第4話少年編 新生活
市立香久東中学校
全校生徒363名、一学年10クラスあるそこそこ大きな学校。
この学校でタケルの事を知らない者は誰もいない。
一人で暴力団を壊滅させた少年。
もちろんタケルの名はメディアで公表されることはなかったが、
近隣の者や親しい者はこの少年Aが誰であるかはすぐに分かった。
だから、この学校で誰も口には出さないが、タケルに近づこともしない、一人の少女以外は
「タケル遅れるよ。」
「先行けよ。」
「何言うてんの、早く、いいから行くよ。」
長井雅美はタケルの手を強引に引っ張り玄関まで引っ張って行く。
マサミだけはタケルに積極的に接してくるのだ。
それがなぜなのかはタケル自身にも分からなかった。
タケルは自分から誰かとと仲良くなろうとは思わないが、
手を引っ張られて悪い気はしないし振り払う事もしない。
タケルはこの関係に心地よさを感じていた
「おはよう。」
マサミは誰に対しても明るい。
教室に入り、タケルは一番後ろの自分の席に着く。
タケルが通う学校の学力レベルは高くない、
タケルの記憶海馬は一度見た物、聞いた物を忘れることはない。
勉強をしなくても教科書を見てれば一冊丸々暗記できてしまう。
ゴールデンウィークも終わり
6月に入りもうすぐ梅雨に入る前の穏やかな日和。
「起立、礼、おはようございます。」
朝のホームルームが始まり、退屈な一日の始りである。
ヤマトは昼休みに校舎の中庭のベンチで本を読んでいると、
見覚えのある茶髪にピアス。
制服は着崩していて、ドクロのネックレスを着けた少年が声を掛けてきた。
「ヤマト、俺の事覚えてる?」
「覚えてるよ 一年の時同じクラスの柳川健太郎君だよね。」
「よかった~覚えられて無いと思ってたよ。」
「何?」
「俺、こんなんだし周りから敬遠されてるから、普通の奴は寄ってこうへん。お前も俺といっしょやなって・・・
俺、多分学校向いてないんだよ。ねえスマホ持ってる?良かったら番号交換しない?」
「ああ いいよ」
「高校どこ行くんや、ヤマトは頭いいから香久高か。俺はアホやからなセイゼイ松塚工業かな。
いけたらええけどな、おふくろが高校ぐらい出とけってうるさいんだよな」
そんな他愛も無い会話。
だけど久しぶりに何かいっぱい喋ったし気分がいい。
時折ヤナガワと話す様になって3日がたったころ、図書館の帰り道
「中坊がイキってるんじゃねえ。お前どこ中だ。」
「すみません。すみません。香久東です。」
高校生らしき者3名、殴られ正座されられている者1名
殴られているのはヤナガワ君のようだ。
何があったかは分からないが、知らない顔はできない。
「謝っているしもう十分だろう。」
「なんやワレわ」
金髪が行き成り殴りかかってきた。
「行き成リだね、問答無用って感じ。」
フェノムが男3人を解析分析してステータスを教えてくれる。
スキンヘッド・身長183cm・体重102kg・火器&兵器反応無し・危険性{極弱}
金髪・身長176cm・体重75kg・火器反応無し・兵器ナイフ所持・危険性{極弱}
長髪メッシュ・身長173cm・体重68kg・火器反応無し・兵器警棒所持・危険性{極弱}
身体能力10%強化
リーダーらしきスキンヘッド男が殴り掛かって来た拳を殴りつけた。
「グシャ」嫌な音がした。
スキンヘッド男は自身の右手を抱きかかえもんどり打って転げ回っている。
粉砕したな、おそらくもう拳は握れないから人を殴る事はできないだろう
金髪がナイフを長髪男は警棒出して身構え、警戒している。
「もう止めた方がいいと思うよ。」
警告を無視して二人は同時にかかって来た、
体を左に捻って警棒とナイフをかわすと
同時に左にいた金髪男のナイフの持った腕を取る。
後ろに周り腕と髪の毛以って、そのまま長髪男の顔面に金髪男の顔面を二度打ちつけた。
長髪男は思わず蹲ったので、足で警棒を叩き蹴り上げようとしたその時
ヤナガワが俺の背中を掴み
「ヤマト、もうええ。サイレンが聞こえるし。逃げよう。」
「逃げたってダメだよ、防犯カメラがあっちこっちあるからすぐに捕まる。逃げるだけ印象が悪くなるし。」
ヤナガワとタケルは香久山警察署にいた。
少年課の立花ひかる(タチバナヒカル)は迎えに来ていた
ヤナガワの母親と香久山東学園の園長の神埼に今回の経緯を説明していた。
「相手側は3名でヤナガワ君を暴行し、それを見たヤマト君が止めに入ったら、
ナイフ・警棒を持って襲って来たと言うことなので、正当防衛にはとなるとは思いますが、
相手側の3名は怪我を負っている上、いろいろと問題のある子供たちで
今後の二人が心配です。目を離さないで何かあればすぐにご連絡ください。」
学校に行くともう噂になっていた。
昼休み時間、昼食後ヤマトは窓からボーっと校庭を見ていた。
日差しが暖かく眠気誘われ思わず眠りそうになったその時
ヤナガワに引き戻される。
「おーいヤマト ちょっと付き合え」
眼帯をして頭に包帯を巻き少し紫色に変色した口元。
「痛そうやな、大丈夫か。」
「ああ こんなんかすり傷や。」
「いやー結構な怪我と思うけどなぁ」
「ええから、ええから、早く」
校庭の端にある体育倉庫の前に来た。そこには5人の少年たちがいた。
よくヤナガワとつるんでいる5人だ。ヤンガワが彼らを順に紹介をしてくれた。
「2組の葛西彰吾でゴウだ
同じく2組の松山俊一でマッツンだ
5組の山川真でシン
3組の加納俊道でトッチャンだ
7組の渡雅司でマーボーだ
で俺が8組の柳川健太郎でケンボーだ
よろしくな。」
「ええっと俺は大和健で・・・
「ええよ、みんな知ってる。」
「タケルはすげえだよ、あっと言う間にな3人ぶちのめしたんや。瞬殺だったな
あいつらはあの悪の正強高校の2年で、スキンヘッドが2年の頭で大田原って言う奴だ。」
「あー居た、やっぱりココに居った。」
2人の少女、浅野陽菜と高梨理沙が息も絶え絶えに走り込んで来できた。
「菜奈と昨日の夜から家にもいないし連絡もつかない。ヤバイんだ」
「なんだよ、何があったんや。」
「また家出ちゃうんか。」
「ちゃう 昨日、3人で本町通りを歩いていると、
センターから左半分が銀髪 右半分が黒髪のホスト系みたいな男にナンパされたんだけど、
うちら無視して行こうしたら、ナナが知り合いだって何か話してて
ナナがちょっと用事とか言って付いて行こうとするから、
ヤバそうな奴だからって止めたんだけど、大丈夫、大丈夫って後でラインするからって・・・
どうしたらいい・・・」
キンコーンカーンコーン・キンコーンカーンコーン
昼の休憩時間が終わり授業開始のチャイムが鳴る
「どーする、手がかりはその特徴的な頭の奴やろ」
「じゃ放課後捜索やな。」
全員、それぞれの急ぎ足で歩いて教室に戻る。
家族は捜索願いを出し、少年や少女たちも一生懸命捜したが見つけられなかった。
ナナが不明のまま、夏休みに入ろうとしていた。
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