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第6話 水見の儀

不定期更新を予定してます。

久しぶりの更新です。

 門番のおっちゃんに連れられて街の中に入る。

 この街はエイドリンという街で、王都ほどはないけどそこらの街よりは発展している街だとおっちゃんが自慢しながら説明してきた。

 確かに右を見れば、市場のようなところがあって人が賑わっていた。出店もあるし、カフェっぽいところもある。食堂みたいなお店もあった。

 一方、左を見ると、浮浪者や乞食らしき人たちが佇んでいた。所謂スラム街というやつだろうか。

 しばらく歩いていると、大きなステンドグラスが綺麗な教会が見えてきた。

 厳かな雰囲気の大きなドアをおっちゃんが勢いよく開く。


「神父さんやーい、いるかー?」


 加えて、大きな声で神父さんを呼ぶおっちゃん。おいおい、教会の雰囲気ぶち壊しまくりだけど、いいのか?

 見ろよ、みんな「え、何事?」って顔をしてこっち見てるじゃねぇか。

 祭壇の前に立っていた神父さんがあきれ顔でこちらに向かってくる。


「またお前か・・・教会では静かにしろといつも言っておるじゃろう。」

「すまんすまん、忘れてたわ、はっはっは」


 注意されても大きな声で笑うおっちゃんに神父さんはため息をついていた。


「すまないついでに、一つ頼まれてくれ。こいつら旅人らしくってな、水見の儀をやってくれ。」

「ああ、それは構わないが少し待ってくれんか。説法の途中なのじゃよ。」

「わかった。中で待たせてもらうぜ。」


 教会の隅のほうで待つことになった。なんでも水見の儀は神父さんしかできないらしい。

 待っている間暇だったので、神父さんの説法の内容を聞いてみる。


 教会で信仰されているのは『女神教』という宗教らしい。この異世界でほとんどの人が信仰しているとかなんとか。

 説法として言われている内容は至極単純で「いいことをしたらいいことがありますよ」という内容だった。え、これ宗教の説法としてどうなの?

 暫く待っていると説法が終わって、神父さんがやってきた。


「さて、奥に行きますよ。」

「ふごっ・・・おぉ、終わったか、おっし行くぞお前ら。」


 おっちゃん寝てやがったな・・・って凛も寝てたのか、よだれのあとがあるぞ。

 祭壇の横に通路があって、そちらに入っていくと裏に女神像があった。

 女神像の手には壺みたいなものがあって、そこから水が流れ出ていた。流れ出た水は足元に溜まっていた。

 ・・・これ公園とかにある噴水的なオブジェじゃねーか。


「君たち、これに水を掬って持ってきなさい。」


 渡されたのは学校の机くらいの大きさの薄いお盆だった。縁には銀色に装飾された文字が並んでいた。

 最初に渡された恒輝が水を掬い取って神父さんの目の前のテーブルに置く。

 

「主よ、この者の力を示したまえ。」


 一瞬だけ、水が光ったと思ったら、水の中に文字が浮かんでいた。


--------------------------------------------------------------

名前:コウキ・ヒカリガオカ

年齢:17

性別:男

職業:勇者

レベル:3

技能(スキル):勇者の種Lv.3

   鑑定の種Lv.1

   光魔法の種Lv.1

   剣技の種Lv.1

   槍術の種Lv.3

--------------------------------------------------------------


 なんだこのゲームみたいな情報は・・・なんて思ってると急におっちゃんと神父さんが騒ぎ始めた。


「ゆ、勇者だと!?」

「しかも種とはいえ、光魔法の使い手とな・・・」


 何を驚いてるのかよくわからないけど、勇者ってのはたぶんきっと珍しいんだろうなぁ。

 勇者がいるってことは魔王とかもいるのかな?

 もしいるなら退治しに行けとか言われるんだろうなぁ・・・まぁでも恒輝らしいっちゃ恒輝らしいか。

 正義感が強いし、学校ではよくリーダーシップを発揮しているし、学校の先生ですら頼ってるくらいだからなぁ。


「この技能(スキル)とか種とかって何ですか?」


 表記されている内容がよくわからなかったので聞いてみた。

 そこからの説明がものすごく長かったので、ざっくりまとめると・・・


 技能(スキル)というのはその個人が持つ能力のことを指している。

 生まれ持った先天的な技能(スキル)もあれば、努力で手に入れることのできる後天的な技能(スキル)もあるという。

 ただ、魔法に関してはどうあがいても先天的な技能(スキル)らしく、どんなに努力しても後から手に入れることはできないらしい。

 四大属性と言われる『火』『水』『風』『地』は持っている人が多いけど、『光』はほとんど持っている人がいない激レア属性らしい。

 さらに人や種族によっては固有の属性を持っていることもあるとのこと。ただ種族固有のもの以外は発見数が少なく、伝承やら記録に残っているわずかな例しかないとか。

 

 『種』というのは技能(スキル)の熟練度を指している。

 熟練度は段階ごとにレベルが10まであって、レベルが10になると次の段階へと進む。

 段階は、『種』→『芽』→『花』→『実』→『大樹』の5段階で、一般的には生涯をかけて努力を続けてやっと花にたどり着くレベルらしい。


 ・・・という感じだった。

 少なくとも恒輝が貴重な人材であるということはわかった。

 ちなみにこの水見の儀は神父さんが『鑑定の花』を使って表示しているとのこと。というより『鑑定』を使える人が神父になることができるらしい。しかも『鑑定』の熟練度が低いと表示される内容が少ないらしく、神父になれる条件は『花』以上の熟練度が必要だとか。

 そんな裏事情?を俺らに話していいもんなのかと思ったけど、気にしないことにした。

 次に凛が水を掬って、神父さんの前に置く。


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名前:リン・タチバナ

年齢:17

性別:女

職業:勇者

称号:トラブルメーカー

レベル:2

技能(スキル):勇者の種Lv.2

   鑑定の種Lv.1

   回復魔法の芽Lv.1

   槍術の種Lv.2

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「おぉ!?またも勇者・・・しかも回復魔法の芽!?」


 おー、今度は『芽』があったらしい。しかも凛っちゃ凛らしいスキルだな。

 ん?それよりなんだこの称号ってやつ。聞いてみたけどいまいちよくわからなかった。

 というのがいつの間にかこの称号とやらはつくらしく、条件が誰もわかっていないとか。

 唯一分かるのは王様が称号を付けると、実際にこの称号に付けられた称号がつくらしい。

 王様と会ったことなんてもちろんないし、何か条件を満たしたからこの称号が付いたんだろうなぁ。なんとなく予想はつくけど。


 最後に俺が水を掬って神父さんの前に置く。


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名前:エイキチ・ヨナガ

年齢:17

性別:男

職業:勇者

称号:ゴブリンキラー

レベル:8

技能(スキル):勇者の花Lv.2

   鑑定の実Lv.1

   俊足の実Lv.1

   短剣術の実Lv.2

   空間把握の芽Lv.2

   気配遮断の大樹Lv.10

   暗殺術の大樹Lv.10

   偽装の大樹Lv.10

--------------------------------------------------------------


 え、なにこれこわい。


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