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第1話 始まりの森

不定期更新を予定してます。

一週間に一度は更新したいと思ってマス。

 三人の少年少女たちが学校から帰宅している最中。

 その光は突然足元から起こる。

 咄嗟に少女を少年二人が庇うように囲む。

 しかし、少年たちは気づいていなかった。

 光の中心が少女の足元だったということに。


 光が収まるころ、三人の姿はそこにはなかった。

 残ったのは少年のカバンからぶら下がっていた学生証だけだった。

 学生証には「夜永(よなが)影吉(えいきち)」という名が載っていた。


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


 目を覚ますと、そこは森の中だった。

 さっきまで俺たちは学校からの帰り道で街中にいたはずなんだけど、なんで森の中にいるんだ?

 帰り道といえばいつも一緒にいるはずの二人のことを思い出す。

 幼馴染の光が丘(ひかりがおか)恒輝(こうき)(たちばな)(りん)だ。

 俺と同じく気を失っていたようで、周りを見渡すと少し離れたところで寝転がっていた。

 ただその光景にぎょっとする。


 凛のすぐそばにRPGに出てきそうなゴブリンみたいなやつが2匹いた。

 青白い肌にとがった耳、ちらりと見える犬歯、手にはこん棒のようなものを持った、最初の村から少し離れたところにいそうなモンスター。

 そんなモンスターっぽい奴らが気持ち悪い笑みを浮かべながら凛を指さしている。

 恒輝にも気づいたみたいで、「グギャギャ」とか言いながら片方が恒輝に向かっていく。

 ゴブリンっぽい奴らは俺には気づいていない(・・・・・・・)いつものこと(・・・・・・)だ。


 護身用に内ポケットに入れておいた折り畳みナイフを取り出して、凛にまさに手を出そうとしているゴブリンのほうへ普通に(・・・)歩いていく。気づかれない。

 凛の服を引きちぎろうと手を伸ばしているゴブリンの背後に立つ。気づかれない。

 喉に折り畳みナイフを押し当てて、引き抜く。気づかれない。

 ゴブリンは自分から出てきた青色の液体--恐らくゴブリンの血だろう--を不思議そうに眺めたあと、倒れこんだ。

 倒れるときにちょっと蹴って凛にぶつからないようにしておいた。返り血がスカートにかかってしまったけど・・・仕方ないよね。うん、あとで怒られそう。というか絶対に怒られるなこれ。


 ゴトッとゴブリンが倒れた音で恒輝に向かっていったゴブリンが振り返った。

 急に仲間が死んでいることにびっくりしているようだ。やっぱり俺には気づいていない(・・・・・・・)

 死んだゴブリンに慌てて駆け寄るもう一匹のゴブリン。俺の横を素通りする(・・・・・)

 そのゴブリンの背後に立ち、さっきと同じ要領で首を切る。

 よくわからない状態だけど目の前の危険・・・になりそうなことは回避できたので一安心だ。


 ゴブリンたちの死体をどうしようか悩んでいると、死体が煙となって消えていった。

 凛のスカートについていたゴブリンの血も消えていた。よかった・・・怒られないで済む!

 残ったのはゴブリンが持っていたこん棒とビー玉みたいな小さな玉ぐらいだった。目玉でもないし、何だろうこれは?と観察している間に煙の一部が自分の体に入っていく。気持ち悪くて避けようと思ったけど煙のくせに早くて避けれなかった。

 煙が体に入ったタイミングに合わせるようにどこからともなくファンファーレが聞こえてきた。

 あたりを見回しても俺と二人以外誰もいない。

 首をかしげてても状況は変わらないので二人を起こすことにした。


「凛、恒輝、起きろ。」


 恒輝はすぐに目を覚ました。

 頭を振り、目を開いた恒輝が俺と同じような疑問に行き着く。俺はその直後に事案が発生しそうだったからその対処に追われてたけど。


「ん?ここは?森の中?なんで?」

「分からん。俺も起きたらここだった。」


 二人して首をかしげててもやっぱり状況は変わらないので残り一人を起こす。


「凛、いい加減に起きろ。」

「むにゃむにゃ、もう食べられないよ~。」


 THE・寝言!みたいな寝言を言うものだからついつい頭をはたいてしまう。

 流石に凛も目が覚めたようだ。


「うにゃっ・・・あ~・・・こーちゃんえーちゃんおはよー・・・」


 目をごしごしとこすりながら起き上がる凛。

 しょぼしょぼと目を開けた途端、いきなり目を見開く。俺たちと同じような疑問にたどり着いたようだ。


「影吉もわからないんだってさ。」

「えーちゃんでもわからないかー・・・」


 とりあえず一番最初に目を覚ました俺が状況を説明したものの、時間的にもそんなに変わらないので大した説明もできないのだけど・・・

 ただ、ゴブリンの話のあたりから二人から訝しむ視線が飛んできた。

 証拠としてビー玉みたいなものを見せる。


「うわー、きれー・・・」

「なんか玉の中が動いてんなこれ。」


 恒輝が言うように玉の中には揺らめく何かが動いていた。そして若干輝いていた。


「不思議なもんだろ?こんなもん俺が用意できると思うか?」

「うーん、確かに。ゴブリンの話を信じるとして、ここはいったいどこなんだろうな?」

「とりあえず森から出てみようよー。森から出たら何かわかるかもしれないよ。」


 凛の言うこともその通りなので、カバンを持って動き出す。

 恒輝と凛にはそれぞれこん棒を持ってもらって、一応戦えるようにする。

 さっきみたいにゴブリンと遭遇するかもしれないし、何もわからない状況だから何が起こってもなんとかなるようにしたい。


「忘れ物はないかなー?よーし、しゅっぱーつ!」


 凛が元気よく歩き出す。

 その右側に恒輝が、左側に俺が並ぶ。いつもの定位置だ。

 そして俺たちは忘れていた。この幼馴染が選んだ物事は必ず何かしらのアクシデントを呼び寄せることを。 

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