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第7話 偽装の大樹

 なんで俺の技能(スキル)に大樹が乱立してるんですかねぇ・・・

 試しに自分の技能(スキル)を【鑑定】してみる。

 

 勇者の花、鑑定の実、俊足の実は書いてある名の通り、「勇者である」とか「鑑定ができる」とかその程度しかなかった。

 問題はそれ以降の技能(スキル)だった。


--------------------------------------------------------------

■ 短剣術の実Lv.2

  短剣を使いこなす技術。

  技能所持者のレベルごとに使用可能な技を習得できる。

  Lv.7 【短剣の心得】使用している短剣が刃こぼれを起こさない。

  Lv.14【クロスペイン】????

  Lv.21【ストライクショット】????


■ 空間把握の芽Lv.2

  自分のいる空間の状態をすべて把握することができる。

  現スキルレベルでは、罠の探知、風向き、建物構造の把握が可能。


■ 気配遮断の大樹Lv.10

  自分から発するもの(気配・音・温度など)を全て遮断することができる。

  現スキルレベル以上の気配察知以外には、察知できない。


■ 暗殺術の大樹Lv.10

  暗殺術を使用できる。

  相手に気づかれずに急所へ攻撃した場合、即死効果を付与。

  技能所持者のレベルごとに使用可能な技を習得できる。

  Lv.2 【暗殺の心得】 気付かれずに背後から攻撃したとき、確率で即死効果を付与。

  Lv.4 【暗殺の心得Ⅱ】 気付かれずに背後から攻撃したときの即死効果の確立アップ。

  Lv.6 【暗殺の心得Ⅲ】 気付かれずに背後から攻撃したときの即死効果の確立さらにアップ。

  Lv.8 【暗殺の心得-極-】気付かれずに背後から攻撃したとき、必ず即死効果を付与。

  Lv.10【幻影】???

  Lv.12【影演武】???


■ 偽装の大樹Lv.10

  偽装することができる。また、対象外に設定した者には偽装を解除できる。

  現スキルレベル以上の鑑定には看破される。

  偽装できる対象は、全ステータス、技能(スキル)、姿、味方、乗り物など。

--------------------------------------------------------------


 ・・・こればれたらダメなやつだ。

 特に気配遮断、暗殺術、偽装の三つは絶対にばれちゃだめだ。

 この三つの技能(スキル)を使えば、たぶんどんな相手でも暗殺できてしまう。

 それこそ、町長だろうが、領主だろうが、王様だろうが、誰だってできるだろう。


 そんな強力なスキルを持ってるとばれてしまったら、何もしてなくても脅威とみなされて殺されてしまうかもしれない。

 よかった、偽装スキルを持ってて・・・これがなかったら本当に俺の人生は逃げ続ける人生になってただろう。

 現におっちゃんと神父さんは「ふむ、短剣術か・・・」とか「狩人か、普通だな」とか言ってる。

 恒輝と凛のすさまじさの後に平凡な内容を見て落ち着いてるといった感じかな。

 俺からは偽装の内容がわからないので恒輝に聞いてみるか・・・


「恒輝、すまんが書いてある内容を教えてくれ。」


 ほかの三人に聞こえないように小声で聞いてみる。

 意味が分からん、という顔をしながらも恒輝は空気を読んで小声で教えてくれた。

 恒輝から教えてもらった内容はこんな感じだ。


--------------------------------------------------------------

名前:エイキチ・ヨナガ

年齢:17

性別:男

職業:狩人

称号:ゴブリンキラー

レベル:8

技能(スキル):狩人の種Lv.2

   鑑定の種Lv.1

   俊足の実Lv.1

   短剣術の芽Lv.2

--------------------------------------------------------------


 実に平凡な内容に変更されている。よかった・・・本当に偽装スキルを持っててよかった。

 恒輝には「絶対に騒ぐなよ?」と念を押して、偽装スキルを解除する。・・・凛は間違いなく騒ぐからな。後で3人のときに教えよう。

 恒輝の目が飛び出るかと思うくらい、驚きの顔を一瞬だけしたけど、声も出さずに耐えてくれた。


「なんだよこれ・・・」

「お前も鑑定スキル持ってるみたいだから下の三つを鑑定してみろ。」


 小声で不満そうに聞いてくる恒輝に鑑定するように促す。

 鑑定スキルのレベルが低いとはいえ、偽装を解除しているからスキル内容も恒輝はわかってくれた。

 そして、俺と同じ考えに至ったみたいだった。


「こりゃぁ・・・絶対に俺ら以外に知られたらダメだな。」

「だろう?偽装スキル様様だよ。」


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


 無難な内容(偽装)の俺はともかく、勇者ということが発覚した恒輝と凛は、王様と会ってほしいと頼まれてしまった。

 エイドリンと王様のいる王都ととは馬車で一週間ほどかかるらしい。

 ひとまずは王都へ連絡を取ってからどうするかは決めるということで話が進んだ。

 早馬を使っても往復で一週間はかかるだろうというので、暫くはエイドリンで過ごすことになりそうだ。


 興奮冷めやらぬおっちゃんの案内で、まずは冒険者ギルドへと向かった。

 何をするにもお金がいるし、そのためにはゴブリンの森で手に入れた魔石を換金するのが一番手っ取り早いからだ。


 この世界にはいくつかのギルドがある。

 中でも『冒険者ギルド』『商人ギルド』『工芸ギルド』が大手ギルドとして扱われている。

 どのギルドでも魔石を換金することは可能だけど、所属することでさらにメリットがあったりする。

 冒険者ギルドは、素材の買い取りやクエストの受注ができ、魔石の買い取りも金額がアップする。

 商人ギルドは、露店の設営や店舗の設置などの許可が下り、魔石の買い取りも金額がアップする。

 工芸ギルドは、魔石の買い取り金額がアップし、武器や防具などの売値が安くなる。


 俺らはきっとこれからも旅したりどこそこ行ったりするし、スキル(偽装を含む)もどちらかというと冒険者向けだったので、『冒険者ギルド』に登録することにした。


「おう、アイスちゃん、新人を連れてきたぜ!」


 おっちゃんが受付嬢(猫耳)に声をかける。

 昼前ということもあって、冒険者ギルドの中にはほとんど人がいなかった。

 後から聞いた話では朝一にクエストが張り出されて、それを受注した後はほとんど人は来ないらしい。


「あら、エドさんいらっしゃいにゃ。そして新人君たち、冒険者にようこそにゃ。」


 登録自体はそんなに難しくなく、いくつか記入するだけで完了した。

 そしてもらったのは冒険者カードだった。

 これさえあれば、町への入場料や国境間の関所の料金が無料となる。

 さらにクエスト受注の際には、自動的にカウントしてくれるという機能もあるらしい。


 冒険者にはランクがあるらしく、初めて登録する俺たちは最低ランクのFランクだった。

 上のランクはF<E<D<C<B<A<Sという感じで、クエストのクリア数やモンスターの討伐数でランクが上がっていく。

 あとは簡単に冒険者ギルドのルールを聞いて、そのまま魔石の鑑定をしてもらった。

 ゴブリンの魔石が全部で23個あった。

 

「新人君たち、なんでこんなに魔石を持ってるにゃ!?」


 森でゴブリンの集落に遭遇したこと、出会ったゴブリンたちをなんとか倒せたことを説明する。


「あの森でゴブリンたちが集落を作ってたとはな・・・」

「下手したらリーダーとかキングが出現してたかもしれないにゃ。お手柄にゃー。」


 ゴブリンは集団を作っていくことが多く、集落が発展していくと長となるリーダーやキングが生まれるらしい。

 そうなると、ランクの低い冒険者では太刀打ちできない上に、町を襲撃される可能性があったらしい。


 ちなみに新人向けのFランクのクエストにはゴブリン討伐のクエストがある。

 ただそのクエストのクリア討伐数は3匹~5匹らしい。つまり俺たちは4~5倍くらいの数を倒したということだ。

 そのことも相まってアイスさんは驚いていたらしい。


「ゴブリン討伐のクエストをクリアしたということにして、上乗せしておくにゃ。」


 後々のことを考えると、街を救ったことになるんだろうけど、流石に未然に防いだことへのご褒美は和えられない。

 その代わりにゴブリン討伐のクエストとしては渡せるということで、魔石の換金料金に報酬を上乗せしてくれた。


 断る理由もないのでありがたく受け取ることにした。

 魔石1個に対して銀貨2枚。全部で23個あったので銀貨46枚。

 クエスト報酬1回につき、銀貨10枚。4回分の魔石はあったので、クエスト報酬4回分で銀貨40枚。

 合わせて銀貨86枚になった。

 宿屋に泊まるのは、一部屋銀貨10枚ということで、暫くはこれでなんとかなりそうだ。

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