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17話 イトアモンエン、ウフインアレルラアテ、イングネンインオアメアチテアチ


 地面を割ってシズンに豚か猪のような魔物が現れた。12、3メートル程の大きさで、2足歩行をしている。町の住人は避難し始めた。





 魔物は両手に剣を持っている。

「大きい……」

 シキは魔物の大きさに圧倒された。町の住民もその大きさに驚いている。

「たぶん、封印されてたとかいう魔物だ。魔法を使ってくるかもしれないから気をつけろ」

「え、魔物が? ……分かりました」

 陽翔とシキ、レイカは武器を構えた。



「ルテラ、お前は安全な場所に逃げろ」

「はい。でも、その前に……」

 ルテラは魔法で陽翔とシキの身体能力を上げた。陽翔も自分の魔法で身体能力を上げる。

 前回と違い、今回は町に兵士や勇者がいる。倒すのに苦労はしないだろう。

陽翔は6本の青く光る剣を出して、剣先からビームを出した。しかし、全てを黒く光る球で防がれた。

「おい、マジかよ」

 続いて6本の光る剣で魔物を攻撃する。魔法による氷の壁や剣によって防がれるが、何本かは命中した。



「オアニザ、アオンエシアヌラエクン、オテ」

 魔物が不敵に笑った。




「私に任せて」

 彼女は幽霊。剣や魔法などは、すり抜けるので幽霊と契約していない限り倒すことはできない。トッシュ遺跡で戦った魔物はレイカにダメージを与えることができなかった。

 さらに、通常の幽霊は物に触れることができないが、レイカは希少人と言われる人間と契約しているため武器を持つことができる。

この魔物には幽霊と契約していないと思われるので、負けることはない。





「アゾケアジ!」

 豚の魔物は片手を挙げて、大きな黒い球を作った。それをレイカに投げる。

 レイカは避けず、そのまま突っ込んだ。

「あぁぁぁ」

「は!?」

 魔物の攻撃がレイカに効いた。

「イレースト、お前は戦うな」

「……分かった」

 魔物の攻撃が効く以上、今のレイカは不利だ。レイカは魔物から逃げた。





「オコルスウセベテハイングネン」

 魔物の頭上に無数の黒い球が現れて、逃げ遅れた住人や兵士に向かって飛んだ。さらに魔物の周囲に多数の赤く光る球が現れて、それが爆発した。陽翔とシキは攻撃を防いだが、反応が遅れた者は死んだ。





「なんで魔物が魔法を使えるんだ!」

「知るか」

 町の住人が驚く。



 魔物は図体の割に動きが素早く、逃げ遅れた住人や兵士を剣で次々と殺した。

 陽翔は住人を守りながら戦ったが、全てを救えなかった。



「くそ……強いな」

 陽翔は6本の青い剣で魔物を囲った。ビームを出すが、氷の壁で防がれてしまった。

「やっぱりダメか。それなら……」

 そう言って陽翔は青い光をドーム状に広げた。魔物は、それを防げず攻撃を受けた。

 間髪を入れず、剣を青く光らせて剣身を伸ばす。そして、攻撃を光の盾で防ぎつつ魔物を斬った。



「ウストワイ、オイラアイウテ……」

 魔物は悔しそうな顔をした。そして、魔法で大量の水を発生させた。

 シキは流されたが、陽翔は氷の柱を作って、それに乗った。




 その後、陽翔とシキ、兵士達の戦いで魔物を瀕死に追い込んだ。









「あの謎の魔物を倒せ!」

遺跡にいた兵士達が駆けつけてきた。しかし、シズンに来たのは兵士だけではない。陽翔が逃がした妖魔達もやってきた。




「お前達は兵士の気を引いてろ」

 鬼のような女妖魔が命令をした。

命令された2人の妖魔が兵士を攻撃する。




「イアモアチ、アテアテアケウアン」

 鬼の妖魔がアーカイス語ではない言語で話しかける。

「アデラアデ?」

「アナカモオン、オアメアデ。イト アモン エン、ウフインアレルラアテ、イングネンインオアメアチテアチ。オハケインイユラ、ウフインアラルラオイユアモアチ。アユステムラエチユラ、ウフインアラルラオイユアモダオ、アワチスアチテアチ

「……」




 魔物が攻撃を止めると体が小さくなった。



「ユスツケアイエラ、アワチスアチテイン」

 鬼の妖魔が魔物に何かを言った。

「アワクラアテ」

 妖魔と魔物は町と去ろうとした。




「逃がすものか!」

 そう言ったのは兵士。兵士が妖魔と魔物を集中的に攻撃する。

 妖魔と魔物は反撃することなく逃げようとしているが、ここで逃がす陽翔ではない。

 青い光をドーム状に広げて、妖魔達を攻撃した。そして、怯んでいる隙に剣で斬り殺した。

 残るは2人の妖魔だ。




「人間め……覚えてろ」

 吸血鬼のような妖魔が豚の妖魔を抱えて、空高く飛んだ。




「逃げられたか。ま、魔物を倒せたからいいか。だけど……」

 今回は勇者や兵士がいる。あの時とは違って比較的、楽に倒せたが多数の犠牲者が出てしまった。




「ケガは大丈夫?」

 陽翔はシキを気にかける。

「私は大丈夫です。けど、みんなが……」

 建物は崩壊し、あちらこちらに死体がある。その悲惨な光景を前に陽翔は言葉が出なかった。









 多数の犠牲者が出たが魔物を倒すことができた。ルテラやレイカ、避難していた住人が町に戻って来た。


「シキ、今までどこにいたんだ! 心配したぞ」

 オトゥーは無事だった。

「ごめんなさい。妖魔が怪しい動きをしてたから後を追ってたの」

「無茶をしおって。ケガをしているじゃないか!」

「大したことないよ。オトゥーさんの家族は?」

「無事だ。だが、町のみんなが……」

 オトゥーも悲惨な光景を前に何も言えなかった。



「結界装置も壊されてしまった。これでは……」

「魔物が侵入してくるね」

「あの魔物と妖魔のせいで死傷者多数だ。兵士も死んでいる。戦える者が少ない」

 アーカイスの町は結界装置で魔物の侵入を防いでいる。結界装置が壊れた今、魔物の襲撃は避けられない。



「イサブキ君、装置が直るまでこの町に留まるのはどうですか?」

「え?」

「イサブキ君がいれば魔物が入ってきても大丈夫だと思います」

「かいかぶるなよ」

 守れなかった命もある。陽翔はもどかしさを感じている。



「でも、あの魔物を倒せました。装置が直るまでこの町にいましょう。滞在費は私が払いますよ」

「お金あるのかよ……」

「前に宝くじが当たったって言いましたよね? 心配いりません」



「私からもお願いします」

 シキが頭を下げた。

「シキ……無茶を言うんじゃない」



「別にいいですよ。装置が直るまでこの町にいます」

「ありがとうございます」

 日本に行く方法を国王が知っているかもしれない。それが分かっただけでも大きな収穫だ。

 レイカとの約束があるので急ぐ必要もない。








 

 幸い、宿は無事だった。

 陽翔達はレイカの祖母に事情を話した後、シズンの宿に泊まった。



 陽翔とレイカは宿の部屋でくつろいでいる。


「俺がこの世界に来て14日以上……。いろいろあったなぁ」

 陽翔がアーカイスに来てから様々なことがあった。妖魔や謎の魔物と戦ったこと、ルテラと出会ったこと、雄志達との再会。





「日本に帰れるか不安だったけど、もうすぐ帰れるかもしれない」

「やっぱり帰りたいよね」

「当たり前だ」

「妖魔との戦いが本格的になったらどうなるのかな」

 そう言うレイカは悲しそうな顔をしている。

「え?」

「あの妖魔、封印された妖魔を確保するって言ってたよね。何のためかな?」

「人間と戦争をするための準備だろう」

「そう……だよね」



 しばしの沈黙の後、レイカが口をあける。

「あのさ……」

「ん?」

「……なんでもない。ニホンでも元気でね」

「ああ。と言ってもイレーストの約束があるか、しばらく帰れそうにないな」

「じゃあ、それまでよろしくね」

 レイカは寂しそうな笑顔で言った。








 部屋でくつろいでいるルテラは青い石を取り出した。

「ルテラです。また言葉を話す魔物に襲われました。」

「そのことで思い出したことがある。あの戦いの時、力を暴走させて魔物に姿を変えた妖魔がいた。その時は多数のレグニ族と人間が戦って、封印するのが精いっぱいだったが……」

 石から中年の男の声がした。

「では、トッシュとシズンで現れた魔物はその時の妖魔ですか?」

「そうだ」

「なぜ今になって出てきたのでしょうか?」

「封印が弱まったのだろう。あの時は倒せなかったが、勇吹は倒せた。封印が解けたばかりで本気を出せなかったのだろうか……」

「それらしき魔物は3体、確認できました。他の魔物も復活するかもしれませんね」

「イーク・ジャータの開放を急がねば……」




魔物語は法則が乱れています。気にしないでください。

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