6.カタログスペック。
次回、第1章の〆です(*'▽')ノ
寝ても体調戻らなくて草!
――茜の奴曰く、アクアは『カタログスペックなら最強』らしい。
つまり物語の序盤において、主人公の手に負えない存在であるというように見せることで、打倒した際のカタルシスを増加させる狙いだった。それ以外の意図があるかもしれないが、ハッキリと分かるのはそれだけだ。実際にアクア・リュクセンブルクは格下とされた主人公たちによって退けられ、物語からは退場している。
「それでも、この世界でなら……!」
もはやレールなど敷かれていない、この世界でなら。
俺は、アクアは、さらに上へと昇っていける確信があった。油断も慢心もせずに、努力を怠らなければきっと、誰も到達したことのない高みへと至れるはずだ、と。
その一歩として、俺は彼の中に眠る可能性に賭けるのだ。
ここを切り抜けることができたなら、俺はそれを引き上げる努力を約束する。
だから、
「行くぞ、俺はこいつの可能性を信じる!!」
剣を突き出して、頭の中に一つのイメージを描いた。
五大属性の埒外にある例外属性――光の力。一人で二つ以上を持つことさえ例外とされる中で【光属性】さえも用いれば、それは例外中の例外という異常事態だった。
だが例外というのは、ただ極端に珍しいだけで――。
「可能性は決して、ゼロではない!!」
その直後、身体の中で何かが弾けたような感覚。
火照るくらいの熱が胸に宿り、腕を伝って、手にした剣に流れ込んでいった。にわかに剣は光を放ち始め、俺の周囲には見たことのない魔法陣が展開される。
【スケルトンドラゴン】は異変を察知したか、愚鈍ながらも必死に逃走を図った。
しかし、俺はそれを許さない。
「逃がすか、この骨野郎が!!」
足に力を込めて、一息で骨竜との距離を詰め切る。
そして――。
「これで、最後だあああああああああああああああああああ!!」
力の限りに、手にした剣を横に薙いだ。
ひときわ強く輝いた光は、一瞬にしてドラゴンの身体を呑み込んでいく。世界が漂白され、ほんのひと時だが音さえ掻き消えてしまった。
だが、その中で俺は見たのだ。
『拓斗、アタシ待ってるから』
「…………茜?」
手の届かない、さらに先。
幼馴染みがこちらを振り返って、笑っていた。
俺は思わずその名前を口にして――。
「う……!?」
だがすぐに、弾けた光によって視界を遮られる。
俺は腕で顔を覆い隠して、次に目を開けた時にはもう彼女の姿はなかった。
「いったい、アレは……なんだったんだ?」
こうして、戦いは終わりを迎える。
何も失うことはなかった。
それでも俺の中で、この世界に対する疑問が生まれていた。
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