シンの結婚式 前半
すいません…ホントは一気に書くつもりだったのですが…(自分の決めた)締め切りが間に合わなかったので投稿しました…。
澄んだ青い空の元、とても大きな教会で、一つの結婚式が始まろうとしていた。
その教会の礼拝堂の参列席はほぼ満席で、最前列だけが空席となっていた。
厳かな空気の中、すでに新郎であるシンは祭壇の前で新婦を待っている。
キィっと礼拝堂のドアが開く。
純白のウエディングドレスを着た獣人種狐族のココとその父親が腕を組んで登場する。
盛大な拍手の中、二人はヴァージンロードをゆっくりと歩いて行く。
そして祭壇までたどり着き……。
「娘を頼むよ?」
「ええ。俺が必ず幸せにします。今までココを育ててくれて、どうもありがとうございました」
「私は何もしていないさ……。ココ、彼の支えになるんだよ?」
「もちろんだよお父さん」
それだけ言うと、ココの父親は参列席へと戻っていった。
そして二人は向かい合う。本来は讃美歌斉唱や、説教(聖書朗読)などがあるが、シンの『めんどくせぇ』の一言で省略された。
祭壇に立つ神父役のティアが、誓約の言葉を口にする。
「シン。あなたは今、この女子を、妻としようとしています。あなたはこの女子を妻とすることを願いますか?」
「はい。誓います」
「ココ。あなたはこの結婚が神の御旨によることを確信しますか?」
「しません」
「あなたは…はい?」
神父役のティアが目を丸くする。
「神ごときの考えで私たちが結ばれたんじゃないです」
「くくくっ…そうだなココ…神なんてクソくらえだな」
「私たちは」「俺たちは」
「「自分の魂で感じて、惹かれ合って、そして今夫婦になることを誓う(います)」」
そう笑いながら口をそろえる二人。ティアはため息をつき……。
「そんなの打ち合わせになかったじゃん……。んじゃあ……ココ。あなたは、自分の魂に従い、きよい家庭をつくり、妻としての分を果たし、常にあなたの夫を愛し、敬い、慰め、助けて、死が二人を分かつまで健やかなときも、病むときも、順境にも、逆境にも、常に真実で、愛情に満ち、あなたの夫に対して堅く節操を守ることを誓約しますか」
「誓います」と胸に手を当てるココ。
「では~指輪の交換はなしでいいんだっけ…誓いの口づけを」
シンはココのベールを上げ、ココの肩に手を置きキスをする。
「んっ……」
5秒ほどするとお互いの唇を離し…見つめ合う。
「こういうのはやっぱり照れるな…」
シンは少しそっぽを向く。
「ふふふ…シン。私に生きる道をくれてありがとうございます」
ココはシンを見つめながら言葉を紡ぐ。シンは黙ってそれを聞く。
「最初出会った時…私は自分の死が来たのだと少しホッとした気持ちでした。でも…シンはそんな私を見捨てるわけでもなく救うわけでもなく……ただ私に道を示してくれました。楽になれる死への道。辛く苦しく、生き残れるかもわからないけど…死に抵抗する道。そしてその道が今…この幸せへと続く道になりました…」
ココは目に涙を浮かべ…途切れ途切れ喋り続ける。
「ありがとう…ござます。私を幸せにして…くれて………次は私の…番ですね…私が必ず…シンを幸せにして…みせますからね…」
「俺のセリフだろ?」
シンはココをお姫さま抱っこし、空席になっている最前列の参列席にココを座らせる。
シンはココの頭を優しく撫でながら…。
「ジン…ありがどう…ございまず…」
「俺の方こそありがとうな…俺を助けてくれてありがとう」
そしてシンはまた祭壇の方へと戻る。
少しすると礼拝堂の扉がバンっ!と開き、ドレス姿のシユが現れる。
「お父さん!早く早く!」
「シユ…そんな急がなくても…」
シユは父親の手を引っ張り、赤いじゅうたんの上を駆けてくる。
「はぁはぁ……やぁシン君。あの内気で人見知りだったシユが、こんなに元気に活動的になってしまって……」
「それは…なんかすいません…」
「ははは…いやいや嬉しい限りだよ。母親に似たんだろうね。娘をよろしく頼むよ。また暇があったら畑においで、今年のツツミツはなかなかいい出来でね。シン君も満足すると思うよ」
「それは是非。今度お邪魔させていただきますね」
そしてシユの父親は参列席に戻っていく…。
ココと同じく、誓約の言葉を交わし、誓いの口づけをする。そして……。
「お兄ちゃん!いつも私を楽しませてくれてありがとう!これからは私もお兄ちゃんを沢山楽しませてあげるね!」
「そうか…ありがとうなシユ。俺もシユに負けないように精進しないとな」
「これからも一緒に楽しく暮らそうね!」
「あぁ…。もちろんだ」
シユはにっこり笑うと、参列席に向かい、ココの隣に座る。
次はミーコだった。母親と腕を組んでゆっくりと祭壇に向かって歩いて行く。
母親の方は少しシンを睨んでいるようにも見える。
「…ホントはあなたの様なひねくれた猫族に娘をあげたくないのですけど……」
「でも先日認めてくれましたよね?また勝負しますか?」
「くっ‥…いいでしょう。ちょっとでもミーコを辛い目に合わせたらすぐに引き取りに行きますからね!」
「ええもちろん。そんなことは有り得ませんがね」
「…ちゃんと私は監視していますからね…」
「肝に銘じておきます。愛娘さんを悲しませないように…」
フンッ!と鼻を鳴らし、参列席に戻っていくミーコの母親。
「ごめんね先生…」
「いやいや。ミーコがちゃんと家族に愛されているようで、安心したくらいだ」
そしてミーコとも誓約を交わし、口づけをする。
「…私こんな幸せでいいのかな…大好きな人と夫婦になれて…周りには楽しい仲間がいっぱいいるし…先生…ずっと私たちの傍にいてね?約束だよ?」
「もちろんだぞミーコ。俺は一生お前たちの傍にいる。約束だ」
「うん!」
シンとミーコは小指を絡め、約束する。指を離すとミーコは満足そうに参列席に向かい、シユの隣に腰を下ろす。
シンが祭壇から礼拝堂の扉の方に向き直ると……。
「うおっ!?」
「ん?どうした…の?」
シンの目の前にはすでにリリアが立っていた。リリアはドレスではなく、真っ白な着物を着ていた。
ココ、シユ、ミーコも純白のドレスとは言え、それぞれ違うドレスを着ていた。各々が自分で選んだのだろう。
「リリア…その…すまんな。お前の親はもう……」
「なんでシンが……そんなこと気にする…の?それに…シンが私の…両親の墓前に…行っていたのは知ってる…よ?ありがとうシン…私はいま幸せだから…両親も安心…」
「だといいな…」
ティアの言葉を待たずにリリアはシンにキスをする。
「んっ……そうに決まってる…わざわざ誓わなくても…私はずっと…シンの傍にいるから…ね?」
「そうか…ありがとうリリア。これからも俺を助けてくれ」
「もちろん…よ?あ‥たまに一緒に…お酒を飲んで…ね?」
「……アルコールの入った俺の血がうまそうだからだろ…」
「正…解…ふふふ…」
「そのくらいでいいなら付き合ってやるよ」
「楽しみに…してるわ…ね?」
ご機嫌そうに少しスキップをしながら、参列席に行き、ミーコの横に行儀良く座るリリア。
次にヴァージンロードを歩いてきたのはサーニャだった。横で腕を組んで歩いているのはココの母親だ。
祭壇に着くや否や、サーニャはドレス姿でシンの腰に抱き着く。
「あらあら…サーニャちゃんそんなに懐いて…」
「ありがとうございます。サーニャの親役を買って出てもらって…」
「サーニャちゃんだって私の子供よ。ココと同じくちゃんと大切にしてあげてね?」
「ええ…ってサーニャ…ん…」
シンの首に手を回し、口づけをするサーニャ。ふふふっと笑みを浮かべながら参列席に向かうココの母親。
因みにティアはふてくされてどっかに行ってしまった。
「シン…愛してる…」
「俺も愛してるぞサーニャ…というか…お前とリリアはちょっと落ち着け…ティアがどっかいっちまったじゃねえか…」
「私を私の中の獣ごと愛してくれる人…ありがとう…シン。これからもよろしく…」
「おう。よろしくな…あと少しは人の話を…まあいいか…」
首に回している手を離さないサーニャを、シンは抱っこして参列席へと歩く。
歩いている間、頬に何回もキスをするサーニャ。リリアの横に降ろすと手を解く。
「サーニャずるいです…ちゃんと厳かに、お淑やかにやるって決めたじゃないですか…」
「ちゃんと唇だけで我慢したから。ミーコ、もう一回やる?」
「……全部終わってからにしましょう」
何をやるのかは知らないが……頷く5人。
そしてシンはまた祭壇に戻り、次の嫁を待つのだった。
いつもお読みいただき有難うございます。
次話は水曜日に…テンポが悪くてすいません…。




