表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の世界にようこそ  作者: てけと
終幕『私の世界で幸せに』
108/189

シンは天人族の国を興す

 天人族の島に着いた俺は、いろいろと試行錯誤する。 

 まず米だ。

 おんなじように見えるが、小粒な物、少し長細いものなど、粒が全然違う。まずは選別からだ。

 しかし完全に一つの草に、ランダムで出来ているようで、機械で選別することにした…そのあと一回炊いてみて、試食する。用途別に分別し、倉庫に収納していく。酒も作れればいいが…それは時間がかかるので同時進行で進める。


 その後は、魚の毒見だ。死なない体をフルに使い、舌が痺れる感じのする魚は、どこに毒があるのかを調べて、捌きながら、食べられる魚と、無理な魚を図鑑のように記していく。

 塩は海水を煮沸させ、乾燥させていく。一応にがりも回収する。


 次に住居だ。

 一軒づつ建ててもいいが…めんどくさいのででっかいのを、廃墟をベースに使い建てる。あとは生活に必要な道具を作っていく。

 ここを国として興すつもりだが、別に観光客なんざ招く必要はない。米、魚、チョコでほかの国と貿易して、天人族たちが豊かに暮らせればいい。


 その為にも、全て俺がやるわけにはいかない。俺はきっかけを与えるだけだ。あとはこいつらがそれをベースに、生活していけばいい。


 この宮殿の最奥には、天人族が生まれ、そして死んでいくという、光の柱がある。そこからたまに天人族が生まれてきていた。そいつらに説明し、仕事を与える。

 今のところ、この光に入って死んでいく天人族はいない。最終的に100人になり、仕事を振っている。


 今はひたすら、在庫を抱え、来るべき日に、売る物を溜めておく。


 調理担当に、料理を教え込む。魚、チョコ、米を管理する者にも、加工処理ラインを新設する。電気は基本、風力発電と、落ちてくる海を利用した水力発電だ。それほど電気は作れないが、この程度の機械を動かす電気なら賄えるだろう。


 しかし食材が足りない…創意工夫でうまい飯は作れるが…やはり満足はいかない。

 出来れば、酪農と大豆と小麦、この辺は欲しい所だな…



「ゆーしゃさま!あそぼー?」


 俺が思考していると、数名の天人族が、俺の手を引く。


「そう言えば娯楽も与えないとな…」 


 休みの日にやることがないのか、お昼過ぎはいつも天人族と遊んでやっている。

 最初は鬼ごっこや、かくれんぼなど、体を動かすお遊びをしていたが、最近はもっぱらボードゲームだ。

 元の世界では、苦手であんまり得意ではなかったが…狐族の分析予測を経験した俺は、先を読むことが、少しは出来るようになってきた。


「チェックメイトだな……ん?そっちはもうすぐ詰んじまうぞ?よく考えろよ?……だからもっと先を読め終わっちまうぞ?」

「かてない…なんで~?」

「ん~…ここがこうで…こうくる?そうだと‥」

「さっきまで勝ってたのに!なんでなんで~?」


 リバーシと将棋とチェスを三面差しで相手をしている。まだ俺の相手になるほどの域には達してないようだ。


「まだまだ俺の相手は早いようだな。精進しろよ」

「「「「「「むぅ…ぜったい倒す!」」」」」」

「その意気だ…」


 そうして俺は、順調に天人族の国、ディスピアードの基盤を作っていった。


 なぜユートピアでなく、ディストピアの方をもじったのか?どこぞのクソが作った理想郷なんぞ。反吐が出る。

 この世は地獄であり、一寸先も闇だ。理想だけで出来た幸せな世界なんぞない。

 苦しめ、足掻け、怖くても前に進め。理不尽に抗え、この世はきっと辛いことだらけだろう。

 だが…その辛く苦しい出来事があるからこそ…人は幸せを感じることが出来るだろう。

 光の中で、淡い光は輝けない…ならば、この世界は闇で満ちてるといいさ。そうすれば、弱弱しい光であっても、それはこの世界できっと何より輝くだろ?

 そんな光が、真っ暗闇で、いくつも光る、そんな綺麗な光景に、こいつらの国もなるように…ってな。






 さて…大まか落ち着いて、かなり近代化したディスピアードに来客が訪れる。


「何やってんだあんたはッ!!!!!」


 そんな盛大なツッコミと共に、ツバサとシャルが現れる。

 

「お?この国に客とは珍しいな?ようこそ天人族の国ディスピアードへ。歓迎するぞ?ツバサ、シャル」


 ちょうどいい、こいつらに、下の世界での下地でも作ってもらうか。 






 その後ツバサとシャルに、昼飯をご馳走する。チャーハンもどきを食べながら、涙を流すツバサに若干引いたが…

 この国の貿易品を、ツバサに渡す。チョコの方に関しては、レシピを弟子たちに、うまく商品になるなら、売り出してもいいとも書いてある。

 これでこの国が、貿易する際、特に忌避感もなく始められるだろう。

 サンプルみたいなものだから、別に代金なんていらないんだが…

 そうだな…ココ達を任せておこう。あいつらは危なっかしいからな…ココとミーコがいるから大丈夫だとは思うが…割と厄介ごとに、巻き込まれがちだ。俺に巻き込まれたのがいい例だ。

 俺の所に、ツバサたちの方が先に着いたのだ。なら今その厄介ごとの最中だろうな…

 そう言うのが得意な、ツバサに任せておこう。

 あいつらがツバサに惚れるなら、俺としては安心して、ここで待ってられるわけだ。


 



 しばらくして、俺がいなくても、生産や食事が回るようになってきた。

 後は待つだけなんだが…どれだけ待つのかは、見当がつかないんだよな…


 最近は島の端の方で、寝転んでいることが多い。この島で出来ることは大体終わってしまったので暇だ…

 まるで、かつての天人族みたいに、水のような味の実をかじりながら、ぼーっとしている。


「ゆーしゃ様…まるで私たちみたいだね~」

「ね~」


 俺が仰向けで寝ている横に、添い寝するように横に寝ころぶ天人族の二人。


「セシルとソミアか…今日は休みか?」


 顔でまったく見分けがつかないので、各々何かしらの目印をつけることにしている。

 100種類の髪飾りを作り、それを前髪に着けるようにさせている。リボンだったり、ピン止めだったり、ヘアゴムだったり、いろいろだ。


「やすみだよ?ゆーしゃさまが最近、ボーとしてるって聞いて心配になったんだよ?」

「元気ない?だいじょうぶ?」

「大丈夫だ。少し考え事をな…」

「私たちがなにかできない?」

「ゆーしゃさまの力になるよ?」

「来るべき日が来たら、その時は頼むな?」

「「うん!!」」


 さっさと来いよな…まだ足りないのか?しかし…俺にはこれ以上出来ることはない。

 光の柱とやらに入ってみたが、俺じゃ意味がないようだった…あれは天人族専用の物だった。

 左右の天人族が、そのまま昼寝に入り、俺もつられて…眠ってしまった…





 



 昼寝から目が覚めると、俺は宮殿のベットの上で、5人くらいの天人族たちと寝ていた。

 わざわざ運んだのか?


「んっ…()()()()()()?…おは…よ‥う…」

「ああ‥おはようティア…ん?一人目?」


 一人目…?一瞬で意識が覚醒する。


「あっ…ゆーしゃさま…おはよう…」


 気のせいだと言わんばかりに、目をコシコシさせながらそう言うティア。


「お前…まさか…管理者か…何時からいたんだ…?」


 てめえ…いたのか…


「てへっ」


 やっちゃった。と言わんばかりに可愛らしく舌を出す。

 確かティアは…俺が来たあとから生まれた、天人族だ。俺の予測では、天人族の体を借りて、こちらとコンタクトをとると思っていたが…


「その体はティアの物なのか?」

「いやー?ちゃんと私が作った物さ!一人目ちゃんの作戦は成功さ。つい楽しそうで遊びに来ちゃった」

「で?俺のこの体をどうにか出来んのか?」

「むりだね~この世界で私は、ただの天人族さ。ちゃんと私の所に来てくれないとね?」

「なぜすぐに俺にコンタクトを取らなかった…?」


 俺がお前を探しているのは知ってただろ?


「ん~?私はただの、生まれたての天人族だよ?それに私が生まれた時に言ったじゃないか」


 自由にしろってね?と笑顔でそう言う管理者。こいつは…


「最初は小言を言うつもりだったけどさ。楽しそうにしているこの子たちを見ると、それもありなのかなってね~私も楽しませてもらったよ!」

「それは重畳だ。で?俺の質問には答えてもらえるのか?」

「ん~この世界だと一人目ちゃんの心が読めないから不便だけど…まあいいよー。楽しませてもらってるお礼さ!」

「俺がお前の所に行くことは可能か?」

「んー…一応可能ではあるね」

「一応?」

「私がちゃんとセッティングしたらね?条件があるけどね?」

「条件を教えろ。俺の小言は全部お前の本体?のところで愚痴ってやる」

「ははは…お手柔らかにね?世界の危機を脱したらね、天人族はみんな、光の柱に帰る。その時に細工してあげるよ。一人目ちゃんだけが入れるようにね?チャンスはその時だけさ」

「…条件ってのは俺に世界を救えってことか?」

「まあそうだねー。一応最後までは見届けるよ?世界が終わったら、この子たちだけ回収して、私は世界を去るからね」


 俺の予測通りだが…世界の危機ってのがな‥大体予測できてはいるが…。


「世界の危機はもうすぐ訪れる?」

「そうだねー。間違いなく起こるね。私がここに来る前に見てきたからね」

「そうか…。わかった」

「物分かりがいいね~ある程度予測はついてるんだ?」

「まあな…その為に、この島の権限を寄越せ」

「え!?一人目ちゃんに?それはちょっと…」

「簡単な操作を、天人族ができるようにするだけだ。俺じゃなく、天人族にな」

「なるほどね…この島で遊んでた私としては、意図は理解したよ…でも君に彼女たちを守れるかい?襲われたらどうする?」


 この島をたまに地上に降ろして、貿易させようと思っている。


「そうならないように、考えているさ‥」


 そうして俺の案を、管理者に伝える。まあ最初は俺とマオとツバサが基軸になる、その後はこの世界の住人に任せるが…


「わかったよ…天人族にしか使えないようにしてね?」

「もちろんだ。で?お前はこれからどうする?」

「見つかっちゃったし…帰ろっかな~。私がこのまま天人族だと、一人目ちゃんに惚れちゃうところだしね」

「冗談でもやめとけよ…心臓に悪い」

「私が誰とでも寝る女だと思われてるなら、心外だね!」

「お前性別ないだろうが…」


 ちゃんとツバサとマオからいろいろ聞いてあるぞ?


「今は天人族で女だからね?まあでも私は一旦帰るよ。頑張ってね~」


 そう言って、管理者は光の柱がある部屋に入っていった。


「んじゃあ許可は得たし、仕事するか…」


 俺はこの島の操作を可能にするために、また少し働くことにし、島の中心部に向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=724269873&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ