【短編】彼の秘密を知った私の反応!!~好きは変えられない……諦めきれないわ!~
主人公の晴宮奈留は清野部莉生のことが好きだったが……。
私は恋をしている。
クラスで余り目立たないけど優しくて誰の頼みでも聞いてしまうような男子で、なんか放っておけないタイプなのよね。
彼を始めてみたのは高校二年の四月。そう学校に登校して新しいクラスになり教室に入ったら窓際に彼がいた。
そんなに目立たない感じだけど、なぜかそこだけ別次元にみえ私は鼓動が鳴ったのを覚えている。
吸い込まれるように私は彼の目の前に立っていた。
目と目が合い、ドキッと鼓動が高鳴る。透き通るような綺麗な目に肌。まるで女性みたいだ。
彼は優しい笑顔で私に話しかけてくる。
『初めましてかな?』
『あーはい。私は晴宮奈留です。多分一年の時は別のクラスだったかも』
『そっかぁ……ボクは清野部莉生。多分じゃなくても別クラスかと』
そう言われ私は恥ずかしくなり顔を赤らめる。
その後も色々と話した。
それから一ヶ月が過ぎた今でも莉生と友達のように接している。
好きだけど……告白できない。
そう思いながら今日も何時ものように教室に入り自分の席に着いた。
あれこれ考えながら莉生の居る窓側をみる。目が合った。莉生は優しい笑顔で軽く手をふる。
それをみて私も笑みを浮かべ手をふった。
ヤッパリ素敵だよなぁ。でもなんでみんなの恋バナの対象になっていないんだろう?
まあ競争相手が居ないのはラッキーだけどね。
そう思っていると先生が教室に入って来た。
✦♡❈♡✦
――キーンコーンカーンコーン……――
放課後。一日の授業が終わり帰宅部の私は帰るだけだ。勿論、莉生と一緒にである。
急いで帰りの準備をしている莉生のそばまできた。そうじゃないと何時の間にか居なくなっているからだ。
「莉生、一緒に帰ろう」
「あーうん……ごめん。今日はバイトが……」
「そっかぁ……バイト始めたんだね。私も始めようかなぁ。ねぇ、どんなバイト?」
そう私が聞くと莉生は困った顔になってしまった。
「奈留……本当に、ごめん。教えたくないんだ……」
「そうなんだね。うん……大丈夫、言いたくないこともあると思うし。じゃあバイトがない時は一緒に帰ろう」
「分かった。その時は声かける」
それを聞き私は嫌われていないと思い安心する。
その後、私は莉生に「また明日」と言い教室からでた。
✦♡❈♡✦
それから暫くの間、私は一人で家に帰っている。
「今日もバイトかな? なんか私、避けられてる気がする」
ヤッパリ……嫌われたのかな? でも学校では普通に話してるしなぁ。
そう思い私は教室を出て廊下を歩いていた。
アレ? 莉生。今日もバイトに行くのかな。
莉生に声をかけようと思ったけどやめる。
バイト……秘密って、どんなことしてるの?
気になり莉生のあとをつけることにした。
✦♡❈♡✦
私は莉生のあとを追い公園までくる。
「……トイレに入ったけど、なんで女子トイレなの?」
不可解に思いながら私は公衆トイレの外で莉生が出てくるのを待った。
暫く待っていると私服の女性が出てくる。で……目が合った。
「……」
私は絶句し固まる。
「……(汗)」
目の前の女性……いや莉生も額から汗を一滴たらし固まっていた。
「あーえっと……」
「いや……あーこれは、ハハハ……」
困った顔をして莉生は私から目を逸らす。
「どういう事なの? これって女装? それとも……」
「逆かな――……」
その後、莉生は理由を話してくれた。
「ってことは男装が趣味で……ううん、それだけじゃなく……レズって」
「ごめん……隠すつもりはなかったんだ。でも言い出せなかった」
「……そっかぁ。でもなんで学校で男装してるの?」
ショックだった。だけど学校で男装していて、なんで先生とか言わないのか気になり問いかける。
「学校側と親も知ってる……こうなったのは中学の時からだし」
「じゃあクラスメイトも?」
「一部は知ってる。だけど言わないでくれてるんだ」
それでかぁ。だから莉生は何時も一人で……でも、みんなの気持ち分からないでもない。女性が男性の格好をして……尚且つレズって――……。
「そうなんだね。ごめん……余りにも許容範囲を越えてて……私、帰るね」
「あっ、待って!」
その声を聞くも私は、その場に居ると変になりそうで駆け出した。
✦♡❈♡✦
「だから言いたくなかったんだ――……」
やっとできた友達だから知られたくなくて……ごめん、奈留。
男装のまま家に帰ると怒られる。だから一緒に帰ると着替えられない。
もう……無理だよな。学校で一緒に話ができない。
そう思っているとボクの頬を涙が一滴ながれ落ちる。
泣きながらボクは家に向かい歩き出した。
✦♡❈♡✦
家に着くなり私は着替えるとベッドへダイブする。そのままうつ伏せになり枕に顔を埋め大泣きをした。
うう……ヒック……なんで莉生が女でレズって……私の恋心は? こんなに好きだったのに……酷いよ。
つら過ぎる。告白もしていない。でも好きだった。もう、どんな顔をして逢ったらいいの? どうしたらいいか分からないよ。
私は暫くの間、色々と考えながら大泣きしていた。
✦♡❈♡✦
その翌日から莉生は学校にこなくなる。
私は毎朝、気になり莉生の席の方をみていた。
「今日も来てないね」
ボソッと私は呟く。
「晴宮さん、莉生のことが気になるのかしら?」
そう言い小波香音は私の近くまでくる。
「うん、そうだけど。小波さん……莉生って呼び捨てにするってことは知ってるの?」
「莉生とは幼馴染ですから。それよりも莉生が学校にこなくなった理由って、まさか晴宮さんと何かあったからなの?」
「あったと云えば……そうだね。私、多分……莉生のこと傷つけた。でも……」
心の奥底から込み上げてくる感情、想いが溢れ涙が出てきた。
「その様子だと莉生のこと知っちゃったのね。もしかして好きなの?」
「うん……好き。謝りたい……でも」
「それは異性に感じる感情かしら? それとも親友として?」
そう聞かれ私は悩んだ。
「どっちだろう? でも放っておけない。一緒に居たいと思ってる。ショックだったけど……今なら大丈夫」
「そっかぁ……分かったわ。ワタシが話をつけてくるわね」
そう言うと小波さんは、ニコっと笑みを浮かべ自分の席に戻っていった。
話をつけてくれるって……なんて? でも……そうだね。小波さんに任せよう。
そう思いながら私は席に着き、また考え始める。
✦♡❈♡✦
日曜日の午前十一時。
現在、私は公園のベンチに座り莉生を待っていた。
あれから小波さんが莉生に話をつけてくれ今日ここで逢うことになったのだ。
大丈夫かな? なんて言われるだろう。言われても仕方ないよね。莉生を傷つけちゃったんだもん。
そう思い不安になりながらも逢いたいと思う気持ちが勝っている。
自分が普通じゃないと思うも抑えきれない感情。
「早く逢って謝りたい。そして私の気持ちを伝える」
キョロキョロと周囲を見回した。
「ごめん……奈留、待たせたかな」
ビクビクしながら莉生は私の近くまでくる。
「ううん……そんなに待ってないよ。それよりも、この前はごめんなさい」
「あーうん……もう大丈夫。散々香音に言われた。謝るのはボクの方だね……ごめんなさい、奈留。隠さずに、ちゃんと打ち明けてればよかったんだよな」
「そうだね……でも早いうちに聞いてたら今みたいな感情が湧かなかったかもしれない」
そう言い私は莉生をみつめる。
「感情? それって……軽蔑してるってこと?」
「違うよ……あーえっと。す、す……」
「すす?」
あーどうしよう。ヤッパリ言える訳ない。莉生は女性だし私と同じ同性。
分かってるよ……同性愛者だってこと。だけど私が女性である莉生のことを好きだなんて言えない。でも言わないと……。
唾をのみ込むと私は覚悟を決めて口を開いた。
「軽蔑なんてしてない。私は莉生のことが好き。最初は男性として莉生を好きだった。だからあの時、凄いショックを受けたの」
言葉が続かず唾をのみ込んだ。そして再び話し始める。
「……でもね……学校で逢えない日々が続いて自分の気持ちに気づいた。莉生のことが、ヤッパリ好きなんだってこと」
「好き……それって?」
「そこまで言わないと駄目かな?」
その先の言葉を発したくなかった私は立ち上がり莉生の唇に軽くキスをした。のはいいけど恥ずかしくなり下を向いてしまう。
「え、えーっと……。へっ? これって……」
チラッと莉生の顔をみる。顔が赤くなっていた。そう云う私も恥ずかし過ぎて体が熱い。
「そういう事だから、ね。ノーマルだったのに……責任とってよ」
「う……ん。でもボクでいいの?」
「今のところはね」
そう言うと莉生は優しい笑みを浮かべ「それでもいい」と応えた。
そのあと私は莉生とデートをする。そして夕方になり帰宅した。
……――私たちのその後が気になるって? そうね……愛し合ったとだけ伝えておきますか。……――――✽完✽
読んで頂きありがとうございますヽ(^o^)
リハビリを兼ねて書き上げました。
なんとか書けてるかな?
現代ものの百合を書くのは初めてで不安ですが( ̄▽ ̄;)
異世界ものの百合はカクヨムにあるけど……連載が止まってる状態だ(^◇^;)
まあそれは置いておいてと……。
では、また何か書く機会がありましたらよろしくお願いしますo(^_-)O