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第18話 学生ローン

「ブーン――」


わずかな空間の歪みと眩い白光と共に、クスマの姿が、何の前触れもなく巨大な広場の中央に現れた。


彼が現れるや否や、全身にへばりついた、魂さえも貫きそうな『王のオーラ』が唐突に降臨した。この悪臭は、栓を抜かれた毒ガス弾のように、広場の澄んだ空気の中へと瞬時に放射状に炸裂した!


「ゲホッ!ゲホゲホッ――ブハッ!!」

「オエッ――!なんだこの匂いは?!臭すぎる!吐きそうだ!」

「助けてくれ!目が!涙が止まらない!目が潰れる!」


刹那、それなりに秩序立っていた広場は、アリに遭遇するよりも悲惨な大騒動に陥った。


肩を落としている脱落者も、祝い合っている合格者も、今は他のことにかまっている余裕はなかった。あちこちから聞こえるえづき声と共に、全ての者がまるで疫病神から逃れるかのように、恐怖のあまり転がるようにして外側へと退散していった。


わずか数秒で、ひよこたちは強引にクスマの周囲に半径十数メートルの「毒ガスの真空地帯」を作り出した。


しかし、鼻を塞いで逃げ惑うこの退避の波の中で、ただ一つ、小柄な姿だけが退くどころか前へと進み出た。


「あ!師匠!」


ふゆこは、悪臭に包まれたその見慣れた姿を一目で見分けた。彼女は何も考えず、誰も近づこうとしない毒ガスのデッドゾーンへと真っ直ぐに突っ込んでいった。


勢いよく飛び込みすぎたせいで、彼女はあろうことか、人を気絶させるに十分な致死性の匂いを思い切り吸い込んでしまった。


「ゲホッ!ゲホゲホッ――オエッ!」


強烈な悪臭に瞬時にむせ返り、涙が勢いよく噴き出した。生理的な防衛本能により、彼女は勢いよく腰を曲げ、苦痛に満ちたえづき声を漏らした。


だが直後、彼女は燻り出された二筋の涙を堪えながら猛然と顔を上げ、その眼差しを瞬時に、一点の曇りもない狂信的な崇拝へと変えた。


「師匠はすごいです!絶対に無事にクリアできると信じてました!」彼女は目を崇拝の光で輝かせ、誇らしげな口調で言った。「生還した時のオーラまでこんなに驚天動地だなんて、さすがは師匠です!」


その時、遠くからこの全てを見ていたクレイは、もう我慢の限界だった。


「うぅ……オエッ!」


彼は片方の翼で口と鼻を固く塞ぎ、顔全体を苦痛に歪ませていた。もう片方の翼で必死に宙を扇ぎ、脳天を直撃する悪臭をなんとか追い払おうとしていた。


その崩壊した表情は、声なき咆哮を上げているようだった。「こいつ、なんであんな匂いまでそっくりそのまま持って帰ってきてんだ?!転送陣には消毒機能がついてないのかよ?!」


一方、反対側に立っていたみぞれは、黙って花の香りがするハンカチを取り出し、口と鼻を固く塞いでいた。クスマのあの悲惨な様子を見て、彼女はどうしようもないといった風に軽く首を振り、「こうなると思ってたわ」という苦笑いを浮かべた。


ふゆこの涙ながらの絶賛を聞き、外側で吐き気を催している群衆と、顔を歪めているチームメイトたちを見て、嵐の中心にいるクスマは石像のようにその場で硬直していた。


彼の脳は深刻なラグを起こしており、思考はまだ一秒前の「アリが俺の臭さで死ぬより溺れ死ぬ方を選んだ」という巨大なショックに留まっていた。


(……待てよ、俺はさっき出てきたばかりだぞ!なんでみんな俺に向かって吐いてるんだ?今一体何が起きてるんだ?!)


避けるように恐れおののく周囲の視線を辿り、彼はゆっくりと首を下へ向けた。自分の全身にこびりつき、塊になった深褐色の泥を見て、心底ではすでに絶望的な真実に気づいていたが、死んでもそれを認めようとはしなかった。


(……気のせいだ!絶対に気のせいだ!!俺はそんなに臭くない!!!)


─ (•ө•) ─


広場の中央で木石のように硬直し、全身から絶え間なく致命的な悪臭を放つクスマを前に、遠くにいるクレイの理性の糸がついに完全に燻り切れた。


「……あのさ」


彼は相変わらず鼻を死に物狂いで塞いでおり、声はひどく鼻にかかってくぐもっていた。彼の視線はクスマの方向を完全に避けており、まるで一目でも見れば目にものもらいができるとでも思っているようだった。


「俺とみぞれは、先に宿屋に戻って休む。お前たちは……」


彼は、今まさにクスマのそばに付き添い、崇拝の眼差しを向けているふゆこを一瞥し、その目に敬畏の念を浮かべた。


「お前ら師弟で……そこでゆっくり話してろ」


言い終わるや否や、彼はクスマとふゆこの返事を待たずにみぞれをぐいと引っ張り、振り返りもせずに足早にずらかった。


「あ……あの、ごめんなさい!」


無理やり引っ張られていくみぞれは、狼狽しながら振り返るしかなかった。クスマとふゆこに向かって「両翼を合わせる」謝罪のポーズをしてみせ、その表情に浮かぶ申し訳なさは本物だったが、足取りは微塵の躊躇もなくクレイについていった。


しばらくして、脱兎のごとく逃げ去る二人の後ろ姿が広場の角に消えるのを見届けると、ふゆこはクスマの方を振り向いた。


「師匠、私たちも早く宿屋に戻りましょう!早く体を綺麗に洗わないとですね!」


「……君」


クスマは少し驚いた。目尻には匂いにやられて涙が滲んでいるのに、それでも逃げずに強がっている彼女を見て、今の自分が一体どれほど臭いのか、彼は心底では痛いほどよく分かっていた。


「本当に臭くないのか?それとも鼻がおかしくなったのか?」


「鼻はおかしくなってません!た、確かにすごく臭いですけど……」


ふゆこの小さな顔は、息を止めて真っ赤になっていた。涙がまだ目元にぐるぐると回っているのに、彼女は一生懸命に胸を張り、まるで宣誓するかのように堅定な口調で言った。


「で、でも!師匠の弟子として、師匠のそばにいることくらいできなくて、これからどうやってついて行くんですか!師匠がどんな姿になっても、わ、私はずっとおそばにいますから!」


(……ふゆこ、君は本当にいい子だ。これから絶対に美味しいスイーツをたくさんごちそうしてやるからな!)


クスマは心の中でひっそりと感動の涙を流した。


こうして、ふゆこの付き添いの下、クスマは阿鼻叫喚の広場を離れ、朝来た道を戻っていった。


この道のりを、クスマは最高に「威風堂々と」歩いた。


朝通った時、この賑やかな通りにはパンやスイーツの魅力的なミルクの香りが漂っていた。しかし今、それらの香りは全てクスマのあの壊滅的な『王のオーラ』によって無情に飲み込まれてしまった。


彼は自分が極めて不人気な暴君のようだと感じた。そしてこの悪臭こそが、彼の最も忠実な露払いなのだ。


彼が近づくだけで、通りの通行人や露天商たちは、まるでモーセの海割りの奇跡でも目撃したかのように、恐怖のあまり両側へと狂ったように退散していった。護衛など全く必要ない。この匂いが自動的に、通りの真ん中に広々とした「王者の道」を切り開いてくれたのだ。


「オエッ——!」


避けきれなかった数人の通行人が『王のオーラ』の余波を浴び、その場で両膝から崩れ落ち、道端の花壇に向かって身をよじらせてえづいた。その光景は、まさに臣民たちが新王に五体投地の朝拝を捧げているかのようだった。


そして、先ほど豪語したふゆこは、見事に言葉通りに行動した。彼女は燻り出される涙を無理やり堪え、「国王」のそばから一歩も離れず、彼のそばにいる唯一の忠誠な騎士となった。


─ (•ө•) ─


通行人たちの後ろ指を指される視線をようやく耐え抜き、宿屋に足を踏み入れるや否や、クスマは転がるように自分の部屋へと駆け戻った。


「バタン!」


彼は勢いよくドアを閉め、浴室へと直行した。彼は宿屋に備え付けられていた石鹸を丸々三個も使い切り、体中に狂ったように分厚い泡を立てた。皮膚が擦り剥けそうになるまでこすり続け、ようやく羽毛にこびりついた塊状の深褐色の泥と悪臭を完全に洗い流した。


彼は力なく浴室から出ると、ベッドの縁にへたり込んだ。タオルで羽毛を乾かしながら、長いため息をつき、ようやく自分が生き返ったように感じた。


皮を一枚剥がされたかのような入浴を終え、クスマは疲労困憊で後ろへ倒れ込み、そのまま気絶するように眠りに落ちた。


どれくらい経っただろうか、窓の外の空はすでに暗くなっていた。


「コンコン」


ドアの外から聞こえてきた礼儀正しい二回のノックの音が、彼を夢の中から呼び覚ました。


クスマは寝ぼけ眼をこすり、疲れた足取りでドアを開けた。見ると、ドアの外には王都アカデミーのパリッとした制服を着た使者が立っていた。相手はプロフェッショナルな立ち姿を保っていたが、鼻を死に物狂いで塞いでいるその翼と、いつでも逃げ出せるような逃げ腰が、彼を完全に裏切っていた。


(……マジか?今日の午後、少なく見積もっても何十回は擦ったぞ。まさかまだ体に匂いが残ってるのか?!)


クスマは頭上に無数のハテナマークを浮かべながら、無意識に首を下げて自分の翼の匂いを嗅いだ。爽やかな石鹸の香りしかしないじゃないか。


「あの、クスマ様でいらっしゃいますか?」使者はくぐもった声で尋ねた。


「はい、俺です」


「こちらがあなたの通知書です。ど、どうかお早めにお受け取りください!」


使者は精巧な紙で作られた二つの巻物を差し出した。受け渡しが終わるや否や、彼はまるで大赦を受けたかのように、素早く身を翻し、命からがら狂ったように走り去っていった。まるでここの空気をもう一口でも吸えば寿命が縮むとでも言うように。


(……そこまで大袈裟か?)


クスマはその場で呆然と立ち尽くし、その後、強引に押し付けられた腕の中の二つの巻物を見下ろし、思わず首を傾げた。


(……おかしいな、合格通知書って普通一部じゃないのか?なんで二つもあるんだ?)


その疑問を抱えたまま、クスマはドアを閉め、巻物を机の上に広げ、まず一つ目を開いた。


そこには、厳格な文言で書かれた公式の合格通知があった。


『ここに証明する。新入生クスマは、今回の入学試験において、「アリの集団自溺を誘導する」という稀有な戦術で合格した。その常軌を逸した打破の思考を表彰するため、アカデミーはここに、追加の奨学金として金貨20枚を授与し、これを奨励する。』


クスマの心に狂喜が湧き上がり、興奮で血が沸き立ち、彼はその場で跳び上がってこの合格通知にキスをしそうになった。


「あんな恥ずかしいことを戦術として美化するなんて?!ゲホッ、ゲホッ、まあいい、とにかく金貨20枚もらえるなら、それは立派な戦術だ!俺、金持ちだ!」


彼は部屋の中で興奮のあまり大声で叫んだ。


天にも昇る心地のまま、「一つ目で金貨20枚なら、二つ目は絶対にすごいはずだ!」と考えた。


彼は目を輝かせ、待ちきれない様子で二つ目の巻物を解いた。しかし、彼の視線がその上の文字をなぞった時、興奮した歓声はまるで首を絞められたかのように、ピタリと止まった。


目に飛び込んできたのは、彼が予想していたような栄誉の証書ではなかった。それは「王都アカデミー規律委員会」から発行され、同時にアカデミーの印章と「王都環境衛生局」の鮮やかな赤い大印が並んで押された、規則違反の罰金請求書だった。


『事由:本日午後、貴殿がアカデミー大通り沿いに大量の高濃度魔物排泄物を付着・残留させた件に関し。当該行為は、深刻な景観破壊及び大規模な嗅覚公害を引き起こした。評価の結果、必要とされる街路の深層清掃、空気浄化、及び沿道店舗への営業損失賠償等の費用として、合計金貨50枚を徴収する。』


「バサッ」


二つの巻物がクスマの力のない翼から滑り落ち、机の上に転がった。


クスマは左側の栄誉と富を象徴する「+20金貨」を呆然と見つめ、次に右側の破滅と貧困を象徴する「-50金貨」を見た。


(……20 - 50 = -30?)


単純な計算式が脳裏に響き渡り、クスマはそのまま石化した。


(つまり俺は、死に物狂いでアリに追いかけられ、自分の匂いで死にかけ、チームメイトに嫌がられ……挙句の果てに、まだ正式に入学もしてないのに、いきなり金貨30枚という法外な学生ローンを背負わされたってことか……?)


(このアカデミー……入学辞退してもいいかな……?!)

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