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殺人鬼、異世界へ

 その日、ある男の死刑が執行された。


 その男の罪状は殺人。10年間に渡り1,000人以上の人を殺した超凶悪殺人犯。3年目の時点で殺した人数は500人を超えていたが、そこで一度警察に捕まる。しかし、留置場に向かう護送車内にて車内にいた警官全員を撲殺。警官から強奪した鍵で手錠を外し、逃亡した。


 その後その男による殺人の件数は減ったものの、7年間に渡り逃亡を続ける。最後に男が捕まったのは完全なる偶然。最後に男が忍び込んだ家では偶然にも10人のエリート自衛隊員が個人的な集まりを開いており、全員が雑魚寝する寝室の扉に侵入者を設置して音を出すセンサーをふざけて設置していたことに起因する。


 センサーの反応する音で自衛隊員達は目覚め、寝室に侵入していた男を拘束する。男が逃げなかったのは逃げても捕まってしまう状況だと即座に判断し、殺すしかないと判断したからだ。もっとも、この男が他人の家に侵入して人を殺さなかったことがないが。


 結果として自衛隊員3人の犠牲はあったが、その代償として男は椅子に縛りつけられた。その男の人相は最初捕まったときに既に広まっていて、手錠を掛けただけでは逃げ出したことが知られていたからだ。椅子に縛りつけられれば、男も逃げ出すことなど叶わなかった。


 男は椅子に縛られたまま護送される。男も観念したのか、全てを白状した。10年間全ての殺人を覚えていたことは世界を驚愕させたが、それ以上に恐ろしいと評される男の言葉があった。



「動機?俺はただ金が欲しかっただけだよ。文句あるか?」



 その場にいた全員が絶句したという。誰もが嘘だと思ったが、事実、男が白状した隠れ家には大金があった。現金、通帳、金品。被害者から奪ったであろう金の数々。その総額は、1憶を超えていたという。


 10年間殺し奪い続けた残虐な行為。反省の色が全く見られない。極めて危険な殺人動機。満場一致。裁判は開始1分で死刑が確定した。


 脱獄する危険性があるとして、死刑が執行されたのは裁判の直後。偶然にも齢25の誕生日。男は速やかに処刑された。


 歴史に悪名を残した殺人鬼の模範。死を興す悪魔、金を欲した死神、世界の汚点。付いた異名は数知れず。

 その男の名は金井史人(カナイシヒト)

 歴史に名を残せるような人になることを願って付けられたその名前。それは名付け親の望まぬ形で実現された。


 やがて、死に逝く体。消え逝く意識。史人は考える。



(もっと……金が欲しい)



 直後――







 光の奔流。呼び覚まされる意識。史人は目覚める。



「成功です!全ての世界において最強になりえる素質の持ち主――勇者の召喚に成功しました!」



 積み重ねられた偶然。それは召喚を成功させるための運命の布石。


 ――史人は、異世界に召喚された。

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