ツバサの結婚式 後半
お待たせしました?ちゃんと続きかいて行きますよ…見ている方がいなくても…
ドォーン!という音と共に森へ着地する。
マオは少し前に僕から離れ、現在地の位置を知りたいからと、空をくるくると円を描くように飛んでいる。
「魔力が濃い森ね~…僕にはよくわからないけど…」
僕から見ても周りは木々で生い茂っているだけの何の変哲もないただの森だ。
「そもそもどれがマンドラゴラなんだ…?」
そう言えば特徴とか聞いてない……。まあマオが空間を開けばミーコたちが来るだろう。
「マオまだかなぁ…さっさと帰りたいんだけど……っ!?」
ガキィーンという音と共に、首に突然激痛が走る。
「ほう…今ので死なないとは…お前何者じゃ」
声のがする方を見ると、幼女のような姿形をした魔物が木のナイフを片手に立っていた。
足がまるで木のようになっており、それ以外はまるで人そのものだ。
「いきなり殺しに来やがって…覚悟はできてるんでしょうね…?」
「ふははは!抜かせ小童が!」
一瞬で戦闘へスイッチを切り替える。一足で相手の懐まで飛び込み、拳を胴体へと放つ。
「今ので終わるつもりでしたが…僕の攻撃が見えてる?」
この魔物は当たる刹那にバックステップで後方に飛び、攻撃を避けたのだ。
手加減したとはいえ、僕の攻撃を完全に避けれるのは、今この世界で4人くらいしか知らない。
「人外…お主、人か?人の姿をした魔物なのか?」
真顔になった木の魔物が僕に問いかける。
「失礼な。僕はれっきとした人ですよ。次は殺しますから、最後の言葉でも考えといたほうがいいんじゃないんですかね」
「ふむ…これは本気でかからなければ…一捻りにされそうじゃの…」
腰を落とし、構える魔物。そんなことはお構いなしに、僕は突っ込む。
拳で上から叩き潰す様に殴る。また後方に飛び避ける魔物。僕はそれをすぐさま追い、右足を振りぬいた。
しかしその右足もまるで高跳びの背面飛びのように避け、避けざま僕の足を切り刻む。
ダメージを無視し、振りぬいた右足をそのまま回し蹴りにして、頭を狙ったが、それも寸前で避けられる。
そして避けたまま木に登り退避する魔物。初対面でここまで攻撃を読むのか?
「不思議そうな顔をしておるのぉ~人外」
「僕は人だ。お前がどんなトリックを使ってるか知らないけど…先を読まれてもぶっ殺す方法なら僕にもあるんだよ。対シンさん用のとっておきだ。あの世で自慢しろ」
予測されても避けられない攻撃を繰り出せばいい。辺り一面をぶっ壊す僕のとっておきだ。
近くに生えていた大きな木をブッコ抜き。空に放る。
「なんじゃ?気でも狂ったか?……!?」
バサッという音と共に姿を消す魔物。どうやら未来が見えているのか。先を見る力。それがあの魔物の特性か?しかしもう遅い。
真眼を発動し、僕は木を追いかけ空に飛び、そして半回転し、木に足をかける。それを踏み台に空中で一気に加速する。
「僕自身が弾の爆撃だ。衝撃波で森ごとなくなれぇぇ!!!」
ヒュンッと風を切る音と共に魔物に肉薄していく。真眼でロックオン済みだ。そして……。
ズドォォーーーーン!!!!!と地面に僕が蹴りを入れる。まるで隕石の落下の様な衝撃波を生み、辺りの木々が吹き飛ばされ……。ちらりとあの魔物が吹き飛ばされる姿も見えた。
「致命傷は避けてるのか…厄介な相手だ…」
「何してるのツバサさん……」
後ろから声がかかる。マオだ。
「いや…魔物退治?」
「森ごと潰してどうするのさ!!目的を忘れないでよね!」
「ごもっとも…しかしアイツは危険だよマオ。最初に切りかかってたのが僕だったからよかったものの…マオだったら死んでたよ?」
「私は魔力で敵を感知してるから不意打ちなんて食らいませんよーだ!それに…こんな相手に手こずってどうするのさ!」
ふとマオの右手の方を見ると、さっきの魔物がグルグルに縛られて置かれていた。いつの間に…。
「なまってるんじゃないのツバサさん。平和ボケもいいけど…それで奥さんたちを守れるの?」
「ぐっ…おっしゃるとーりで…精進します…」
「物騒な世界なんだからね。私ですら護身術くらいは使えるのに…ツバサさんはまだ身体能力依存だね。治さないとダメだよ?」
「はい…そ‥それより!この魔物がマンドラゴラについて知ってるんじゃない?」
このままだと説教を延々と食らいそうなので、話題を逸らす。
「知ってるの?知らないならこのまま燃やして終わりだけど…」
ボゥっとマオの手のひらから炎が現れる。
「知ってます…だから燃やさないで…私の先読みにも見えないなんて…降参します…」
そう言って平伏する魔物。時間を止めちゃえば先もくそもないもんなぁ…マジマオさんパねぇ…。
「私はこの場所を繋げるようにするために、少し時間がかかるから、ツバサさんお願いね」
ぽいっと魔物を縛っている縄を投げて渡される。
「こっちじゃ…」
トコトコと歩いて行く魔物に付いて行く。
「どうしてこの森は魔力が濃いんだろ…魔物はあなただけなんですか?」
「魔物相手にあなたとは、ずいぶんていねいじゃのう」
「…もうこの世界に魔物だからって殺し合う理由もなくなりましたし…僕は魔物に関しては関わり合いがありすぎるので…」
セフィーもだし、スピカのやっている事業だってそうだ。
「ふむ…この森の魔物は私だけじゃ。というか…この森自体が私だと言うべきかの?」
「へ?」
「この森自体が私という魔物じゃよ?お主を脅威に感じてこんな姿で出てきてしまったが…いうならば今お主たちは我の体内というわけじゃよ。森に迷って朽ち果てたら、私の養分になるだけじゃな」
「なるほど…だから…」
「察しの通りじゃな、とても大きな魔物だと思うがいい。このあたりじゃな」
特に何の変化もない所で立ち止まる。
「ん?ここにマンドラゴラが?」
「その辺の草全部そうじゃよ。マンドラゴラは我の子のなりそこないじゃな。そんなものが欲しいのならいくらでも持っていくがいい」
要は有精卵と無精卵みたいなものだろうか?
「ありがとうございます…ひとまず一個?一体?もらっていきますね」
「うむ‥その代わりと言ってはなんじゃが…なにか養分になりそうなものを提供してもらえんかの」
「…生贄を寄越せと?」
もう森ごと殺すか?シンさんに頼めば一発だろうし…。
「別に人でなくとも、なんなら動物でなくともよい…お主たちも作物を育てるじゃろ?その肥料となる物でいいのじゃ…ここ数年森が枯れて行ってしまっての…私の人への殺意が消えてから、やることもなくだらけていた所為なのじゃが…このままじゃと私枯れちゃう…」
「元気になったら人を襲ったりしません?」
「もうこれ以上森を広げるつもりもない…わしはもうただのんびりと生きていたいだけじゃ…」
ん~スピカに指示を仰いだ方がいいのかもしれないけど…どうしよう……。
「いいんじゃないツバサさん」
いつの間にか後ろにマオがいた。
「ふーんそれがマンドラゴラ…思ったより普通の根っこだね」
まあ確かに人っぽいかと言われればそう見えるけど…言われなければただの根っこだ。
「ってそうじゃなくて…勝手にOKだしていいの?」
「うん。もう地点登録が終わったから…悪さしたらすぐわかるし、私ならこんな森くらい一瞬で焼け野原にできるし…」
「ひぃぃ!?」
「マオがそういうなら…肥料の件はシンさんと天人族の方が詳しそうだから任せていい?」
「はいはーい。んじゃあ帰るよ!また来るからね~」
「はい…心より…お待ちしておりますっ…!」
かなりおびえた様子の魔物を背に、結婚披露宴場に帰ったのだった。
その後、復活したシンさんと天人族たちが、僕の好きだった音楽を演奏してくれたり、赤龍さんが少し暴れたり(少し強引に取り押さえさせてもらった)、王様が挨拶したときにみんながひれ伏したりいろいろあったけど、それなりににぎやかで、楽しい披露宴になったと思う。
しかし…なんで大きなカメラがいっぱい置いてあったんだろうな…後でシンさんが結婚記念に、映像を編集してくれるのかな?
この披露宴ののち、人種族の首都に嫁達の家族を招き、僕の大きすぎる屋敷がかなりにぎやかになった。
そうそう、セフィーのお願いであった食堂の跡継ぎは、青竜さんが引き継ぐことになった。セフィーは複雑な顔をしていたけど、適任だと思う。
ドラゴン達は人に扮して町をふらつき、人についていろいろと学んでいるようだった。きっといつか、昔のように人とドラゴンが共に暮らせるようになると思う。その為に僕も協力していこう。
結婚したからといって特に生活は変わらない。これからも僕は彼女達と、こんな感じで生活していくのだろう。たまにあるトラブルをスパイスに、幸せな時をこのままずっと続けて行きたいと思う。
そして一つ変わったものがある。僕の覚悟だ。彼女達は僕のこの世で一番大切なものだ。そしてその子供たちも。もしこれを傷つけるようなものがあるなら……。
僕は神様であっても殺そう。そしてその為に…戦う術を…。
ってこの世界の神様はシンさんの奥さんだ。そんな事にはならないと思うけどね。まあ…備えあって憂いなしともいうし、僕はあらゆる格闘術の達人の指導を受けることにしたのだった。
お読みいただいている方ありがとうございます。脳内で勝手に物語が進んでるにもかかわらず、書く時間がなくって…
頑張ります・・・。




