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私の世界にようこそ  作者: てけと
終幕『私の世界で幸せに』
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マオとフーコの魔道具店

 ようやく家の改装が終わったという事で、私たちはお世話になったツバサさんの家を離れ、改装された家に住むようになった。

 その家に馬車で向かう。馬車は借りものだ。いつまでもツバサさんに、甘える訳にもいかないし。


「気にしなくていいとは言ったけど…あんなに毎晩やられるとね…」


 ツバサさんが事を始める前に寝ないと、寝れなくなってしまう。

 最初はつい興味本位で、鍵穴から覗いてしまったけど…シャルさんもミーシャさんもトロけた顔をして…いつか私もお兄さんと?いやいや…嫌ではないんだけど…


「まあ違う種族って言うのは、子供ができにくいんですよ?だから仕方ないのでは?」と真顔で言うルイさん。

「そうなの?」

「ええ。同じ人とは言え、少し体の構造が違いますからね。もちろんできない訳ではないのですけどね」

「へぇ~。ルイさんは経験あるの?…その…こづくりの?」

「愛する男性などいたことがありませんので…これからもないでしょう」

「そっか…いつかルイさんが愛する人が見つかるといいね!」


 出来ればお兄さんとか、おすすめだよ?


「あまり興味はないですね~この家族がいれば、私はそれでいいです」

「嬉しいけど…ルイさんも気になる男性がいたら、ちゃんと恋愛していいんだからね?」


 私はお兄さんに恋しているし。


「もしいれば…考えますよ」そう言って苦笑いするルイさん。


 別に、子供を作って家族ができるのだけが、幸せだとは思わないけど…まあそう言う縁があれば、自由に動いてほしい。私は…彼女たちを、縛りたいわけではないのだから。



 




 さて!新生活の始まりである。ルイさんとルルさんとニーアさんは冒険者に、私とフーコちゃんとセフィーは魔道具店を、アリサさんは家の事を頼んである。

 お昼頃から、ツバサさん所のメイドのナギさんが、手伝いに来てくれるので、家の事は大丈夫のようだ。

 各々が稼いだお金は、アリサさんに一任している。料理研究の費用も、全て容認している。今は、私とツバサさんの郷土料理を研究しているようだけど…お米がないからなぁ…

 まだこの世界で、似た様な物は発見されていないようだ。お米に合うように作られているからなぁ…


「それで…マオ?私たちは何を作って…売るの?」


 フーコちゃんと地下で、魔道具を色々と作っていた。


「魔石関連だと、わたしたちじゃ勝てないからね…魔道具を売っていくことにはなるんだけど…」


 魔石の加工については、人種族に勝てるはずもなく…ならそれを使った魔道具を売り出す。差別化を図りたいところだけど…戦闘系だけでなく、生活系の魔道具もこの首都には結構流通している。


「私たち二人じゃ、生産もそんなにできないし…なら‥趣向品。お金持ちさんをターゲットにしていこうと思うな」

「珍しいものを…作るわけだね?具体的に…何を作るの?」

「ここにある試作品を展示して…基本はオーダーメイド…つまり欲しい物を言ってもらって、それを作る感じかな?」

「私も前は…魔道具店で同じことを…やったけど…うまくいかなかったよ?」

「フーコちゃんそれは宣伝が足りなかったんじゃないかな?」

「宣伝?」

「そのためにも…セフィーには頑張ってもらわないとね?」


 と、私の横で、座っていはセフィーに目線をむける。


「私にできることなら…何でも頑張ります」


 ぐっと両手に拳を作り、気合を入れるセフィー。


「フーコちゃん、私たちの努力の結晶、自転車マークⅡ、ママチャリの調整を。私はセフィーを着飾ってくる」

「まかせて…」

「へ?着飾るですか…?」


 そして私は一度家に帰り、ドレスを吟味ずる…なるべく人の目を引くのが良いな…セフィー自体がすでに、幻想的な、美しい容姿をしている。ならそれに負けないように…


 困惑するセフィーを横目に真剣に考えるのだった。



 

 自転車マークⅡ…まあ要は自転車なんだけど、二輪車ではなく、三輪車だ。後輪が二つある、ゴムではなく、木枠で車輪を作っているので、二輪だとどうしても安定性に欠けるのだ。

 チェーンやペダルは鉄だが、他は木枠だ、重くなりすぎるからである。

 一番苦労したのは…ブレーキだ…糸を手元にあるブレーキレバーを引くことによって、車輪が止まるようにロックがかかる加圧式。これの調整が一番時間がかかった…

 因みにツバさんの所でお世話になってはいたけど、先にこの地下室だけは、使わせてもらっていた。

 この自転車マークⅡの乗り方をセフィーに教えて、乗りこなせるようになってもらう。その間に、お店に展示物の飾りつけや、看板の設置など行う。





「マオ…ホントにこれで…街中を走るんですか?」


 自転車マークⅡにまたがり、黒を基調とした、綺麗なドレスで着飾ったセフィーがまだ困惑した顔をしている。なお後ろにのぼりを付けていて。


『新店!マオとフーコの魔道具店!!』と書いてあるのぼりと、『あなたの要望にお応えします!!まずはご来店を!!』と書いてあるのぼりがついている。


「任せたよセフィー!さっき言ったルートをぐるっと回ってきて!セフィーだけが頼りだよ!」

「私たちの店は…セフィーにかかってる」

「そ‥そこまでいうなら…」


 そしてセフィーは、チリンチリンとベルを鳴らしながら、恥ずかしそうに走って行った。


「さて…私たちは研究を始めようか」

「自動で動く…構造の研究だね」

「あとは衝撃吸収の素材もだね~課題は山盛りだよ!」


 店の受付にベルがついてるので、これを鳴らせば地下に聞こえるようになっている。展示品は盗らないように、地面に固定してある。売り物ではないし、取られても使い方がわからないとは思うが…一応念のためだ。セフィーの宣伝が、一段落すれば、セフィーが看板娘として、店番をすることになる。

 なのでまた私たちは、地下にこもり、研究を始めるのだった。







 数日が経ち、まだお客さんは来ていないが、私たちは正直、商売をしていることを忘れ、研究に没頭していた。夕方には、アリサさんが迎えに来てくれて、強制的に帰宅するので、前のようにはなっていない。

 なおセフィーは毎日宣伝で、町を走っている。意外と楽しくなってきたようで、道行く人と話したりして、交流を図っているようだ。……計算通りだね!

 戦闘メイドの三名ルイさんルルさんニーアさんは冒険者ギルドで毎日指名依頼があるらしく、割と充実した顔で帰ってきている。


「マオ?お客さん連れてきたよ?あれ?いないの?フーコ。マオ―」


 そんな声が、店の方から聞こえるが…それどころではない…


「マオ!!お客さん!!」


 セフィーが私の隣で大声を出す。


「どうしたのセフィー…忙しいんだけど…それにベルを鳴らしてくれたらいいよ?」

「鳴らしたよ!?だから降りてきたのに…」

「マオちゃん…そう言えば私たち、魔道具店を開いてたよね?」

「そうだったね…よし!お客様第一号だ!行ってくるよ!」

「ええ…私の努力は一体…」


 とうなだれてるセフィーの頭を撫でてあげて。お店の方に向かう。

 久々にお店に顔を出すと、白髪の女性の老人が立っていた。


「店長のマオと言います!どのような物をお求めですか?」


 元気よく対応する。リピーターと口コミは大事だ。むしろこの世界にはそれしかないだろう。


「あらあら…こんな可愛らしい女の子のお店なのね~」と柔らかい笑みで私を見ている女性。

「腕は私が保証するよ~マオはすごいんだから」

「セフィーちゃんが言うならそうなのね~」


 セフィーはちゃんと町の人に愛されているようで、安心するね!


「この女性は、毎日、水を運んだり、食材を運んだり、それが辛くて困ってるんだって」

「もう歳ですので…ですが…私の作る料理を楽しみにしてくださっている、お客様に申し訳がなくてね…店を閉めたくもないの…」

「料理屋さんか~人を雇ったりは?」

「それをすると、料理の値段をあげなくちゃいけない…私のお店は、お金のない子たちの、唯一の憩いの場なの…」

「マオ…何とかならない?」


 貴族さん狙いだったけど…セフィーに良くしてる人の頼みを断るほど、私は悪人ではない。

 というか商売してるの忘れてたんだけどね!


「もちろん!何とでもなりますよ!フーコちゃん台車!」

「あいあいさー‥」


 そう言って持って来てくれたのは、縦1m、横50cmの木の板に、90cmほどの高さの取っ手の付いた台車だ。私たちが重宝しているものだ。滑るり止めに、木を彫って溝をつけてある。


「この魔道具で、重い荷物もスイスイ運べますよ!」

「へ?板に金属の取っ手が付いただけのこれが?」


 私は板の端に魔石をはめる。すると板が浮き上がる。


「板の下部に、風魔法を発生させることで、この板を浮かせます。そして…」


 私とフーコちゃんがその板に乗り、押すように促す。


「ええ!?まるで重さがない…」

「私たち二人程度なら、余裕で運べますよ!セフィーおいで」


 セフィーにも乗ってもらう。


「あらあら‥これはすごいわね…」

「三人乗っても大丈夫!」


 軽々と台車を移動させる女性。


「でもこれだけ高性能な魔道具…お高いんでしょう…?」

「んー…魔法陣自体は確かに複雑なんだけど…」


 原価だけで言うと、銅貨60枚程度だ。魔石込でも銀貨一枚程度だろう。技術料を込みで銀貨2枚ほどが妥当かな?しかし…


「セフィーと仲良くしてもらってるみたいですし…お客様第一号という事で…差し上げましょう!」

「「ええ!?」」とセフィーと女性が驚く。


 フーコちゃんは地下へ戻っていった。


「説明しますね。この台車に使う魔石は、この魔道具店でしか買えません。そう言う加工をしてあるからです。なので使わないときは、魔石は外しておくことを推奨します。盗難防止の為、全ての台車の魔石は形が違います。無くした際は、また作りますが、それは別料金になります。魔石に魔力を満タンに入れて、約2日ほど稼働します。魔力を入れる事自体は、他の魔石屋さんでも可能です。もちろん自前の魔力でも大丈夫です…とこんなもんかな?あと人が乗ると危ないので、物だけを乗せてくださいね。ではこちらに置いておきますので、後はセフィー任せるよ?」


 そういって、説明書をセフィーに渡し、呆然とする二人を置いて、私は地下に戻っていった。

 その後、台車の発注が大量にきたが、一日限定一つまでとさせていただいた。値段は銀貨5枚にした。

 これで稼ぎのノルマは達成したので、あとはひたすら研究できる。台車は一気に100台ほど作ったので、100日は持つし、新規依頼は研究の片手間にやっている。

 セフィーも店番することになり、お店は割と、人で盛り上がっているようだ。(他人事)


 因みに日の純利益は大体銀貨20枚ほどだ、3日店を開けて1日休みにすることにした。休み大事。

 休みの日は、私とフーコちゃんは研究にこもり、セフィーは、チリンチリンとベルを軽快に鳴らし、町を自転車マークⅡで走っているようだ。


 セフィーには給料として、一日銀貨2枚渡してるので、町で楽しく遊んでることだろう。夕方には、私とフーコちゃんで迎えに行くようにしてる。


 



 そしてとある日の朝、研究室に意外な来客が訪れる。


「なんですかこの場所は…ガラクタ廃棄場?」

「失礼な!すべて大事な、私の子供たちだよ!ココ!」

「マオは…ほどほどにしてくださいよ…じゃないとまたぜんぶ燃やしますからね?」


 そう…一回この広大な地下に発明品が溢れすぎたことがあった。すると戦闘メイド三人が全てチリになるまで燃やしてしまったのだ…


「わかってるよルイさん…ルルさん!持ってっちゃダメ!」


 ルルさんがすでに燃やす段取りを進めている。それはまだ開発途中の…


「研究資金を絞ったほうがいいんじゃないかな~?」

「マオは…自分たちの収入がありますから…そうはいかないのです」

「私とフーコちゃんでちゃんと稼いでるからね!もうじきこの首都に私とフーコちゃんの発明品であふれるんだよ!」

「はぁ…そんなことより…この三人をしばらくお借りしてもいいですか?」

「そんなこと………もちろん。別に私の物ではないんだから、ルイさん達がいいなら私は言うことはないよ?ただ…ちゃんと、帰ってきてね?」

「「「もちろん」」」

「ココ達もだよ?どこかに行くとしても、絶対に、私に連絡してね?」

「ええ。同士ですもんね」

「それが分かっているなら、いってらっしゃい!気をつけてね?」


 

 しかしあのメンツでないと、クリアできないクエストとは?少し気になったので、私なりに少し調べておこうと思うのだった。

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