊張がいつの間にか無くなっていて、なんとも穏やかな気持ちで俺は数時間過ごした。
夜になり、満天の星空と、少し欠けた月が空に上がり始めたころ、碓氷家の前に車が入ってくる。
「・・・。聖君かい?」
車を家の隣に駐車し、俺の方を見てそういう男性。凜のお父さんだ。
「どうも。ご無沙汰してます」
「どうして・・・。いや、そりゃ当然か。聖君、見ない間にいい男になったね」
「ありがとうございます・・・。あの・・・凛の事なんですけど・・・」
親父さんは顔を俯き、しかし覚悟を決めた顔でこちらを見据える。
「聖君。私は凛の親として彼女の意思を尊重したい。しかし・・・君がそんな顔で、しかもこんな田舎のくんだりまできたのだ。その覚悟に免じて・・・凛の事について話そう・・・。今日はもう遅い。泊まっていきなさい」
そう言って家に招き入れてくれる親父さんを追っかけて、俺は碓氷家に入る。一年前の真相を・・・俺はようやく聞けるのだと・・・。
家に招かれ、悲しそうな顔で俺を見る凜のお母さん。
夕食をご馳走になり、片付けも早々に凜について重い口を開いてくれた。
「ひとつ言っておこう。凜は今でも、聖君のことを想っている。そして私たち両親の意思で君たちの中を引き裂いたわけではない」
そう言われ、俺は安心する。目頭が熱くなり、胸の鼓動も早まる。やっぱり俺も・・・いまだに凜の事が好きなんだなぁと確信する。
「だったら・・・どうして・・・」
うまく話せず、言葉足らずにそう声を絞り出す。
「凜は・・・あの子の命は、もうそう長くない・・・」
「え・・・?」
思考が停止した。
だらだらと書きやがって・・・さっさと異世界に行けや!とおもっているかたごめんなさい・・・




