ドラゴンの棲み処 前編
文字数管理下手くそか!!というわけでまた長くなってしまうので分けました…。
まあ執筆が追い付いてないのでその方が前話と期間が離れないのでいいかもしれません。
ツバサ視点です。
今日は僕とセフィーだけがシンさんに呼ばれている。セフィーと一緒に待ち合わせ場所に向かうと…。
「皆完全武装でどうしたの?」
シンさんの嫁のサーニャ、シユ、ミーコにリリア。そしてマオもいた。
「お兄さんが一応準備しとけってね。私のこのローブもお兄さん特製なんだよ~」
ふふふ~と嬉しそうに白いローブをなびかせて、くるくる回るマオ。
「あれ?戦闘になるとかは僕は聞いてないんだけど…というか僕はともかくなんでセフィーも?」
まあこの間龍人族になったセフィーは、身体能力は僕よりちょっと低いくらいだ。十分戦闘能力はあるんだけど……。
「さぁ?お兄さんの事だし、何か考えでもあるんじゃないかな?」
「遅れてごめんよ~!」
遠くの方からリヤカーを引きながら歩いてくる天人族の少女。姿はシャルより少し歳をとっている感じだ。
「ティア?ずいぶん成長したんだね……そのリヤカーは?」
管理者なんだから成長した天人族くらいは作れるだろう。そしてリアカーのに乗っているものを見ると……。
「シンさんと…ココ?」
「まったく…よく考えたら神殺しの剣もないのに私に勝てるわけもないよね。私の魔法で色々治療したからそろそろ起きる頃だと思うよ?」
そう言えば昨日ココがゲームにハマっている話をしていたなぁ……
ミイラ取りがミイラってやつなのか?
「んっ……。あれ?俺は確かココとゲームをしていて……」
「一人目ちゃん。予定通り到着するよ。準備はいい?」
「あぁ…そうだったな。よし!全員箱舟に乗り込め」
起き上がると意気揚々と船に向かって歩いて行くシンさん。説明はないのか?
「あの…シンさん?色々と説明がほしいのですが……」
「ん…そうだなぁ…簡単にいうとあれだ。ファンタジーといえば定番のやつだよ。それに会いに行く。後で詳しく説明してやるよ」
「へ?」
結局よくわからないまま彼に付いて行く。
ちなみに僕たち以外は自由行動だ。遊園地に行く人もいれば、旅館でのんびりする人、海で泳ぐ人もいれば、僕たちの世界の町を探索する人もいる。
箱舟の会議室のような部屋で、シンさんが今回の事について説明する。
「今から行くのは…龍の巣だ」
ホワイトボードに龍の巣とでかでかと書くシンさん。
「へぇ~!!セフィーの故郷?」とマオがその話に食いつく。
「え!?…多分そうなのかな?」セフィーが驚いたようにおずおずと喋る。
獣人たちは特に驚く様子もなく、淡々と装備の手入れを行っている。廃人と化していたココも、刀の手入れをしている。ちゃんと現実に戻ってきたようで安心だ。
「でも危ないよ?私がいたころは…その……ずっとみんな暴れてたし…同種同士でよくケンカもしてたよ?」
「そうかもな…しかし……ティア。説明」
「はいはーい!龍って言うのはね、元々は人間ととても親交があった魔物なんだよ。世界を作ったころはね龍に乗ってみんな移動してたくらいだからね。でも私が世界を去った日、彼らは大好きな人を傷つけたくない一心で、人里から遠ざかったんだよ。この大陸の端っこにね。気性が荒かったのは私の所為。彼らは同種同士で発散でもしない限り、人のいるところに飛んで行って襲い掛かっちゃうだろうからね」
「というわけで…元々人に悪い感情を持った奴らじゃない。そして魔物の中の人への憎しみが消えた今、また手を取り合ってもいいんじゃないかって思ってな」
「でもそれは昔の話だよね…今はどうなってるかわからないよ…?普通に襲ってくると思うんだけど…」
セフィーはそこで暮らしていたのだ。一番現実を知っている一人だろう。
「このメンツなら襲われても余裕だろ?マオは一回セフィーをのしたって聞いてるしな。まあ俺的にはセフィーが人間の形態になれるってだけで、まあ大丈夫だと思うがな」
「なんとなくやってみたら出来たってだけなんだけど……」
「そう言うものが受け継がれてるってことだろ?本能的に、遺伝的にか?まあともかく、今日行って説得して…明日は全員ドラゴンでお空の旅だ。楽しそうだろ?」
「気持ちいいんだよねードラゴンの背中に乗って空を飛ぶのって!」
マオが目を輝かせ……セフィーの顔は少し曇る。そんなセフィーの頭を撫でて上げる。
「セフィーはもう人なんだから…嫉妬しないようにね?」
「……むぅ…わかった……」
そうして僕たちは大陸の端っこにある龍の巣へと向かう。
深く生い茂った森に全員飛び降りる。ティアはふわっと飛び…シンさんの背中に降りる。シンさんはそのままティアをおんぶし……。
「んじゃあ行くか~」
「「「「「「は~い!」」」」」」
「まるでピクニックでも行くかのようにのんきですね……」
「もしかしたら全てのドラゴンとの戦いになるかもだよぉ……」
流石に船で飛んでいくと警戒されるかもという事で、少し離れた森に降りた。そこから歩いて巣に向かうという事だ。
森を喋りながらのんびりと歩くシンさん達。僕とセフィーはつい周りを警戒してしまう。
「そういえば…僕真眼とかいうのあったな……」
そう言えば世界が平和になってから全く使ってないから忘れていたな……。
ほぼ5年ぶりくらいに真眼を起動する。上空からの俯瞰目線だ。……っと見えた。あれが龍の巣。
森を越え、開けた場所に龍たちが多数、空を飛んでいた。海に面した崖に穴が開いており、そこを家のようにしているのだろか?まるで燕みたいだな…。
そして…僕たちは森を抜けてとうとう龍の巣に到着する。
「よう。はじめしてドラゴン。仲良くしようぜ」とシンさんが気さくに話しかける。
僕たちがドラゴンの巣に入るや否や、とても大きい黒いドラゴンが出迎えてくれた?
「ガルゥ!ガガァァァア!!」
「?なんて言ってんだセフィー?」
「分かんないよ…ドラゴンに言葉とかないし…ただ怒ってるのはわかるかも?」
「(矮小な人が我ら強者の住処に何用だ!!)だってさ」
「ティアわかるの!?」セフィーが驚く。
「言葉というよりは…心理的なものだよね。まあわかるよ大体」
「じゃあティア翻訳よろしく。別に俺たちは戦いに来たんじゃねえ。言ってるだろ?仲よくしようぜ?」
「(はははは!我らと仲良く?お前らは小虫と対等でいられるのか?無理だろう?我らにとってお前らはそんなものだ!)」
あれで笑ってるんだ…。僕には全然わかんないや。
「ツバサツバサ…あれ実は…私のお父さん」
「は?」
ピクリとシンさんの耳が動く。
「小虫だとかいうなよ。お前の娘のつがいになった相手だぞ?ほらそこの角の生えた子がお前の娘で、その横にいるのがその婿だぞ?」
「「(な!?)」」
なんてこと言うんだこの人は!?こっちを向いてニヤニヤしやがって……初めからこれが狙いか…。
「(まさか…我が娘の白竜…お前なのか…)」
「う…うん…ごめんねお父さん。勝手に里を飛び出しちゃって…」
「(まさか人の身に落ちたというのか!!なんて軟弱な……その隣の貧弱な男がお前の婿だと?……貴様ぁぁぁぁぁ!!)」
「シン。三秒後」とサーニャが呟く。
「ほい。ティア、マオ準備」
「「はーい!」」
大きな黒龍から赤い線が浮き上がり、コォォォォォという音が聞こえる。
横でキィィンという音がして…隣にいたセフィーが、まるで魚が釣り上げられるように、シンさんの横に吸い込まれていき……
その瞬間大きな氷のドームが出来上がる。
そしてドラゴンの口が開かれ、大量のエネルギーを内包したブレスが吐かれる。
「アチチチチ!!!!というか痛い痛い痛い!!ちょっと!?僕もそっちに入れて下さいよー!!」
数秒続いたブレスが終わり、氷のドームも壊れる。その内側にあった分厚い壁も消え、涼しい顔をしたシンさん達が現れる。
「ほらツバサ。服だ」
とパンツだけを残し、服がボロボロになった僕に服を投げて寄越す。
「ひどいですよ…僕もそっちに入れてくれても…」
「何言ってんだ。お義父さんと存分に語り合えよ」
「(我のブレスを受けても無傷だと……!?なにやつ…)」
この…いきなり攻撃してきやがってぇ…痛かったぞ…。
「そうですね…お義父さん。あなたの娘をくださいなんて言いません。もう頂きました。なので文句を言うなら実力で黙らせることにします」
「(はっ!人風情がなにを……ぐふっ!!)」
一瞬で黒龍の付近まで移動し、その腹めがけて、拳で弱めに殴る。
「いきなり攻撃しやがって!!痛かった!100倍にして返してやる!!うりゃりゃりゃりゃりゃ!!」
ドドドドドドドドドと重い打撃音が周囲に響き渡る。
ちゃんと冷静に?真眼でHPを見ながら殴る。半分くらい減ったところで攻撃をやめる。
「どうですか…?まだやりますか?」
「(グヌヌ……まだまだぁ!!)」
そう言うと?一気に大空に飛び上がる黒龍。そして黒だった鱗がみるみる輝くルビー色の赤に変わっていき……。
「(数百年ぶりの本気のブレス!受けてみろ!!)」
ゴォォォォォォォと空気が燃える、若干焦げ臭い。
「ならば僕も…本気で迎え撃ちましょう」
ぐっと腰を落とし、地面を砕き、上空に飛ぶ。そしてドラゴンの口が開かれ……。
ヒュッと風を切る音がしたかと思うと……
キィィィィィィン!!
辺り一面が真っ白に染まり、上空にいたドラゴンが凍って動かなくなる。もちろん僕も……。
「(いい加減にしなさい!!私たちの巣を壊す気ですか!!)」
氷のフィルター越しに、蒼い龍が見える。あのドラゴンのブレスか……。
「って痛い痛い!!」
ぐっと体に力を入れ、周りの氷を砕く。
「寒い寒い!!シンさん!火を!!」
「ん?さっさとこっちにこいよ」
すでにたき火を起こして、暖を取ってるシンさん達。僕が戦ってるのに…そしらぬ顔ですか……。
ダッシュでシンさん達の元に向かう。そして後ろから凍ったドラゴンがドォォン!と音を立てて落ちる。
「ひぃぃ……ダメージは少なくても僕は痛みは感じるんですから……勘弁してほしいですよ…」
たき火の前で震えながらシンさんに文句を言う。
「ふーん。俺が戦っても勝てなさそうだしな~。そう言う力技はお前の仕事だろ?」
「よく言いますよ……。完勝できるくせに…」
実際ドラゴンのブレスを難なく受け止めてるし……。
「(ん?もしかして私たちの娘の白なの?)」
「あはは……ただいまお母さん」とバツが悪そうに挨拶するセフィー。
「(あらあら!もう帰ってこないと思ってたわ。おかえり白。今日はどうしたの?って…意思疎通が面倒ね~ちょっと待っててね?)」
青いドラゴンが光に包まれ、前が見えない。セフィー!?
「ツバサ。見ちゃダメ」
「お兄さんもだよ!」
「あらあら。別に常に裸みたいなものだから構いませんよ?」と上から大きな声がする。
「ティア。準備してたやつ頼むぞ」
「はいよ~。これに力を流してね。……うんそしたらそれを腕に着けるといいよ。外せば元に戻るよ」
いったい何が起きてるんだろう?
「あら~。まるで人になったみたいね~。これはいいわね。え?くれるの?ありがとう」
「いいから服を着てお母さん!!」
「まぁ!まるで人みたいなことを言うのね白…って人になったの?へぇ~。確かにあなたはまるで人みたいな考え方だったものね~。なるべくしてなったって感じかしら?」
「い い か ら 服 を 着 て !!」
「もう…つれない子ね~」
しばらくするとセフィーから手を離される。すると目の前に青いきれいな髪をした女性がいた。これがセフィーのお母さん?
「は…初めまして。セフィーの夫のツバサです。どうぞよろしくお願いします」
「……まさか夫を連れて帰ってくるなんて!!今夜はお祝いね!!お酒はあったかしら?ちょっと!!そこのあなた!特上のお肉をとってきて頂戴!!香草は足りるかしら…ええい!ちょっと行ってくるわ!!」
「お母さん恥ずかしいからちょっと落ち着いてよ……」
「食材の心配はいらないぞ~たんまり積んである。とりあえず話をしたいんだが…いいか?」
「いいわよ~。ここではなんだし、私たちの家でお話ししましょう。赤!いつまで凍ってるの!行くわよ!」
グググ……バキンッ!と音がして、赤い鱗のドラゴンが氷から出てくる。
「グアアア……ガウガァァ」
「はいはい…さっさと喋れるようになりなさい……また凍りたいの?」
さっきと同じようにドラゴンが光に包まれ…身長15メートルほどの巨人になる。
「大きさは変えられないんだね」
「うん。私はセフィーで知ってたけど、ツバサさんは知らないんだっけ?」
「飛空艇でセフィーが飛んでるのは見たけど、変身の瞬間は見てないからね」
その後ティアが何かを渡し、少しすると僕より少し身長が高いくらいの赤い髪のイケメンになった。
シンさんの渡す服を渋々着る。
「黒龍じゃなかったんですね」
「あ?誰が黒龍だ。呪いが解けてから誰も俺の相手をしてくれなくてな。そりゃ鱗もススで黒くなるっての。って言うか勝負はまだついてないからな。娘は……」
「赤?娘はあなたの物ではありません。それに白が生まれても、あなたはずっと楽しそうに戦ってたじゃないですか。今更父親顔しないでください」
「ぐっ…しかしだなぁ……人だぞ?軟弱な奴に……」
「あら?ツバサさんは手加減していたのよ?白の親を殺したくはなかったんでしょう。それすらわからない時点で貴方なんてただの雑魚の小虫と一緒ね」
「グググ……はぁ…わかった。俺の負けだ。あのブレスを放つ寸前に死を感じたからな。お前の実力はこんなもんじゃないんだろう……人の癖にやるじゃないか」
「はぁ……ありがとうございます?」
人に扮したドラゴンに付いて行く。途中いろんな色をしたドラゴンたちがこちらを興味津々で見ていた。
グルル…と唸り声を上げていたが、殺意は感じない。
「(人だよ人!何あれ可愛い!)(あれが人…本当にいたんだね…おじいちゃんの話は本当だったんだ)(ずるいぞ青、赤。我らも人と遊びたい)って感じかな?」
せっかくひそひそ話して?るのにティアが翻訳する。
「割と好意的?そう言えばセフィーとドラゴンについてはあんまり話してなかったね」とマオがセフィーに話しかける。
「…あの時は呪いがあって、同族の話をして、討伐隊とか編成されると嫌だったから……」
「私たちはそんなことをしないけど…確かに迂闊に会いに行ったら戦争だったよね…」
「ある日から突然私たちの頭のもやが晴れてね~それからは平穏に暮らしてるのよ~ここにいる赤みたいな戦闘狂は燻っちゃったけどね」
「うむ!我は戦いの中で死にたいぞ!どうだそこの猫。我と戦ってみんか?」
「断る。俺はシンだ。次猫って言ったらぶっ飛ばすぞ」
「ははははは!威勢のいい猫じゃ……グファァァァァっ!!」
シンさんがいつの間にか出したミサイルみたいなものでどこかへ吹き飛ばされていく赤龍さん。
シンさんは僕より多分強いんだよなぁ…単純な戦闘なら……。
「あらあら。赤も楽しそうで何よりだわ。着いたわ。ここが私たちの家よ」
ただっぴろい空間があって、端の方に動物の骨が転がり、木の枝で出来たとても大きな鳥の巣のようなものがあった。
「何もないんだけどね~あそこで白が生まれたのよ~可愛かったわ~真っ白でね。ついついこの間の事のように思い出すわ。白ったら泣き虫でね~小さいころはずっと私にくっついて離れなかったのよ~。龍なのにね~」
「お母さん!?何を言い出すの!?」
「あらいいじゃない…興味あるでしょ?ツバサさん?」
「まあなんとなくわかりますよ。セフィーは今もそんな感じですし」
「ツバサ!」
「ごめんごめんセフィー…その話もとても興味がありますが…今はシンさんのお話を聞いてあげてください」
「そうだったわね…で?私たちに話って何?というか全てのドラゴンをココに集めていいかしら?小さくなれる道具はまだある?」
「もちろんあるぞ。ドラゴンの今後の生き方について意見するからな。なるべく全部集めてくれ」
「わかったわ~。ちょっとだけ待っててね?」
そう言って青竜さんは立ち去って行った。
そうてこのドラゴンの住処にいる全部のドラゴンが人型になり、集まるまで数時間ほど待つことになった。
いつもお読みいただき有難うございます。
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