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第21話 「臭」名高し

あの晩の死の静寂が最終的にどう収まったのか、クスマはもう思い出したくもなかった。


彼が知っているのは、あの馬鹿げた質問を口にした後、クレイとみぞれが極度の呆れに満ちた眼差しを向け、あの一途なふゆこでさえも、そっと視線を逸らしたということだけだ。


翌朝。


「バシッ!」


クスマはゼリガが援助してくれた三十枚あまりの金貨が入った袋と、例の金箔で縁取られた「二十金貨の奨励金証書」を、悲憤に満ちた顔で「王都環境衛生局」の木製カウンターに叩きつけた。


「ドスッ」という鈍い音が響き、カウンターの奥にいた受付の職員が勢いよく顔を上げた。


クスマの顔をはっきりと認めた瞬間、彼の瞳孔が急激に収縮した。ペンを握っていた翼が激しく震え、羽ペンが真っ白な羊皮紙の上に乱れた墨跡を残した。


直後に、彼はまるで疫病神でも見たかのように、椅子ごと強引に後ろへ五十センチほど滑り下がった。


「ガタンッ!」


椅子が背後の書類棚に激突した。


その誇張された過剰な反応は、まるでクスマの体にまだあの吐き気を催す悪臭が残留しているかのようだった。


「……ク、クスマ様……でしょうか?」


受付職員の声は震えていた。彼は片方の翼で鼻を死ぬほど強くつまみ、もう片方の翼で隣にあった消臭魔法薬のスプレーボトルを、いつでも噴射できるようにガタガタと持ち上げた。


「……そうだ」


クスマは自分に向けられたスプレーボトルを無表情で見つめたが、その目尻は微かに引きつっていた。


二人はカウンターを挟んで、しばらく膠着状態が続いた。


受付職員はためらった後、ようやく恐る恐る鼻をつまんでいた翼を離し、試すように二、三度鼻をひくつかせた。


空気中に本当にあの恐ろしい悪臭がないことを確認して、ようやく彼は安堵のため息をつき、椅子を少しだけ前へと戻した。


「あ……綺麗に洗われたのですね。本当によかった、よかった……ご存知ないでしょうが、王都の空気浄化法陣は昨日、あやうく過負荷でパンクしそうだったのですよ……我々の部署も昨夜は全員残業でした……」


「……罰金を払いに来た」


クスマの顔色はこれ以上ないほどどす黒く沈み、ほとんど歯を食いしばるようにしてその言葉を絞り出した。今の彼は、自分の「輝かしい功績」など一秒たりとも聞きたくなかった。


「あ、はい、承知いたしました!合計五十金貨になります!」


受付職員はまるで赦免を受けたかのように、人生で最速のスピードで現物の金貨三十枚を数え終えた。 続いて、彼の視線が例の金箔の証書へと落ちた。


そこに記された表彰事由を読み取ると、彼の口角が猛然と二度ほど痙攣した。 そのまま、彼はゆっくりと顔を上げ、敬畏と嫌悪が入り混じった複雑な眼差しで、クスマを深く見つめた。


(そんな目で俺を見るな!俺だってウンコでクリアしたかったわけじゃないんだ!あれは事故なんだよ!)


クスマは心の内で狂ったように咆哮したが、ただ奥歯を噛み締め、今すぐドアを蹴破って逃げ出したい衝動を必死に堪えるしかなかった。


カウンターの向こうの受付職員は、彼に一秒でも長く居座られるのを恐れるかのように、手際よく納付文書に赤い印判を押した。


「ポンッ。」


あの目に刺さるような「完納」の文字を見て、クスマは深く息を吐き出した。昨夜味わったばかりの成金気分は一瞬で雲散霧消したが、法外な借金を背負って入学するよりはマシだ。


(少なくとも、入学早々食堂で皿洗いに身を落とす必要はなくなった……)


彼はそう自分に言い聞かせることしかできなかった……。


─ (•ө•) ─


衛生部を離れた後、クスマは疲れた足取りで宿屋に戻り、仲間たちと合流した。


そこで、四人のチームは共に出発した。彼らは無数の太い樹根が折り重なってできた広いスロープを登り、世界樹のさらに高みへと向かった。


一時間ほど経った後、彼らはようやく世界樹の中段へとたどり着いた。一行が広場のように平らな巨大な枝の上に足を踏み出すと、そこには王都アカデミーの正門がそびえ立っていた。


無数の太い丸太を並べて作られた巨大な外壁が、外の市場の喧騒を完全に遮断していた。四人は十数人がかりでやっと囲めるほどの巨木の門柱に支えられた、荘厳なアカデミーの紋章が刻まれた黒い鉄の門をくぐった。


広々としたキャンパスの広場に足を踏み入れた瞬間、目の前の光景は、狂おしいほど絢爛な油絵のように、田舎者であるクスマとふゆこの顔に、ガツンと叩きつけられた。


「わぁ……」


ふゆこは小さなくちばしを半開きにし、目を丸くして、完全に呆気に取られていた。


広いメインストリートは、各地から集まった新入生たちで埋め尽くされていた。見渡す限り、彼らの頭上には千差万別の共生植物が乗っており、奇抜な色の花草から、風変わりな形の蔓木まで、まさに目を見張るような光景だった。


微風が吹き抜けると、微かな草木の香りが運ばれてきた。そしてその清香の中には、若者たちが開学に沸く騒がしい声と、制御しきれずに溢れ出す魔力の気配が混じり合い、通り全体に青春の躍動感が満ち溢れていた。


(これが……王都アカデミー……)


クスマもその勢いに気圧されていた。彼は新入生たちの頭上の多種多様な奇花異木を見つめ、無意識に自分の頭の上の発育不良なもやしに触れた。 その感触に、心底に強烈な「小ささ」を感じていた。


対照的に、クレイとみぞれは落ち着いたものだった。


クレイは眉をひそめ、周囲の混雑した人混みを嫌そうに見つめていた。頭のシルバーソードも、彼の苛立ちに合わせて不機嫌そうに二、三度揺れた。


「ちっ、人が多すぎてうるせえな」彼は隣のクスマに一言愚痴をこぼすと、慎重に周囲の人波を避けて歩いた。


一方で先頭を歩くみぞれは、髪飾りのようなブルースターを歩調に合わせて揺らしていた。彼女は優雅かつ軽やかに群衆の間をすり抜け、その時、振り返ってクスマとふゆこがついてきているかを優しく確認するのも忘れなかった。


いつの間にか、クスマは自分に注がれる視線がどんどん増えていることに気づいた。


彼はどうしようもない事実に直面した。自分はこの新入生たちの間で、すでにちょっとした「有名人」になってしまっているらしい。それも、どこへ行っても奇妙な横目で見られるタイプの有名人だ。


彼らが通り過ぎるたび、周囲の新入生たちは、彼の頭上のあの特徴的な「もやし」を認めるや否や、すぐに隣の仲間に顔を寄せ、興奮気味にひそひそと囁き合った。


最初ははっきりと聞こえなかったが、隠そうともしない刺すような視線は、無数の小さな画鋲のように彼の背中に突き刺さり、全身を居心地悪くさせた。


続いて、数句の耳障りな雑談が、遠くない場所からはっきりと聞こえてきた。


「……おい、見ろよ。あのもやし頭の奴だ」

「聞いたか?あいつ昨日、肥溜めに落ちて、あの悪臭だけで試験会場のアリを全員燻り殺したらしいぜ!しかも、あいつが出てきた時、主考官まで臭いで吐いたんだってさ」 「おえっ……マジでキモいな。あんな手段を選ばない奴と一緒に入学かよ?同じ寮には絶対住みたくないね」


これらの隠そうともしない悪意に満ちた嘲笑を聞き、ふゆこは怒りで小さな顔を真っ赤にし、頭のヤナギマツタケを猛然と逆立てた。彼女は身を翻し、毛を逆立てた子猫のように言い返しに行こうとした。


「師匠のは戦術なんです!何も知らないくせに!師匠が一番すごいんですから!」


クスマは彼女をぐいと引き止め、疲れ切った顔で制止した。「いいんだ、ふゆこ。放っておけ」


「でも師匠――」


ふゆこがまだ食い下がろうとした時、人混みの中から突然、大勢の新入生たちが押し寄せてきた。


彼らは気圧されるように互いを突き飛ばし合いながら、最終的にまるで聖地巡礼でもするかのようにクスマの前にたどり着いた。先頭にいた一人の新入生は顔を真っ赤にし、突然彼に向かって九十度の深いお辞儀をした。


「あ、あの……クスマ君、ありがとう……」


「そうそう!」後ろの数人も鶏が餌をついばむように激しく頷き、その目には真摯な輝きがあった。「君が昨日、突然あのアレを……ええと、あのアレを爆発させてくれなかったら……」


適切な言葉が見つからず、数人の新入生たちが気まずく言葉を詰まらせていると、隣にいたクレイがわざと語尾を伸ばし、大声で助け舟(?)を出した。


「『王のオーラ』のことだろ!お前ら、我がクスマ様の必殺技の名前も知らないのか?」


「王のオーラ?」「そうか、あれは『王のオーラ』だったのか!」


その響きのいい名号を聞き、新入生たちは何らかの共感を得たかのように、議論の声は瞬時により熱烈なものへと変わった。あの冷静なみぞれでさえも、思わず顔を背け、口元を隠してクスクスと笑い、目を細めていた。


「そうだ!まさに『王のオーラ』だ!」先頭の新入生は安堵したように大声で同意した。「君がアリを全員気絶させてくれなかったら、俺たちはとっくに脱落してたよ!どうか俺たちの礼を受け取ってくれ!」


その一糸乱れぬ「王のオーラ」という合唱を聞き、クスマは目の前が真っ暗になった。


しかし、これらの極めて真摯な、あるいは感謝の涙さえ浮かべている面々を前にして、クスマはその場に硬直し、まるで風化した石像のようになった。


しばらくして、彼はようやく、この上なく引きつった笑顔を絞り出した。


「ハ……ハハ……どういたしまして。皆、同級生だろ……」


─ (•ө•) ─


すると、元々混雑していた人混みの後方から、突然騒ぎが伝わってきた。


その乱暴な動きは、密集した人の壁を強引に割り、一本の道を切り開いた。クスマとふゆこは無意識にその声の方を見たが、その主を認めた瞬間に、二人の視線は同時に完全に凍りついた。


夢にも思わなかった傲慢な姿が、こちらに向かって真っ直ぐに歩いてきたのだ。


(……嘘だろ?!なんでこいつが……)


クスマの瞳孔が収縮した。


現れたのは、一昨日レストランで給仕の女性に無理やりバナナを食べさせようとし、最終的にふゆこに共生植物を一刀両断された、あのドラ息子だった!


彼の頭のバナナは、何事もなかったかのように綺麗に生え戻っていた。彼は一人で、ふてぶてしくクスマの前まで歩いてくると、口元に傲慢な笑みを浮かべた。


この突然の接近に、クスマとふゆこの心臓は同時に大きく跳ね上がった。


(あのバナナ変態だ!) (俺たちのことに気づいたのか?!)


ふゆこは恐怖のあまり、すぐにクスマの後ろに隠れて震え出した。クスマもまたその場で硬直し、泣くよりも酷い笑みを顔に貼り付けた。


しかし、予想していた復讐は起こらなかった。相手はただクスマを上下に一瞥し、後ろに隠れているふゆこには目もくれず、恩を着せるような尊大な口調で高らかに言った。


「おい、お前が昨日でかい騒ぎを起こしたもやしだな?」


そう言うと、彼はあの匂いを思い出したのか、嫌そうに鼻に皺を寄せた。


「手段は吐き気がするほどキモかったが、お前のおかげで、俺様も昨日適当に転がってるアリを仕留めて、楽々合格できたぜ」


そして、彼は高慢に顎を上げ、翼で自分自身を指し示した。


「俺様は人からタダで恩を受けるのは嫌いな質だ。今回は俺に一つ『借り』ができたってことにしてやるよ!これから学院で困ったことがあったら、このジェフ様の名を呼べ!」


言い終わると、彼はクスマの返事を聞く間もなく、傲慢に口笛を吹き、背を向けて悠々と去っていった。


その男の姿が完全に視界から消えるまで、クスマとふゆこは示し合わせたかのように深く、長い吐息をついた。


二人共にお互いを見つめ、その九死に一生を得たような眼差しから、お互いの心の声を読み取った。


((よかった……あのバナナ変態、節穴で俺たちのことに気づかなかった……))


危機の去ったことを確認し、ふゆこの張り詰めていた小さな顔はようやく完全に緩んだ。彼女は胸を撫で下ろし、クスマに向かって安堵の笑みを向けようとした。


しかし、彼女が再びクスマを見た時、相手の顔色が「さぁっ」と、先ほどよりもさらに真っ白になり、額からは冷や汗が滴り落ちているのに気づいた。


その異様な様子に、ふゆこの浮かべかけた笑みは瞬時に凍りついた。


「師匠、どうしたんですか?」


ふゆこは不思議そうに彼の服の裾を引っ張り、首を傾げて尋ねた。


「彼は気づかなかったじゃないですか。危機は去りましたよ。なのにどうして……そんなに顔色が悪いんですか?」


「ふゆこ……」


クスマの声は微かに震えていた。彼はゆっくりと顔を向け、虚ろな眼差しで弟子を見つめた。


「君は分かっていない……事態は、もっと悪化したんだ」


「えっ?どうしてですか?」


「あいつ……あいつは言ったんだ、俺に一つ『借り』ができたって!」


クスマは逆にふゆこの肩をガシッと掴み、絶望的に低い声で唸った。


「それがどういう意味か分かるか?!それは、あいつが『恩返し』という名目で、正々堂々、大手を振って俺たちに付きまとうってことだ!」


それを聞き、ふゆこの顔の表情が瞬時に固まった。


「つ……付きまとう?」


続いて、彼女の脳内に制御不能な、極限まで恐ろしい光景が浮かび上がった。


これからの学院生活で、彼らが図書室で本を読んでいようが、食堂で食事をしていようが……あの頭にバナナを乗せた変態が、何の予兆もなく突然角から飛び出してくるのだ。


彼は一歩ずつ二人に歩み寄り、半分剥いたバナナを差し出してこう言う。


『へへへ……恩返しに来たよぉ~バナナ、食べないかい?甘いよぉ~俺様が直々に剥いてあげたんだよぉ~』


その音声付きの恐怖の幻想に、ふゆこは猛烈に身震いし、悲鳴を漏らした。「ひ、ひぃぃ――!!」


彼女の小さな顔から瞬時に血の気が引き、クスマと同じくらい真っ青になった。


しばらくして、二人はゆっくりと顔を向け、お互いを見つめ合った。その空虚な眼差しの中に、同じ絶望が映っていた……まるで彼らの未来が、すでに無数の剥かれたバナナによって完全に埋め尽くされてしまったかのように。

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