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0話 少し老けた?

 高校2年生の勇吹陽翔は7月の平日に異世界に召喚された。過ごした時間は3年。

 異世界で魔王を倒した陽翔は日本に帰された。その時に日本で経過した時間は3時間と知らされた。



「帰ってきた。久々の日本だ。はは……懐かしく感じる」

 リビングにいる陽翔は日本に帰って来たのを実感した。

「おお! 陽翔……か?」

 感慨に耽っている陽翔に声をかけたのは父親。

「父さん……」

「いつのまに帰って来たんだ。目の前でいきなり消えたからビックリしたぞ」

「俺もビックリしたよ。いきなり異世界に召喚されたからな」

 そう言って異世界で手に入れた聖剣と聖なる盾を出現させた。





「なんと!」

「魔法も使えるぜ」

 そう言って陽翔は右手から光る球を出した。

「おおお」

 父親は手品を見たような反応をした。魔法を使えること自体に驚いていないようだ。

「やっぱり異世界に召喚されたのか?」

「やっぱりって……知ってたのか?」

「いや、目の前でいきなり消えたんだ。それぐらい予想できる」

 陽翔は父親の目の前で異世界に召喚された。



「さすがオタク脳」

「ははっ、何とでも言え。早速で悪いが異世界で何があったか教えてくれ」

「はぁ~、やっぱりそうきたか」

「当たり前だ。異世界の実体験など、そうそうない。次作のネタにしよう」

 陽翔の父親はラノベを書いている。陽翔の体験を次作に活かすつもりだ。

「しょうがねぇな。話してやる」




「ちょっと待て」

「なんだよ」

「女の子はどこだ?」

「は?」

「ヒロインの女の子だ。一緒に帰ってこなかったのか?」

「いねぇよ。……異世界で彼女を作れなかった」

「はっ」

 鼻で笑う父。陽翔が異世界で彼女を作って一緒に帰ってくることを少し期待していたが、


「不甲斐ない奴だ」

「うるせぇ」

「まぁ、いい。異世界の話を聞かせてくれ」



 陽翔は異世界に召喚されて『神』に壊れない剣と盾、そして魔力を貰った。陽翔を召喚したのは魔王軍と人間が戦っている異世界。そこでいろいろあり、聖剣と聖なる盾を手に入れた陽翔は魔王を倒して日本に帰された。




 陽翔は父親に1年目の出来事を話した。

「続きは明日でいいか? 疲れた」

「分かったよ。今日はゆっくり休め。明日は学校にいくのだろう?」

「ああ。……皆、驚くだろうなぁ。どうしよう」

 陽翔は3年分、身体が成長した。異世界に召喚されたことは誤魔化せても、身体の成長は誤魔化せない。クラスメートにどう言い訳しようか悩んでいる。











 陽翔は恐る恐る登校した。

 クラスメートからすれば昨日ぶりだが陽翔からすれば3年ぶりの再会だ。前と同じように振る舞える自信がない。



「陽翔……だよな?」

 最初に陽翔に声をかけたのは彼の友人、国広雄志。

「そう……だよ」

「少し老けた? それに少し太ったような……」

 やはり変化に気づかれた。いや、気づかれない方がおかしいか、と陽翔は思う。

「そうか? 気のせいだろ」

「気のせいではないと思うが……」

 雄志は訝しげに陽翔を見ている。




「おはよう」

 眼鏡が似合う美人な生徒、青山椎菜が登校してきた。

「勇吹君……? 少し老けた?」

「やっぱりそう思うよなぁ?」

「気のせいだよ」

「いやいや、気のせいじゃないと思うけど……。なんか筋肉質になってるし雰囲気も変わってるし」

 陽翔は異世界で魔物と戦ってきたため体格も変わった。

 夏休み明けならともかく一日ぶりでは誤魔化せない。陽翔は「気のせい」で押し通す予定だが無理があるようだ。




「気のせいだよ。それとも未来から来たって言ったら納得するか?」

「納得するかも」

「えっ」

 椎菜の返答に驚く陽翔。

「そんな感じだよな」

 雄志も動意する。

「うん」

「おい、雄志まで」




「いや、異世界帰りという可能性もある」

 3人の話に割って入ったのは陽翔の友人、内海拓斗。陽翔のオタク友達だ。

「お前、異世界に召喚されただろ!」

「あー」

 実際に異世界が存在しなければ荒唐無稽な話に雄志と椎菜が納得する。

「なに納得してるんだよ……。タイムマシンも異世界も存在するわけないだろ」

「そうなんだけどね。あ、本気で異世界が存在するとか思ってないからね」

「だ、だよな。ま、気のせいだよ気のせい」

 陽翔は無理と分かっていながらも気のせいで押し通す。




「そうか」

「気のせいかな……?」

「気のせいということにしておこう」

 陽翔が「気のせい」としか言わないので、疑念が残るものの雄志達はこれ以上、追及しないようにした。



「はぁ~」

 陽翔は小さくため息をつく。

 召喚するならせめて夏休み中にしてくれと思う陽翔であった。


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