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私の世界にようこそ  作者: てけと
番外編『異世界旅行と罪滅ぼし』
145/189

もう幾つ寝ると結婚式

前半はツバサ視点で、最後の方ちょこっとだけマオ視点になります。

「どらごんのおじいちゃんすごーい!!」

「グアァァ!!」

「でもセフィーよりは遅いよね~」

「グアアァァ!?!?」


 キイィィィィンと航空機が飛ぶような音を立てながら加速していく赤いドラゴン。マオが一緒だから大丈夫だと思うけど…あんまり危ない真似はしてほしくないなぁ……。


「そう言えばシンさん。後の4日は何をするんです?大切な予定があるんですよね?」

「ん?嫁に聞いてないのか?」

「え?僕の嫁達は知ってるんですか?」

「まあ教えとかないといけなかったんだが……。もう別にいいか教えても…お前ら結婚式やってないだろ?それをやろうと思ってな」

「えっ?」

「ん?嫌か?」

「えええええええええええええええええ!?!?」

「っ!なんだ突然うるせぇ」


 そんな大事なことを黙ってたの!?結婚指輪どうしよう!?マオに頼んで…首都に?いやでも…!?もっと吟味したい。


「準備しないと!?」

「焦るな馬鹿」


 シンさんに腹を殴られる。あんまり痛くないけど…正気には戻る。


「明日は結婚式の衣装選びに一日使う予定だが…二日後はお前だけフリーだからそこで心の準備をしておけ。指輪はマオに頼んであるから後で行け」

「マオに?シンさんじゃなくて?」

「大事な指輪になるからな。既製品じゃなくてお前だけしか作れない奴の方がいいだろ?」

「……かつての神殺しと同じ作り方というわけですか」

「まあな」


 …そこまでしてくれるなんて…。ホントシンさんには頭が上がらないよ…。


「ありがとうございますシンさん…」

「出来上がってからマオに言え。それに…俺の結婚式もやるわけだしな。ついでだついで」


 そう片手をひらひらさせるシンさん。そんなわけない癖に…。

 

 いきなり告げられた結婚式に戸惑いつつ、少し覚悟を決めて、ドラゴンの背に楽しそうに乗っている嫁達の姿を見るのだった。








「それじゃあツバサさん。始めようか」

「頼むよマオ」


 夕方天人族の島に帰った僕は、すぐにマオの元に訪れた。マオも何の用事かわかってたようで準備を始める。


「それじゃあまずは…この魔石に魔力を溜めてね?ツバサさんの魔力からはツバサさんの力じゃないものが混ざってるからね」

「……よくわかるね」

「魔力探知を使うとツバサさんの魔力からいろんな魔力を感じるんだよね。だからまずはこの魔石に魔力を流して、ツバサさんの魔力だけを使わないとね」

「わかったよ…」


 マオが取り出した大量の魔石に…魔力を…流す?


「それってどうやるの?」

「水を使った魔力操作はやったよね?それとおんなじ要領だよ」

「うーん…やってみるよ」


 水と同じように、僕の魔力を通す……。


「…ツバサさん魔力操作下手だね…よくそれで魔法が発動できるね」

「うっ……」


 基本的な練習はほぼしていない…。吸った魔力とイメージでごり押しして魔法を使っていた。

 そのツケが今になって…くそっ…。


「ツバサさんのスキルでどうにかなんないの?」

「僕の能力操作は生物限定なんだよ…植物とかも駄目なんだけど…定義は難しいよね」

「ん~ツバサさんの魔力多いからなぁ…チンタラやってたら間に合わないよ……」

「マオが僕の魔力を吸うとか?」

「人の旦那にそれをするのはなぁ~魔力って言うのは人の体の一部みたいなもんだし…そうだ!ルルさんに頼もう!!」

「それは…出来れば嫁には内緒にして驚かせたいし…」

「わがままだなぁ~…じゃあツバサさんは魔力の数値が14くらいになるまで魔石に魔力を注いでてね。終わったら教えてね~」


 そういってマオは去って行ってしまった。

 まあ僕もここまでしてもらってわがままばっかじゃだめだ。


「やるかぁ!!」


 最初に魔法を覚えようとした時のように集中して、真剣に…そして僕と共に人生を歩いてくれると誓ってくれた嫁たちの為に……。


 僕はひたすら、この透明な石に魔力を込め続けた。









「ツバサさん終った~?」

「なん…とか……」


 とっくに日は落ち、時計の針はもう0じを指し示していた。

 魔力切れによる倦怠感で、体を動かすのも怠い……。


「それじゃあこの指輪に魔力を注いでね。ミスリルを素材にお兄さんが作った物だよ。ありったけの想いと少しの魔力を込めて?それによって指輪は変質するらしい」

「マオは…手伝ってくれないの…?」

「ツバサさん一人でやるから意味があるんでしょ?神殺しの時は私とあの5人の想いを込めたわけだしね」

「確かに…そうだね……ありがとうマオ」

「頑張ってねツバサさん。一応出来上がるまではここにいるよ」


 マオに見られながら、僕は指輪一つ一つに嫁一人づつ、ありったけの僕の想いを込めて魔力を注ぐ。

 すると透明だった指輪が色を変え、少し形を変え、次々とできていく。


 そして……。


「終わったあぁぁぁ‥」


 バタッとそのまま仰向けに倒れる。魔力切れってこんなにきついんだ……。意識を保てるのが精一杯だ。


「お疲れ様ツバサさん。んじゃあこの指輪を…綺麗に梱包しておくね。サプライズにしたいんでしょ?」

「それよりマオ…魔力を……」

(……せっかく言い魔石が手に入ったと思ったんだけどなぁ~)


 ボソッとそんな事を言うマオ。僕の魔力だからね?ちゃんと返して!


「半分は冗談だよ。魔石から魔力を吸えばいいじゃない」

「それが…簡単に…できたら…こんなに…苦労してないよ…」

「ん~わかったよ。今度こそルルさん達を呼んでくるね~」


 空間に穴をあけ消えて行くマオ。僕はすぐに梱包された指輪を収納のスキルで隠しておく。


 それからほどなくして……。


「「ツバサ!?大丈夫!?」」


 とルルとシャルがマオの作った穴から、僕の元に駆け寄ってくる。


「ただの魔力切れ…だよ…魔力を…」

「「わかった!」」


 そう言って僕の胸に手を当てる二人。あぁ…そこの魔石を使っても……。

 二人の手から暖かいものが流れてきて、少し体が楽になる。


「ありがとうルル。シャル。もう大丈…って本当にもう大丈夫だからね!?」


 魔力を流すのをやめない二人。このままだと二人が魔力切れに……。


「ストップストップ!二人の魔力が切れちゃう!」

「「でも!!」」


 二人の頭を撫で、逆に能力操作で魔力を流す。

 三人の魔力がごちゃごちゃになっていき、まるで三人が一つになったかのように……。


「んっ…これ気持ちいい…」とルルが艶かしい声を出す。

「ツバサの…んんっ…いつものスキルとちょっと違うね……」

「二人とも…手を離して…おかしくなるっ!」


 これはやばい。自分の感覚がどんどん広がっていくような…混ざり合って一つになる、そんな感じだ。このまま続けると……。どうなってしまうんだろう?


「はいはい二人とも、そこまでよ~」とミーシャがシャルとルルを引きはがす。

「大丈夫ですかご主人様?マオ様がツバサさんが死んじゃうよー!って言いながら歩いてましたが…」


 そうミカが教えてくれる。そう言う事か…マオめ……。


「わ‥私はツバサが死ぬわけないって知ってたわよ!!」と少し息の荒いヨウがそっぽを向いて僕に言う。

「ご主人様。危ないことをするときは私たちにちゃんと相談してください…」とプリルが胸をなでおろす。


 そうして次々と嫁達が現れ、僕に説教?をしていく。


「パパ―!大丈夫なの!?」

「大丈夫だよシツル。僕は簡単には死なないからね~」


 シツルの頭を撫でてあげると、とても気持ちよさそうに目を細める。


 ホントうちの子は可愛いなぁ~!!!


 僕の周りにワイワイと家族たちが集まる。この世界の僕のかけがえのない家族だ。

 ただ一緒にいるだけで僕を幸せにしてくれるこの家族を僕は何あがっても守ってみせるよ……。



~~~~~~~~~~~



「で?何してるのお兄さん」


 カメラの様なものを今のツバサさん達に向けているのがちらっと見えた。


「お…おうマオ。別に何もしてないぞ?」

「その背中に隠した両手を見せ……」


 さっと両手を上げるお兄さん。確かに何も持っていない。


「何を企んでるのお兄さん?」


 まあお兄さんの事だ、悪い事ではないのはわかる。でも…。


 この人は自分の命を軽く見過ぎる。少し嫌な予感がしたのだ。


「安心しろマオ。俺の居場所はここだ。お前らの傍なんだからな。それより明日のドレス選びの事だが…」


 明らかに話を逸らそうとしているお兄さん。


「うん。ある程度デザインは決まってるんだけど……やっぱりみんなで選んだ方が楽しそうだからさ。明日皆と相談するよ」

「そうか。俺もあとで合流するからな」


 明日はドレス選び、その次の日が私たちの結婚式だ。お兄さんのやろうとしていることは気になるけど……。

 それよりも一生に一回だけの晴れ舞台だ。気合を入れなければ!


 少し興奮して眠れないけど…私は自分の部屋に帰り、布団をかぶって目を瞑る。

 ふかふかの布団のが気持ちよくって…割とすぐに私は意識を落としたのだった。

いつもお読みいただき有難うございます。

話はちゃんとまとまると思いますのでもう少々お付き合いください。

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