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1.初めての仲間。

ここから第1章(*'▽')ノ

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「えっと、すみません。魔石の換金をしたいんですけど」

「分かりました。それでは鑑定いたしますので、ご提示ください」



 冒険者ギルドでは、誰でも所持している魔石を鑑定することが可能だ。

 魔石というのは魔物を討伐した際に発生する特殊な鉱石で、魔素を凝縮させた力の塊というものらしい。使途としては魔法の研究とかで、然るべき機関に提供されるという話だった。

 そんなわけで、俺は懐から拳ほどの赤い結晶を取り出す。

 あれほどのドラゴンから生み出された割には、小さいようにも思えるものだった。


「……こ、これは…………!?」

「え、どうしました?」


 そう考えつつ、何の気なしに受付嬢に手渡す。

 すると彼女は目を丸くして、魔石をまじまじと見つめていた。困惑と興味に満ちたその視線に、俺は何事かと少しばかり怯えてしまう。まさか、何か変なことをしてしまったか。――などと不安に駆られていると、受付嬢はこう口を開いた。


「こちらについては一度、上と話し合わせていただきますね!」

「あ、はい……」


 呆気に取られた俺がとっさに応えると、彼女は早足に裏に行ってしまう。

 取り残され、理由も分からないこちらはただ呆然と立ち尽くすしかなかった。いったい、何がどうしたというのだろうか。

 首を傾げていると、そんな俺に声をかけてくる人があった。


「あははは! 当り前さ、あのドラゴンを討伐したのはキミが初だからな!」

「え、俺が初めて……?」


 それに振り返ると、そこには不思議な雰囲気をまとう女性の姿。

 肩ほどで揃えられた鮮血のように赤い髪に鋭い金の眼差しをしているが、右側のそれは漆黒の眼帯によって隠されていた。顔立ちは中性的な印象を受け、一見すると年若い男性のようにも思わされる。しかしよくよく観察すれば、美形な女性であることが理解できた。

 背丈はアクアよりも少しだけ低いくらい。

 しかしそれ以上に堂々としたたたずまいは、存在感を大きく見せていた。


「あぁ、そうだ。精鋭揃いの先遣隊も、手を焼いていた相手だったからな」


 そんな彼女は、そう言いつつ興味深そうにこちらの顔を見つめてくる。

 まるで値踏みするような視線に、俺は思わず身を引いてしまった。


「おっと、すまない。自己紹介がまだ、だったな」


 その反応をどう受け取ったか、女性は一歩引いてからそう口にする。

 そして、右手を差し出しながらこのように名乗った。



「私のことは、そうだな……アニス、とでも呼んでくれ」――と。







「なるほど。アニスさんは、王都の出身ではないんですね」

「先日、辺境の町から出てきたばかりさ。いわゆる出稼ぎというやつだ」


 ひとまず立ち話もアレ、ということになり。

 俺とアニスさんはギルド併設の酒場に移動して、互いの素性を明かした。もっとも俺の場合、元貴族というのは黙ってはいたが。とにもかくにも、彼女は王都の人間ではないということらしい。聞くところによれば、ここから遠く離れた場所にある小さな町出身だとか。

 それにしては立ち振る舞いが堂に入っている気もしたが、いまは置いておくか。


「それなら、右も左も分からない点では俺と同じですか」

「まったくその通り。しかし、戦闘経験ならキミには負けないよ」

「ははは。それはたしかに、そうですね」


 ビールが運ばれてきたので、店員からそれを受け取りつつ。

 俺たちは自然な流れで乾杯を交わした。そして仕事の後の一杯を思い切り、喉の奥に流し込む。転生前に味わっていたものと変わりない苦みが口の中に広がり、全身に染み渡っていった。

 その悦びに浸りながら食事に手を付けていると、ふとアニスさんがこう提案してくる。



「これも何かの縁だ。せっかくだし、明日は一緒に行動しないかい?」



 整った顔立ちに笑みを浮かべて。

 俺はそれに思わずドキリとしたが、これは願ってもない申し出だった。



「ありがとうございます。心強いです!」

「ははは。過大評価はやめてくれよ? それじゃあ、よろしく頼む」



 交渉はあっさり成立し、俺たちはしっかりと握手を交わす。

 これが俺――アクアにとって、初めてできた仲間という存在だった。



 


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