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私の世界にようこそ  作者: てけと
私の世界のショートストーリー
122/189

ツバサの暴走

前半はミーシャ視点です。後半はツバサ視点になります。

 シャルのお腹が、少し膨らんできて、確実に妊娠していることが確定したころ。ツバサは少しだけおかしくなってしまった…


「ミーシャ…シャルのこと頼むよ…」

「そんな死にに行くような顔して…ちゃんと帰ってくるのよ?」

「もちろんさ…んじゃあいってきます」

「行ってらっしゃいあなた」


 朝、日が昇るころには、ツバサは仕事に行ってしまう。

 あんな朝早くから何やってるのかしら……一つだけわかるのは…ツバサは毎日、大量の金貨を稼いで帰ってくる。一日の稼ぎで10年ほど過ごせるような大金を…いったいなぜ…?どうやって?


 ツバサに限って、悪いことをしてるとは思わないけど……


「ふわぁ…ツバサさいきん朝早いねー」

「また面倒ごとに巻き込まれたないといいでけど…」

「おはようシャル、スピカ。まあツバサにも何か考えがあるんでしょう…」


 そしてしばらくすると、みんなが起きてくる。

 全員で食事をとると、各々いつもの仕事をする。特にスピカは、最近よく王城に行っている。

 先日の一件で、盗賊はほぼ全滅し、魔物もこの世界にいなくなってしまった。

 なのでこの広大に余る土地を利用するため、いろいろな案が出ている。それを纏めているのがスピカらしい。


 お昼頃になると、家にお客さんが来た。


「ミカヅキ卿に頼まれまして…今日から工事に入らせていただきますね?そのご報告です」


 この家を買った時の不動産屋さんの老人だった。


「はぁ…まあツバサが言うなら…」


 工事?何の事だろう…ツバサが帰ってきたら聞いてみようかしら…





「ん…?あぁ…家を増築しようと思ってね?子供もできるし、いい機会かと思ってね?」


 夕食を食べながら、ツバサがそう教えてくれる。


「まあ今後増えると思うし…いいんじゃないかしら?で?どのくらい大きくするの?」

「両隣の家を買い取ったから、あそこに繋がるようにしてもらう予定だよ」

「…は?」


 それは…マオの城ほどじゃないけど…この首都で、一番大きな豪邸になるのでは?


「ちゃんと子供には、幸せになってもらいたいし…窮屈な思いはさせたくないからね」

「やりすぎじゃないかしら…どれだけお金がかかるの…?」

「それはもう払ってあるよ。ちょっと数日ほど周りがうるさいけど…その後は両隣の方の工事にかかるから、子供が生まれてくるころには、工事は終わってるさ」


 そんなことを淡々というツバサ。

 暴走してる?ちょっと情報収集に行かないと…彼は一体外で何をしてるの?





 翌日、サーニャとメイド達に、シャルの事をお願いし、冒険者ギルドに向かう。

 私も一応金の冒険者なので、すぐ受付嬢が私の応対をしてくれる。しかし…何か様子が違うようだ…


「ミーシャ様…ツバサ様を止めてくださいませんか…?」


 開口一番にそんなことを言う受付嬢。どういう事?


「夫が何かやらかしてるんですか?」

「いえ‥別に悪いことをしてる訳じゃありません…ただ…ここ最近、クエストを、ほぼすべてツバサ様が受けしまう状況でして…こちらが…今日受けて下さってるクエストです…」

 

 ドサッと書類の束を机に出す受付嬢。


「え?…討伐、土地の調査、開拓、町の雑事…こんなに?終わるのかしら…」

「ええ…夕方頃にはすべて終わって、こちらに報告しにいらっしゃいます…ただ…このままだとほかの冒険者の仕事が…」

「断れないのかしら?」


 断ればいい、もしくはクエストを出す量を絞ればいいと思うのだが…


「断ると…周りの町に赴き、クエストを受けに行かれるのです…助かるのは確かですが…やりすぎると…その…」

「まあそうよね…」


 仕事を独占している状態だ。あまりよくは思われないだろう…それでもこのクエスト内容を見ると、誰もやらない様な案件ばかりだ、それに一つ一つの報酬金額も多くない。ツバサなりに少しは考えてるんだろう…

 

「まあ相談してみるわ…あんまり期待しないで頂戴…」

「是非お願いします!」


 一応解決する案はある。なのでスピカとシャルに話をしよう。あとは…

 私はまず、ここからすぐそこにある、とある魔道具店に行って、彼女の協力を仰ぐことにした。



~~ツバサ視点~~


 今日も朝早く、冒険者ギルドに赴く。なぜなら朝一にクエストを調べ、今日中に終わるだけのクエストを、見積もらないといけないからだ。

 生まれてくる子供の為に、僕は一生働かなくてもいいだけのお金を、稼ぐ必要がある。

 ほぼ一年ほど休みなく働き続ければ、目標は達成される…このペースなら…

 そして僕は今日も、クエストをひたすら見る。んー討伐系が少なくなってきたなぁ…調査系がやけに多い…しかし…選り好みしている場合でもないので、いつも通り50枚ほどのクエストをピッキングして、受付に向かう。


 スパーーンッ!!と小気味いい音が、冒険者ギルドに響いた。


「ツバサさん…なにしてるのかな?」

 

 突如ハリセンで叩かれ、後ろを振り向くと。

 笑顔だが、目が笑ってない…間違いなく怒っているマオがそこにいた…


「いや…仕事を選んでたんだよ?こんな朝早くにどうしたの?」

「あのね…ツバサさんは、生まれてくる子供だけを見て、()()()()()()()()()()()()()()は、蔑ろにするのかな?」

「……シャルにはミーシャ達がついてるし…」


 スパーン!とまた叩かれる。


「一番いてほしいのは、旦那さんに決まってるでしょ!!妊娠中はしんどいんだよ?苦しいんだよ?…そりゃあ仕事も大事だけど…やりすぎだよ!」

「でも…」

「でももくそもないよ!まったく…お金より大事なものだってあるでしょ?今日は帰って、みんなと話し合う事!いいね?私は戦闘は得意じゃないけど…ツバサさんを拘束するくらいなら、造作もないんだよ?」

 

 そう言ってマオは、手に縄を取り出す。


「くっ‥しかし!」


 と言った時にはもう拘束されていた。時を止めるのズルイよ!?僕の力でもびくともしない黒い縄。なんだこれは!?


「ルルさん。この人を屋敷まで引きずって行って~」

「わかった~!」

「あと数日だけでも~~!!」


 そうして僕は、メイドのルルに引きずられ、屋敷へと強制送還された……





 屋敷に前で放り出されて、縄を解かれる。


「当分マオは、冒険者ギルドを見張るらしいから諦めてね~」


 そう言いルルは帰った行った。

 仕方ないので僕は、今日は休み事にした。明日首都の周りの町に行けばいいだろうと… 


「ただいま~」

「おかえりなさいませご主人様。今日は早かったですね~」とアミが迎えてくれる。

「今日は休むことにしたよ…」


  屋敷に入り、リビングの方へ行くと…


「シャル…大丈夫?何か食べられる?」

「ん…きょうはいい‥きもちわるくて…」

「そう…食べられそうなら言ってね?」

「うん…ありがとうミーシャ」


 椅子に座り、気持ち悪そうに口を抑えるシャルと、背中を撫でるミーシャがいた。


「シャル。ちゃんと動いてるね…すごい…」


 サーニャはシャルのお腹に手を当てて、撫でている。


「うん…シャルがちゃんとがんばらないとね…この子のために…ツバサもがんばってくれてるし…」


 そう言ってシャルは、自分のお腹を優しく撫でる。


「あら?ツバサ…おかえりなさい」

「おかえり~ツバサ」

「おかえり」


 僕は馬鹿だな…一番彼女が大変なときに、なんで傍にいてやらないんだ?

 別にそんなに焦る必要もなかった。金なんていつでも手に入るじゃないか…

 そう言えば、ちゃんとシャルを見るのはいつぶりだったか…もうこんなにお腹が大きくなってたんだな…

 ダメな夫だな… 


「ただいま…ごめんねシャル…傍にいてあげるべきだったね…」

「ツバサが、この子のために、がんばってたのは知ってるよ?だからシャルも、がんばるだけだよ~」

「そっか…もう終わったから、これからはちゃんとシャルの傍にいるよ…」

「そうしてあげて?ほら…ツバサもシャルのお腹触ってみなさい?」


 ミーシャに手を引かれて、触る。確かに動く、小さな命を僕は感じる。


「ふふふ…無事生まれて来いよ~ちゃんと可愛がってやるからな~」


 僕は少し涙を流しながら、シャルのお腹を撫でる。

 自分の愚かさを知った僕は、その夜、みんなと話す。今後の事を…







 それからほどなくして、シャルと僕の子供が生まれる。名前はシツル。人種族の女の子だ。

 僕が血眼になって稼いだお金の所為で、大きな金庫が、我が家に作られた。これから家族が増えることを考えると、一生とはいかないが、子供が50人ほど生まれても、その子たちがお大人になるまでは持つだろう。それほど稼いでいた。

 僕はその子を溺愛し、ずっと一緒に遊んだり、シャルと三人で散歩したり、僕は仕事もせず、育児をひたすらしていた。


 この後、魔人国にいた獣人3名が家に来たり、鉱山で出会った冒険者三名にばったり遭遇したり、ミカが妊娠したり、ミーシャもとうとう子を授かったりして…色々あったのだが…この話は別の機会にすることにしよう。

いつもお読みいただき有難うございます!

明日また21;00に投稿します


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