2.足りないもの。
応援よろしくお願いいたします(*‘ω‘ *)
「アニスさん、そっち行きました!」
「任せてくれ!!」
俺の合図に、アニスさんは素早く反応して魔物を追い詰める。
今回の標的はデーモンという、その名の通り悪魔のような外見をした魔物だった。中級冒険者たちでも討伐可能な相手を選んだのは、簡単にいえばアニスさんとの連携の確認。
パーティーを組んだとはいえ、アプリで適当にやるように上手く物事が回るわけではない。こちらの世界で生身の人間として生きる以上、鍛錬や訓練は可能な限り積んでおくべきだ。
「はああああああああああああああ!!」
そんなこんなでダンジョンに潜り、小一時間。
アニスさんの一撃により、デーモンは見事に真っ二つになった。これで目標の数には到達したので、次はより細かい部分の確認に移りたいところ。
俺はそう考えて、魔素の欠片を回収しつつアニスさんに訊ねた。
「どうですか、そっちの手応えは」
「悪くはないと思う。ただ少し、欲を言うなら幅が欲しいか」
「……幅、ですか?」
すると彼女は顎に手を当て、綺麗な眉をひそめる。
そして、俺の問いかけに頷いて説明を始めた。
「アクアくんは、剣術も魔法も一流だ。私も多少なら魔法を行使できるが、しかし生まれが生まれだけにすべて『竜狩り特化』になっている」
「……ふむ?」
俺はそれに首を傾げる。
たしかに、彼女の言う通りアクアはスペックなら最上級だ。そこに戦闘経験が豊富なアニスさんの力が加わったとする。そうなると、どうなるんだ……?
「あぁ、難しい言い方だが、事は単純だ」
こちらの表情から疑問を察してくれたらしい。
アニスさんは俺に見せるようにして、人差し指を立てた。そして、
「後衛が欲しい。できるなら、防御や支援魔法に優れた者が良いな」
「なるほど。つまりもっと、バランスを意識したい……ってことですね?」
そう結論を述べる。
そこまで言葉をもらえば、いくら察しの悪い自分でも分かった。
たしかに、彼女の指摘通りだ。俺とアニスさんは、それぞれ戦闘スタイルが自己完結している。しかも互いに前衛意識が強く、守りの意識が薄いのは弱点であるとも思えた。
つまり後衛に防御魔法、あるいは支援魔法の類を使ってもらえたら安定感がでる。
「さすが、アニスさんですね。俺だったら前衛で固めていたかもしれないです」
そこまで口にしてから、幼馴染みに『脳筋プレイがすぎる件』と揶揄されたことを思い出した。当時は何も思わなかったが、いまになって刺さってくるとは。
「ん、どうした。どこか表情が緩んでいるが……?」
「……あぁ、いや。なんでもないです」
そうしていると、思わぬ指摘を受けてしまった。
自覚はなかったけれど、もしかしたら心のどこかで俺は懐かしんでいるのかもしれない。かといって、今さら考えても仕方がないので一度、気持ちを切り替えるように咳払いをした。
そして、改めて今後の方針を決めようと――。
「それだったら、一度ギルドに戻って募集をかけるとか――」
そう切り出した。
その時だ。
「うにゃああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
なんとも間の抜けた悲鳴が、ダンジョン内に響き渡ったのは。
「……え、なんですか。いまの」
「悲鳴だな。とても緊張感に欠けているが」
アニスさんに確認すると、同じような意見が返ってきた。
そして数秒の間を置いてから互いに顔を見合わせ、どちらともなく歩き出す。いくら珍妙なそれとはいえ、悲鳴であった以上は駆け付けないわけにはいかなかった。
そんなわけで、ゆっくりと岩陰から声のした方を覗き込むと……。
「だずげでえええええええええええええええええええええええ!!」
最弱の魔物の名を欲しいままとするスライム。
いってしまえば、そんな雑魚相手に四肢の自由を奪われているエマがいた。粘々の敵に対して一生懸命に杖を当てるが、さすがにその程度で撃退はできない。そして、そうこうしている間にスライムたちは衣服の隙間に入り込んでいって――。
「びええええええええええええええええええええええええええええ!!」
――魔王、ガチ泣き。
これはさすがに、見るに堪えない。
俺とアニスさんは互いに顔を見合わせてから頷き渋々、彼女の救助に向かうのだった。
ギャグじゃねぇか!!
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。
創作の励みとなります!
応援よろしくお願いします!!




