青春!ときめきハイスクール!~あの子もその子もあなたの虜~ 前編
突然何が!?と思うと思いますが…ちゃんとお話は繋がっています。……多分?
「おにい…シンジ!朝だよ~起きてってば~」
「んんっ…」
マオが俺の体をゆすり、起こそうとしている。確かここでの選択肢は…なんだっけか?
「早く起きないといたずらしちゃうよ~?」
1 このまま寝たふりをしていたずらされる。
2 すぐ起きる。
だったか?まあ眠いので…1だな…もうちょっと寝ても問題ないだろ…。
「もう…ちょっとだけ…寝かせろ…」
「ふ~ん…」
ごそごそと何か物音がして…俺のシャツのボタンをはずす…マオ…。
「!?っておい!それはイタズラの範囲を超えてるだろ!」
「ふえ?」
俺のパジャマを脱がし続けるブレザーの制服姿のマオ。朝からナニをするつもりだ!?
「いまさら何を言ってるの?いいじゃん朝からしたって」
「高校生の青春を謳歌するんだろ?明らかに不純異性交遊だろ…そう言うのは無しだ!」
「ちぇ…朝からおにい…シンジを独占できると思ったのに…」
「はいはい…着替えるからリビングで待っててくれ…」
「シンジの生着替えがみたい~♪」
「……つまみだすぞ?」
「…は~い…」
とぼとぼと部屋から出て行くマオ。まったく…油断するとすぐこれだ…。
どうして俺が高校生でシンジと呼ばれているか、選択肢とは……。
その理由は前日の夜にさかのぼる…。
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「お兄さん。明日は街の散策だっけ?」
夕食後、俺の部屋にマオがやってくる。なお…酒はこちらで制限しているのでほろ酔い程度の量しか飲ませないことにしている。
「おう。久しぶりに故郷を懐かしんで来いよ」
「どんな施設があるの?民家だけ?」
「街が一個あると思っていいぞ。コンビニ、スーパー、ゲーセンに公園。あとは学校とか工場とか…まあいろいろだな。そう言えばマオの実家とツバサの実家も再現してあるからな。暇があったら行ってみるといいぞ?」
「へぇ~!私の家もあるんだ…」
「辛かったらいかなくてもいいけどな…」
少しだけ暗い顔になったマオを俺は見逃さなかった。まあそりゃ…普通は未練があるもんだ。
「ううん。大丈夫。私は今幸せだしね。そうだ!学校もあるんだよね?前言ってた…制服デートしようよ!」
「別にいいが…俺は学生の青春ってよくわかんなかったからな…制服着て歩いてればいいのか?」
「それじゃあただのコスプレデートだよ…」
「マオはその辺詳しいだろ?青春を謳歌してたんだろ?」
「うっ……その…私の友達ってさ…ちょっと変な人が多くて…所属クラブもオカルト研究会。通称オカ研一筋だったし…私自身も魔法の為に頑張ってたわけだしね…だから…」
「ちなみにそのオカ研で何をしてたんだ?」
「…悪魔を召喚しようとしてみたり…魔法薬と題したよくわかんない液体を作ったり…無意味にひたすら魔法陣を書いて念じたり…心霊スポットを散策したり…いろいろ?」
元の世界でそんなことをしてる集団は…ちょっとどころじゃなく変な人だな。
「ふ~ん。セイシュンシテルナァ~」と目を逸らしながら言う。
「自分でもわかってるから…普通じゃないってことは…」
今どきの学生ってやつはどんな感じでデートしたりするんだろうな……。
マオと二人で頭をひねって考える。
いっそティアでも呼ぶか?しかしアイツはいま、最後の大事な仕事をしている。邪魔するわけにもいかない…。
「シンさ~ん。明日着ていく服をコーデしてくださいよ~。大事なデートがあるので……ってマオと二人で難しい顔をしてどうしたんです?」
バンッ!とノック無しでドアを開け放つツバサ。デリカシーのない奴め…見てはいけないことをしていたらどうするつもりだ…。
「今大事な議題を抱えているところだ。そもそも自分で着ていく服くらい自分で決めろ…」
「大事なデートって…セフィーかな…?」そうポツリとつぶやくマオ。
「僕が決めた服を嫁に見せると…みんな目を逸らすんですよ…何が悪いのかわからないし…」
「まさか今着ているその服装で、デートに行くつもりか?」
黒いダメージジーンズにボロボロの黒いシャツに、黒い革のジャケットを羽織り、黒のニット帽を被り、目には真っ黒なサングラス。
なんていうか…真っ黒だった。どこかで墨汁でも浴びたのかってくらい真っ黒だ。
題するなら…漆黒のノワールブラック黒バージョン。
元の世界でこんな男が歩いていたら、警察に即効通報することだろう。
「お前の大事なデートってのは…デートと言う名の暗殺なのか?どこかの一子相伝の暗殺拳でも習得したのか?闇にでも溶け込みたいのか?」
「ええ!?黒ってかっこいいじゃないですか…?」
「黒は引き締めるのにはいい色だけど…そこまで真っ黒だと…カラスにでもなりたいのかな…?」
「烏…カッコいいけどね…それで?二人の大事な議題って何なんですか」
「明日学校で制服デートしたいってマオが言うんだが…学生の色恋なんてわかんなくてな…」
「私もお兄さんも普通の学校生活なんて送ってなかったんだよね~」
ツバサも確か引きこもりだ。まともな奴がいないな…まともな奴がこれる世界じゃなかったか。
「なんだ。そんなことでいいんですか?僕がデートをプランニングしてあげましょう」
「「はい?」」
「いや…だから僕がシンさんのデートをプランを考えてあげますよ。だから…服のコーディネートお願いします!」
「服は選んでやるが…お前引きこもりじゃなかったのか?実は充実した学生生活を送ってた?」
だとしたら…確かにこいつはモテそうだし…。
「中学校一年生で引きこもって高校は行ってませんよ?」
「だったら…」
俺が無理だろ?という前に、ツバサの手を前に出し…。
「シンさんはゲームをしたことありますか?」
「そんな暇はなかったかな…ゲームってあれだろ?ピコピコの事だろ?それが何の関係があるんだよ」
「ピコピコって…お兄さん…」
「……シンさんは戦後の人間か何かなんですかねぇ…。恋愛シュミレーションゲームってのがありましてね。僕もめっちゃはまってたんですよ」
「ふ~ん。で?その恋愛なんちゃらゲームとデートに何の関係があるんだよ」
「恋愛マスターの僕が脚本を書くので…その通りにイチャつけばいいだけですよ。ギャルゲーの主人公になれるなんて夢のようですよね!」
「へぇ~!楽しそう!!」
「……まあマオがそう言うなら…俺に異存はないな」
若干の不安はあるが…マオが楽しそうなら別にいいか……。
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という事で今こうなってる訳だ。配役はくじ引きで決めたそうだ。
マオは俺の幼馴染で、俺は昔強盗があって家族が皆殺しにされて、親族には俺の引き取りを断られ、お隣の幼馴染、マオの家に居候しているそうだ。
主人公が悲惨すぎるんだが…それでいいのか?
俺はブレザーの制服に着替え、リビングの方に向かう。
「ししょ……んっんっ!おはようシンジ君。朝ごはん出来てるわよ」
「ありがとうございます。アリサさん」
マオのお母さん役がアリサだ。テーブルに着くと、トーストとバター、目玉焼きにウインナーとサラダ。飲み物にコーヒーが置かれる。
「「「いただきます」」」
マオのアリサと三人で朝食をとる。というか朝起きるところからやる必要はあるのだろうか…?
「うん。うまい…特にこのウインナーだな。パリッとしていて肉汁が溢れる…好みの味だ」
「ありがとうご…ありがとうシンジ君。嬉しいわ」
「お母さんの料理大好きだよ!」
「ありがとうね。マオ」
三人で朝食を食べ、学校に向かう。だが…
「確か…朝にしっかり者の委員長が迎えに来るんじゃなかったっけ?」
「ココだよね?そう言えばいないね」
玄関を出ても誰もいなかった。なにかあったのか?
「まあ途中で寄っていくか…」
「そうだね!ココの事だから心配はいらないとは思うけど」
マオを手を繋いで通学路を歩く。少し歩くと……
「「「シンジ先輩!おはようございます!」」」
「おう。おはよう。あんまり走るなよ~転んでけがするぞ」
「大丈夫~!」とシユが手を振りながら駆けて行った。
そう言って後ろから走ってきて、俺たちを抜き去っていくシユ、ミーコ、フーコ。俺の部活の後輩枠だそうだ。仲良し三人組という設定らしいが、もともとあの三人は仲がいいから適役かもな。
十分程度歩くと、ココの泊まっている家に到着する。一人暮らしという設定だ。
家のチャイムを鳴らすが、一向に出てくる気配がない。
「寝坊かな?」
「まああり得るな…あいつは割とねぼすけさんだからな…」
仕方ないので玄関を具現化した鍵で開ける。俺はこの島にある全ての家を空けられる、マスターキーの形状を記憶しているので、基本何処でもあけられる。何かあったら困るからな…。
家に入ってもほぼ人の気配がしない…。ひとまず寝室に向かう事にした。寝室のドアを開けると……。
「……こんな真っ暗な部屋で何をしてるんだ…」
テレビにくぎ付けになっているココ。部屋のカーテンを締めきって、電気もつけずに真っ暗な部屋で何かをしている。
後ろからのぞき込むと…ゲームのコントローラーだっけ?を握り、高速で指が動き続けている。体は微動だにせずにだ。
「ココ?朝だぞ?」
「そうですか…少し待ってくださいね…もうちょっとでキリのいいところなので…」
数分ほど待つと、コントローラーを置き、振り返るココ。髪はぼさぼさで、目の下に若干クマがあり、目が充血している。
「……シンジ…これまずいやつじゃ…」
「ツバサの為に作ったんだがな…ここにもゲーム好きがいたのか…」
もそもそと制服を半分くらい着たかと思うと…そのままベットに倒れるココ。
可愛い寝息をたてて寝始める。
「どうする?寝かせとく?」
「ん~…仲間外れは作りたくないのと…こいつ起きたらまたゲームやるだろ?連れて行こう」
風呂場にココを連れて行き、シャワーを浴びせ、身だしなみを整えたら背中におぶって学校に向かう。
「なんか懐かしいな…昔こうやって寝ているココを看病しながら旅をしたことがあったな」
「へぇ~。しっかり者って言うイメージだよ」
「最初の頃はすぐ泣くし、攫われるし、隙あらば抱き着いて来ようとするし…手のかかる子供みたいだったぞ?」
「そう言えばお兄さんの旅の概要は何となく聞いたけど、ココ達の事はあんまり聞いてなかったよね~。今度詳しく聞かせてよ!」
「また今度聞かせてやるよ。あとお兄さんじゃないからな。今の俺は男子高校生の御門慎二だ。役に徹しろよ」
「ほんと意味の分からない所はこだわるよね」
「その方が全力で楽しめるからな。悔いなく青春を謳歌するぞ」
「は~い!」
ココの家から少し速足で学校に向かう。このペースなら割と余裕で遅刻せずに着きそうだ。
すると前の方の曲がり角の左の道から、走っている足音がした。
「ちこく…ちこく…」
そんな声も聞こえる。あぁ…そう言うイベントもあったんだっけか…。
1 そのままぶつかる。
2 走っている彼女を寸前で抱き留める。
ん~抱き留めてあげたいが…ココを背負ってるし…選択肢3の寸前で避けるだな。
まさに曲がり角の角ドンピシャで飛び出してくるサーニャ。俺は曲がり角寸前ででブレーキをかけ、避け……。
カクッ!と急カーブしてきたサーニャが俺にそのまま抱き着く。
「もう…あぶないじゃない…ちゃんと前を見て歩いてよね?」
俺に抱き着いたまま見上げるようにして俺に言うサーニャ。
「……どういう状況なんだよこれは…」
「あ‥まずいまずい…ちこくちこく~」
そう言いながらサーニャは走り去っていった。食パン咥えて走ってるんじゃなかったのか?……
あっ!?俺の制服にパンカスが!?あいつ……。
「前途多難だなこれは…」
「私たちらしくていいんじゃないかな?すっごく楽しそうだよ!」
まだシュミレーションが始まって学校にもついてないのにこのグダグダ感……。
すでに若干疲れてきた俺は、遅刻寸前でようやく学校にたどり着いたのだった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
長くなっちゃうので話を割りました。次話は日曜日に投稿できるように頑張ります。




