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私の世界にようこそ  作者: てけと
私の世界のショートストーリー
128/189

ルルの子守り

マオの双子メイド、ルルさん視点のお話です。

余談ですが、今日から年号が令和になりましたね。おめでたい事なのでしょうかね?

10連休?そんな幻想は、当たり前のように殺されましたよ。ハハハハ

 いつものクエストが終わり、お昼ご飯はいつもこの冒険者ギルドの中の食堂だ。報酬を受け取ってそのままご飯を食べる。


「ルイ姉。今日はお昼から自由でもいい?」

「いいわよ。珍しいわね、ルイからそう言うのは」


 今日はお昼から、どうしても用事があるのだ。


「ちょっとツバサの所に行かないといけないんだよ~」

「へぇ~()()()ね~。わかったわ。気を付けるのよ?ミカヅキ卿によろしくね」

「ルイ姉も一緒に行く?」

「私はいいわ。ちょっとした用事もあるしね。ニーアと二人で行ってらっしゃい」


 ルイ姉はいつも一人でどこかに行ってる。気にはなっているが…ルイ姉なら心配いらないよね?

 冒険者ギルドを出ると、ルイ姉と別れ、私とニーアはツバサの屋敷に走る。

 馬車より私たちの方が早いので、基本馬車は使わない。

 少し走ると、巨大な屋敷が目に入る。あの豪邸が、ツバサの家だ。

 塀を飛び越え、玄関まで入る。玄関の大きな扉の横にある呼び鈴をチリンチリンと鳴らすと、メイドが一人、私たちを出迎えてくれる。


「お待ちしておりました。ルル様ニーア様」

「様付けはやめてほしいかな~?」


 いつも言ってるんだけど…なかなか直そうとしてくれない…


「お客様に失礼な態度をとることは、主人の格を落としかねないので…ご容赦ください」

「もう身内みたいなものじゃない…」


 ニーアが呆れてメイドに言う。これだけ通ってるのだ、私もそう思うけどなぁ…

 メイドに案内され、いつもの広間に通される。


「ルルおねぇちゃん!!」


 シツルが私を見つけて走ってくる。私は少し屈んで、シツルを抱き上げる。 


「今日はおめかししてもらったんだね~可愛いよ~!」

「へへへ~」


 薄いピンク色のドレスを着たシツルが、私の首に手を回して抱き着いてくる。

 

 可愛いなぁ~もう…持って帰りたい!!


「待ってたよルル。今日は頼むよ?」

「任せて!シツルとミサは私たちが守るよ!」

「ん。任せて。ツバサはミヤちゃんとアヤちゃん。それとナギの傍にいてあげて」


 奥にいたサーニャが近づき、ツバサに優しく言葉をかける。

 ミヤちゃんはミーシャの産んだ娘でまだ一歳だ。アヤちゃんがアミの産んだ娘で、まだ生後120日ほどだ。

 そしてナギはもうすぐ出産日を控えている妊婦さんだ。出来るだけ傍にいてやりたいのだろう。

  

 シツル(5歳)とミサ(3歳)を、たまに散歩に行かせたいのだが、心配性すぎるツバサは、彼女たちを外に出すのに、自分が付き添えない時は護衛を付ける。

 それが私とニーア、そしてサーニャだ。

 この三人は、いちいち頼まれなくても、勝手に来るんだけどね?サーニャは夫が出来たので、来る頻度が減っているけど…

 と言うか…夫がいるのに、他の家の家族に交じってていいのかな?もうなんならツバサが夫でもいいんじゃないの?


 


「サーニャはツバサのお嫁さんになったりしないの~?」


 シツルをシャルに渡し、気になったので聞いてみることにする。こっそりとサーニャの耳元で。マオの夫…シンは何とも思わないのだろうか?


「…シンはそう言うの気にしないから…俺が複数嫁を持ってるのに、お前も複数夫を持ってもいいんだぞ…だって‥」

「あの人らしいね…で?サーニャはどうするの?」

「考えるまでもない。私の夫はシンだけ。それ以外は考えられない…もし私がシンの子供を産んだら、あんまり来ないかもしれない…その時はお願い」

「そっか…うん。任せて~」


 ツバサが夫でいいんだったら、彼のいない6年の間にツバサの嫁になってるよね。馬鹿な事を聞いたなぁ~


「ルルおねえちゃん!ニーアおねえちゃん!さーにゃ!はやくいこ!!」


 シツルはシャルの胸から降り、玄関に向かって走っていく。


「シツル~家の中を走っちゃあぶないから!」


 シャルがシツルを追って走っていく。ミカはミサの乗った乳母車を押してそれを追いかける。


「一応たまに僕もスキルで見張ってるけど…すぐには行けないからね…僕と彼女たちの子供を…」

「はいはい。任されたよ~」

「ツバサは心配し過ぎ」


 そう言ってツバサが言い終わる前に、私たちは彼女たちを追いかける。

 まったく…誰が襲ってきたら私たちに勝てるというのだろうか…心配し過ぎだよね~








「ルルおねえちゃん!つぎはあっち!」

「はいは~い」


 あまりに動き回るシツルを肩車し、シツルの行きたいところにフラフラと歩く。


「ごめんねルル~つかれたら言ってね?」

「いいよシャル!私が好きでやってることだしね~」


 私は子供が好きだったようだ。シツルを初めて抱かせてもらってから、それはもう夢中になった。

 子供が次々とできるツバサの元に入り浸りしてしまうほどに…。

 私自身が子供を産みたいかと言われたら…生みたいとは思うけど…今はツバサの子供たちで十分幸せなので、まだいいかな?と思ってる。


「あうあ~!」

「ん。ミサもお外が見たい?」


 サーニャが手慣れた手つきで、ミサを抱き上げる。

 サーニャに抱きかかえられたミサが、嬉しそうに周りを見渡している。


「あえ!あうお!」

「ん?ミサはあっちに行きたい?」


 指をさしている方向を見ると、少し人だかりができているところがあった。


「なんだろう!?ルルおねえちゃん!いこ!」

「はいはい~!」


 そうして人だかりの方に向かうと、少し変わった小屋があった。

 お店のようだが…アクセサリーや食料品、工芸品などを売る商人ではなく…


「何でも屋ですか‥何でも売ってるってことですかね?」


 ミカが不思議そうに露店の看板を読む。


『何でも屋!貴方の欲しいものがきっと見つかります!ぜひご相談を!』


 そんな看板がでかでかと飾られていた。

 

「ルルおねえちゃん!ここ何~?」

「ん~と‥何でも売ってるらしいよ?」

「すごーい!!」


 列に並び、少しすると店の中に呼ばれる。お客さんの中には、人には聞かれたくない要望もあるからと、一組づつ相談を受けているとか。


 私達6人で小屋の中に入る。すると椅子に座った老人と、その少し後ろに黒髪で顔に狐のお面をかぶった女性?が立っていた。


「いらっしゃいませご一行様。どのようなものをお求めですかの?」

「シン?」とサーニャが老人に言う。

「はて?シン?それをお求めですかの?」


 そう言って不規則に手を動かす老人。シン?マオの夫の彼ならサーニャはもう手に入れてるのに…


「ん。忘れて…この子たちに何かプレゼントしたいの。この子がシツル、シャルの子供。この子がミサ、ミカの子供」

「そうですか…あの有名なミカヅキ卿のお子様ですか」

「うん!パパはすごいの!かっこいいしつよいんだよ~!」

「ぱぱ!すおい!!」

「そうですな~…でしたら…32番のやつを取ってくれんかの」


 仮面の女性が頷き、老人の後ろに消えて行く。

 すると少し大きめの箱を持って来て、老人に渡す。その箱に老人が手を突っ込み…

 ズルリと明らかに箱より大きいサイズの物を取り出す。


「僕はウサギのピョンタだよ!僕のことがほしいのはお嬢さん?」

「「「「ッ!?」」」」

 シツルより少し小さい、ウサギのぬいぐるみが喋り出す。


「あうあ!!」

「僕を呼んだのは君かー!ちゃんと僕の事を大事にしてくれる?」

「あう!!」

「わかったよ!これからよろしくね!ミサちゃん!」


 そして老人は、ミサにウサギのぬいぐるみを渡す。それを受け取ると、ギュッと抱きしめるミサ。


「ふぉふぉふぉ…いい主人に会えたようで何よりじゃな。わしの手を離れると喋らくなってしまうが…大事に扱ってやってくれ…」

「私も!おじいちゃんおねがい!」


 机にぶら下がり、目を輝かせてシツルが老人にお願いする。


「もちろんじゃよ~」


 そしてまた同じ箱に手を入れ…ズルリと同じように何か取り出す。

 ミサのウサギが水色で、取り出したウサギは、薄い赤色だ。


「私はウサギのピョンコ!私を呼んだのは…そこの可愛いあなた?」

「うん!シツルて言います!」

「シツル。ちゃんと私を大事にしてくれる?すぐ捨てられるのは嫌だよ?」

「ずっとたいせつにするよ!だから…わたしのところにきてくれる?」

「わかったよ!これからよろしくね!シツル!」

「よろしくね!ピョンコ!」


 そうして老人はシツルにぬいぐるみを渡す。それを嬉しそうに抱きかかえるシツル。


「ワシの手を離れると喋る力はなくなってしまうが、ちゃんと心をもってるからのぉ~頼みますぞ。シツル殿」

「うん!ありがとうおじいちゃん!!」


 そうしてウサギのぬいぐるみを大事そうに抱える二人と、小屋を出たのだけど…


「すぐ追いつくから先に行ってて」


 そう言うと、サーニャは小屋の中に戻っていった。

 私は気になったので、小屋の中の会話に耳を澄ませる。気になることはすぐに解決したい…じゃないと気持ち悪いからだ。


 光魔法を全力で使い、聴力を限界まで引き上げると、かろうじて会話が聞き取れる。

 

(サーニャあんまり引っ付くなって…ルイ…便乗するんじゃねえ…まだ仕事が残ってるんだよ!)

(シン成分を補給。もう少し…)

(ちゃんと手伝ってるんですから、いいですよね?…ちょっと休憩です)

(…はぁ…ノルマまであとちょっとだし…少しくらいはいいか…)


「なるほどねぇ~マオの夫だったのか…ならいろいろ納得だよね~」


 彼は楽しくなる魔法を使う。ならばあれくらいは、軽くやってのけるのだろう。

 本当は…ツバサから、彼をシツル達に近づけないでほしいと言われている。


「シンさんに娘たちが会うと、ほぼ間違いなく惚れちゃうからね…たとえシンさんと言えど、娘をやるわけには…だからできれば会わせない様に…」


 だそうだ…

 まぁ…今回は彼と分からなかったことだし、よしとしよう。


 しかしあのルイ姉が…。

 いいんじゃないかな?マオの幸せそうな顔を見ると、彼が悪い人じゃないのはわかるし。

 私は彼よりツバサの方が好みだけどな~。男の趣味は、ルイ姉とは違うみたいだね~。


 シツルとミサのとても嬉しそうな顔を見ると、あながちツバサの言ってたことも、ホントなのかもしれないなぁ…

 少し苦笑いをし、また少し町を散策する。


 ルイ姉がもし、彼の嫁となる時が来たら…私もツバサに告白でもしようかな~。

 そんなことを軽く考えながら、疲れて眠ったシツルをおんぶして、ツバサの屋敷に帰るのだった。

いつもお読みいただき有難うございます。

ちょっとづつ話を進めています。ジリジリと…

次回は土曜日に投稿します。

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