どんちゃん騒ぎの大宴会 後半
変則ですが、後半シン視点になります。
「ツバサ~もう一杯!」
「はいはい…いくらでも付き合うよ…ルル」
こっそりシャルに回復魔法をかけてもらいつつ、お酒好きのルルに付き合う。
この子はどこまで飲むんだ…?
赤ちゃんたちは、天人族が面倒を見てくれている。シツルだけは、シャルの膝の上でシツル用のご飯を食べている。
「このお酒はおいしいね~なんていうお酒?」
「僕も詳しくはないけど…日本酒ってやつなのかな?」
「へぇ~!どこで買えるんだろう…」
「この旅館のお土産コーナーで買えるよ!」とお酒を持って来ていた天人族が教えてくれる。
「おぉ!後で絶対行こう!」
ご機嫌にお酒をあおるルル。もう一升は飲んでるんじゃないだろうか?
「ミカヅキ卿!ビールはいかがですかね?これもおいしいですぞ!」
とてもテンションの高いカインが、ビール瓶を片手に近づいてくる。
「ん~じゃあいただきますね」
とグラスをカインに差し出す。コポコポと音を立ててビールがグラスに注がれる。
それを一気に飲み干す。結構うまい。
「ん。これはおいしいですね!」
「おお!ミカヅキ卿はわかりますか!この喉ごし、そして麦の香りが何とも言えないのですよ!」
「うんうん。わかります」
炭酸飲料が好きな僕は、割とビールが好きかもしれないな。
「ツバサ?こっちもおいしいわよ?」
ミーシャが赤色のお酒を注いでくる。
飲んでみると、リンゴジュースのような…でもアルコール特有の味もする。
「へぇ~!さっぱり飲めていいね!」
「でしょ~私は好きね」
おいしい食事と、おいしいお酒。そして程よく回復魔法を使い、ほろ酔いで気持ちよく食事をしていた。
しかし…
「かいひゅくまほうとか!?しゃけをなめてるの!?」
マオがこちらに向かって大声を出しながら歩いてくる。
「そうだそうだー!お酒がもったいないわよ~」とはやし立てる…あれはたしかリリアだっけか…
「わらしのまりょくで、このくーかんをしはいしたよ!もうかいひゅくまほうはつかえないからねー!!」
「「「「「ええ!?」」」」」
僕たちだけでなく、周りの天人族も驚く。
…これは非常にまずい…マオを止められる人が今この場には一人もいない…
「しょんなひかんそうなかおしないで!いっぱいだけでいいからしゃ~」
ずいっと一升瓶とコップを僕に差し出す。
「それでいいなら…付き合うよ」
コップを受け取り、そこにマオが並々に酒を注ぐ。
それを一気に飲み干すと、コップを机にダンッ!と置く。かなりきついお酒だ…おいしいんだけど…
「はやくのんでよ~ちゅばしゃしゃん!!」
「…は?」
飲み干したはずのコップには、いつの間にかまた並々とお酒が入っていた。
マオの顔を見ると、口角がわずかに上がっている。こいつ…
これだから時を止める系のチートは!!
「…わかった…ただ…シツルとシャルだけは許してやってくれ…先に部屋に返してもいいよね?」
「いいお~しちゅるちゃんはまだこどもだし…しかたないね~」
ご飯を食べ終わったらすぐ寝てしまったシツルを胸に抱くシャル。
「ツバサ…」
「大丈夫だよ。先に寝といていいからね」
軽く目配せすると、シャルは小さく頷く。僕と意図は完ぺきに理解してくれたようだ。さすがシャル…
出来れば僕が生きている間に…間に合うように頼むよ…
シャルが足早に宴会場から出て行く。そして…
「しゃ~ちゅばしゃしゃん!はやくのんで!!はやくはやく~」
「くっ‥もってくれ…僕の腎臓っ!」
そうして僕は、コップに注がれた、無くなることのない酒に向き合う。
そしてほどなくして…僕の記憶も飛んでしまう…
~~シン視点~~
「少しは目が覚めたか?」
ココの服を脱がし、自分達の部屋の風呂にぶち込んだ。しばらく風呂に浸かっていると、目が覚めたようで…
「失礼しました…」と顔を俯かせて言うココ。
「酒を飲むのは自宅だけにしたほうがいいかもな…」
酒癖が悪いというか……弱すぎる
「ですね…」
「ゆっくり浸かってアルコールを抜け。俺は飯でも作っとくから」
「ありがとうございます」
各部屋の冷蔵庫に、ある程度は食材が入れてある。さすがにあの晩飯の食材には劣るが…そこは工夫するしかないか…
エプロンを締め、食材の下処理をしていく。
そして調理を開始しようとした瞬間…
「ダウン者4名連れてきたよー!」
天人族が台車で4人を連れてくる。サーニャ、シユ、ミーコそして…
「フーコまでこっちに連れてきたのか…」
「だめだった~?」
「ん~…まあいいか…風呂に全員ぶち込んでくれ」
「はーい!」
胃に優しいスープと、あっさりした食事がいいか…?
再び調理を開始しようとすると…
「シン!ツバサをたすけて!!」
「…はい?」
シャルが俺の元に慌てた様子で駆け込んでくる。
「ただの宴会で何があるって言うんだよ…」
「とにかくすぐにえんかいじょーに向かって!マオをとめて!」
シャルのただならぬ雰囲気に、俺も少し真剣になる。
「わかった…」
部屋を出て、速足で宴会場に向かう。
宴会場のふすまを開けると……
「何があったらこうなるんだ…」
ルルとリリアが、酒瓶をマイクにして大声で歌い、城のメイドと執事たちが、その歌に合わせて踊っている。
…そのせいで宴会場の床が揺れている…頑丈に作ったから大丈夫だとは思うが…
隅の方にツバサと…それに群がっている嫁達がいた。
「大丈夫か~ツバサ~?」
シャルに頼まれた手前、とりあえず様子を見る。
「シンさん…グスッ…僕なんて…うぅ…どうせ…チートありきでハーレムを作ってるダメ野郎なんです…はぁ…死にたい…グスッ…」
「何言ってん…」
「そんなことないですよご主人様‥グスッ…」
「そうですよ!自分は大好きなご主人様だから、付いて来ているのですよ…グスッ…」
メイド達はツバサを励まし、抱き合い大泣きしている。
こいつら全員顔が真っ赤だけど…まさか酔ってんのか?
もうツバサは大丈夫(関わると面倒くさ)そうなので、地震の原因を止めに行く。さすがに暴れすぎだ…
近づいてみると…獣人達が死屍累々と辺りに倒れている。しかしどいつもこいつも何故か光悦とした表情をしている…
そしてその中心に…変なオーラを出した魔王…もといマオが胡坐をかいて座っていた。
「いいじょ~!!もっとおどれ~!歌え~!!ははははははは!!」
酒瓶を振り回し、大声で叫びを上げるマオ。これは…
時間を止めるマオ対策を一瞬で終え、声をかける。
「何やってんだマオ…床が抜けたらどうすんだよ」
「ッ!?おにいしゃ~ん!?いっしょにおしゃけのも~~!!」
マオがこちらに振り向いたかと思うと…一瞬で俺の首に手を回して抱き着く。
俺は逃がさないようにマオの体に手を回し…
「や~ん!おにいしゃんだいすき~!!」と頬にキスをしてくるマオ。
「俺も愛してるぞ~っと‥」
腕に仕込んでいた糸でマオを絡めとっていく。
「あぁん!おにいしゃんそういうぷれい?」
「やかましい…完全な絡み酒だな…ツバサは泣き上戸?とりあえず部屋に帰るぞ…シリア、後は任せた」
「はーい!」と元気良く手を上げる天人族のシリア。
「おにいしゃんどこいくの~?まだこづくりにははやくない!?」
「はいはい…口も縛ったほうがいいのか?」
マオを肩に担ぎ、宴会場を後にする。片づけには俺も行かないとな…
「おにんしゃ~ん!へへへ~」
「外でお酒を飲ませちゃダメな奴だなこれは…」
拘束を解くと、すぐに抱き着いてくるマオ。
マオの服をサクッと剥ぎ、風呂場に向かう。
「シン!?」
「あ‥そう言えばフーコもいたな…すまん。こいつを頼む」
「ふーこちゃ~ん!!ふーこちゃんもしんのおよめさんになりゅの~?」
「やめろマオ…俺は飯を作ってくるからな…風呂からあがったら勝手に食っといてくれ」
「「はーい!」」
「裸を見られた…これはもう…お嫁に行けない…もらってもらうしか…」
不吉な言葉が聞こえたが…気のせいだよな…
その後俺は彼女たちのご飯を作り、飯を食ったら、酔い疲れてマオはそのまま眠った。
そして宴会場の片づけに向かう…今後、夕食の宴会はちょっと考えないとな…
今後の予定の変更点を考えつつ、俺はあいつらの暴れていた宴会場を修復しなおすのだった…
いつもお読みいただき有難うございます。




