1.ラスボス(仮)さん、登場!
ここから第2章です(*'▽')ノ
ま、まさかのラスボス登場!?
この【アンリミテッド:ワールド】の世界にも、当然ながらラスボスがいる。
もっとも何年も配信されてきたことで、物語における真の黒幕というのは謎に包まれてしまっていた。要するに開始当初、人類の敵とされていた存在がそうでなかったり。逆をいえば、人類側の陣営の中にめちゃくちゃな裏切り者がいたり。
よくもまぁ、そんなシナリオを思いつくものだと感心したこともあった。
もっとも正規のそれから外れた自分には、まったくをもって関係ない話のはず。
「あー……えっと、確認だけどキミの名前は?」
「はい! エマ・ファウストです!!」
「…………」
そのはず、だったんだけど。
いま俺の目の前にいる金髪に赤い瞳をした少女には、妙に見覚えがあった。勝気な印象を受ける眼差しに、しかし全体的に幼い顔立ち。ちんちくりんとした身体つきに、アクアの半分くらいしかない背丈。それでいて露出の多い出で立ちをしており、目のやり場に困ってしまった。
ただ、俺が口ごもった原因はそこにないのだけど。
「それで、なんだっけ。……エマは俺になにか用があるの?」
はぐらかすように俺がもう一度訊ねると、彼女は嬉々として言った。
「冒険者として最高の地位に就いたアクア師匠に、弟子入りしたいのです!」
赤の瞳を輝かせながら。
エマは心の底からの敬意をこちらに向けてきた。だけど、
「…………いやいやいや」
俺はその好意を素直に受け取れない。
何故なら、彼女の正体は――現役の【魔王】なのだから。
「お願いします、尊敬しているのです!!」
「全力で、お断りします!!」
この世界にも当然、ラスボスという存在がいる。
――【麗しの魔王:エマ・ファウスト】
彼女はアプリリリース当初、その急先鋒として名前が挙がっていた人物だった。
◆
「なぁ、アクアくん。その……」
「…………」
俺が冒険者の頂点である『SSSランク』となってから、間もなくのことだった。
周囲からの評価は、まだまだ追いついていない。それもそのはずで、誰も倒せなかった魔物を討伐したとはいえ、ぽっと出の男が最高位というのは納得がいかないだろう。他の冒険者はみな、道行く俺をどこか値踏みするように見てきた。
だけど、それ以上に衆目を集めていたのは別の人物だ。
「つけられているぞ? その、エマという少女に」
「そ、そうですね……」
冒険者ギルド内で、必要な手続きをしていた俺たちをつけ狙う少女。
エマ・ファウストはバレバレな隠れ方で、こちらへ熱視線を送り続けていた。それによって人々の興味関心は俺よりも、不審な挙動をしている彼女に集中している。
しかしながら、エマが魔王であるということはバレていないらしい。
何かしらの魔法の力が働いているのだろうか。それについて詳しくは分からないが、とりあえず現状として彼女の正体を知っているのは俺だけのようだった。
「どうする。このままでは彼女、ダンジョンまで追いかけてきそうだが」
「まぁ、実力については問題ないと思いますよ」
「そうなのか……?」
おそらく少女の身を案じたのだろう。
心配そうに言ったアニスさんに、俺は苦笑しながらそう答えた。すると彼女は驚いたように目を丸くしたので、やはりエマの正体はバレていない。
もっとも物語の進行上、まだ少女の噂が広まっていない可能性もあるが。
「とりあえず、スルーしましょう。そのうち諦めるでしょうし」
「そ、そうか……?」
アニスさんは不思議そうに首を傾げつつ、こちらの意見を受け入れていた。
俺はそれを確認してから、今日の予定を見直す。
【アンリミテッド:ワールド】の世界に転生して、一ヶ月が経過。
俺というイレギュラーを孕んだ物語は、少しずつ異変を見せてきているようだった。
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