私も幸せな世界で
まったく…一人目ちゃんは無理しすぎだよね…わかってるの?自分の魂を削る意味を…もう二度と生を受けないかもしれないんだよ?
「俺はそれでも構わんがな」
君はよくても、私たちが…って…何時の間に!私声に出してないよね?
「顔見りゃ大体何考えてるかわかるぞ?」
「普通、私たちの顔なんて見えないって…」
「ひとまずお前らはさっさと一つになれ。話はそれからだろ?」
むぅ…私まで救おうとする気かな?私壊れないよね?
「そうならない様に、俺がここにいるんだろ?壊れそうになったら、思う存分殴ってやるから安心しろ」
「ひぃ…やっぱり帰りたい…」
「駄目だ…さっさとやれ…」
仕方ない…私は私を回収する…そして久々に感じる悲しみ…これはきっと彼らが争うのを見た時の、大きな悲しみだ…とても苦しい…痛い…
「そんなに泣くなよ…でもそんだけ悲しいからこそ、喜びや楽しさが何倍にもなるってもんだろ?」
「泣いてないし?そもそも私に涙なんてありませんよーだ!」
「はいはい‥」
「まったく…しかしまずはおめでとう、と言わせてもらうべき?」
「おめでたくは、ないんだけどな?」
「まあね~…ここまで来たんだ、小言は何でも聞くし、質問には答えるよ?もちろん君の望みも叶えるさ!」
「別に聞きたいこともないけどな…」
「そう言わず~…聞かないなら勝手に説明しちゃうよ?」
「…んじゃあ俺の体についてだ。普通に戻せるのか?」
「魂に刻んだスキルってのは、実は消せないんだけど…君の持ってるそのナイフを、使わせてもらおうかな?それならいけると思うよ」
「そうか…なら置いておく。後で勝手に使え…俺の体力が3しかないのはなんでだ?」
「んー…そもそも君に肉体を与えてないんだよね…その前に世界に降りちゃったからね」
「だがここにあるぞ?まあ今はボロボロだが…」
「左腕欠損に、内臓もボロボロ、足は折れてるし…なんで平気なの?普通はのたうち回る激痛なんだけどね?」
「慣れれば痛みなんて、感じなくなるもんだ。それで?肉体がないのか俺は…」
「魂のまま、この世界にたどり着いた君は、自分の肉体を無意識に想像して、具現化してしまった。あとはその再生スキルさ。その肉体を再生し続ける。まあ所詮、無意識に作った肉体だ、君は生き物を創れない、実質その体は、ただの血袋のようなものなのさ、体力の数値も、その肉体の耐久値じゃないよ?あれは君の魂の耐久値だ。最初は5あったんだけどね…」
「サーニャとリリアで2使ってるという事か…ココで1使って?…今どんくらいなんだ?」
「0.5だよ…あと一擦りで、君は魂ごと死ぬとこだったんだよ?」
「人の魂が見えるってのは…」
「そうだね。人の事を眩しいとか、表現する人は、あんまりいないんじゃないかな?君は彼女たちの魂を見ていたのさ。魂である君なら、そう言うのが見えてもおかしくないからね」
「ふーん?で?俺はこの後どうするんだ?」
「ほんと君は…自分の事をどうでもいいと考えるよね…」
「割とどうでもいいからな~失敗しても構わんぞ?その時はあいつらに謝っといてくれよな。失敗しちゃった。テヘッってな」
「やだよ…私自身も嫌だし、そんなことしたら殺されるよ…」
「お前にも恐怖が戻ってきてよかったな~」
「他人事みたいに…死ぬのが怖いって感じるのは久々だよね」
「で?魂自体も死にかけの俺を、どうやって戻すんだ?」
「うん…まず魂を修復して、肉体を与えるんだけど…二人目ちゃんや三人目ちゃんのように、この世界に来てすぐなら、その記憶通りに、肉体を造れたんだけど…君の魂は、すでにこの世界に定着してしまった…だから…その姿で肉体を作るのは無理だ。二人目ちゃんも三人目ちゃんも、人種族という括りではあるけど、実質は君の世界のように、猿の進化形だ。君はそれができない」
「いいぞ」
「軽いなぁ…私の世界に合った形になってしまう。その際に…記憶が…無くなるし…時間もかかるよ?」
「かまわん」
「ほんと軽いな…結果を言うと…君の具現化能力は残る。赤子から生まれてくるわけではないけど…君はその一欠けらだけの魂だけで、後は全て別人になるわけだ。記憶もない、姿形も違う。それでいいのかい?」
「ああ‥それでいい」
「即答か…どうしてそこまで?なんなら生まれ直す?ここでのんびり暮らしてもいいよ?私は一人目ちゃんのこと好きだし?」
「お断りだ…まあ俺は、この世界でもう一回生きてみると決めたんだよ。お前の作った世界で、なかなか悪くない世界だと思うぞ?」
「そっか…それじゃあ一人目ちゃん…」
「おう。頼んだぞ?泣き虫の管理者」
「ふふ…私にそんなこと言えるのは君だけだよ……君が私の世界で…いや……君が幸せにした、私の世界で…絶対に幸せに生きてよね!」
「まあ精々頑張るさ…」
そうして彼は…また1から…いやこの場合0・5から?人生をやり直す。
まずは彼の魂を治し、その魂に見合う肉体を作る…肉体自体は、すぐにできるけど…魂の修復は…少し時間がかかる。
もちろん私は細工をする。彼への想いが籠った、このナイフを…彼女たちの…ほんの少しの魂が宿ったこれを、彼の魂の修復に使う。
あとは…彼の今後について、少し説明しておく必要もあるようだね…
そうして私はまた、世界に降りる準備をする…一人目ちゃんの魂を修復しながら…




