きっとそれは美しいのだろう
アルルの女の「メヌエット」が流れる夕刻
それは取ってつけたようなBGMで
子どもたちに「お家へ帰りましょう」と促す市内放送
フルートでメヌエットを美しく謳いたかったのは昔の話
昼と夜の境目の暮れていく景色
遠くの空を見上げればうっすら漂う雲に光が反射して
それは神秘的な厳かとも言える姿が醸し出されるというのに
夕刻は昔も今も好きじゃない
昼間の喧騒に誤魔化されやっと宥め透かした情たちの渦が
雪崩のように胸にずんずん押し寄せてくる
此処は溜まり場
後悔と嫉妬と絶望と孤独と負の感情に押し潰され囲われる
どうにもできなくて自分を放置するしかない
激しく寂寥感に纏われて私は誰だかわからなくなる
沈みゆく太陽の残像はいつの日も紅く愛しく優しくて
人々に癒しや懐古や感動を与え続けることだろう
きっとそれは美しいのだろう
きっとそれは残酷なのだろう
きっと私は酷く醜いのだろう




