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私の世界にようこそ  作者: てけと
第一幕『イレギュラー』
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レイルの町と英雄

しがない衛兵ダンの視点です。

この話で一章終了します。また明日2章を投稿します。

 俺の名はダン。町のしがない衛兵だ。衛兵はこの町を守るのが仕事なわけだ。俺はこの町が好きだ。都会はごちゃごちゃしているし、俺にはこんなのどかな田舎が、性に合っている。

 だから俺はこの町の衛兵になった。試験はいろいろ大変だったが…まあその辺は割愛しておこう!


 とある日変な色のローブを着た少年が現れた。命からがら逃げてきて、荷物ごと森に置いてきたそうだ。

 かわいそうなので、町に入れてやるくらいはいいと思うのだが、しかし上官が見ている傍でそんなことはできない。なのでいつも通り銀貨が払えないなら入れないという。

 少年は手に持っていた剣?のようなものを売りたいという。鞘から出してみると、それはとても美しい刃が見て取れた。

 俺の判断では価値がわからんからな。知り合いの武器屋に聞くことにした。上官に持ち場を離れる旨を説明し、武器屋のおやじのところに駆け込む。


「お?どうしたダン。今日は門番の日じゃなかったのか?」

「オヤジ、この武器をちょっと査定してくれないか?」

「どれ…これ…はっ!?」


 オヤジがまじまじと剣を見る。まるでこの辺の室温が何℃か上昇するかのように熱を入れて…

 このオヤジは腕はいいが、武器を集めるコレクターのような性質もあるため厄介なのだ…


「ダン!これを俺に売ってくれ!!金は言い値で出すぞ!」

「いやぁ・・これは俺のじゃないんだが…だが持ち主は売りたいらしいぞ?」

「ほんとか!その持ち主のところに連れてってくれ!!」


 そういうと武器屋のオヤジは金庫から自分の資産を全部出しついて来ようとする。


「いや…さすがにマジで有り金全部払う気かよ…やめとけ…」

「この剣にはそれだけの価値があるとみている!そうでないとこの剣に失礼だ!」

「どうどう…落ち着けよ…この武器屋にある一番高い武器と同じくらいにしておけ…相手は結構軽い感じで売りたいって言ってたからな。そんな大金を渡されたら、しり込みして逆に売ってくれなくなるぞ?」

「そうか…騙すようで悪いが…じゃあ金貨5枚程度だな…」

「おう…そうしてくれよ」


 そして武器屋のオヤジを連れ、門に戻る。金貨5枚で手打ちし、オヤジはすれ違いざま、この少年を何とかうちの武器屋に訪問するように手を打てと言ってくる。

 正直めんどくさいが…


 少年は金貨一枚手渡してくる。銀貨99枚数え渡そうとするとそれを断りやがった…


「お手数おかけしてすいません。おつりは衛兵さんがお取りください」


 チップとしては多すぎる…金銭感覚がないのか?もしかしてどこぞの貴族の箱入り息子ってやつなのか?

 もらえるものは受け取っておくが、もらった分はちゃんと働いて帰す主義だ。借りや恩義は2倍にして返すそれが俺の主義だからだ。


 その後いろいろたわいもないことを聞かれ、答えておいた。




 さっき町に入ったと思ったら、すぐ出ていく少年を見かける。俺は休憩中だったから声はかけられなかったが、どうやら冒険者ギルドに行ったようだった。なぜかって実力テストはワイルドウルフ5体の討伐だ。

 下見にでも行ったのかもしれない。衛兵3人がかりでやっと討伐するような魔物を5体討伐とはなかなか実力テストも厳しいものだ。それだけの強さがないと自衛ができないという事だ。

 最低ラインがそこなのだから俺には到底無理な話だ。


 次の日の朝に少年は帰ってきた。まさか夜通し戦ってたのか?そんなまさか…夜こそ魔物が本気で狩りに出かける時間だ。そんな夜の森にこんな若い少年が生き延びられるはずもない…


 少年は誰か背負ってるようで、聞くところによると倒れてる女の子がいたから助けて町に戻ったそうだ。

 これはいよいよこの少年が只者ではないと思い始める。助ける余裕があるというのがありえない…しかも彼は無傷なのだから…

 前払いで通行料はもらってあるので催促はしない。しかし彼のような強者がこの町に来ることに何の意味があったのか…何も問題がなければいいが…




 それから二日後、噂の少年が俺のもとにやってくる、聞くところによると、二日でワイルドウルフ討伐を終えたらしいシンという少年。ちなみに俺は知っている二日ではなく、一晩でこの少年はワイルドウルフ討伐を終わらせていたのだ。

 規格外故に筆記試験を行う前から冒険者ギルドでは合格を決めているそうだ。

 彼には俺の好きなこの町を好きになってもらえるように、いろいろと観光するところを教えた。

 もちろん俺の名前を出せば、いろいろ融通を聞いてくれる人のところへ。


 シンはその後助けた女の子とともに森へ向かって出て行った。そしてワイルドウルフ数体となんとあのシルバーベアまで狩ってきたという。は…?


 余談だがワイルドウルフは敏捷性が高く、しかも森の中を立体的に動き回る魔物だ。盾持ちが抑えて、横から刺すのだが、普通にしてたら避けられる、だから盾持ちが怪我覚悟で盾で抑えたらすぐにワイルドウルフをつかみ、盾で上から押しつぶすのだ。そうまでしないと動きが止められないし、この抑える技術を習得するのに早くて1年はかかる。実戦練習でワイルドウルフに腕ごとちぎられるやつもいるから、相当大変なことだとわかるだろう。


 そんなウルフどころかシルバーベアまで…

 シルバーベアとは硬い毛皮に守られている為、通常の攻撃手段ではダメージが与えられない。しかもあの力…一撃で人間が肉塊になるんだぜ…盾なんて意味がないし、攻撃も効かない、なおかつ俊敏性もあり、見かけたらすぐさま、全速力で逃げる。それが常識になっている。町には魔物が嫌がる匂いのするものがあるおかげで、こっちまではこないが…シルバーベア一体がもし街に入れば壊滅的だ…金の冒険者に討伐依頼を出すしかない。


 そしてそんな規格外のシンに、この町に永住してもらう策があるとかそういう噂を耳にした。

 おれはシンをわりかし気に入ってる。だから永住してくれるのは大歓迎だが…嫌な予感がする。

 そしてその嫌な予感は的中することになる…






 珍しく奴隷商が街に入ってくる。こいつはいけ好かないが、基本町の外で奴隷の売買をしている。だからあんまり会うことはないのだが…


「珍しいな。あんたが街に入るなんて」

「そうだな。しかし鉄の冒険者の奴隷を捕まえる算段があるそうでな、いてもたってもいられなくなったわけだ」

「冒険者を奴隷に?あんた何言ってんだ?そんなことしたら…」

「黙れ!衛兵の分際で…私はこの町を統括する貴族様の命令できている。分かったらさっさと道を開けろ!」


 証明書を見せられると道を開けるしかなくなる。

 

 そして町の中が騒がしくなっていく…

 

 すると馬が2頭、門に向かって走ってくる。あれは確か俺がシンに融通した馬だ。

 とりあえず手綱を抑え、近くにあった木に括りつけておく。


「シンに何かあったのか?」



 そして突然空に無数の武器が生まれる


「なん…だあ…れ…」


 そして降り注ぐ武器の雨、幸い門の外には降ってない様なのですぐ門の外に転がり出る。


「逆らっちゃいけない神にでも逆らったのか…この町は…」


 武器の雨がやみ、しばらく呆然としていると、獣人の女の子を抱えたシンが歩いて出てきた。


 俺を見るなりいやそうな顔をするシン。しかし俺は彼を止めるつもりもない。敵意などあってたまるか。


 シンと軽く会話し、獣人の女の子と馬を引いて、西の街道へ歩いて行った。


 結果的にシンはこの町の膿をたたき出して処理してくれたのだ。そして俺は町に入り…




 

 数日がたった


 俺はこの町の衛兵のトップにのし上がる。なぜかというと俺以外の衛兵は軒並み死んでしまっていたからだ。

 失った戦力として、町に滞在している冒険者を使うことにした。文句は言わせない。冒険者ギルドに直談判したからだ。

 ここの冒険者ギルドの職員はすべて極刑になるそうだ。そしてほかの支部からちゃんとした職員が派遣される。

 このことに裏で指示していた貴族は、もちろん爵位を取り上げられ、一族郎党なんかしらの処分が下された。

 奴隷だった冒険者は、この町から出たそうにしていたが、ギルドがそれを許可せず、町の復興、また自衛できるほどの衛兵が育つまでは、この町で活動することを強制させた。

 町の外にいた奴隷たちには、奴隷商がため込んでた資産を分けて渡した。すると快く、外で畑を管理し、町で復興を手伝ってくれた。これからは自由に働き、暮らせると笑顔でそう言っていた。

 あの奴隷商は、違法な手段で奴隷を作り、労働力としてこき使い、搾り取っていたそうだ。



 そして俺はこの町の中心に、自費で簡単な銅像を建設した。


 獣人の女の子と人族の少年が手をつないで歩いているような銅像を。


 この町はそういう伝説が語り繋がれる、とある奴隷の獣人の女の子と人族の少年が街を救ったという英雄譚を… 

 

 この銅像のように、獣人も人も、共に歩けるように…

ここまでお読みいただきありがとうございました。



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