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10話 オコルスハインネグン

「古代遺跡に行ってみない?」

 提案したのはレイカだ。

「この前、行っただろ」

「それはそれ。テンジェルさんの武器もイサブキの武器もユーオイケンの近くにある古代遺跡で手に入れたんだよね?」

「そうみたいだが……」

「じゃあ、他の遺跡にも武器とか武器以外の物があるかもしれないじゃん?」

「ああ……」

「だから古代遺跡に行きたいなぁって思ってるの」

 陽翔とルテラは何もない空間から武器を出現させた。レイカ曰く、そのような魔法や武器はアーカイスに存在しないと思っていたらしい。ルテラは古代遺跡で手に入れた武器と説明したが実際には違う。

 陽翔は他の異世界で、ルテラは天界で手に入れた。





「いいじゃないですか。行ってみましょう」

 ルテラはレイカの提案に乗った。

「おい……」

「古代遺跡は未知の部分が多いんです。もしかしたら本当に何かが眠っているかもしれませんよ?」

 ルテラが陽翔の耳元で喋った。

「う~ん……分かった。行こう」

 古代遺跡は現代のアーカイスよりも発達した文明の跡地らしい。

 遺跡に行っても同じような武器がある保証はないが、何かが眠っているかもしれないので陽翔はレイカの提案にのった。

「発達した文明を築いた古代人が遺した遺跡。ロマンがありますね!」









 陽翔達はトッシュの近くにある古代遺跡に行った。以前、陽翔が妖魔と戦った所だ。

妖魔や盗賊の死体はない。誰かが回収したのだろう。





「階段……?」

 陽翔達は最奥にいる。

 あの時、妖魔と戦闘になったので十分に調べられなかったが、今回は階段を見つけた。

「地下に行けるみたいだな。入ってみる?」

「……うん」



 陽翔は魔法で光を作って階段を降りた。

階段は地下深くまで続き、降りた先は一本道になっている。

陽翔達は所々朽ちている地下道を進み、扉の前に着いた。


「……なんでこの扉だけ新しいんだ?」

「なぜでしょう?」

 地下道は所々朽ちていたが、陽翔達の目の前にある扉は最近まで使われていたかのような綺麗さだ。




「これ、私が死んだ日に行った古代遺跡の扉に似てる……。あの扉も綺麗だったんだよね」

「へぇ~何かの施設だったのか? ……開けてみる?」

「いきなり開けるのは危険ではないでしょうか?」

「……そうだよな。どうしようか」

 とはいえ、この扉だけ新しいのは違和感がある。この先に何かあるのでは? と陽翔は気になった。



「あの扉は開けても何も起こらなかったよ。先に道があっただけ」

「そうか。……2人とも、離れてろ」

「開けるんですか?」

「ああ」

 好奇心の方が勝った陽翔は開けることにした。

「大丈夫でしょうか?」

「……たぶん」

「たぶんって……」

 ルテラは罠があるのではないかと不安そうな顔をしている。

「とりあえず防御魔法を張りながら開けてみる」

「分かったよ」

「分かりました」

 そう言ってルテラとレイカは扉から遠ざかった。

 陽翔は盾を出現させた。盾から輝く壁が出る。

 そして陽翔は扉を開けた。



「……ただの道か。でも何で明るいんだ?」

 扉の先にも道はあったが、朽ちておらず綺麗だ。しかも地下にもかかわらず明るい。

「なぜでしょう?」

「あの古代遺跡も扉の先が明るかったよ。この奥も同じなのかな?」

「どうだろうな? とにかく注意して進もう」

 罠があるかもしれないので陽翔達は注意しながら進んだ。

 








 陽翔達は明るい道を進み、再び扉の前に着いた。

「また扉か」

 そう言って陽翔は警戒しながら扉を開けた。

 扉の先は広い部屋になっている。縦と横、それぞれ50メートル程の広さだ。

 部屋の奥には6体の石像があり、それぞれ剣、弓、ハンマー、槍、杖、剣と盾を持っている。そして、石像の後ろには壁画、前には黄色い八面体の物体がある。




「魔物と人間か……?」

「そのようですね」

 壁には2足歩行をしている牛のような魔物と7人の人間が戦っている様子が描かれており、人間の1人は石像と同じ剣を持っている。この壁画の右隣りには魔物の足が地面に半分埋まっている様子が描かれていて、その右に描かれている絵は魔物の身体が地面に埋まっており、さらに右隣りの絵は頭まで埋まった様子が描かれている。

 最終的に魔物が消え、八面体の物体が描かれていた。




「これってイサブキの武器と盾と似てない?」

「似てるな。いや、同じだ。なんでだ……?」

 6体の石像の内、1体が持っている剣と盾は陽翔のそれと酷似している。デザインまで一緒だ。陽翔の剣と盾は「ナオクス」という異世界にあったが、アーカイスに同じデザインの剣と盾があるのを『偶然』の一言で片づけることはできない。




「古代遺跡で手に入れたからじゃないの?」

「そ、そうだな……。そうだろうな」

「でも、この石像が持ってる杖はテンジェルさんのとは違うね。形は似てるけど……」

 石像が持っている杖はルテラが持っているそれとはデザインが違う。




「この石像は私が最期に行った古代遺跡にもあったんだよね。描かれてる魔物は違うけど構図はこの壁画と同じ」

「ふ~ん……」

「あと、これもあったかな?」

 レイカは八面体の物体を指さした。

「これが消えたと思ったら地面に丸い模様が現れて、壁画に描かれてるのと同じ魔物が出てきたんだ」

「もしかして、その魔物に殺されかけたのか?」

「うん」

 レイカは肯定した。そして、陽翔は嫌な予感がした。




「……確か大昔に妖魔王を封印したとかいう伝説があるよな?」

「あるよ」

「もしかして、この部屋って妖魔王を封印した部屋じゃないか?」

「言われてみれば……」

 レイカも陽翔と同じことを考えた。

「でも、魔物の形をした妖魔なんて聞いたことないよ」

「ルテラは聞いたことあるか?」

 陽翔はルテラに聞いた。

「はい。妖魔もヒトと似たような外見です。魔物の姿をした妖魔なんて聞いたことありませんね」

「そうか。でも、嫌な予感がするな……。早く地上に上がろうぜ」

「そうだね」

 レイカも嫌な予感がしたので、地上に上がることにした。

 しかし、八面体の物体が前触れもなく消えた。そして、地面に幾何学模様が描かれた円が出現する。



「へ?」

「え?」

「え?」

 陽翔達は呆気にとられた。

「あの時と同じ状況だ。ということは……」

レイカが呟いている間に徐々に何かがせり上がってきた。




「マジかよ……」

出てきたのは牛のような見た目をした巨大な生物だ。2足歩行をしており、身長は8メートルほどある。





「アチテアイウテ、アニンオダアユラトインオエラ」

「何か喋っていますよ」

「知るか! 今は逃げることが先だ」

「はい」

 陽翔達は出口に向かって必死に走った。



「ン……? インネグンアケ」

 魔物が陽翔達に気づいたようだ。

「インネグン。オコルスハインネグン」

 何を言っているのか分からないが、考えている暇はない。陽翔達は走り続ける。

「オコルス」

 そう言って魔物が口からビームを出した。

「げっ!」

 陽翔はビームに反応して魔法の盾を出現させたが、ビームは陽翔達に当たらず出口にある扉に当たった。衝撃で付近が崩れて、退路を閉ざされてしまった。



「わわわわ」

「どうしましょう」

「どうもこうも倒すしかねーだろ。ルテラ、自分の身を守ることに専念しろ」

「わ、分かりました」

 他の出口を探す余裕はない。魔物と戦う以外の選択肢はなさそうだ。陽翔は剣と盾を出現させた。レイカとルテラも武器を構える。






「魔法であなたの身体能力を強化します」

「ありがとう。……待てよ」

 そう言って陽翔も自身の身体能力を魔法で強化した。重ねがけができたので、より身体能力が強化された。




「オコルス!」

 魔物が口からビームを出した。それを陽翔は盾から光の壁を出して防いでから魔法による無数の氷柱を魔物に当てて反撃した。

「ウゥゥゥ」

 効いているようだ。しかし、魔物がすさまじい速さで突進してきた。

 陽翔は避けたいと思ったが、ルテラは避けられないだろうと思い、盾から光の壁を出して受け止めた。すかさずに光のビームを雨のように降らせた。

「ガァァァァ」

 魔物が叫びながら後ろに下がる。



「ウトワイ オンユケスインインネグン 」

 そう言った後、魔物がどこからともなく槍を出した。

「アイツも武器を出した!?」

 レイカは驚きつつも魔物に向かって走り出す。幽霊なので攻撃は効かないはずだ。効かないはずだった。



「きゃああ」

 レイカは槍で刺された。なぜか幽霊に攻撃が効いた。幽霊と契約しているのかもしれないが、考えているヒマはない。

「イレースト、地上に逃げろ」

「でも」

「いいから逃げろ」

「……分かった」

 レイカは、戦う陽翔を背に地上に逃げた。



「エイスン!」

 陽翔は魔物による槍の攻撃を防ぐ。

 本気を出したいが、ルテラを守る必要があるので彼女の傍を離れることができない。


「エイスン」

 魔物が竜巻を発生させた。陽翔とルテラは上空に飛ばされる。

 このままではルテラが落下により死ぬ可能性がある。陽翔は光る床をルテラの下に出しては消してを繰り返して落下の衝撃を和らげた。だが、その隙を突かれた。

「ムフ……アイセダモチアジオンナンオユアデ」

 魔物が陽翔に向かって突進してきた。ルテラを守るのに必死だった陽翔は反応が遅れた。

 当たる直前に気づき、剣先を魔物に向けてビームを放ち、命中したが陽翔は吹き飛ばされる。

 さらに魔物がすばやい速度で走ってきて、巨大な手で掴まれてしまった。



「ハル君!」

「俺に構うな!」

「オコルス、オコルス、オコルス」

 魔物が陽翔を強く握りしめた。このまま握り潰すつもりだ。

「くそ」

 陽翔は青く輝く半透明の剣を空中に4本、出現させた。そして、その剣で魔物の手首を攻撃して切り落とした。

「グァァァ」

 さらに陽翔は自分が持っている剣と4本の半透明の剣を魔物に向けてビームを放った。

「ウゥゥゥ」

 魔物は叫びつつも武器をしまい、切り落とされた自分の手を拾って元の手首にくっつけた。

「マジか!」

 まさかの行動に陽翔は驚いた。

「もう一度、先ほどの攻撃を……」

「いや、それは……」

 陽翔はもう1度、先程の攻撃をしたいと思っているが、できない事情があった。

「エイスン」

 魔物の周りに大量の黒い球が現れた。そして凄まじい早さで陽翔の方へ向かって来た。

 陽翔はそれを魔法による光の盾で防いだが、全ては防げなかった。

「ぐああ」

 陽翔は黒い球でダメージを受けた。

「ユレララオコルスアニオトアズスオーニケ」

 そう言った魔物の動きと魔法が激しくなった。


 陽翔はルテラを守りながら魔物と戦い、死闘の末、瀕死の状態まで追いつめることができた。




「ユレラ……オコルス……イングネンイン……オコンオエラ……」

 魔物がブツブツを喋っているが陽翔は気にしていない。

 青く輝く半透明の剣を6本出現させて剣先を魔物に向けた。陽翔は魔物に向けてビームを放ち、殺した。



 死んだ魔物が赤黒く光り2メートル程の妖魔の姿となった。そして、槍が出現して赤黒い光を放ちながら消えた。




「ハァ……ハァ……。何とか……倒せた……」

 そう言って陽翔は膝をついた。

「大丈夫ですか!?」

「なんとか……。んなことより、妖魔ってあんな魔物になれるのか?」

「なれないはずです」

「じゃあ、コイツは……。まぁ、いいや……今は休ませてくれ」

「分かりました。いったん、地上に行きましょう」

 突如、古代遺跡に言葉を喋る魔物が現れた。陽翔は何とか倒すことができたが、負傷してしまった。

 ここにいると再び魔物が出てくるかもしれないので地上で休むことにした。


魔物が喋っている言葉は適当に考えました。一応、単語は法則があります。


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