3.戦闘開始:レライエ。
眠いぞい(*'▽')また寝てた。
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――【地獄への招き手:レライエ】
その名に相応しく、ただのアンデッド系の魔物であると接近した冒険者を地獄に叩き落としてきた存在。一般的にアンデッドの類は、動きが愚鈍である傾向にあった。しかしこのレライエは例外で、背中に生えた翼で軽々と宙を舞う。
そして遠距離から、高威力の矢を撃ち込んでくるわけだ。
つまり事前の対策がなければ、間違いなく地獄行きが確定する。
『だが、レライエの恐ろしさはここからだよ』
ゆっくりと件の相手に身を晒しながら、俺は先ほどのアニスさんの言葉を思い出した。
にわかには信じられないが、このレライエには――。
「魔法攻撃が、一切効かない……か」
宙を舞うのならば、先日のドラゴンを相手にしたように魔法で。
そう俺が提案しようとしたら、彼女は首を小さく左右に振ったのだ。そして告げられたのは、そのような馬鹿にできない冗談のような内容。
一見してみすぼらしい魔物であるが、このアンデッドは難敵だった。
「だったら、まずは……!」
俺は剣を引き抜いて、こちらに落ち窪んだ眼を向けるレライエに向ける。
今回の戦闘における俺の役割は、俗にいう『囮』だった。レライエは矢筒の中身がなくなれば、その補給のために錬成を行う。ただし必ず、敵からは相応の距離を確保するのだ。
相当に運が良くなければ、接近戦には持ち込めない。
したがって、二対一で撃破するのが理想的だ、ということだった。でも、
「こっちから、先に行かせてもらうぜ!」
俺は自分の中に沸き起こった高揚感を抑えきれない。
アニスさんにも許可を得たので、一度は真正面から斬りかかってみることにした。それが駄目なら作戦通りに、ということで。俺は足に力を入れると、呆然とこちらを見つめるアンデッドに肉薄した。
しかし、やはり一筋縄ではいかない。
「ちっ……! もう、あんな高く!?」
切っ先が骸骨を粉砕しようとした。
だがそれよりも一瞬だけ早く、翼を広げたレライエは真上へと飛び上がったのだ。これでは当然、剣による物理攻撃は届かない。魔法を試みようと思ったが、さらに先に――。
「うわ、何だこのバカみたいな攻撃は!?」
――ズドン、という音が響いた。
とっさに回避するのだが、先ほどまで自分のいた場所には身の丈ほどありそうな矢が突き立っている。地面は少しばかり陥没し、その一撃の威力を物語っていた。
こんなものを喰らえば、ひとたまりもない。
先日のドラゴン戦で俺は相手の身体に風穴を空けた。それが、今度は自分の番だ。
「……ここは素直に、アニスさんに従うか」
さすがに死に対する恐怖がないわけではない。
いまだにゲーム感覚で楽しんでいるのは否定しないが、ここが今の俺にとって現実であることは承知していた。だから方針転換をすることに異存はない。
俺は一つ息を整えてから、レライエとの間合いを計る。
「よし、これなら――!」
そして、相手の攻撃動作に合わせて行動を開始するのだった。
◆
「なるほど。状況判断能力は、問題ないな」
一方その頃、アニスは岩場の陰に隠れて戦況を見守っていた。
アクアは最初こそ無謀に見えたが、話し合った通りに自己分析をしている様子。新人にしては、なかなかどうして冷静なものだった。アニスは感心しながら、周囲の状況を確認する。
「……ん?」
その中で、ふと彼女は気付いた。
「なんだ。……この異様な雰囲気は」
決して魔素の流れがおかしい、という意味ではない。
ただいうなれば、勘というやつか。
「それこそ、運命のような。馬鹿げた話だが」
アニスはそこまで考えて、小さく笑った。
運命なんてものが、この世にあってたまるものか――と。
「そんなものは、私自身でねじ伏せてやる」
腰にある剣を引き抜いて、戦闘へ意識を集中させた。
何もおかしいことはないのだ、と。自分に、必死に言い聞かせながら。
だが、彼女は知らなかった。
自身の抱いた可能性が、己に牙を剥こうとしているなど……。
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