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私の世界にようこそ  作者: てけと
番外編『異世界旅行と罪滅ぼし』
135/189

どんちゃん騒ぎの大宴会 後半

変則ですが、後半シン視点になります。

「ツバサ~もう一杯!」

「はいはい…いくらでも付き合うよ…ルル」


 こっそりシャルに回復魔法をかけてもらいつつ、お酒好きのルルに付き合う。

 この子はどこまで飲むんだ…?


 赤ちゃんたちは、天人族が面倒を見てくれている。シツルだけは、シャルの膝の上でシツル用のご飯を食べている。


「このお酒はおいしいね~なんていうお酒?」

「僕も詳しくはないけど…日本酒ってやつなのかな?」

「へぇ~!どこで買えるんだろう…」

「この旅館のお土産コーナーで買えるよ!」とお酒を持って来ていた天人族が教えてくれる。

「おぉ!後で絶対行こう!」


 ご機嫌にお酒をあおるルル。もう一升は飲んでるんじゃないだろうか?


「ミカヅキ卿!ビールはいかがですかね?これもおいしいですぞ!」


 とてもテンションの高いカインが、ビール瓶を片手に近づいてくる。


「ん~じゃあいただきますね」


 とグラスをカインに差し出す。コポコポと音を立ててビールがグラスに注がれる。

 それを一気に飲み干す。結構うまい。


「ん。これはおいしいですね!」

「おお!ミカヅキ卿はわかりますか!この喉ごし、そして麦の香りが何とも言えないのですよ!」

「うんうん。わかります」


 炭酸飲料が好きな僕は、割とビールが好きかもしれないな。

 

「ツバサ?こっちもおいしいわよ?」


 ミーシャが赤色のお酒を注いでくる。

 飲んでみると、リンゴジュースのような…でもアルコール特有の味もする。


「へぇ~!さっぱり飲めていいね!」

「でしょ~私は好きね」


 おいしい食事と、おいしいお酒。そして程よく回復魔法を使い、ほろ酔いで気持ちよく食事をしていた。


 しかし…


「かいひゅくまほうとか!?しゃけをなめてるの!?」


 マオがこちらに向かって大声を出しながら歩いてくる。


「そうだそうだー!お酒がもったいないわよ~」とはやし立てる…あれはたしかリリアだっけか…

「わらしのまりょくで、このくーかんをしはいしたよ!もうかいひゅくまほうはつかえないからねー!!」

「「「「「ええ!?」」」」」


 僕たちだけでなく、周りの天人族も驚く。


 …これは非常にまずい…マオを止められる人が今この場には一人もいない…


「しょんなひかんそうなかおしないで!いっぱいだけでいいからしゃ~」


 ずいっと一升瓶とコップを僕に差し出す。


「それでいいなら…付き合うよ」


 コップを受け取り、そこにマオが並々に酒を注ぐ。

 それを一気に飲み干すと、コップを机にダンッ!と置く。かなりきついお酒だ…おいしいんだけど…


「はやくのんでよ~ちゅばしゃしゃん!!」

「…は?」


 飲み干したはずのコップには、いつの間にかまた並々とお酒が入っていた。

 マオの顔を見ると、口角がわずかに上がっている。こいつ…


 これだから時を止める系のチートは!!


「…わかった…ただ…シツルとシャルだけは許してやってくれ…先に部屋に返してもいいよね?」

「いいお~しちゅるちゃんはまだこどもだし…しかたないね~」


 ご飯を食べ終わったらすぐ寝てしまったシツルを胸に抱くシャル。


「ツバサ…」

「大丈夫だよ。先に寝といていいからね」


 軽く目配せすると、シャルは小さく頷く。僕と意図は完ぺきに理解してくれたようだ。さすがシャル…


 出来れば僕が生きている間に…間に合うように頼むよ…


 シャルが足早に宴会場から出て行く。そして…


「しゃ~ちゅばしゃしゃん!はやくのんで!!はやくはやく~」

「くっ‥もってくれ…僕の腎臓っ!」


 そうして僕は、コップに注がれた、無くなることのない酒に向き合う。


 そしてほどなくして…僕の記憶も飛んでしまう…




~~シン視点~~



「少しは目が覚めたか?」


 ココの服を脱がし、自分達の部屋の風呂にぶち込んだ。しばらく風呂に浸かっていると、目が覚めたようで…


「失礼しました…」と顔を俯かせて言うココ。

「酒を飲むのは自宅だけにしたほうがいいかもな…」


 酒癖が悪いというか……弱すぎる


「ですね…」

「ゆっくり浸かってアルコールを抜け。俺は飯でも作っとくから」

「ありがとうございます」


 各部屋の冷蔵庫に、ある程度は食材が入れてある。さすがにあの晩飯の食材には劣るが…そこは工夫するしかないか…


 エプロンを締め、食材の下処理をしていく。

 そして調理を開始しようとした瞬間…


「ダウン者4名連れてきたよー!」


 天人族が台車で4人を連れてくる。サーニャ、シユ、ミーコそして…


「フーコまでこっちに連れてきたのか…」

「だめだった~?」

「ん~…まあいいか…風呂に全員ぶち込んでくれ」

「はーい!」


 胃に優しいスープと、あっさりした食事がいいか…?


 再び調理を開始しようとすると…


「シン!ツバサをたすけて!!」

「…はい?」


 シャルが俺の元に慌てた様子で駆け込んでくる。

 

「ただの宴会で何があるって言うんだよ…」

「とにかくすぐにえんかいじょーに向かって!マオをとめて!」


 シャルのただならぬ雰囲気に、俺も少し真剣になる。


「わかった…」


 部屋を出て、速足で宴会場に向かう。




 宴会場のふすまを開けると……


「何があったらこうなるんだ…」


 ルルとリリアが、酒瓶をマイクにして大声で歌い、城のメイドと執事たちが、その歌に合わせて踊っている。


 …そのせいで宴会場の床が揺れている…頑丈に作ったから大丈夫だとは思うが…


 隅の方にツバサと…それに群がっている嫁達がいた。


「大丈夫か~ツバサ~?」


 シャルに頼まれた手前、とりあえず様子を見る。


「シンさん…グスッ…僕なんて…うぅ…どうせ…チートありきでハーレムを作ってるダメ野郎なんです…はぁ…死にたい…グスッ…」

「何言ってん…」

「そんなことないですよご主人様‥グスッ…」

「そうですよ!自分は大好きなご主人様だから、付いて来ているのですよ…グスッ…」


 メイド達はツバサを励まし、抱き合い大泣きしている。

こいつら全員顔が真っ赤だけど…まさか酔ってんのか?


 もうツバサは大丈夫(関わると面倒くさ)そうなので、地震の原因を止めに行く。さすがに暴れすぎだ…


 近づいてみると…獣人達が死屍累々と辺りに倒れている。しかしどいつもこいつも何故か光悦とした表情をしている…


 そしてその中心に…変なオーラを出した魔王…もといマオが胡坐をかいて座っていた。


「いいじょ~!!もっとおどれ~!歌え~!!ははははははは!!」


 酒瓶を振り回し、大声で叫びを上げるマオ。これは…


 時間を止めるマオ対策を一瞬で終え、声をかける。


「何やってんだマオ…床が抜けたらどうすんだよ」

「ッ!?おにいしゃ~ん!?いっしょにおしゃけのも~~!!」


 マオがこちらに振り向いたかと思うと…一瞬で俺の首に手を回して抱き着く。

 俺は逃がさないようにマオの体に手を回し…


「や~ん!おにいしゃんだいすき~!!」と頬にキスをしてくるマオ。

「俺も愛してるぞ~っと‥」


 腕に仕込んでいた糸でマオを絡めとっていく。


「あぁん!おにいしゃんそういうぷれい?」

「やかましい…完全な絡み酒だな…ツバサは泣き上戸?とりあえず部屋に帰るぞ…シリア、後は任せた」

「はーい!」と元気良く手を上げる天人族のシリア。

「おにいしゃんどこいくの~?まだこづくりにははやくない!?」

「はいはい…口も縛ったほうがいいのか?」


 マオを肩に担ぎ、宴会場を後にする。片づけには俺も行かないとな…


「おにんしゃ~ん!へへへ~」

「外でお酒を飲ませちゃダメな奴だなこれは…」


 拘束を解くと、すぐに抱き着いてくるマオ。

 マオの服をサクッと剥ぎ、風呂場に向かう。


「シン!?」

「あ‥そう言えばフーコもいたな…すまん。こいつを頼む」

「ふーこちゃ~ん!!ふーこちゃんもしんのおよめさんになりゅの~?」

「やめろマオ…俺は飯を作ってくるからな…風呂からあがったら勝手に食っといてくれ」

「「はーい!」」

「裸を見られた…これはもう…お嫁に行けない…もらってもらうしか…」


 不吉な言葉が聞こえたが…気のせいだよな…


 その後俺は彼女たちのご飯を作り、飯を食ったら、酔い疲れてマオはそのまま眠った。


 そして宴会場の片づけに向かう…今後、夕食の宴会はちょっと考えないとな…


 今後の予定の変更点を考えつつ、俺はあいつらの暴れていた宴会場を修復しなおすのだった…

いつもお読みいただき有難うございます。

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