第7話 雷注意報
「・・・ヤマザキ カナメ・・・」
「そ。山崎 要。」
「・・」
「覚えてるか?」
「・・・なんで?」
「ってことは覚えてるんだな。」
「・・・」
「はあ・・・あいつもいるぜ。」
「??どういう意味?」
意味がわからず美月は眉間を寄せた。
「だから、付属に入学してるって意味。」
「!!!!」
美月は、目の前のユーキがクラスに現れた時以上の衝撃をユーキから受けた。
「おい・・どういう意味だ、ユーキ。いや岡本。」
美月はユーキの手を振り払い、ユーキの目の前に立った。
「そのままの意味だよ。俺もアイツも見事合格で、これからは美月と同級生って話。」
ユーキはニヤっと笑って言った。
「あっ。さっきも言ったけど、俺のことはユーキでいいからな。俺はクラスも同じだし、クラスメートでもあるしな。」
「・・・」
美月は驚きに驚き、声が出なかった。やっと出せたのが、かすれた
「・・ど・・して・・」
だった。
「どーしてって言われても・・なあ、要?」
ユーキは美月の斜め後ろ、2人が入ってきた公園の入り口に視線を向けそう投げかけた。
「えっ?」
美月は、今の言葉の意味を現実のものとして受け止める前に後ろを振り向いてしまっていた。
「ああ。・・久し振りだね。美月ちゃん。」
後ろにいた人物は、ばつの悪そうな表情をしていた。
しかし、先ほどの件の人物であることはすぐにわかった。
「!!!」
だが、美月は目の前の人物が彼であることを認めれず、2,3歩後ずさった。しかし、ちょうど、向きを変えたことで背後についたユーキの手によってベンチに引き戻された。
「おい、美月。どこに行く?」
ユーキは美月の顔色を見て心配そうな顔をした。
「顔色悪いぞ。大丈夫か?」
美月はユーキを見、カナメを見た。
「・・・」
「美月ちゃん?」
カナメは本当に小学生の頃のままに見えた。
もちろん声変わりもし、身長も伸び、体格も大人に近づいてはいたが。
「・・カナメくん?」
美月は感情なく、目の前の人物の名を呟いた。
「うん。」
呼ばれたカナメはあの頃のような王様憮然として覇気がなく、美月には見えた。
そして、美月はもう一度その名を呟いた。
「カナメくん・・」