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私の世界にようこそ  作者: てけと
私の世界のショートストーリー
126/189

私の幸せを探して…

最終話をココの視点にするか迷って書いていたものです。


 シンがこの世界から去り、私は一つ肩の荷が下りた思いでした。


「これで…私たちの旅は…終わりました。みんなはどうしますか?」


 シンの為に集まった彼女達。そしてシンは目的を達成し、私たちとしては…もう…やれることはない。


「ココは…どうするの?」とサーニャが聞いてくる。

「私は…私の集落に帰ります。そこで暮らそうかと…」

「んじゃあ私も…家族の元に…帰ろうかな…」とシユが言う。

「ええ…これからは…各々好きに生きてください。シンに拘らず…この世界で幸せに。それが彼の望みですから」

「そう…ですね…」とシユの声が少し震える。


 全員涙を堪える…しかししっかりと前を向き。


「それでは…みんな元気でね?」

「ココが一番心配」

「だね…大丈夫?ちゃんと連絡してね?」

「ココお姉ちゃん…ちゃんと定期的に手紙を飛ばすからちゃんと見てね?」

「私は…首都にずっといるから…何かあったらくるの…よ?」

「大丈夫ですよ…じゃあまた何かあったら連絡しますからね」


 そうして私たちは別れる。最初にサーニャがマオ達と人種族の国に、その後私たちが獣人国で箱舟を降りた。シユは魔人国で降りるそうだ。







 その後予定通り、私は集落に戻った。


「ただいま~」


 リビングの方にいたお母さんが出迎えてくれる。


「あら…おかえりなさいココ。彼はちゃんと射止められたの?」

「うん…ありがとう協力してくれて……ちゃんとシンの心に楔は打てたよ…彼はいなくなってしまったけど…」


 お母さんに抱き着き、私は今まで我慢していた感情をぶちまけた…


「なんでっ!?なんで…シンは私の横にいないの!!私もシンに付いて行きたかった!!でもっ‥でも…うわああああぁぁぁぁん」

「よしよし…ココは良くやったわ……頑張ったわね…」


 そうして私は…しばらくお母さんの胸の中で泣き続けた…






「で?お前はどうするんだ?ココ。この集落に、お前を娶りたい雄はいっぱいいると思うが…」


 夕食を食べながら、お父さんがそう私に尋ねてくる。


「うーん…シンよりいい男性がいればいいんだけど…」

「お前に会わせろと、毎日のようにいろんな男が寄ってきてなぁ…」

「モテモテね~ココ。いっそ何人かとつがいになってもいいんじゃないかしら?」

「まあ会うくらいならいいよ?私もちゃんと、幸せにならないといけないからね」

「そうか…なら明日会ってやってくれ。朝に声をかけておこう」


「彼を待たなくていいのかしら?」


 と私の心の中を見透かすように、ニヤリと笑うお母さん。


「シンが…私の生きている間に帰ってくるかわからないし…ならば私は彼の意志を、ちゃんと汲み取らないといけないの…」

「そう…ふふふっなら結果は見えてるのかもしれないわよ?あなた?」

「あぁ…そうだな…私としては…ココの幸せを願ってるだけさ。その為なら何でもやる覚悟だ」


 何を言ってるんだろうこの二人は?ちゃんと家族を得て、子供を育て、幸せに生きる。

 それが…シンが私に望むことなら、私はそれを全うしましょう。




 翌日、お昼頃に広場に行くと、6名の男性が、お父さんと共に私の元にやってきた。


「お初目にかかります。私は…」

「自己紹介はいいです。まず私より強い人が条件ですので…各々得意な武器をお持ちください」

「「「「「「え!?」」」」」」


 ん?私より弱い人に、どうして私が惹かれると思うのだろう?

 私は強くなりましたが…彼はもっと強いし、それだけでなく、日々上達している。たまに私の策を読み切ったうえで、それを利用して裏を突かれる事もある。

 妻と夫と言うものは、常に切磋琢磨し、お互いに支え合うのではないだろうか?

 私におんぶにだっこなど、それは生まれてくる子供にだけ許される特権だ。じゃないと…いずれどっちかが疲れてしまうだろう。


「はぁ…ココ?狐族は戦闘が苦手なんだぞ…せめて違うことにしなさい」


 木の棒を持つ私をやんわり咎めるお父さん。ええ…


「じゃあ…得意な分野でお相手しましょう…それこそ相手にならないと思いますが…」


 そして…知識、知恵、分析能力、家事、料理、などいろいろ挑まれたが…もちろん私の圧勝で終わった。

 私もシンに負けないように、すべての分野で努力していたのだ、戦闘が…正直一番苦手な分野だ。だから戦闘を選んだのに…


「これは…シンよりいい男性など…この世界に存在しないのかもしれませんね…」


 それこそミカヅキ卿くらいのものなのかもしれない…

 しかし…ミカヅキ卿でも…生死を分け合う戦闘では負けるかもしれませんが…模擬戦では負ける気はしませんがね…




「ココ…やはりあなたは、彼を待つべきよ?」


 そうお母さんが言ってくる。そうしたいのはやまやまなのですが…


「でも…」

「断言してやろう。お前の求める男はこの世界にいない。シンという男だけだろう」

「そうね…理想が高すぎるのも…って言おうと思ったのだけど…その理想を知ってるんじゃ…妥協できないわよね~」

「それだと…シンの意志が…」

「そうね~だったら、世界を回って来なさいココ。彼を待つついでに…そこでいい男性に出会えればいいし、彼が帰ってくればそれまででしょう?」

「子供が出来たら顔を見せに来てくれ。私たちはそれで十分さ。ココの好きなように生きなさい」

「お父さん…お母さんもありがとう…そうだね…私は行くよ…」

「ええ…あなたの思うように…その先に幸せがあることを願ってるわ」


 そうお母さんがほほ笑みかけてくれる。


 




 そうして私は、この世界を回ることにした。一応各地にいる仲間に手紙を飛ばし、集落から離れる。

 各町を転々としながら、言い寄って来る男性を、叩きのめしたり、腕利きだと聞く冒険者と会ってみたり、獣人国を回り、魔人国を回り、人種族も回った…


 しかし…


「どうすればいいのでしょうか…もう…いっそこのまま果てるまで…シンを待ち続けるほうがいいのでしょうか…」


 さすがに疲れました……このままなるべく長く生きて…シンを待ち続けるほうが…

 彼を想っているだけの方が幸せなのかもしれませんね…


 それからはただ日が流れていくだけの日々だった。そして…


「この町は…シンと出会った町ですね…」


 何気なく、ただ行商の場所に乗り合って移動する日々。

 外見も…心もボロボロだ…私はいつまでこうしてればいいのだろうか…


 もしかしたら…この町で…また奴隷として酷い目にあってれば…彼は迎えに来てくれるんじゃないんだろうか…


 私は俯き、町をとぼとぼ歩きました。とある銅像が目に入ります。


「これは…シンと私…?ふふっ…懐かしいですねぇ…私のご主人様は…どこに行かれたのでしょうか…」


 そう考えると…少し涙が込み上げてくる…

 そして私は、フラフラと、どこへ行くわけでもなく歩き続ける。


 すると私の行く手を遮る人がいました。また口説かれるのでしょうか…しかし外見がボロボロになっている私を口説く人なんて、いませんでした…

 

 所詮私の外見だけしか見てない人しかいなかったのでしょう…


 するとその人は私に言いました。



「お前は生きていたいのか?すぐ死にたいのか?」 

「っ!?」


 私の脳裏に、彼と出会った時の事がよみがえります…


(ご主人様の…望むままに…でしたね……)


 顔を上げると猫族の男性が気まずそうにしていました…私の中の魂が確信しました。



 シンが帰ってきたと!



 そして私は彼に抱き着き。泣き続けました…私の頭を撫でる手が懐かしくて、暖かくて…感情を抑えるまで時間がかかってしまいました…


 すぐさま私は仲間に手紙を飛ばしました。私の使える最速の鳥を使い、すぐに合流できるように…


 そしてマオの移動魔法により、夜に私の泊まっている宿に全員で集合した。


「ほんとにお兄さんなの?」とマオ。 

「ええ…ほぼ間違いありませんね」

「猫族?」サーニャが首を傾げて。

「ココが言うなら…間違いなさそう‥ね」とリリアが嬉しそうに。

「それで明日そのお兄ちゃん仮を試せばいいの?」少しワクワクしながら聞いてくるシユ。

「試す必要はありませんが…その方がみんな納得すると思いまして…」

「結局私たちも…お兄ちゃん以外の人は考えられなかったし…お兄ちゃんの記憶はないんだよね?」

「そうですねミーコ。記憶が戻るかどうかはわかりませんが…それでも…」

「お兄さんの魂と共にありたいってわけだよね~もちろん私も協力するよ!」

「ありがとうございますマオ…では明日の作戦ですが……」]


そして私は策を練る。彼を手に入れるための策を…ついつい笑みがこぼれ…


 久々に…ちゃんと私は生きているという事を…実感した気がする。




 



 



 彼にもらった肉を、おいしそうに食べている白い狼に、首輪をつける。すると狼だったものが、みるみる人型になり、素っ裸のサーニャになる。

 彼女に服を渡す。もし彼女の中の獣が、彼に襲い掛かった時の場合を考え、隠れて待機していた。杞憂に終わってよかった。


「ん。あれは間違いなくシン」


 あまり表情が動かない彼女ですが、尻尾が左右にフラフラと動いている。嬉しいのでしょうね…


「だね!お兄ちゃんで間違いないね!」


 目を輝かせるシユ。久々に彼の魔法を見て、楽しかったのだろうか。


「では…彼に私たちの話を聞いてもらいましょう。その後、シンの記憶が戻らなくても、彼に好かれるように努力しましょう……そういえばリリアは?」

「ん?リリアなら先にお兄さんの部屋で待ってるそうだよ?」マオが教えてくれる。

「……リリアは最初からシンを待つ気だったから、待ちきれなかったのですね…忘れてましたね…」


 少し急いで町に戻る。シユに頼み、シンの位置を教えてもらう。

 すると町を見物してるのだろうか?シンがきょろきょろと周りを見渡しながら歩いているのが見えた。

 ふと私に気付くと…


「ん?お前は昨日の…せっかく可愛いんだから、ちゃんとそうやって綺麗にしとけよ?」


 あんなボロボロの私と、シンに会うために綺麗にした私…普通なら同一人物と思わないと思うのですが…

 彼の顔を見ると、とてもうれしそうに笑う彼と目が合いました。


 我慢の限界でした。


「シン!!!」


 彼に抱き着こうと、最短で最速に彼の元へ駆けましたが…


「っと‥誰にでも抱き着こうとするんじゃねえよ…勘違いされるぞ?」


 普通に躱されてしまう。


「むぅ…シンになら好かれたいところですが…ひとまず確保することにします!!シユ!ミーコ!」

「「はーい!!」」


 シュタっとシンの後ろに現れる二人。


「おいおいおいおい…なんだ!?」

「作戦変更です!全力でシンを捕まえてください!!」

「「わかった!!」」


 シユは目にもとまらない速さでシンに迫り、ミーコは糸を駆使して彼を絡めとろうとするが…


「俺がなにをしたっていうんだよ!?」


 流石猫族と言うべきなのか、ミーコの糸を躱し、シユを避け、シンは颯爽と逃げて行った。

 

「ココ…?」マオがジト目で私を見ている。

「……すいません…我慢できませんでした」

「まあ仕方ないかな…で?お兄さんを摑まえるのは容易じゃないよ?どうするの?」

「それはもちろん考えます。マオ…あなたが頼りです。私たちだけでは多分…シンは捕まえられませんからね」

「まっかせなさい!んで?どうやるの?」


 私は地面に、この町の簡単な地図を描く。


「リリアはこの位置で、上からシンを見ていてください。そうすれば見失うことはないと思います。シユ、ミーコ、サーニャでこの辺の位置にシンを誘導しておいてください」

「「はーい!」」

「じゃあ…いってくるわ‥ね?」

「私は?」

「マオはこの位置で待機していてください。上空にシンを誘導するので、見えたら…あとはお願いしますね?」

「おっけー!健闘を祈るよ!」


 私は策を練りましたが…やはりシン…私の思い通りには行きませんでした。

 最後はみっともなく、死に物狂いで、ただシンを追い回すだけになっていました。


 しかしやっと…


「「「「「つかまえた!!」」」」」


 彼を抱きしめる。ギュッと…もう二度と離さないという意志と共に…

 

「ぐっ…あ‥マオ…麻痺を…」

「うん!」 


 初めて会ったはずの…マオの名前を呼ぶシン。記憶が戻った…?


「ったく…やってくれたな…俺の負けだ…」

「シン!記憶は戻りましたか!?」

「ああ‥どうやら管理者が仕込んでたようだな…」


 彼は懐からナイフを一振り取り出す。刃の真ん中から折れた、真っ白いナイフ。黒い線が一筋だけ入っている。

 私たちの思いを込めたナイフに…シンの記憶…つまり思い出を封じていたのだろうか?


「よりによって…魔力の少ない獣人にしやがって…はぁまあいいか‥」


 むしろシンが…魔人族に生まれていたら…魔法の研究で引きこもってしまったのではないだろうか…


「ただいま。ココ、シユ、ミーコ、サーニャ、リリア、マオ…待たせたか?」


 待ったに決まってるっ!しかし…とてもいい笑顔を向けられ…こみ上げる涙を抑え…私たちは帰ってきたシンに… 


「「「「「「おかえりなさい!!」」」」」」


 そして彼に抱き着く。やっと捕まえた…私の欲しかった人…いろいろ苦労はしたけど…やっと報われました…


 そして…


「返しとくぞココ」


 シンは首からぶら下げていた、木でできた指輪を私に手渡す。


「はい…ありがとうございます…」


 まさか本当に…そんな日が来るなんて…あの時の私に言ったら、泣いて喜ぶでしょうね…

 そしてマオの魔法で、懐かしき、私たちの購入した家に帰る。リリアがずっと管理してくれていたおかげで、中は綺麗だった。



 リビングの席にみんな座る。するとシンが質問していく。


「俺がいない間、なんか変わったことはあったのか?と言うかマジで俺を待ってたのか?」

「私はシン以上の男性を探して世界を旅していましたね…まあ結果、いませんでしたが…」

「私は両親とのんびり暮らしてたよ!」と手を上げるシユ。

「私もそうですね~お母さんと商人ギルドを盛り上げてましたね!」シユに同調するミーコ。

「私は魔道具店の経営で大忙しだよ~お兄さんが帰ってこなかったら生涯独身だったよ?」机にぐったりと突っ伏せるマオ。

「ツバサの子供たちのお世話をしてた。子供は可愛い…私もほしい」と潤んだ眼でシンを見るサーニャ。

「私は…シンが帰ってくるまで…待ってた…わ」

「リリアは相変わらずか…そう言えばシャルのお腹に子供がいたな。無事生まれたのならよかった」

「あの後さらに二人生まれた。ツバサの子供は今三人」

「ふぁ!?6年もあれば…まあ生まれるか…」

「シンも負けてられませんね!」


 私たちもシンの子供を授からなければ!


「そう言うのは競うもんじゃねえよ…自然にできるもんだ…」

「私は早く欲しい。シンお願い」

「サーニャ…焦るなよ…俺も出来る限り頑張ってやるからさ」

「ふふ…早くシンに…愛されたいわ…ね」


 皆の6年間の行動を、興味深そうに聞いているシン。いつの間にか日が暮れ、久々のシンの手料理を食べて、お風呂に入る。


 シンはお風呂は一人で入りたいそうなので、私たちが先に入る。私たちが出た後、シンがお風呂に入る。

 その間に…


「ではマオ…前のナイフのように、この指輪に…」

「任せて!」


 この指輪に、私たちの魔力と思いを込める…

 指輪は、木の温かい質感を残しつつ、真っ白に染まる。


 そして私たちと、シンは…ようやくこの世界で、妻と夫として結ばれた。

 子供ができる日を計算することなどたやすいので…私たちはすぐにシンの子供を授かり、大家族となるだろう。

 そのことを想像して、幸せな気分になりつつ…2階の寝室に向かうのだった…

いつもお読みいただき有難うございます。

夜21時にもう一話投稿します。

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