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第8話 学生服(高防御力)

「そろそろ俺は眠気の限界だぁ・・・あとはよろしくやってくれぇ・・・」


 あの後、親切に道具屋、武器屋、防具屋と案内してくれたおっちゃんことエドさんは最後に宿屋さん『氷山の一角』へと案内してくれた。

 でも昨日からずっと夜勤だったせいでそろそろ眠気が限界突破しそうになっていた。

 水見の儀のせいでかなりハイテンションだったけど、たぶん途中から徹夜明け特有の変なテンションに切り替わっていたみたいだ。


 宿屋『氷山の一角』は変な名前とは裏腹に、極々普通の宿屋だった。一階は宿屋の受付と食堂、二階と三階が宿屋の部屋になっていた。

 まぁ、この世界の基準がわからないけど、エドさん--なんかむず痒いのでおっちゃんでいっか--が言うには値段の割にいい宿屋らしい。

 3つベッドのある部屋が一つあったので、そこをお願いした。なんかおっちゃんが引いてた気がするけど、俺らはよく誰かの家に3人で泊まることもあったせいで、そこまで気にならない。


 ちなみに冒険者ギルドでもそうだったのだけど、宿屋の記帳するときに日本語を書き込んだつもりだったけど、この世界の文字--メルク文字というらしい--を書き込んでいた。

 どうにも、言葉も日本語のつもりで違う言語をしゃべっているようだ。どうなってんだろこれ。


「宿屋で変なことするんじゃねぇぞ~・・・」


 変な心配をしてるおっちゃんを見送って一度部屋に入って一息つく。

 3人だけになったことだし、凛にも偽装を解除した状態で鑑定してもらう。


「えええええぇぇぇぇぇぇええええ!!?どうなってるのこれぇぇぇ!!」

「ほら、こんなリアクションになるよな。」

「やっぱりあの時見せなくてよかったな。」


 俺と恒輝は本当にあのときに見せなくてよかったと思ってる。

 ちなみに、凛は事の重大さは全然理解できておらず、単純に鑑定の内容が違っていることに驚いているだけだった。

 恒輝と二人で一生懸命説明して、凛が理解してくれたのは昼ご飯には少し遅いくらいの時間だった。


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


「さて、昼飯も食ったし、道具と装備を整えに行くか。」


 王様からの連絡が来るまでの間、暫くは冒険者として路銀を稼ぐ必要がある。

 そのためにも、残りの資金で買えるものを買っていこうと思う。


 道具屋では、ポーションと呼ばれる回復薬を5つと、毒消し3つを購入。ポーションが1つ銀貨1枚、毒消しは1つ銀貨2枚だったので、合計で銀貨11枚になった。

 ほかにも地図やテントなど買いたいものはいくつかあったけど、それぞれ高価で手持ちが足りないのと、今のところ優先度は低そうだったので後日買うことにした。

 暫くは夜は宿屋に泊まることになりそうだし、食料関係も食堂の料理で十分だろう。


 武器屋では恒輝が銅剣(ブロードソード)を、凛が短杖(ステッキ)を購入した。

 短杖(ステッキ)は杖と違って簡易的な杖だ。初級~中級魔法を運用するのに適している、と武器屋のお兄ちゃんに言われてそれにした。ただ武器としてはまともに機能せず、本当に魔法を使うためだけの棒きれ・・・じゃなかった、杖といったところだ。

 まだどの程度扱えるかもわからないし、ひとまずは初心者用のものを買ったので、二つ合わせて銀貨1枚になった。

 俺も何か短剣を買おうかと思ったけど、買えそうな短剣よりも護身用に持ち歩いてた折り畳みナイフのほうがまだ切れ味がよさそうで、買わずにそちらを使うことにした。


 ちなみに武器よりも道具のほうが高いのにはいくつか理由があった。


 一つは、武器系の技能(スキル)の大半が最初に武器が破損しないようになる効果を持っていることだった。例外はいくつかあるみたいだけど、『槍が折れない』とか『弦が切れない』とかそういった効果が一番最初に手に入るらしい。実際俺の短剣術も最初に『刃こぼれしない』効果のある【短剣の心得】を覚えている。


 ほかにも武器の値段と能力がピンキリすぎるということもある。初心者用の武器はごみのように安い。ただ、上級者向けになってくると武器の威力以外にも属性付与(エンチャント)されているものや、疑似技能付与(スキルエンチャント)されているものもあるらしい。まぁ上級者向けの武器のほとんどは専用で工芸ギルドに依頼をかけて特注品を作ってもらってるみたいだけど。


 最後に防具屋で恒輝の盾を購入した。

 両手剣で攻撃力を上げることも考えたけど、剣と盾で自衛と凛の守りを重視する方向にした結果だった。

 ほかにもいくつかの下着類やアクセサリを購入して、占めて銀貨3枚になった。(盾が銀貨2枚、下着類アクセサリが合計で銀貨1枚)

 軽そうな皮でできた鎧も購入を検討したけど、鑑定してみた結果、今着ている学生服のほうが防御力が高いことが判明した。むしろこの店で一番高い鎧よりも防御力が高かった。

 周りに比べると見た目が浮いてしまうけど、性能的にこれを脱ぐ選択肢はなさそうだなぁ。

 森の中を突っ切ってきたにも関わらずなぜか汚れてる感じがしないし、少しくらい洗わなくても大丈夫そうだ。凛は嫌がってたけど。


「よし、一通り準備も整ったし冒険者ギルドに行って、いい感じのクエストがないか確認してから、外に出てみることにしよう。」

「「おー!」」


 意外と二人とも装備を持ってみたらノリノリになっていた。

 自分たちがどんなことができるのか楽しみでしょうがないようだ。

 俺も恒輝が持ってる【光魔法】と凛の持ってる【回復魔法】が気になるしな。

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