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私の世界にようこそ  作者: てけと
番外編『異世界旅行と罪滅ぼし』
150/189

ツバサのやるべきこと

投稿が遅れましたことをお詫び申し上げます…。


 今日はシンさんの結婚式だ。でもなぜか僕だけは呼ばれていない……。仲間外れってやつ?


「いや…シンさんはやるべきことが僕にはあるって言ってたけど…何の事だろうなぁ…」


 だらだらと町を歩く。そのやるべきことが分からないのでどうしようもない。


「あっ…そういえば…っ!」


 シンさんの言うやる事ではないけど、僕はそう言えば()()()()()があった。

 そして僕はやりたいことをするために、とある場所へ向かう事にした。











「へぇ~続編はこんな感じのシステムなんだ。めっちゃ面白そう!」


 そう。やりたい事とは、僕が元の世界で楽しんでいたゲームの続編をプレイすることだ。めっちゃ好きだったんだよな~このシリーズ。


 チュートリアルが終わり、さあこれからだというところで……。


 ピンポーンとチャイムが鳴る。


「いい所なのに…誰だ……ってホントに誰だ?この島にいた人はみんなシンさんの結婚式に出てるはず……」


 恐る恐る玄関に向かい……。玄関ののぞき穴を見ると……。



「…なんでここに?」

 

 疑問に思うがすぐドアを開ける。


「やっぱりここにいたのねツバサ」

「あの獣人の言う通りじゃったな~探し回らなくてすんだわい」

「国を空けてきていいんですか?お義父さんお義母さん」


 スピカのご両親のアルニ王とアリオト王妃が玄関の前に立っていた。


「二日くらい空けたところでどうという事はあるまい」

「そんな国ならとっくに潰れてますからね~それより…なんか婚姻の儀式をするとか?ちゃんと私たちも呼んでくれないと!」

「あ‥そうですよね…至らず申し訳ありません…」


 というか僕自身結婚式をやるのを知ったのは二日前なんだけどね……。

 シンさんがいろいろ手を尽くしてくれているんだろう。


「さて…ツバサに来てもらいたいところがあるんじゃが…その前に…スピカの事でちょっと話がある」

「はい?」

「いろいろ思うところがあるのよ、父親としてね?」


 今改まって何があるんだろう?


「まず一つ。スピカは今の仕事に責任感を持ちすぎている…そのせいで家にいることが少なくなっている」

「ええ…。ですがそれがスピカのやりたい事なら、僕は止めることはできませんよ」

「そうか…もしその仕事の中で仲良くなった男性と結ばれたとしても…ツバサは大丈夫なわけじゃな?」

「な!?」

「これが二つ目じゃ。ツバサ。お主が複数の婿を囲っているように、スピカにももちろんその権利はある。それを許せるのか?」

「……」

「家にいるより仕事場にいるほうが長いのじゃ。惹かれ合ってもおかしくないとは思わんか?何もしなくてもいつまでも嫁が慕ってくれると思うかの?」

「何もしていない訳では……」

「実際スピカは迷っておる。このままお主の元に居ていいのかをな」


 確かにスピカはあんまり家にいないし、どんどん疎遠なっている気もする……。


「でも僕はちゃんとスピカを愛してますし…もし僕の努力が足りなければ努力します。ほかの男なんて目にも入らないくらい僕に夢中にさせて見せますよ…出来れば…」


 つい手に力が入ってしまう。


「あなた…その辺にしとかないとツバサが可哀そうよ?」

「うむ…スピカはちゃんとお主に惹かれておる。だから悩んでるんじゃが…ちゃんと娘を頼むぞ?」

「もちろんですっ!…一度スピカとは話をしてみます」

「うむ。それが良い」


 たくさんの嫁がいるって言うのは、聞くだけならいいことなのかもしれないが…一人一人ちゃんと愛してあげないといけない。僕はそれが足りなかったのかもしれない……。


「さて~お話も済んだことですし、行きましょうか」

「そう言えばそうでしたね。で?どこに行くんです?」

「ついてくれば分かるじゃろ」


 楽しみにしていたゲームを放り出して外出なんて、元の世界の僕だったら有り得ないかもなぁ~。

 そんな事を少しだけ考え、彼らの後を付いて行った。











 着いた先は少し大きめの居酒屋さんのようなところだった。どこにでもあるような大衆居酒屋さんだ。

 中に入ると結構人がいて賑わっている様子だった。しかし誰もご飯を食べるわけでもなく、お酒を飲むわけでもなく、ただ目の前に水と氷の入ったコップが置かれているだけだった。


「知ってる顔もいる?もしかしてこのメンツは……」

「皆様~彼がツバサ・ミカヅキよ~」


 バッ!と全員がこちらを向き、立ち上がる。

 値踏みするような目もあれば……。


「あなたがツバサ様ですか……」


 一番近くにいた男性と女性が近寄ってきて、僕の手を両手で握る。


「獣人のシンという方からお話は聞きました…ナギを救っていただき、ありがとうございます…」

「死に目に会えなかったことを悔やんだ私達ですが…まさか生きているとは…」

「ナギの病気を治したのはシャルですし…ナギのご両親ですか?」

「はい。奴隷となって、マオの町…今はリトルサンタウンですか…そこで奴隷から解放されて…何とか首都まで帰って来たのですが、奴隷館はもうなくって…てっきり…もうナギは死んでしまったのかと…それからは元居た町に帰り、暮らしておりました」

「そうだったんですね……すいません。ご挨拶にもいかずに…」

「いえいえ!辺境の町ですから、むしろあの獣人の方が私たちを見つけたほうが驚きで……」


 シンさんはわざわざ、僕の妻たちの親まで探していたのか……。


 ナギの両親を皮切りに、一気に僕に殺到する人達。


「アミを養ってくれてありがとうございます!私たちもずっと心残りで…」

「ミカもです!村のしきたりをどれほど恨んだことか…!」

「実の親ではないけど…盗賊に攫われた彼女たちを救ってくださってありがとうございます…」

「まさかこんな優男をダンナにねぇ~あんたでマラヤ達を守れるのかい?」


 一気に話しかけられて僕もあたふたしてしまう。


「ひとまず皆座れ。ゆっくりと話を聞こうではないか。なぁ?ツバサよ」


 スピカのお父さんがそう大声で、しかし優しい口調で言う。その声を聴き、殺到していた人たちは散り、各々席に座る。

 言葉だけで民衆を納得させるとは、さすがは王を名乗る事だけはある。

 

 そして咳ばらいを1つして……。


「今日は娘たちの婚姻の儀式の前日だ。そしてここにその婿のツバサがいる。知っている者もいれば、初めて見た人もいるじゃろう。しかし私が保証しようではないか!彼は私たちの娘を幸せにすると!今日は存分に飲み、食い、語り合うといい!そして明日、娘たちの晴れ姿を目に焼き付けようではないか!」


 盛大な拍手が起きる。そして大勢の義理の親たちとの交流会が始まったのだった。





~~~スピカの憂鬱~~~



「皆さんとっても綺麗です…」


 ポツリと、誰にも聞こえないような声でそう呟く。

 今日はシン様の結婚式にお呼ばれして、参列席にいる。今シン様とその妻たちが、退場するところだ。

 

 そして明日は、私たちとツバサ様の結婚式がある。

 

 しかし……。


「最近ツバサ様とはあんまりお話しできていませんし…私はそこに行ってもいいんでしょうか…」


 私はずっと国の発展のための仕事に従事していて、特に魔物が襲ってこなくなったため、討伐ではなく、共存する道を考えなくてはいけなくなってしまった。

 それがもう大変だった…。討伐するべきという派閥を黙らせるまで5年費やし、その間に魔物の生態、生息域などを細かく調べ、危険な魔物とそうでない魔物の分類、それによって町が作れる土地、逆に潰したほうがいい町や村などを調査していた。


 その仕事もやっと目途がつき、後は行動に移すだけになった。あと少し……。


 しかし……その犠牲となったのが、ツバサ様との時間だ。


 彼は私のやることに何も言わなかったし、仕事でほとんど家に帰れない私だったけど…たまに帰るとちゃんと私を愛してくれた。

 帰る家があるって言うのはとても安心することだった。私は彼の事が大好きだし、彼も私を愛してくれているのだろう……。


「私はこれからも仕事に傾倒するでしょう…そんな私なんかの為に…彼の時間をもらってもいいんでしょうか?」


 彼にはたくさんの妻がいる。尊敬すべき彼女達とツバサ様の時間を、たまに顔を出す程度の私が…奪っていいのか…。


 それならいっそ…この結婚式はいい機会だ…。私はツバサ様から離れ、仕事に生きてもいいのではないか?

 大好きな彼とやりがいのある仕事。どっちも欲しいだなんて…強欲ではないのか?

 私が離れたところで…たくさんいるうちの一人が消えるだけだ。ツバサ様は引き留めてくれるのでしょうか?いつものように、私のやることには何も言わないのでしょうか?


 彼と離れることを考えると、胸がズキズキと痛むが……。



 そんなことを考えているうちに、いつの間にか挙式は終わり、シン様たちは乗り物に乗り去って行ってしまった。

 とても幸せそうな彼女たちとシン様。


 いいなぁ…私もああなりたいなぁ…。


 知らぬうちに目から涙が零れ、誰にも気づかれない様にすぐにハンカチで拭う。


「シン様に言って、私は先に首都に帰らせてもらいましょう……これからの仕事先はいろんなところを転々としますし…ツバサ様とも会わないでしょう。後は時間が解決してくれるはずです…」


 私は近くにいた天人族の方にお願いし、シン様の元に連れて行ってもらうことにした。


 

 






「ん?確かツバサんとこのスピカか?」

「少しだけお時間頂いてもいいでしょうか?」


 遊園地にいたシン様達。楽しげに遊ぶ彼らに申し訳なさを感じつつも、声をかける。


「どうしたの?切羽詰まった顔をして…お兄さん少し話を聞いたげなよ。私たちは向こうで遊んでくるよ。行こ!ティシー!」

「はーい!マオお母さん!」


 そう言うと去っていくマオ様とティシーちゃん。確かシン様の第一子だとか…。ほかの天人族と同じにしか見えませんけど……。


「俺に相談されても、ツバサ以上の答えは出せないが…まあ聞くだけ聞いてやろうか」

「ありがとうございます。その…私はツバサ様の元から去ろうかと思っています。なので…先に私を首都に帰してもらえないでしょうか…」


 顎に手を当てて少し考えるシン様。


「ふーん。まあいろいろ考えたんだろう。それに…それはお前とツバサの問題だ。俺がどうこう言う事じゃないし…俺がこの場所に無理やり連れてきたわけだ。だったら帰すのが筋だろうな」

「はい。シン様ならそう考えると思いました。なのでお願いします」

「……わかった。ちょっと待ってろ」


 そう言うと、シン様はどこかに行き、少ししてティア様を連れて帰ってくる。


「んじゃあティア。頼む」

「はいはい~。んじゃあスピカちゃんどうぞお入りくださいな~」

「ありがとう…ございます」


 この穴をくぐれば、ツバサ様とはお別れだ。その意味をもう一度かみしめ…。

 

 私は意を決して、その穴に入った。



~~~~~~~~~



「よかったのかな?」

「ん?いいに決まってるだろ。さすがに俺もそこまで介入する気はねえよ。お前らも俺に飽きてほかの男の元に行きたかったら行ってもいいが……たまには俺にも構ってくれよな」

「ふふふ…とてもハーレムを築いている男のセリフとは思えないね~。もっとこう。俺以外にいい男がいるのか?とか言わないとね~」

「捨てられる覚悟もないとな…心が持たねえよ…俺は存外気弱なんだからな…」

「はいはい。私は君の事を捨てないからだ丈夫だよ~。むしろほかの子たちが君を捨ててくれたら私が独占できるのになぁ~」

「抱きしめるなよ…こんなところアイツらに見られたら…」

「あーーーー!!ずるいです!こんなところで隠れていちゃついてますよ!!」

「げっ!?ミーコ!?」

「自分の子供を私たちに押し付けて…いい身分」

「そう言う割にずっとティシーにベッタリだったのはサーニャの方だったのでは?」

「お母様が幸せそうで何よりですね!」

「私たちだけが幸せなんて不公平だよね~。ちゃんとスピカちゃんにも幸せになってもらわないとね」

 


~~~~~~~~~



「うぅ……グズッッズズ……」


 まるで胸が引き裂かれたかのように痛い。涙はもう止まらなくなって、感情の抑制が効かない。


「ズズーッ…ふぅ…やっぱり…悲しいなぁ…少し泣いててもいいのかな……」

「どうしたの?スピカ……誰に泣かされたの?そいつ殺すから名前と居場所を教えて?」

「ふぇ?」


 ふと顔をあげると、そこには私の大好きなツバサ様の顔があった。


 どうしてここに!?


 私は自分の泣き顔を見られたくなくて、すぐに俯く。


「なんで…ツバサ様が…この場所に?」

「ん?妻の家族と懇親会かな?それより…どうしたのスピカ…悲しい事でもあった?僕で良ければ力になるよ?」


 …やられました…シン様ではなく、きっとティア様がこれを仕組んだんでしょう……。

 

「…実はツバサ様にお話があります…」


 それならば…私は彼にお別れを済ませて、堂々と帰ることに致しましょう。


「ツバサ様…私は…ツバサ様の元を離れることにしました…」

「…どうして?僕に至らない点があった?それとも…スピカ、僕と一緒に居られる時間がないことを気にしてる?」

「……前者です…私は…ツバサ様が…きらいになりました」

「だから僕から離れたい?」

「はい…」


 これでとうとう終わってしまう。私のもう一つの幸せ。しかしこれでいいのだ……私は彼に相応しくない…。


「嫌だ」


「へ?」

「ちゃんと僕の目を見て、僕はスピカが離れるのは嫌だ。僕に嫌なことがあるなら全部直す。いっぱい妻がいるから一人くらいだなんて思わない。全部()()()()()()だ。スピカのやりたい事なら何でも応援するけど……それは許可できない」

「嫌いです。何でもかんでも頷いて、放任主義なツバサ様が嫌いです」

「わかった。ちゃんと僕が嫌な事は拒否するよ」

「誰にで優しくて、ちょっとおバカなツバサ様が嫌いです」

「…勉強…頑張るよ…」

「顔が嫌いです!声が嫌いです!体が!その心が、全部嫌いなんです!だから…だがらぁ‥もぅ…ダメなんです……わだじは…づばざざまと‥いきるじがぐなんでぇ……」

「…僕はスピカが好きだ。頑張り屋さんなところも、責任感が高いところも、たまに子供っぽくなるところも可愛いし、顔だって声だって、体だって、その優しい心だって、全てが大好きで愛おしい。頼むよスピカ…こんなダメな男だけど…一緒に居てくれないかな?これからはちゃんとスピカの仕事も手伝うようにするよ…だからさ…お願いだよスピカ…」


 ツバサ様にギュッと抱きしめられる。とても暖かくて心地がいい。しかし私は……。


「スピカ。お前には休暇を与える」

「…おどうざま…」

「正直助かったが、もうお前がいなくても大丈夫だろう。そうだな…ツバサの子を産め。そしてその子が物心つくまで来なくてもよい。そろそろ孫の顔も拝みたいしの」


 そう言ってニカっと笑うお父様。


「スピカが逃げたいって言っても逃がさないからね?性格の悪い男に捕まったと思っていいよ。でも…僕は必ず君を幸せにして見せる。それだけは約束するよ」

「つばささま……ごめんなさい…ありがとうございます…」


 私もツバサ様をギュッと抱きしめ返す。この幸せを逃さない様に力いっぱい……。 

いつもお読みいただき有難うございます。

流石に最新話をタイムリーに見ている方はいないとは思いますが……。時間がなくて書く時間がなかなか取れなくなってきたので…不定期投稿になるかもしれません。申し訳ありません…。

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