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第3話 不思議な学生カバン

不定期更新を予定してます。

一週間に一度は更新したいと思ってマス。

「なあ、走ってるとき変なファンファーレ聞こえなかったか?」


 ビー玉を拾いながら二人に尋ねる。

 ゴブリンたちを倒しながら二度三度聞こえてきたファンファーレは、集中を乱すほど大きくなく、けど聞き逃してしまうくらい小さくはなかった。

 そんなに離れたところを走っていたわけでもない二人には聞こえていたかもしれないと思って聞いてみた。


「なんだそりゃ。何にも聞こえなかったぞ。」

「うんうん、走る音とかそういうの以外聞こえなかったよー。」

「そっかー。何度か聞こえてきたんだけどなぁ。」


 うーん、ゴブリンといい、ファンファーレといい、なんとなくわかってきた気がする。

 けど推測の域を出ないし二人を混乱させても仕方ないので黙っておくとしよう。

 

 逃げながら倒したゴブリンたちはやっぱり消えていて、ビー玉だけが残っていた。

 ビー玉を拾いながら、俺たちは再度ゴブリンの集落に戻ってきた。

 別な方向に進んでもよかったんだけど、俺の予想がもしあってたら、きっとこのビー玉は重要なものだ。

 途中何度かゴブリンと遭遇するけど、恒輝たちに気を取られているすきにさっさと首を切って倒す。

 暫く進んでようやくゴブリンの集落に着いた。


 ゴブリンの集落に来たのは、何か食料がないかと、道具がないか確認したかったからだ。

 ここがどこかもわからなければ、この森がどれだけ広いのかもわからない。

 何日か野宿することになるかもしれないし、そう考えると少しでも役に立つものがあればいいなと思って戻ってきた。


「わわっ、なんかカバンがすごいことになってるんだけど!?」


 ゴブリンの集落を探索しているといきなり凛が大きな声で呼んできた。


「どうした急に?」

「これが邪魔だったからカバンに入れようとしたんだけど・・・ほら!」


 凛がカバンにこん棒を入れていく。

 カバンの縦よりも横よりも長いはずのこん棒がするすると入ってマジックのように消えてしまった。


「カバンの中が宇宙みたいになっててビー玉も全然かさばらないんだよー!すごくなーい!?」

「いや、ビー玉がどうこう以前にすげぇから!」


 慌てて自分のカバンを確認してみる。

 見た目は普通の学生カバンなのに、開くと確かに奥が見えない。

 試しに自分もこん棒を入れてみるとすんなり入っていく。何本か入れてみてもいくらでも入っていく。

 しかも石でできたこん棒は重かったのにカバンに入れた途端に、重さを感じなくなった。

 取り出そうとカバンに手を入れると、取り出したいものをすぐにつかむことができた。

 これは某ロボットが持ってる「四次元○ケット」みたいなやつなのかな。


「ははっ、こりゃいいや!」


 恒輝が楽しそうに手あたり次第周りにあったものをカバンに入れていく。

 凛も負けじとそこら辺にあったものをカバンに入れていく。


「いや、落ちてる石まで入れなくていいんじゃないかな?」

「あははー、楽しくってつい・・・」


 童心に帰って遊び始めた凛をたしなめつつ、食料がないか探索を再開する。

 結局、ゴブリンの集落で見つけたのは、少しばかりの果物と火打石と石製の武器だけだった。

 果物は本当に少なくて、一日分あるかどうかだった。仕方ないので、道中で果物を見つけたら積極的に採ることにした。

 

 火打石はきっと必要になるだろうから手に入れられてよかった。

 昼間は暖かいとはいえ、夜になったら冷えるかもしれないし、獣避けに火は焚いておいたほうがいいだろう。

 一応やろうと思えば棒を使った火おこしができなくもないけど・・・あれはつらい。

 修学旅行のスキー教室で凛先導のもと雪山遭難をした。そのときに必死で火を起こしたんだけど、あれはほんっとうに、二度と経験したくない思い出だ。


 石製の武器はこん棒や斧っぽいもの、ナイフっぽいものがほとんどだった。

 「っぽいもの」というのが、切れやすいとは到底思えない代物だからだ。

 たぶん石と石をぶつけあって砕いて作ったのだろうけど、切れ味は抜群に悪くそのままでは使えそうになかった。

 集落から棒と紐を探し出して、ナイフっぽいものと組み合わせて・・・簡易的な槍の出来上がりだ。

 こん棒は重いし短いから戦いづらく、恐怖のほうが強くてとてもではないけど戦えなさそうだった。

 でも槍ならある程度リーチもあるし、手に持つところも木の棒でできてるからそれなりに軽い。これなら恒輝もなんとかなりそうだった。

 

「ある程度の準備はできたし、そろそろ進んでみることにしようか。」

「了解であります!隊長!」

「誰が隊長だ。恒輝、どの方向に行くかはお前が決めてくれ。」


 凛に任せたらきっとまた何かトラブルに巻き込まれるに違いないので恒輝に委ねることにした。


「んじゃ、あっちのほうにいってみようぜ。」


 俺たちは恒輝の選んだ方向に進みだした。


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