88話 番外編 バラ色の未来 02 楓ワールド
この親子は森で狩をし 湖で魚を取り 獲った獲物を町に売りに行き暮らしてるそうだ。
「今度 町に行った時に 君の言う日本と言う国を知っている者がいないか聞いてみよう、君の親御さんも探しているかも知れないからな」
「お願いします」と言ったが、わかっている 此処は夢の中 私の空想の世界。
日本があるわけ無いのだ。
この親子は とても親切にしてくれる ありがたい…、が、何時迄も甘えている訳には行かない。
私は社会人なのだから!
私に今出来ることは…
「ママ魚取りに行って来るね」「気をつけて行ってらっしゃい」
「パミ!私も着いて行って良い?」
「良いよ!」
私はパミに着いて行く事にした。
パミは 湖のほとりに留めてある小さな舟に乗って、私と一緒に岸から100m程の所にある木の棒の所まで来た。
棒に引っ掛けてあった紐を舟の後ろに括り付け、岸に戻り、今度はその紐を手で引き上げている…なるほど、この紐は網になっていて網の反対側は此処から100m程離れた岸に繋がれていた。
網には20匹程の魚が引っ掛かっていて それを回収して行く、家に持ち帰りパイヤが捌いて干していく、干した魚を纏めて町に売りに行くのだと言う。
これがパミの日課だと言う「パミはまだ幼いのに偉いね」「えへへっかえでと変わらないよ」「…」
そう 気づいてましたよ、私が10才位になっている事は、まあ、夢なのだから大した事では無い。
翌日はバイロンに着いて行った。
パイロンは弓で鳥や鼠を狩って行く。見事な物だと…
「楓 静かに」私はパイロンの片隅で静かに腰を下ろした。
パイロンの視線の先には…、猪?
「あれは狩れないし気づかれると突進して来て大怪我をするから」
気を付ける様言われた。
確かに弓で猪は無理だろう。
猪はドングリに似た木の実を食べに来ると言う、なのでドングリの木の近くには寄らない方が良いと…、「アイツが狩れれば…」パイロンは猪が狩れれば生活も楽になると言っていた…。
その日の夕食の時 私はパイロンに提案した。
猪を弓で狩るのは無理でも、捉えた猪を仕留めるのは出来るのではないかと、「それはそうなんだが…」私はお願いした。
「明日一日に狩を休んで、私と一緒に罠を作って欲しいと」
「…わかった 明日は 楓に付き合おう」「私も良い」
「じゃあ 皆んなで明日は 楓の言う罠を作ろう」
こうして猪捕獲の罠を作ることになった。
名付けて猪捕獲作戦!
朝方罠の材料を準備してパイロンに獣道を教えて貰い。
「此処が良いね」
良い場所が見つかった。
獣道の途中少し開けた場所に大きな岩があった。
私達は日が丁度てっぺんに差し掛かる頃、猪は夜行性だからね。
皆んなで木と縄を使い鼠取りの仕掛けと同じく、中に入ったら入口が閉じる…その先には大きな岩!
「我ながら完璧じゃない」が出来た。
もう日が沈みかかっている、私達は岩の周りにドングリを撒いて家路に着いた。
翌朝「楓!かかってたぞ!」パイロンが寝ぼけ眼の私達に話出した。
「猪はトドメを刺す必要なく額から血を流して息絶えていた」そうだ。
上手くいって良かった…けど、まだ朝早いから、いつから見に行っていたのやら。
猪一匹で 親子3人ひと月は暮らせると言う。
早々に解体して町に売りに行くらしい。
私も着いて行きたいが大人の足で丸一日掛かると言う。
迷惑掛けるのは目に見えてるので今回は諦めた。
その日の夜は 女3人…、知らない世界で不安があるが心配要らないとパイヤが言う。
何故ならこの家には結界が張ってあるからと。
結界?…出たよ、夢の世界、楓ワールドだよ。
「パイヤが結界張ったの?」
「いいえ、普通の人には出来ないから」
「じゃあパイロン?」
「あの人は普通の人よ、町には結界師と言う職業の人がいるのよ」
結界師?
「私も良くは知らないけど様々な魔法が使える人が、それぞれ得意な魔法を活かして職に就いているらしいわ」
そうなのか魔法か…私の空想の世界なのだから私も使えるのでは?しかしどうやって…。
散々悩んだ結果…出来たよ。ちょっと笑っちゃうけど。
「ちちんぷいぷい火を点け!」指先に小さな火が灯った。
「かえでちゃん凄い!魔法使いだったんだね」
パミが私のマネをして「ちちんぷいぷい火を点け!」…点いたよ!
点いちゃったよ、パミちゃん大喜び。
因みにパイヤさんは出来なかった…残念。
後にナデシナ村は、ちちんぷいぷいの聖地となるのだが…、
まだまだ遠い先の話しだ。




