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私の世界にようこそ  作者: てけと
私の世界のショートストーリー
127/189

シン先生と科学の授業

ミーコの日のお話です。

「んじゃあ授業始めるぞ~」

 

 俺はスーツ姿で教壇に立つ。


「きりーつ!」ミーコが号令をかける。


 学生服のスカートとブレザーを着たミーコとフーコが椅子から立ち上がる。

 

「れい!着席!」


 二人が席に座る。


「この間教えた原子記号は、全部覚えたか?」

「余裕…」

「大丈夫です!」

「よし…簡単な物質の構成について今日は説明していくぞ~」

「「はい!!」」





 なぜこうなってるかと言うと…ミーコは俺に、また先生として勉強を教えてほしいとお願いされた。

 だからミーコの日だけこうして俺は、先生になるわけだが…もちろん中卒の俺が教えられることなんて微々たるものだ…唯一得意な化学を中心に教えることにした。

 料理やマジックにも応用できる化学は、俺が重宝した学問だしな…。

 


 知識の補足の為に、一応高校に通っていたマオに相談していると、それを聞きつけたフーコが…


「私も…授業うけたい…」

「マオに聞けばいいんじゃ…」


 マオの方が俺より知識があるんだぞ?


「つ…ついでだし…お兄さん!任せたよ?」

「ええ…俺は中卒だぞ?」

「私だって似た様なもんだし!」

「しかし…」

「ミーコの日の朝に、フーコちゃんを送っていくね!」

「マオちゃん…ありがとう」


 と半ば強引に押し付けられた感じだ…。まさかアイツ…勉強ができない子だったのか?

 俺が聞くことに対して、やけに言葉を濁していると思っていたが…

 

 まあ中学校で習う事は全部頭に叩き込んでいる。じゃないと、ちょうど平均点ぴったりの点数を取れなかったからな。

 国語と英語は意味がないので、歴史、数学、化学の三教科を教えているわけだ。

 

 そしてなんでも形から入りたい俺は、二人に制服を具現化して渡してある。

 何故かマオも欲しがった。なのでデザインはマオが手掛けている。今度制服デートしようとか言ってたが…。


 コスプレデートの間違いじゃないのか?俺たちはもう、いい歳なんだぞ?

 まあマオの日なので好きにさせるが…



「元素記号とは原子と言うもの記号の事だ。原子記号と覚えても間違いはないな。原子とは何か…物質を構成する小さな小さな微粒子のことだな。これがたくさん集まっていろんなものがあるわけだ。もちろん俺もお前らもな」

「どれくらい…小さいの…?」フーコが手を挙げて質問する。

「ん~原子大きさって言うのは定義が難しいんだが…電子の増減とかイオンとか言ってもわかんないし…そうだなーこれが大体1cmの玉だ」


 俺は直径1cmの玉を創造する。パチンコ玉くらいのものだ。それを二人に渡す。


「その球の10000000分の一くらいが原子の大きさで、さらにその真ん中の原子核が100000000000000分の一くらいの大きさなわけだ」

「全く想像できないですね…」


 二人とも渡した球をまじまじと見て考えるが、俺ですら数字は知っていても、実際見たことはないのでわからない。 


「まあそんな難しく考える必要はないぞ?そう言うものの集まりで、この世界が構成されていると思っていたらいい」

「わかった…」

「んじゃあ簡単な分子について説明するぞ。まず基本の水だ。水素二つと酸素一つに原子がくっついたら、水分子になる」


 黒板にH2Oと書いて、図にしていく。


「分子と原子は違うんですか?」

「分子って言うのは…例えば水を構成するには水素と酸素がいるわけだが、水素単体と酸素単体では水はできないわけだ…わかるか?」

「なんとなく?」

「水という性質の最小単位が分子…つまりH2Oだな。これ以上分解すると水素と酸素になって水じゃなくなるわけだ。性質が変わらない最小の単位が分子だな。そのもとになってるのが原子だ…まぁ…なんとなく覚えとけよ?別にテストするわけでもないし…」

「じゃあFe…鉄はどうなるんです?」

「鉄は分子を作らないんだよ。鉄の原子がたくさん集まればそれが鉄になる。そう言うものを単体。逆に水みたいにほかの原子と結びついて、物質を構成するものを化合物と言うわけだ」

「「ふむふむ…」」


 ノートに書き記していく二人。別にとる必要はないんだけどな…


 そうして俺が知ってる限りの分子を書き記していき、説明もしていく。二人の質問に答えつつ進めていたら、いつの間にかいい時間になったので、昼飯にすることにした。


「そろそろ飯にするか…昼からは今の事を踏まえて、実験にするぞ」

「実験!」

「わーい!」


 まあ座学より、実験の方が楽しいよな。今後の課題だな…。


「フーコ、苦手な食べ物ってあるか?」

「……それ言ったら…また食べさせられるよね?」

「もちろん。好き嫌いはだめだぞ?」

「じゃあ…肉」

「んじゃあ野菜炒めにするか」

「いじわるっ!」

「俺に任せろって…旨けりゃ何でも食えるんだからな。ただホントに食べられないものは言えよ?アレルギーとかはまずいからな」

「じゃあピーマンは…アレルギーがあるからダメ」

「この間旨そうに食ってたじゃねえか…あのハンバーグに入ってたんだぞ?」

「っ!?!?」

「今日はピーマン炒めだな」


 涙目のフーコと復習しているミーコを教室で待たせ、俺は調理場に向かった。


 教室って言うか、俺の部屋なんだけどな…

 俺は衣服や家具をすべて具現化しているので、全部消せば何もない部屋ができるのだ。本とかも一回読めば覚えるから、いちいち置いておく必要もないしな…


 その後オイスターソース風ピーマン炒めと、白ご飯と牛乳とデザートを給食風にして、二人と食べた。

 恐る恐るフーコは食べていたが、おいしかったのか、文句も言わず、黙々と食べ、完食していた。

 下処理がなってないと、苦みや渋みが、変にでたりするからな…そういうので好き嫌いができる子供が多い。



 午後からは実験をするので、三人とも白衣に着替え、フラスコやビーカー、アルコールランプなどなどを具現化し、机に広げていく。

 なぜ白衣かって?その方が実験してる感が出るじゃないか…。


「まずは水の電気分解からだな。ど定番だ」

「この変な形のグラスですか?」

「うむ。H字管だな。準備はしてあるから…あとは電気を流して…」

「雷魔法…使う?」

「やめろ。いやまじで!」


 手を翳すフーコを止める。

 俺の部屋を黒こげにするつもりか!?


「ちゃんと道具はあるから…みてろよ…」


 電気を流すと、Hに入った水が徐々に減っていく。


「ん?なんかこっちだけ減りが早い?」

「ほんとだ!失敗しましたか?」

「んや。これで合ってるんだよ」


 電気を止め、マッチと線香を用意する。


「分子の構造をよく考えてみろ」

「水素2個と酸素1個?」

「なるほど!つまりいっぱい減ってる方が水素!」

「そうだな。陰極の方から水素が発生するわけだが…それはまた別の機会にな」


 陽イオンや陰イオンの説明までしていたら、キリがないしな…


「まずは水素の方に、このマッチを近づけてみろ」と火のついたマッチを渡す。


 恐る恐る火を近づけるフーコ。するとマッチは音を立てて燃える。


「これが水素?でもマオちゃんは大爆発を起こしてたよ?」

「…水素と酸素が混ざると、急激に反応して爆発が起きる。爆鳴気っていってな‥それが今も起きてるわけだが、量が少ないからな…危ないから絶対に一人で実験しようとするなよ?辺り一面吹き飛ぶぞ?」

「さすがに…そんな危ないことはしない…」

「マオにもちゃんと言っとけよ…んじゃあミーコはこっちの線香だ。逆の方に入れてみろ」

「はーい!」


 ミーコは火のついた線香を酸素の方に入れると、線香が激しく燃え盛る。


「「おぉ!!」」

「激しく燃え盛る方が酸素ってわけだ。ちなみに火が明るく光るのは、空気中の酸素が燃えてるからであって、物質自体が熱を持つことで光るわけじゃなくてだな…」


 こうして三人で色々実験として遊んだ。原子や分子は、魔法を使えるフーコなら、何か役に立つのではないだろうか?そう思って、やったわけだが…

 少しでも為になればいいけどな。

 そうなるとイオンの事も、次は教えてもいいかもしれないな。陰イオン…日本の造語でマイナスイオンだっけ?海外で言うと馬鹿にされるから気を付けろよ?マイナスの電子を持った分子や原子は、人体にいいとされているからな。そう言う魔道具もいつか作れるんじゃないのか?

 

 まあ加湿器だけでも、マイナスイオンを多くしたりは出来るわけだが…







 そして夕方前になると、実験をやめ、俺は夕食の買い出しに行く。ミーコは俺の腕を取り、なぜかいつも後ろからフーコも付いて来る。


「いつも言ってるが、別にフーコは家で待っててもいいんだぞ?」

「仲間外れは…嫌…」

「別にそう言うわけじゃないんだがな…」

「フーコちゃんも先生のお嫁さんになります?」

「おいミーコ‥これ以上嫁を増やそうとするな…」

「それは…考えてみる…」

「おいおいおい!冷静になれ。俺みたいな偏屈な男より、もっといい男を探せ?な?」

「シンは…私の事嫌い…?」


 涙目になって俺を見るフーコ…やめろ…俺をそんな目で見るなよ…

 何とか切り抜ける道はないのか…


「はぁ…ずるいぞフーコ…俺はフーコの事は嫌いじゃないが…俺の可愛い生徒として好きだ…今はそれで満足してくれよ…」

「うん…許す」


 何とか機嫌を取り戻したフーコが、俺の手を握ってきたので握り返し、俺は市場に向かった。


 


 俺は別にハーレム願望はないんだが…そう言うのはツバサの仕事だろ?なにサボってるんだあいつは…今度アイツの屋敷に行って文句を言ってやろう。


 そんな理不尽な事を考えながら、ミーコとフーコと手を繋いで、歩くのだった。

いつもお読みいただき有難うございます。

次回はまた水曜日に…


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