シンの結婚式 後半
寝坊して投稿が遅れました…もしまだ見て下さっている方がいらっしゃいましたらすいません…。
次は私の番か……一生に一度だけの大舞台。役者は多いけど……それでも、女の子なら一度は憧れるこの舞台に、私は少しだけ緊張していた。
控室に有るモニターで挙式の様子を見る。サーニャの誓約?が終わった様なので……次は私だ。
「んじゃあ行ってくるよ。ありがとうセシル」
ギリギリまで髪をセットしてくれていたセシルにお礼を言い、立ち上がる。
控室の扉に向かって歩いていると……。
「……マオ…手と足が右左同時に出てますよ……」
「…ははは…」
訂正。かなり緊張しているみたいです……。
「それにマオちゃん…次は私」
「へ?フーコちゃんは最後でしょ?」
お兄さと出会った順番に一人づつ挙式をあげるという話だったはず。
「そもそも出会った順番で言えばマオ、あなたが最初なんでしょ?」
「元の世界は関係ないと思うんだけどなぁ~」
「マオちゃんはしっかりと…最後を締めくくって…んじゃあ行ってくるね」
そう言ってフーコちゃんは控室から出て行った。
「ほらほら座って~。一番きれいな姿のマオをゆーしゃさまの元に届けないとだからね~」
肩を掴まれ、椅子にまた座る。そしてまた私の髪の毛をいじり出すセシル。
また暇になった私は、モニターでフーコちゃんとお兄さんの様子を見る。
フーコちゃんは生みの親である父親と、腕を組んで歩いて行く。
余談だけど、お兄さんは猫族になって帰って来た日から、ティアと協力して、各人の親を探して挨拶回りをしていたそうだ。真面目な人だ…。
一番驚いたのはルイさんとルルさんの両親を見つけて、当たり前のように昨日連れてきていた事だ。
ひと悶着はあったものの…二人は割とすぐに両親を受け入れた。
ルイさんとルルさんのご両親は泣いて謝ってたけどね……。
「ふふふ…フーコちゃん澄ました顔してるけど…耳が真っ赤だよ。可愛いなぁ~」
ずっとこうやってニヤニヤとしながらモニターを眺めている。すると……。
「マオ。あなたはさっさと気持ちを固めなさい…私たちは一夫多妻が当たり前の世界で生きてきました。この世界でそんなことは当たり前…愛している人の傍に居れるなら、それで満足です。ですが…あなたは違うでしょう?遠慮したり、気を使ったり、この先に不安があるのではないですか?もう一度自分の気持ちと向き合ったほうがいいかもしれませんよ?」
ルイさんには何でもお見通しだった?私自身そんなことは考えたこともなかったけど……。
「心の機微には、たとえ自分であっても気付かない事があります。一度自問自答してみなさい…私は行ってきますね」
それだけ言うと、ルイさんは控室から出て行った。
私の気持ちか……。確かにお兄さんとは運命の出会いだとか言って、盲目的になっていたのかな?
私はお兄さんが本当に好き?答えはイエスだ。彼のちょっとめんどくさいけどまじめな性格が好きだ。私を尊重してくれるし、優しいし、一緒にいてとっっても楽しい。心の底から愛おしい人だ。
私は彼を…独占したいと思う?私だけのお兄さん…シンになってほしい?ほかの女性には目もくれず、私だけを愛してほしい?
答えは………イエスだ。愛するシンがずっと私の隣にいて、おんなじ景色を見て、同じ時間をこの先ずっと共有できる。それは……とても魅力的な事だろう……。
…私はココ達に…遠慮してる?……イエス?……。
もしシンを独占する権利があるとすれば…それはココにあると思う。この世界に来た彼をずっと想い、その想いは…彼の考えを変えた。
シンが今こうして私たちの傍で生きているのも、ココのおかげだと思ってる。
だから私は…一歩引いた位置で?……。
「マオ?」
「あぁ~~~もぉ!!!」
セシルが髪を整えてなかったら、頭をぐしゃぐしゃにかき回しているところだった。
「ごちゃごちゃ難しいことを考えちゃうのは私の悪い所だよね…」
「マオのそんなところも、ゆーしゃさまは好きなんだと思うよ?マオはどうしたいの?獣人たちは本能で行動してるよ?マオは?」
私は……?今更お兄さんと離れるなんて嫌だっ!でもこのまま一歩引いた所で見てるの?
………。
「うっしゃーー!!」
パァンッ!と自分の頬を叩く。
「マオ!?化粧が落ちるからやめて!?」
「ん?あぁ!ごめん!」
なんか吹っ切れた。もう自分を殺すのは終わりだ。
「行ってくるよセシル!ありがとう!」
「行ってらっしゃいマオ。幸せにね」
「うん!」
私は礼拝堂の扉の前に着く、そこでアリサさんが待っていた。私のこの世界での母親みたいなものだ。
「では行きましょうかマオ」
「うん。行こうかアリサさん」
天人族たちが扉を開き、私はアリサさんと腕を組んで歩きだす。
「ん?アリサさん。肩に乗せてる機械は何?」
アリサさんの肩に何か丸い機会の様なものがついていた。なんだろう?
「さぁ?師匠につけろって言われたので……」
扉をくぐると盛大な拍手で迎えられる。
「マオ様…お綺麗になって…」「マオ様ー!」「お幸せに!」
私を支えてくれていたメイドさんや執事さんが声をあげる。少し照れくさいけど…今日は晴れ舞台だ。私はしっかり前を見据える。
祭壇に到着する。タキシードを着た私の愛しいお兄さんが、私の前に姿勢を正して立つ。
「では…マオをよろしくお願いしますね?」
「おう。任せろ」
一言づつ言葉を交わすと、アリサさんは参列席の方に歩いて行った。
私はお兄さんを見つめる。お兄さんも私を見つめている。
「では誓約を~ゆーしゃさま。あなたはこの女子を妻とすることを誓約しますか?」
「はい。誓います」
予定通り、神父役を天人族のソミアがティアの代わりにやってくれている。
「マオ。あなたはここにいるゆーしゃさまを、夫とすることを誓約しますか?」
「はい。誓います」
ずっと…生涯、いや、もし死んでも、来世でまた一緒になれるように……自分の魂にそう誓う。
「みんなと協力し、支え合い、助け合い、どんな困難にもくじけず、苦楽を共に分かち合い、死が二人を分かつまで、共に歩み続けることを誓いますか?」
「「はい。誓います」」
ずっとこの人と共に歩こう。そして私は幸せにしてもらうのではない。共に、幸せになろうね?
この結婚式は、幸せの絶頂期ではない。ここが入口だ。幸せの頂点はきっと死ぬときに、あぁいい人生だった。と思えることだ。
「では誓いの口づけを」
私のベールをお兄さんがあげ、私の肩に手を置き、優しくキスをする。
私はお兄さんの首元に抱き着き、離れられないようにする。
キスはとても気持ちよくって…ついお兄さんの唇を食むようにキスをする。舌は禁止しているのでしない。
このまま時が止まってしまえばいいのに……。あっ…私止められるんだっけ?
ま…まぁそんなことはしないけどね!大満足ですはい。
「なんか30分くらいキスしていた気がするな…」
「ははは…お兄さん夢中になりすぎだよ。そんなに私の事が好きなの~?」
「ん?そんなにマオの事が好きだぞ?一時期は嫁なんてめんどいし、結婚は墓場だと思っていたが……。実際一緒にいるとそうでもないもんだな。俺を夢中にさせたお前らが悪いんだからな。逃げられると思うなよ?」
「…ありがとうお兄さん。逃げるだなんて…それはこっちのセリフだよ。逃がさないからね?ずっと傍に居てね?」
「あぁ…これからもよろしくな」
ヒョイっと軽く持ち上げられ、お姫さま抱っこされる。私はお兄さんをもっと感じたくて、ぎゅっと抱き着く。
ココ達がジト目で見ているけど…もう私は遠慮しないよ?
彼女たちは同じ人を好きになった同志だ。そしてライバルでもある。正妻や妾なんてものはないけど…彼を好きな気持ちは私だって負けないよ?
「これでやっとお兄さんもこづくりができるね」
「あぁ…そうだな。……ってマオ…お前気付いて……」
「私は家に帰る為に余力を残してたからね。お兄さん一回もイってないよね」
「……抜け目のないやつだな…んじゃあ新郎新婦退場か?」
「何言ってるのお兄さん。最後に大トリのお嫁さんがいるじゃない」
「は?」
私はお兄さんから降り、参列席に歩いて行く。思案顔をしたお兄さんを祭壇に残して……。
「マオ。こづくりの件を詳しく教えて下さい」
参列席に座るや否や、ココがこちらにやってくる。
「ん?だって私たちはまだ、お兄さんに赤ちゃんの元?をもらってないからね」
「……どうりてなかなか妊娠しないはずです…」
「皆お兄さんに夢中で、いっつも途中で果てて寝ちゃうからね。仕方ないよ」
「これからは…先生を気持ちよくさせないといけないんですね」
「私たちに…できるかし‥ら?」
「シンは…尻尾が弱い…」
「私達も加わったのですよ?闇魔法でちょちょいと…」
「なら私は光魔法を…」
「誰が一番最初にお兄ちゃんの子供を授かるか勝負だね!」
結婚初夜が楽しみだね。そんな少し卑猥な話で盛り上がる私達。お兄さんはまだ呆然と祭壇で立ち尽くしている。
私一人では、お兄さんを幸せになんてできないかもしれない。お兄さんにもらってばっかりだから。
でも彼女達と協力すれば……きっと彼も、そして私たちも、幸せな人生を歩めると思うんだ!
だから私は彼を独占したいだなんて思わない。お兄さんを大好きなように、彼女たちの事も大好きだからだ!
いつもお読みいただき有難うございます。
シンの結婚式はあとちょっとだけ続きます。




